天使だったらよかった

天使だったらよかった

幼なじみの明場夏湖、田鶴森泰星、小澤憂奈は、高校生になってからも変わらぬ友情を築いていたが、泰星が事故に遭ったことをきっかけに平穏な日々は終わりを告げる。歪(ゆが)んでいく三人の関係を描いた泥沼サスペンス・ラブストーリー。「別冊マーガレット」2021年8月号から2022年7月号にかけて掲載された作品。

正式名称
天使だったらよかった
ふりがな
てんしだったらよかった
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
既刊3巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

夏湖と憂奈

明場夏湖田鶴森泰星小澤憂奈の三人は小学校時代からの幼なじみで、良好な関係を築いていた。高校生になってからもその友情は変わらなかったが、夏湖はひそかに泰星に対して恋心を抱くようになる。ある時、泰星は交通事故に遭って意識不明に陥ってしまう。意識のない泰星を夏湖は毎日のように見舞いに行き、手を握って一生懸命に話しかけていた。一方の憂奈は寝ているだけの泰星には会っても仕方ないと、見舞いを拒否していた。そして泰星は無事に回復し、復学を果たすが、泰星は自分を毎日見舞って励ましてくれていたのが憂奈だとカンちがいし、二人は交際をスタートさせる。夏湖はずっと泰星が好きだったことに加え、憂奈に裏切られたことにショックを受ける。さらに憂奈は言葉巧みに周囲を騙(だま)し、夏湖は親友の彼氏を奪おうとしている悪い女だと誤解を受けるように導かれ、次第にクラスメイトから嫌がらせを受けるようになる。そんな中、「佐久間絢斗」と名乗る先輩が夏湖の前に現れ、憂奈からすべてを奪ってしまえばいいと囁(ささや)く。

絢斗と交際をスタートさせる夏湖

佐久間絢斗の働きかけもあり、明場夏湖小澤憂奈の関係が元に戻ったことで、夏湖に向けられていた周囲からの誤解も解けていく。一見平和な日常が戻ったかのように思われたが、憂奈はわざと田鶴森泰星との甘い関係をのろけたり、キスをしている姿を見せつけたりして、夏湖の心をかき乱す。そんな夏湖の心を見透かすかのように、絢斗は彼女に接近していく。こうして絢斗は夏湖の心のすき間に入り込むことに成功し、二人は交際をスタートさせる。そして夏湖は、自分が傷つくのを恐れて憂奈と泰星を避けるようになり、クラスからも浮いた存在になっていく。

体育祭と憂奈の企み

明場夏湖は成り行きで佐久間絢斗と交際を開始したものの、彼の存在に癒されている自分に気づく。そんな中、夏湖たちが通う高校では体育祭が催され、夏湖と絢斗はお互いのクラスTシャツに名前を書き合うなどして楽しんでいた。一方の田鶴森泰星は、入院していた際に意識のない自分を励まし続けてくれたのは小澤憂奈ではなく、夏湖だったことを知る。泰星が憂奈を問い詰めるとあっさりとその事実を認めるが、憂奈が逆切れして脅迫する言動を見せてきたことに恐怖を抱く。そんなある日、夏湖は泰星の友達から彼のケガは治っており、陸上部に復帰できる状態にあることを聞く。しかし、なにかと理由をつけて泰星の復帰を阻止しているのが憂奈だと知った夏湖は、憂奈に泰星を復帰させてあげて欲しいと懇願する。夏湖の言葉に対して憂奈は、夏湖が絢斗との関係を断てば、復帰を許してあげると交換条件を出す。

絢斗の過去と三人の別れ

小澤憂奈佐久間絢斗の知り合いに色仕掛けで接近し、絢斗が知られたくない過去を聞き出すことに成功する。そして憂奈は、絢斗をわざと挑発して彼を怒らせて手をあげさせるよう誘導し、その場を教師に目撃されたことにより、彼は停学に追い込まれる。憂奈は明場夏湖にちょっかいを出す絢斗を排除できたとほくそ笑むが、意を決した夏湖からこれまでの憂奈の悪事の証拠を提示されてしまう。このことがきっかけとなり、これまでうまく立ち回っていた憂奈の立場と信用は失われ、田鶴森泰星ももうこれまでどおりの関係ではいられないと決別宣言し、三人の友情関係は崩壊する。そんな中、夏湖は絢斗から改めて過去の出来事について打ち明けられ、彼女はそれを受け入れる。こうして夏湖と絢斗は改めて両思いとなり、交際をスタートさせる。

憂奈の本当の気持ち

明場夏湖佐久間絢斗の交際は順調で、さらに夏湖は小澤憂奈の嫌がらせがなくなったことで、クラスメイトたちとも親しく接していた。そして迎えたクリスマスの日、夏湖はクラスメイトとのパーティーに参加したり、絢斗とデートしたりと楽しく過ごしていた。その一方で、強い孤独感に陥った憂奈は、自分には恋人の田鶴森泰星ではなく、夏湖が必要だったことを悟る。どうにかして、夏湖を自分の方に振り向かせようとする憂奈だったが、うまくいかない。それどころか夏湖と絢斗に過去の悪事を許容する振る舞いを受けたことで、憂奈は自分が誰にも相手にされていないことに絶望し、自殺未遂を起こす。

登場人物・キャラクター

明場 夏湖 (あけば かこ)

とある高校に通う1年生の女子。小澤憂奈、田鶴森泰星とは小学校時代からの付き合い。明るく前向きな性格で、困っている人は放っておけないなど、正義感も強い。成長と共に泰星に対して好意を抱くようになるが、三人の友情を壊したくない思いから何も伝えずにいた。しかし泰星の交通事故をきっかけに、親友の憂奈から敵意を向けられるようになってしまう。過去に佐久間絢斗とかかわりがあったようだが、明場夏湖自身は何も覚えていない。

佐久間 絢斗 (さくま あやと)

明場夏湖と同じ高校に通う2年生の男子。背が高く整った顔立ちをしたイケメンで、あまり多くを語らないミステリアスな性格をしている。夏湖が小澤憂奈に嫌がらせを受けていた際に、助けたことで知り合いになる。佐久間絢斗自身は過去に夏湖とかかわりを持つだけでなく、正式に知り合ってからは、どんなことが起こっても夏湖の味方をしており、そのためには手段を選ばない。

小澤 憂奈 (おざわ ういな)

明場夏湖と同じ高校に通う1年生の女子。夏湖と田鶴森泰星とは小学校時代からの付き合い。庇護(ひご)欲をくすぐるかわいらしい容姿の持ち主。夏湖のよき親友として接してきたが、泰星の事故をきっかけに態度を豹変させる。その後は夏湖を貶(おとし)めるために泣き落としや色仕掛けを厭(いと)わないなど、さまざまな手を尽くして夏湖と泰星を引き離すことに成功し、泰星と交際している。

田鶴森 泰星 (たずもり たいせい)

明場夏湖と同じ高校に通う1年生の男子。夏湖と小澤憂奈とは小学校時代からの付き合い。明るく裏表のない性格で、クラスメイトを問わず同級生にも人気がある。夏湖と憂奈に対しては異性として意識しておらず、夏湖から好意を抱かれていることにも気づいていなかった。田鶴森泰星自身が事故に遭った時、励まし続けてくれていたのが夏湖ではなく憂奈だとカンちがいし、憂奈と交際をスタートさせる。事故に遭う前は陸上部に所属しており、次期エースとして期待を寄せられていた。

書誌情報

天使だったらよかった 3巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第3巻

(2022-07-25発行、 978-4088446868)

SHARE
EC
Amazon
logo