概要・あらすじ
武田真人は、イトコの武田エリカと父親との3人暮らしをしている、非凡な格闘センスを持つ女子高生。ある日、真人は車に轢き逃げされ、絶命する寸前に謎の女性の姿を見る。なぜか傷ひとつない体に戻っていた真人は、変な夢を見たのだと自分を納得させていた。だが、再び真人の前に姿を見せた謎の女性は、自分の名をアリスと名乗り、そして自らが「夜族」であると語る。
そして彼女は、真人に「スカーレットの心臓」の半分を埋め込んだと告げる。真人は、図らずも手に入れた特殊能力を使い、アリスと共に「夜族」との戦いに身を投じていく。
登場人物・キャラクター
武田 真人 (たけだ まひと)
類まれな運動神経を持つ女子高生。車に轢き逃げされて絶命するところを、アリスに「スカーレットの心臓」の半分を体内に埋め込まれたことで生き延びた。このことにより、「夜族」を倒す唯一の手段であり、彼らを血の一滴まで燃やしつくす「スカーレットの焔」を発生させる特殊能力を得る。この特殊能力は、アリスと2人で力を合わせることで真の力を発揮する。
アリス
「夜族」の女性。その身に宿す「スカーレットの心臓」の半分を、瀕死の武田真人に分け与えて生き延びさせた。当初は「スカーレットの心臓」の隠し場所として真人を利用し、只の容れ物としておくつもりだったが、真人と行動を共にするうちに、次第に考え方を変えていく。兄のユーリーに追われている。
武田 エリカ (たけだ えりか)
武田真人のイトコの女子高生で、真人と真人の父親との3人で暮らしている。真人とは対照的に引っ込み思案で消極的。身体も弱く、心配した真人にいつも守られている。
ユーリー
「夜族」の男性。永遠の生命を求めて、「スカーレットの心臓」を手に入れようと目論んでおり、それを身に宿す妹のアリスを捜している。「夜族」の「第二世代(フェイク)」であり、よみがえった生命も永遠のものではないと知り、永遠に固執するようになる。何人もの「第一世代(トュルース)」の血を受けた混血種(ハイブリッド)で、強力な力を持つ。
ジル
「夜族」の女性。ユーリーと常に行動を共にしている、最も近しい存在。アリスの所へ向かうユーリーを倒そうとするニコルたちを、力ずくで足止めする役を引き受ける。昔、暇つぶしに荒らした修道院で、アンジェリンたちの命を奪っていた。
箕輪 祥子 (みのわ しょうこ)
「夜族」の女子高生。行方不明になった小塚絵美の手がかりを求めていた武田真人をライブハウスに案内し、自分が殺した絵美の死体のもとへと導いた。次のターゲットに武田エリカを狙っていることを真人に伝え、真人の怒りを買う。その正体は、ヴィオラ・リーによって死体を寄せ集めて作られた異形(クリーチャー)である。
小塚 絵美 (こづか えみ)
武田真人の中等部時代の後輩の女子中学生。箕輪祥子にライブハウスに誘われて殺され、死体を遺棄されていた。彼女を殺した祥子によると、非処女の血肉は耐えがたいほどまずく、そうでなければ、跡形も残さなかったとのこと。
ヴィオラ・リー (ゔぃおらりー)
「夜族」の女性。死体を寄せ集めて、異形(クリーチャー)の箕輪祥子を作った。お気に入りの人形である祥子を燃やされたため、アリスに対して怒りをあらわにする。アリスが見つかったことを、ユーリーに情報提供する。右目の眼帯を外してその下から棘を放つことが可能で、この棘が刺さった相手は幻覚である「牙の門」による攻撃で、現実にダメージを受ける。
レオナード
「夜族」の男性で「第一世代(トュルース)」。ニコルたちと共に行動している。武田真人の学校に理事長としてやって来た。当初は反逆者のユーリーたちを葬るために、「スカーレットの心臓」を真人とアリスから奪うつもりでいた。しかしそれは、真人とアリスの死を意味するため、結果的にこれが真人にスカーレットの力を使って戦うことを決意させるきっかけとなった。
ニコル
「夜族」の女性。レオナードの仲間で、剣を使って戦う。好戦的な性格。武田真人の学校に留学生として現れ、真人の心臓を取り出そうと画策する。だが、その前に「スカーレットの焔」で自分の身体ごと心臓を貫いて燃やす、と告げた真人との駆け引きに負け、結局真人と共に敵と戦うことになる。
ララ
「夜族」の女性。レオナードの仲間で、チームのムードメーカー的存在。飛び道具を使って戦う。人懐っこい性格で、「スカーレットの心臓」を取られるのではないかと緊張状態にあった武田真人とも気楽にしゃべる。真人の学校に留学生として仲間とやって来た際も、学校が久しぶりだからとの理由でいろいろと見て回ったりと、能天気な性格。
アンジェリン
「夜族」の女性でレオナードの仲間。武田真人の学校に留学生としてやって来た。普段は冷静に戦いを見守るが、ヴィオラ・リーの手下の攻撃で自身の髪が数本千切られるなど、些少とはいえいざ自分に被害が及ぶとなると簡単に激昂する。水銀鞭をマシンガンのごとく高速で打ち込む戦い方を得意とし、夜族相手にその再生能力を上回る速度でダメージを与えることができる。 昔、ジルによって修道院を襲われ、ニコルらと共に命を奪われた。
エイド
レオナードの仲間の男性。「夜族」に対して有効な物質である水銀を武器に仕込み、ニコルたちを後方支援する。彼の作った武器は、異形(クリーチャー)の「ジャンク」程度なら破壊も可能だが、「夜族」の「第二世代(フェイク)」に対しては、動きを鈍らせる程度。エイド自身は普通の人間である。
礼美 (れいみ)
武田エリカの母親で、ユーリーに取引を持ち掛けられて、協力している。9年前に死んだとされていた。「夜族」の力を持っていて、音波を使った能力を持つ。
デューン
武田エリカの父親として生活していた「夜族」の男性。卑劣な人間により殺された礼美に、「夜族」の命を与えた。現在はユーリーに捕らえられている。
グレイス
「夜族」の少女。礼美をママとして慕い、2人で生活していた。夜になると視界が広がり、探し人を探知する「闇の眼」の力を持つ。武田エリカをさらい、礼美の代わりに「夜族」として永い時の道連れにする。
その他キーワード
夜族 (みでぃあん)
夜の世界の住人。夜になると、すべての感覚が解放される特殊能力者。昔、「伯爵」の娘、スカーレットを焼いた灰が村人に降り注ぎ、村人は不死の者になった。灰を浴びた人たちが最初の「夜族」、「第一世代(トュルース)」となる。村人は村を捨て、散り散りになり、夜の住人となった。「夜族」には2つの種類があり、生まれついての純血である「第一世代」と、それらが自らの血を与えてよみがえらせた死人の「第二世代(フェイク)」。 「第一世代」は不死だが、生殖能力を持たず、孤独に堪えられなかった彼らは、死者を呼び戻し、仮初めの家族に据えた。それが「第二世代」である。なお、「第一世代」の血液は、「第二世代」の寿命を引き延ばす力を持つ。
スカーレットの心臓 (すかーれっとのしんぞう)
かつて、「伯爵」の娘、美しいスカーレットの美を永遠のものとするために、父親は悪魔信仰に傾倒し自害。残された娘は月日が経っても若いままで、不死を得た化け物として村人に炎で焼かれた。この時、スカーレットの心臓のみ燃え残り、炎の印を露わに鼓動を続けていたとされる。これが「スカーレットの心臓」であり、「スカーレットの心臓」を宿す者は、「スカーレットの焔」を発生させ、「夜族」を血の一滴まで燃やし葬ることができる。 レオナードはその心臓をアリスの内に隠し、反逆者ユーリーの手に渡らないように計画。一方ユーリーは、「スカーレットの心臓」を得れば、永遠の生命を手に入れられると考えた。