孤独になるために家出した少年の新たな日常
裕福な家庭に生まれ育った葉山銀河は、幼い頃から医者になることを強要する父親との関係がうまくいっていなかった。そのため進学を機に、父親の希望とは違う高校に進学したうえに、入寮するといってアパートでの一人暮らしを始める。これからは他人とのかかわりを避けて一人で生きていくつもりだった銀河だが、となりに住む年上の元ヤンぽい桃野椿やアパートの住民、クラスメートとの交流をとおして、人付き合いの楽しさや温かさを知ることになる。本作は少女漫画ながら、男性である銀河の視点でストーリーが展開される。
訳あり年上女性×純情年下男子高校生
銀河は長らく高圧的な父親の言いなりで自由もなく、恋愛経験どころか親しい友達すらいなかった。他人とのコミュニケーションは苦手なものの、となりに住む椿をはじめ、不器用な自分を受け入れてくれる人々に少しずつ心を開いていく。そして、いつも自分を励ましてくれる椿に初めての恋心を抱き、もっと彼女のことを知りたいと思うようになる。一方の椿は、4歳のさくらと暮らすシングルマザーで、感情をすぐに表に出す天真爛漫な女性。つねに明るく振る舞っているが、自分のことを話すのはあまり得意ではない。また、好きな男性がいるような素振りを見せることもあり、銀河の心をかき乱す。
クラスメートの切ない片思い
銀河の周囲には椿以外にも、さまざまな事情を抱えた人物が登場する。たとえばクラスメートで優等生の井ノ上みちるは、姉の彼氏に叶わぬ片思いをしている。何をしても彼女の妹だからと一線を引かれることに切なさを覚えつつも、健気に思いを伝え続ける。そんなみちるにクラスメートの林朔太郎は片思いをしており、本心を隠して彼女の恋を応援している。銀河と椿の恋愛模様とともに、みちると朔太郎の恋の行方も見どころになっている。
登場人物・キャラクター
葉山 銀河 (はやま ぎんが)
とある高校に通う1年生の男子。年齢は15歳。母親はいないが裕福な家庭に育ち、幼い頃から父親には医者になるように強要されている。しかし、高校受験の前に感情が爆発して、勝手に父親が望む高校とは別の高校に進学し、入寮するとウソをついて一人暮らしを始める。誰ともかかわらずに一人で生活することを望んでいたが、引っ越しの翌日にとなりに住む桃野椿と彼女の子供・さくらと知り合いになり、彼女たちのペースに巻き込まれていく。さらに同じアパートに住む人々やクラスメートの井ノ上みちる、林朔太郎とのかかわり合いの中で、コミュニケーションの大切さや人の温かさを実感する。また、椿に対して恋心を抱くようになり、もっと彼女のことが知りたいと距離を縮めようとする。
桃野 椿 (ももの つばき)
葉山銀河が引っ越したアパートの隣室で暮らす独身女性。年齢は23歳。隣室に銀河が引っ越してきたことで、彼と親しくなる。4歳の長女・さくらと暮らしているが、さくらの父親のことや、自分のプライベートには干渉されたくないとの思いが強い。また、恋人や好きな男性がいるような素振りを見せることがある。天真爛漫でつねに笑顔を絶やさないノリのいいタイプで、笑ったときに見える八重歯がチャームポイント。一人暮らしの銀河を気にかけ、新しい環境になじめるようにさり気なくフォローしている。
書誌情報
ステラとミルフイユ 全3巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2014-04-25発行、 978-4088451978)
第2巻
(2014-08-25発行、 978-4088452579)
第3巻
(2015-03-25発行、 978-4088453644)