概要・あらすじ
森山倫子は東京の大学に進学するために、それまで住んでいた札幌を離れて、東京の祖父、森山馬ノ介の家に居候することになる。馬ノ介の住む古い家は、倫子にとっては両親が離婚する以前の、懐かしい思い出にあふれた大切なものだった。しかし家は改築されて一部が古着屋になっており、当の馬ノ介はボケてしまって、倫子のことが誰だかわからない。
ショックを受けた倫子だが、古着屋の店長であり、馬ノ介の家に居候している末次義人がともに馬ノ介の面倒を見てくれ、なおかつ家の中に明るい空気をもたらしていた。ボケてしまった馬ノ介は、倫子を彼女の母親、森山美枝子と、さらに義人を息子の小太郎と思い込んで、現実では離婚した2人を夫婦として仲直りさせようとする。
困惑した倫子は、最初は義人を拒絶していたものの、次第に義人の優しさに惹かれていく。だが、そんな平和な時も束の間。馬ノ介の娘であり強欲なるり子が、突如古い家を売り払ってマンションを建てると言い出し始める。古い家を愛する倫子と義人は、なんとかして馬ノ介に正気に戻ってもらおうと奔走する。
登場人物・キャラクター
森山 倫子 (もりやま りんこ)
大学1年生の女子。森山馬ノ介の孫娘。東京の大学に進学するために札幌から上京して来たばかり。資産家の祖父、馬ノ介の大きな屋敷に居候しており、ボケてしまった馬ノ介を、同居人である末次義人とともに世話している。今は離婚してしまった両親と仲良く過ごしていた頃の、懐かしい思い出が残っているため、馬ノ介の屋敷を大切に思っている。 物事を考え込んでしまう性質で、気になることがあると眠れなくなってしまう。
末次 義人 (すえつぐ よしひと)
森山馬ノ介の屋敷に居候している男性。屋敷の一角で古着屋「MAISON」を営んでいる。ボケてしまっている馬ノ介の面倒を見ており、精神年齢が退行している馬ノ介にも話を合わせる優しい性格。森山倫子との3人の生活が始まってからは、倫子を含めてバランスよくやっていけるよう、緩衝役を担っている。古着や古い家など、アンティークなものが好き。
森山 馬ノ介 (もりやま うまのすけ)
森山倫子の祖父で、森山小太郎、るり子の父親。自分が暮らしてきた古い屋敷を愛している。妻に先立たれ、息子夫婦が離婚し、さらには娘夫婦が自分の遺産を狙っている。この現実から逃避するために、精神年齢を退行させて過去に逃げている。半ばボケており、倫子のことを彼女の母親である森山美枝子と勘違いしたり、時には森山馬ノ介自身が14歳の少年時代まで逆行することもある。
るり子
森山馬ノ介の娘で、森山小太郎の妹。太った体型ですぐに感情的になり、欲の皮もつっぱっている女性。馬ノ介の財産を狙っており、馬ノ介の住む古い屋敷を自分のものにして、マンションを兼ねたテナントビルを建てたいと思っている。
森山 小太郎 (もりやま こたろう)
森山倫子の父親。森山馬ノ介の長男で、るり子の兄。札幌に住んでいたが、遺産相続の件で呼び出され、東京にやって来た。森山小太郎自身は金にあまり興味がなく、遺産もどうでもいいと思っている。
森山 美枝子 (もりやま みえこ)
森山倫子の母親で、森山小太郎の離婚した元妻。森山馬ノ介にとっては、小太郎、森山美枝子、倫子の親子が仲睦まじい頃に遊びに来ていた、幸せな記憶が鮮明に残っている。そのため、ボケてからは美枝子に似た面差しの倫子のことを、何かと美枝子と間違えている。また、倫子にとっての母親の思い出は、幼い頃のおぼろげなものしかない。
山田 啓介 (やまだ けいすけ)
森山馬ノ介の顧問弁護士を務めている若い男性。資産家である馬ノ介の財産分与について発表することを委託されている。山田啓介自身は馬ノ介の意思を一番に尊重しており、森山小太郎とるり子に土地や株や貯蓄、森山倫子と末次義人には馬ノ介の住む古い屋敷を贈ることを発表する。
場所
MAISON (まいそん)
末次義人の経営する古着屋。森山馬ノ介の古い家を一部改装して店舗にしている。その縁から、店だけでなく義人自身も居候することになり、家賃代わりにガス代や電気代を払っている。雑誌に掲載されて評判になり、客足が伸びた。