スプリンター

スプリンター

日本有数の大企業・結城グループの総帥・結城豪太郎に才能を見いだされ、幼少時から帝王学を学ぶ16歳の少年・結城光が主人公。光が、豪太郎の実の娘、水沢裕子との出会いをきっかけに、陸上短距離走の世界にのめり込んでいく姿を描く。

正式名称
スプリンター
ふりがな
すぷりんたー
作者
ジャンル
陸上競技
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概要・あらすじ

祭りの日、頭に血がのぼった大人の喧嘩を、オチンチンを見せることで鎮めた。その様子を見た、日本屈指のコンツェルン、結城グループの総帥・結城豪太郎は、に大器の片鱗を見出し、養子にする。12年後、豪太郎のもとに一人の少女が遺骨を抱えてやってくる。少女の名は水沢裕子。母が亡くなる3日前に、自分が豪太郎の子どもだと聞かされたのだという。

マンションでも買い与えようかと提案する豪太郎に、裕子は結城コンツェルンには何の興味もなく、陸上競技者として自分の力で生きていくと言い放つ。その態度に好感を抱いたは、その後しばしば裕子を訪ね、やがて想いを寄せるようになる。また自分のスプリンターとしての才能に気づき、結城グループの後継者候補でありながら、「世界一速い男」にどんどん惹かれていく。

登場人物・キャラクター

結城 光 (ゆうき ひかる)

幼少の頃、結城グループ総帥・結城豪太郎に見いだされ、養子となる。人間的魅力にあふれ、身分の上下や境遇に関係なく誰とでも仲良くなる才能の持ち主。結城グループの有力な後継者と目され、幼い頃から学校へは通わず、自宅で帝王学を学ぶ。一方、スプリンター(短距離走者)として天賦の才があり、やがて、すべてを捨てて「世界一速い男」を目指すことになる。 10秒の壁を破るためには、神の領域と呼ばれる潜在パワーを引き出す必要があり、危険が伴うことを知るが、世界最速に命をかける決意をする。100M9秒93の世界タイ記録を出した後、さらに9秒91に記録を更新。9秒89の新記録を出したジャック・スペンサーとの最終対決を迎える。

水沢 裕子 (みずさわ ゆうこ)

日本屈指の大企業、結城グループの総帥・結城豪太郎の実の娘。母が死ぬ3日前に父の存在を知らされる。母の遺骨を持って豪太郎を訪ね、自分に与えられたスプリンター(短距離走者)としての才能を活かし、父に頼らず生きていくことを宣言する。やがて光に想いを寄せるようになり、女性として生きるか、スプリンターとして生きるか葛藤する。 日本中の期待を受け、科学的トレーニングを受け、国際女子陸上で100M11秒01の記録で優勝。神の領域と呼ばれる潜在パワーを使った時に訪れる不思議な感覚に魅了され、100M走にのめり込む。

結城 豪太郎 (ゆうき ごうたろう)

日本屈指のコンツェルン・結城グループの総帥。血筋にはまったく興味がなく、後継者は自らの足で歩いて探し、有望なものを引き取り、教育を施している。才能があるものは優遇し、愛情を注ぐが、無能なものには厳しく、養子といえど簡単に斬り捨てる非情な人物。

ジェシー

『スプリンター』に登場する犬。結城家に飼われているボクサー犬。光のことが大好きで、異常なほど光にまとわりつく。体が大きい割には臆病者で、光と一緒にヘリコプターから飛び降りたときは気絶してしまった。

吉村 貴志 (よしむら たかし)

水沢裕子が入学した青陵高陸上部のコーチ。かつて国内では敵なしのスプリンター(短距離走者)だった。裕子を熱心にコーチするが、裕子との信頼関係はあまりない。また、裕子にたびたび会いに来る光の存在を疎ましく思っており、2人の仲を裂こうとする。

結城 博明 (ゆうき ひろあき)

日本屈指のコンツェルン、結城グループの総帥・結城豪太郎の養子。石油から農産物まであらゆるものを買い付ける結城物産を継ぐ。光を優遇する豪太郎に不信感を抱き、大悟、勝則とともにクーデターを起こし、結城グループの乗っ取りを敢行、養父・豪太郎を追い出す。後に結城グループを飛び出し、敵対する室町グループに移籍し、楯石博明となる。

結城 大悟 (ゆうき だいご)

日本屈指のコンツェルン、結城グループの総帥・結城豪太郎の養子。土木建設、不動産部門を擁す結城電鉄を継ぐ。光が結城グループの総帥となることを不満に思い、兄の博明、弟の勝則とともにクーデターを起こし、養父、豪太郎を追い出す。

結城 新吾

日本屈指のコンツェルン、結城グループの総帥・結城豪太郎の養子。日本の流通を牛耳る結城流通グループを継ぐ予定だったが、豪太郎に才能なしと判断され、家を追い出される。

結城 勝則 (ゆうき かつのり)

日本屈指のコンツェルン、結城グループの総帥・結城豪太郎の養子。IQ230の天才で、結城情報システムを継ぐ。養父・豪太郎が、光を結城グループをまとめ上げる総帥にしようとしていることを見抜き、兄たちと共謀してクーデターを計画。豪太郎を結城グループから追い出す。

アクラム

世界の石油市場を動かす石油王。妻のグレースと娘のナンシーを連れて来日。結城グループの接待を受け、光の魅力に憑りつかれ、大の仲良しとなる。

神野 (じんの)

高校の美術教師。かつて日本を代表するスプリンター(短距離走者)だった老人。偶然、結城光の走りを目にし、その才能にほれ込む。光とともに世界最速をめざしコーチを行う。

ナンシー

石油王アクラムの娘。5歳ぐらいの金髪の少女。アクラムに同行して来日。光のことを大好きになり、将来は結婚してほしいと願う。

平岡 正徳 (ひらおか まさのり)

かつて日本を代表するスプリンターだった老人。神野の元ライバル。辰巳俊二を育て上げて陸上界に送り込む。

辰巳 俊二 (たつみ しゅんじ)

主人公・結城光のライバルの一人。沖縄出身の高校生で黒人の血を引く。平岡正徳に鍛え上げられたスプリンター(短距離走者)。低い前傾姿勢からのスタートダッシュと激しい闘争心が持ち味。結城グループのライバル、室町グループの後援を受け、光と100M走を競う。

京極 玄蔵 (きょうごく げんぞう)

伊豆一帯を支配する大物。自分を前にしてもまったく物怖じしない結城光を腹立たしく思いつつ、その魅力にひかれていく。孫の詩織が光に惚れているのを知り、2人の結婚を望む。

京極 詩織 (きょうごく しおり)

京極老人の孫娘。パーティーで結城光を見かけ、一目惚れする。以来、光に積極的にアプローチしてくる。光が思いを寄せる水沢裕子の存在を知り、嫉妬に狂う。

スティーブ・グラハム

石油王アクラムの友人。ロック界のスーパースターだったが、遊びで結城光と一緒に走った時に、生命が輝き燃えるような不思議な感覚を経験し、スプリンター(短距離走者)に転向。光のライバルにまで成長する。

神道寺 健 (しんどうじ けん)

漫画家志望の少年。自分の漫画を編集者にこき下ろされ、伊豆で自殺しようとしていたところを結城光に助けられる。以来、密着取材と称して光や辰巳俊二につきまとう。後にプロの漫画家となる。

小川 春菜 (おがわ はるな)

結城光が転入した高校のクラスメイト。小柄でお転婆な美少女。光のことが好きで、マンションをよじ登ってベランダから部屋に侵入するほど。

川島 (かわしま)

結城光が転入した高校の美人英語教師。全校生徒のあこがれの的。学校ではクールに装っているが、実はおちゃめな性格。光に好意を寄せる。

ケイト・マギー

アメリカの黒人女性で、男性と見まがうかのような筋肉と風貌の持ち主。国際女子陸上での水沢裕子のライバルの一人。自己ベストは100M11秒05。

ジェニー・リン

アメリカの白人女性。20歳。国際女子陸上での水沢裕子のライバルの一人。自己ベストは100M11秒06。

ドラゴ・ブア

東アフリカで偶然見いだされた野性味あふれる女性スプリンター。推定年齢は15~16歳。初出場の大会でいきなり100M11秒04の記録を出した。国際女子陸上での水沢裕子のライバルの一人。

メリッサ・ウィンフィールド

100M10秒76の世界記録を持つ、黒人女子スプリンター(短距離走者)。水沢裕子が実父・結城豪太郎に頼んで、国際DNP杯陸上大会に呼び寄せた。

清河 陵次郎 (きよかわ りょうじろう)

結城光が転入した高校の生徒。中学生時代は手の付けられないワルで、ケンカばかりしていた人物。IQが高く、結城光より自分の方が才能があると自負している。結城グループをやめ、陸上大会でも優勝できない光を腹立たしく思い、ケンカを吹っ掛ける。2人のケンカを偶然見ていた楯石博明に誘われ、室町グループに入る。

ジャック・スペンサー

陸上界のスーパースターである黒人のスプリンター(短距離走者)。100M9秒93の世界記録を持っていたが、タイ記録を出した結城光に触発され、神の領域と呼ばれる潜在パワーを引き出すトレーニングを開始。9秒89の新記録を打ち立てる。

その他キーワード

神の領域 (かみのりょういき)

『スプリンター』の用語。限界の向こう側にあるとされる潜在パワー。運動などで、限界だと思っても80%の力しか出しきれておらず、じつは潜在的な力が20%ほど残っているという理論に基づく。神の領域を引き出すには、脳や心臓の酸素まで使うため、幻覚を見るだけでなく、体が破壊される恐れもあるという。

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