概要・あらすじ
秘書課で課長を務める品川正直の悩みは、部下の五条美々子がモテすぎることだった。毎年、多数の新入社員が彼女にフラれては、会社を辞めたり、自殺したり、入院したりするのだ。妻子ある品川は、五条が早くいい人を見つけて、寿退社してくれることを望んでいた。ところが、ある日、自分も五条に激しく恋をしていることに気付く。そんな折、品川は五条から長年好きだった、と告白される。
出世街道を進む品川にとって、社内恋愛はご法度だし、妻子を裏切ることにもなる。揺れ動く品川だったが、五条の魅力には抗えなかった。
登場人物・キャラクター
品川 正直
一部上場企業、山内興産の秘書課課長。42歳の男性。背が小さく小太りで、眼鏡をかけた、冴えない容姿の中年ながら、エリート中のエリート。見合いで結婚した妻と、8歳になる一人息子「太郎」との幸せな家庭を築いているマイホームパパ。ここ7年、秘書課に所属するスーパーレディ・五条美々子にフラれた新入社員が、次々と自殺したり、ノイローゼになっていくのが悩みのタネ。 実は自身も五条に恋をしていることに気付き、彼女からも好きだと告げられる。社内恋愛がご法度の企業のうえ、妻と子供を裏切ることはできないと自制をするが、ついに一線を越えてしまう。
五条 美々子
山内興産の秘書課に勤務する29歳の女性。容姿と人間性そろって完璧なスーパーレディ。T大法科卒で英仏語が堪能、料理・花道・茶道なんでも一流の才女。身長165cm、B90・W60・H90というスタイルの良さに加えて、女神のような美貌の持ち主である。その美しさは社内だけにとどまらず、オフィスのある丸の内でも有名で、恋人がいないのが丸の内の七不思議の1つと言われているほど。 毎年多数の新入社員が彼女に一目ぼれしては玉砕していくのが、課長である品川正直の悩みとなっている。控えめなおとなしい性格なのだが、入社してからの7年間で彼女に交際を申し込んで断られた男は、自殺が6名、自殺未遂が38名、退社が31名、精神病院入院が86名、軽度のノイローゼが43名と、膨大な数の被害者が出ている。 幼い時に亡くした父親の面影を持つ品川に長年好意を寄せており、ついにその気持ちを伝える。
平 一夫
山内興産の新入社員の男性。五条美々子にアタックを続けている。W大卒で、大学ラグビーではスター選手だった。山内興産にトップ合格で入社した優秀な人物だが、五条からは「付き合う気持ち1パーセントもありません」と断られ続けている。それでもこの7年間で、3か月以上にわたってねばったのは平一夫が初めて。品川正直も彼ならやるかもしれないと思っていたが、五条が源氏ひかると婚約したことを聞くと、ショックで退社し、出家してしまう。
源氏 ひかる
山内興産に新しく配属された人事課課長。31歳のハンサムな男性。身長190cm、体重95kg。社長の孫で次期社長候補。T大を主席で卒業し、アメリカ留学中は全米大学フットボール最優秀選手に選ばれたという、すべてが揃ったスーパーマン。配属早々、五条美々子にプロポーズして婚約するが、のちに五条から一方的に破棄される。
探偵
源氏ひかるから五条美々子の身辺調査を依頼された私立探偵。黒いスーツを着用し、サングラスをかけた男性 。源氏からの依頼で五条と品川正直を調べ、ついに京都で2人が逢引きしている現場を写真に収める。五条の魅力を目の当たりにし、スーパーレディどころではなく、男をとって食ってダメにする悪魔、現代の魔女だと評した。 長時間、2人を尾行しているうちに、品川を応援してやりたくなるような気持ちが芽生える。しかし、調査結果はしっかりと依頼主の源氏に伝えた。
黒部
山内興産の管理課長を務める男性。品川正直と管理部長の座を競っている。品川と五条美々子の仲を怪しみ、部下の山田に尾行と調査を命じた。不倫と社内恋愛の証拠をつかみ、喜々として源氏ひかるに報告。しかし、源氏の反感を買い、アラスカ支社へ飛ばされた。
直美
五条美々子の一人娘。父親は品川正直。京都で結ばれた一夜で授かり、五条1人で出産し、育ててきた。のちに美しい少女へとすくすくと育ち、母親と瓜二つの姿に成長する。
五条美々子の叔父
五条美々子の叔父。美々子の亡くなった父親の弟にあたる。入院した美々子のお見舞いに毎日訪れる品川正直に、美々子との関係を問いただしてくる。直感で品川が直美の父親であることを見抜いて激怒し、二度と病院に来ないように伝える。
五条美々子の母
五条美々子の母親。美々子が幼い頃に夫を失くしている。孫娘となる直美を育てている。直美は品川正直に育ててほしい、という娘の気持ちを知っているが、娘を不幸にした品川を憎み、品川に直美を渡すことを拒んでいる。