あらすじ
第1巻
沖縄にあるハルタ島(波瑠多島)に、離島留学のため小学生の息子、春田一星を連れた春田睦が移住してくる。ふだんはほとんどしゃべることのない一星との触れ合いの時間を作るため、睦は東京を離れ、このハルタ島で二人で暮らすことを決めたのだった。案内係として迎えにきた役所の聡美は、二人を住む家へと車で連れていく。しかし、その家は人がもう10年も住んでいないボロ屋で、しかも天井には大きな穴まで開いていた。なんとか室内を掃除したあと、二人は海の見えるテラスへ向かう。睦はこのハルタ島で始める理容室のお客さん第1号として一星の髪を切ってあげるのだった。(第1話「髪を切りに来ました。」。ほか、3エピソード収録)
登場人物・キャラクター
春田 睦 (はるた りく)
一人息子の春田一星と共に、沖縄のハルタ島(波瑠多島)へ移住してきた男性。東京ではリョウタが経営する理容室で働いていたが、ほとんどしゃべることのない一星のことを考えてハルタ島の小学校への留学を選択した。一星の母親である「はるか」が一星を連れて春田睦のもとへ現れたことでいっしょに住み始めたが、はるかは仕事で外国へ行ってしまい、それ以来一人で一星を育てている。はるかは睦の妻だと思われるが詳細は不明。美容師と理容師の免許を持っており、ハルタ島で理容室「髪を切りに来ました。」を開く。慣れない離島での暮らしに戸惑うことも多いが、ゆっくりと流れる時間の中で息子との二人の時間を過ごし、地元の人々とも徐々に打ち解けていく。
春田 一星 (はるた いっせい)
小学4年生の男子。年齢は9歳。春田睦の息子。母親の「はるか」が睦のもとへ連れてきて、しばらくのあいだ三人で暮らしていたが、はるかが仕事で外国へ行ったことで、それ以来睦と二人で暮らしている。原因は不明だが春田一星はほとんどしゃべることがなく、「お父さん」としか言葉を発しない。見た目はふつうの子供で、睦にもよく懐いている。睦が沖縄のハルタ島(波瑠多島)で始めた理容室「髪を切りに来ました。」の店名は一星が考え、手書きの看板も作った。
リョウタ
東京で理容室を営むイケメンの男性。理容師として春田睦といっしょに働いていた。睦のよき理解者で、沖縄のハルタ島(波瑠多島)へ移住した睦と春田一星のことを心配している。
聡美 (さとみ)
沖縄のハルタ島(波瑠多島)の役場に勤める女性。背が低くぽっちゃり体型で、ショートカットにしている。離島留学の担当者として、春田睦親子の面倒を見ている。人当たりがよく、物腰の柔らかな人物だが、言いたいことははっきりと言うタイプ。
電気屋 (でんきや)
沖縄のハルタ島(波瑠多島)で電気店を経営している既婚者の男性。電気の通っていない春田睦の家の電気工事にやってきた。食べるものがなかった睦親子に、自分の愛妻弁当を差し出した心優しい性格をしている。東京に上京していた時期もある。睦が始めた理容室「髪を切りに来ました。」のお客様第2号となり、理容室であることを島民が認識できるよう、看板くらいは出した方がいいと睦に進言した。
ケリー 桜子 (けりー さくらこ)
沖縄のハルタ島(波瑠多島)の波瑠多小学校に通う小学6年生の女子。丁寧なしゃべり方をするしっかり者で、ツインテールの髪型にしている。鈴木じゅんぺーが春田一星を驚かせてしまったことを謝りたいと、いっしょに春田家へやってきた。春田睦が始めた理容室「髪を切りに来ました。」のお客様第3号となる。
鈴木 じゅんぺー (すずき じゅんぺー)
沖縄のハルタ島(波瑠多島)の波瑠多小学校に通う小学4年生の男子。ハルタ島に留学してきた春田一星に、突然声を掛けて驚かせてしまったことを謝りたいと、ケリー桜子に連れられて春田家へやってきた。一星に深々と頭を下げて謝罪し、仲直りする。
おじいさん
沖縄のハルタ島(波瑠多島)の春田家の近くで暮らすおじいさん。春田睦の顔を見るたびに「髪は切らさんからな!」と発言する。とっつきにくい印象を与えるが、春田一星の留学記念日だからとオリオンビールの小瓶を持って訪ねて来る。一星のために父親として頑張る睦に、ねぎらいの言葉をかけた。のちに睦が始めた理容室「髪を切りに来ました。」で、髪を切ってもらう。