概要・あらすじ
江戸時代と明治時代の境である慶応四年、松川帯刀は旗本の家に生まれた。剣に天賦の才がある帯刀は、四歳の頃には剣術で兄に迫る勢いだった。やがて明治政府の成立に伴い、武士は領地と特権を失った。政府に対する不満から、武士は反乱を起こした。帯刀の父・兄も、反乱に参加して命を失い、帯刀は孤独となる。新時代になり、武士であることを否定され続けた帯刀は、日本刀を片手に、徳山警察署に単身乗り込む。
所長室を制圧する帯刀だったが、最終的には取り押さえられ、警察署長・苅野厳鶻に養子として引き取られた。厳鶻に反発し続ける帯刀だったが、国家内乱罪で裁かれるべき自分を、必死で守る姿を見て考えを変える。厳鶻も元武士であり、帯刀の父たちを守る力がなかったことを悔いていた。
そして帯刀を見て、今度こそ守り抜かねばと考えていたのだ。厳鶻の心を知った帯刀は、彼を養父として受け入れた。そして八年後、十六歳になった帯刀は、厳鶻のような警察官を目指す。厳鶻は猛反対するが、息子の決意と覚悟を知り、東京警視庁に帯刀を推薦する。こうして帯刀は、上京して警視庁に向かうが、そこは想像を絶した修羅の世界であった。