センチメントの季節

センチメントの季節

1巻ごとに秋、春、夏、冬の順で季節別の章立てになった4部2シリーズ構成。4巻までの第1シリーズは1話完結の読みきり連作、「2度目の~」と題した5巻以降の第2シリーズは1巻完結の10話連作。

正式名称
センチメントの季節
ふりがな
せんちめんとのきせつ
作者
ジャンル
その他
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

1990年代の女子高生の性愛を、主に少女から女に変わりつつある10代の主人公たちの目線から淡々と赤裸々に描く。中学生の幼馴染同士のセックスから学生の年の差カップル、女子高生と同級生、教師や漫画家とのセフレ関係に、おじさんとの援助交際まで、関係はさまざま。

体に心が追いつかず、大人になる実感がわかない少年少女の心の揺れをなぞり、思春期のせつなさを追体験できる小作品集。

登場人物・キャラクター

沢村 サヨコ (さわむら さよこ)

ノストラダムスの大予言後の1999年8月に16歳の誕生日を向かえた高校1年生。ちゃんと大人になれるのか不安で、処女を捨てれば身軽になれるかと思い援交するが、体は重いまま。その後告白してきた田口先輩とつきあいつつ、原稿を手伝ったのがきっかけでエロマンガ家の灰島ヒカルともセックスフレンドに。 好きな人には好かれず、お互いの心と体がバラバラのセックスを、ひとりぼっちで悲しいと感じる。

水野 晶 (みずの あきら)

セックスを求められることでしか自分の価値と存在を確認できないおとなしそうな女子高生。行きずりで会社帰りの家路につく根津裕貴の父親ともセックスする。手首にリストカットの後がある。クラスメイトの男子数人にトイレでセックスを強要された後、根津君と静岡まで数日間の逃避行をする。 良枝に「いなくなればいい」と言われて手首を切るが、その良枝に助けられ、長生きしておばさんになって若い女に男を寝取られればいいと言われたことで、セックスで自己確認している自分もいつかおばさんになるのだと気づく。 逃避行騒動が一段落して根津と初めてセックスした直後に、何も言わずに転校してしまう。

根津 裕貴 (ねづ ゆうき)

水野晶が体育倉庫でクラスメイトとセックスしているのを、体育をサボっていて目にしてしまった気の弱い男子高生。母親に重圧感を感じ、またクラスメイトの男子何人かからイジメにあっている。晶とのセックスをイジメ相手に強要されたのを拒否して殴られ、それをきっかけに晶に逃避行を持ちかける。 晶との関係を通じてセックスへの恐怖感が解消。花見には遅かった逃避行先の静岡の桜を一緒に見に行こうと晶と約束するが、彼女はいなくなってしまう。

伊藤 ミツル (いとう みつる)

東京の大学で文芸部に所属する20歳間近の男子学生。大人になるのをつまらないと感じ、19歳にして老人のような気分で過ごしている。部で発表している短歌はすべて16歳の頃に書いたデッドストック。サークル仲間の福田には、才能を羨ましがられ、永遠の少年と評されている。 高校のときに告白してきた杉本夏子をあせってむりやり犯したあと、一緒に行こうと約束していたイサナナミ海水浴場で溺れ死なれて以来、さっぱり書けなくなっている。秋口に訪ねてきた高校の制服姿の夏子をアパートに軟禁し、閉め切って暖房の効いた暑い部屋の中で4度目の16歳の夏をすごそうとひきこもる。 自分も実家から送ってもらった学生服を着て、はじめての恋愛やセックスをやり直そうとする。

石川 奈津子 (いしかわ なつこ)

本名石川奈津子。初恋をやり直すため、高校時代に伊藤とつき合っていたクラスメイトの杉本夏子を装い、地元の川北二高の制服を着て主人公の前に現れる。

岩崎 ノボル (いわさき のぼる)

『センチメントの季節』第8巻2度目の冬の章の主人公で、D組男子高生。何も考えずに生きる方が方がラクと思うフツーの高校生活を送りながら、自分の日常にはリアルがないという欠乏感を抱えている。片思い相手の桐島マユ子がエンコーをしていると聞き、幻滅する。父からお年玉にパソコンを現品支給され、NOBODYというハンドルネームで始めたパソコン通信にはまる。 チャットで了子とお互い匿名で親しくなり、ただ誰かがそこにいるということに心と心でつながっている安心感を覚える。

北原 ミキ (きたはら みき)

沢村サヨコのクラスメイトで友人。灰島ヒカルのファンで、少女マンガ家時代の作品「夢見る季節」が特に好き。真面目でセックスに嫌悪感を抱いており、灰島を純愛作家だと捉えている。主人公を通じて灰島と知り合い、二人のセックス現場を見てショックを受けるが、人はプラトニックな心だけではいられないと悟り、サヨコとも和解する。

黒木 (くろき)

沢村サヨコのクラスメイトで男友達。高1の夏休みに成りゆきで主人公とセックスするが挿入に失敗し、プライドが傷ついて彼女を避けるようになる。さまざまな経験を経たサヨコと冬になってセックスをやり直し、トモダチ関係に戻る。

田口 悠司 (たぐち ゆうじ)

高校1年の2学期に沢村サヨコに告白してきた高2の先輩。マジメだが奥手で、大切にしたいからと言って主人公の手も握らず、キスもしてこない。交際3週間でしびれを切らしたサヨコに迫られ、セックスする。夏休みに風俗に行ったことや主人公が援交していたことも、体だけのことで心は繋がっていると主張する。 田口の語るロウ獄のような永遠の閉塞感に耐え切れなくなったサヨコから、誕生日プレゼントにあげた指輪をつき返され、振られたショックで登校拒否に。そのなかで自分の想いが一方的な幻想だと気づいて、主人公に別れの手紙を書いたのがきっかけでよりを戻す。 過去の自分を断ち切るため、1ヶ月指にはまったままだったプレゼントの指輪を川に投げ捨てようとする。

灰島 ヒカル (はいじま ひかる)

以前は少女マンガを描いていた男性エロマンガ家。沢村サヨコが道に落ちた原稿をアパートの203号室に届けたのがきっかけで、Hマンガのモデルを頼むようになり、セックスする仲に。サヨコに惚れられているが、その友達として紹介された純情そうなミキには好きでも手が出せない。 その想いが幻想であることや、キスから先がないわけがないことが分かっている大人だが、セックスは悲しいのでイヤじゃないけど好きじゃない。

根津 良枝 (ねづ よしえ)

『センチメントの季節』第6巻2度目の春の章の登場人物で、根津裕貴の母親。息子に過干渉気味で、水野晶の髪の毛やハンカチが出てきたことから夫の浮気を疑う。息子と夫が家に帰ってこないことに業を煮やして家出した際に、晶が川べりで手首を切って意識を失っているのを見つけて助ける。 人に求められずにはいられない水野晶と、家族に必要とされることで自分の存在意義を確認しているおばさんの自分とは同じだと気づく。

秋本 (あきもと)

伊藤ミツルを追いかけて文芸部に入った女子大生。立たない伊藤と何度か寝たことがある。制服姿の夏子を見て、自分も高校生の頃にしていた援交を疑い、早く大人になろうとした自分はすでにババアになってしまったのではないかと落胆する。

早川 一郎 (はやかわ いちろう)

伊藤ミツルの下宿先の窓ガラスを割ってしまったことがきっかけで、監禁されている様子の夏子に気づく15歳の男の子。彼女を連れ出そうとするが、夏子にセックスを迫られて誘惑に負け、失望した彼女が伊藤の下に戻ったことで失敗に終わる。

桐島 マユ子 (きりしま まゆこ)

岩崎ノボルと同級生のB組女子高生。教育に厳しい親の下で、自らをいい子にしていれば人間になれる人形のピノキオのように感じて育つ。親の言いなりの人形よりはロバになった方がマシという反抗心と、カラダを求められてる安心感から援交に走る。 意識的に体と心を切り離すことで、心がキズつかないようにしている。了子と会っている岩崎ノボルをエンコー仲間だと思っている。

了子 (りょうこ)

大企業勤めの夫を持つ主婦。岩崎ノボルとはネットを通じて知り合う。ハンドルネームはRealまたはイニシャルのR。仕事を持たないことに劣等感を覚え、自分には何もないと感じている。同じようなことを考えていた少年のNOBODY君をチャットで励ますことで自分も救われる。 岩崎ノボルとの関係がバレた夫にパソコンとケータイを壊され、一時音信不通になり、その後離婚することに。

SHARE
EC
Amazon
logo