概要・あらすじ
遠田と押切は、10年来のくされ縁の友人同士だった。押切は遠田にしばしば殴られながらも、遠田の家を訪れるのをやめない。彼らは7年前に1度だけ、体を触れあわせたことがある。2人は共にその時の思いを口にすることはなく、心に抱えたままただ友人関係を続けていた。
登場人物・キャラクター
遠田 (とおだ)
文筆家の青年。編集からの電話に出たくないと携帯の電源を切ってしまう。暴力的で言葉よりも先に手が出るタイプだが、明るく友人は多い。集合住宅の1階に住んでいるにもかかわらず窓にも玄関扉にも鍵をかけないため、しばしば押切に苦言を呈されている。
押切 (おしきり)
フォトスタジオで雑用係として働く青年。仕事は深夜に及ぶことも多いが、基本的に日曜日は休日。殴られながらも遠田のもとを訪れ、友人関係を続けている。7年前に触れられた記憶を消すことができず、諦めと期待の間で揺れ動いている。すぐにいろいろなことを勘違いする。