タナトス~むしけらの拳~

タナトス~むしけらの拳~

『横幡高校応援団神咲組』などで知られる落合裕介の連載作品で、代表作の一つ。原案は、WBA世界ミドル級王座を獲得したこともある元プロボクサー、竹原慎二。舞台は現代の日本。ケンカでは無敵の不良少年、藤原陸(リク)は、ある日、天才ボクサーの棚夫木克海と出会い、パンチ一発で倒されてしまう。自分の居場所を探していた孤独なリクが、ボクシングの世界にのめり込む姿を描いた青春スポーツ漫画。小学館「週刊ヤングサンデー」2007年1号から2008年35号まで連載。同誌休刊に伴い「YSスペシャル」に移籍しVOL.1からVOL.4まで連載。実写映画化され、2011年9月10日に公開された。

正式名称
タナトス~むしけらの拳~
ふりがな
たなとす むしけらのこぶし
作画
ジャンル
ボクシング
 
青春
レーベル
ヤングサンデーコミックス(小学館)
巻数
全8巻完結
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ボクシングとの出会い

16歳のリクは、酒とギャンブルに溺れる父と二人暮らし。中学を出てからは、暴走族から金でケンカを請け負って生活しており、無敵を誇っていた。そんなある日、リクは同世代の少年、棚夫木と公園で出会う。棚夫木は、アマチュアで18戦を全勝し将来を有望視されたボクサーである。しかし、先天的な脳の疾患が見つかったために引退宣告されてしまい、公園で落ち込んでいた。棚夫木に絡んだ三人の暴走族が、あっという間にKOされる姿を見て、リクは勝負を挑むがことごとくパンチをかわされ、一発で倒されてしまう。この出来事をきっかけに、リクはプロボクサーへの道を歩み始めることになる。

ボクシングジムの仲間たち

棚夫木に倒されたリベンジで、西田ボクシングジムを訪れたリクは、26歳のボクサー、山本和美と出会う。リクは山本にケンカを売るが、棚夫木同様パンチはかすりもしなかった。それほど強い山本だが、一度も勝利できず未勝利のまま引退することになる。その姿を見たリクは、まずますボクシングに惹かれ、ついに西田ジムの門を叩く。一方山本は、リクに「獣の臭い」を感じて興味を持ち、引退後はラーメン店に勤務しながら、何かとリクの世話を焼く。また、山本のことを小馬鹿にしている氷村翔は、強い相手とスパーリングをしたくないという理由で、リクを相手にスパーを行う。そんな二人だったが、練習を重ねるうちに、いつしか仲間意識を持つようになる。本作は、孤独で荒んでいたリクが、ボクシングとの出会いをきっかけに居場所を見つけ、技術的にも人間的にも成長していく姿を描く。

リアルなボクシング技術

本作の原案を務めているのは、日本人初のWBA世界ミドル級王座を獲得した元プロボクサーの竹原慎二である。したがって、現実離れした必殺技や、荒唐無稽な特訓などは登場しない。ジム入門後のリクは、鏡の前のシャドーボクシングのみしか許されず、2週間後にやっとサンドバッグ練習を行う。その後も、フックやアッパーは解禁されず、ジャブとストレートのみの練習を重ねたリクに、トレーナーはワンツーの後に放つ左ストレートの威力を教える。本作は、理にかなったボクシングのリアルな技術を習得するリクの姿を、丁寧に少しずつ描いていく。

登場人物・キャラクター

藤原 陸 (ふじわら りく)

16歳の少年。愛称は「リク」。母の顔を知らず、酒とギャンブル漬けで暴力的な父親に育てられる。高校へも行かず、暴走族から依頼されたケンカを行うことで金を稼いでいた。天才ボクサーの棚夫木に倒され、西田ボクシングジムでプロボクサーの山本の強さに触れたことがきかっけでボクシングを始める。複雑な家庭環境から、人と触れ合うことができないという致命的な欠陥があったが、福岡から上京した山本の母親のお陰で克服する。以来、タバコをやめ家も出て寮で暮らし、ボクシングにストイックに打ち込む。

山本 和美 (やまもと かずみ)

福岡出身、26歳の男性。金髪、あごひげ、ツリ目が特徴。西田ボクシングジムに所属していた元プロボクサーで、リングネームは「メガトン山本」だった。小さいときからワルガキを集めては悪さばかりしており、中学を出る頃には近所で有名な不良だった。才能はあるが、極端にアゴが弱いグラスジョー。通算成績6戦0勝6敗でボクサーを引退、新しい人生としてラーメン店で働く。リクの才能を認め、リクの入会金を払ったり、自分のシューズを与えたり色々と世話を焼く。

クレジット

原案

竹原 慎二

書誌情報

タナトス~むしけらの拳~ 全8巻 小学館〈ヤングサンデーコミックス〉

第1巻

(2007-03-05発行、978-4091511898)

第8巻

(2009-01-30発行、978-4091514158)

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