概要・あらすじ
車椅子生活を送っていた幼い少女の早は、大好きな野球をプレイすることを夢見ていた。治療のために入院した医療センターで高校球児の明と出会うが、明の練習を見学に行く途中に交通事故で死んでしまう。幼くして死んだ早を新米の死神が憐れみ、自らの命と引き換えに49日間の命を早に与える。高校生として生き返った早は菊川西高校野球部に入部し、明たちとともに甲子園を目指す。
登場人物・キャラクター
高杉 早 (たかすぎ さき)
『チェンジ』の主人公の少女。事故により幼少ながら足が悪く車椅子生活をしている。家では内向的な性格で家族から疎まれていた。野球が好きで、野球をプレイすることに憧れており、野球に関しては積極的なところを見せる。親の厄介払いで田舎の医療センターに入院させられるが、近くで行われる高校野球の練習を見るためグラウンドにひとりで向かう途中、交通事故に遭い死んでしまう。 しかし新米の死神により49日間限定で女子高校生として生き返り、菊川西高等学校に転校生として入学。野球部に入部し、キャッチャーとして甲子園を目指すこととなる。高校生として生き返ってからは天真爛漫で無邪気な姿を見せるが、それは心が幼いままであるため。野球に対して熱心で知識も深く、対戦相手の特徴などを捉えるのもうまい。
新米の死神 (しんまいのしにがみ)
魂を天界に運ぶために幼い早のもとにやってきた死神のひとり。初めての死神の仕事で幼い早に出会ってしまい、何の楽しみも知らぬまま命を失ってしまう早に同情する。死神の命と引き換えに49日間だけ死者を甦らせることができることを知り、自分の命と引き換えに早を女子高生として成長させ甦らせる。 地獄の苦しみを受けながらも、早が生きる49日間を優しく見守っている。
下田 明 (しもだ あきら)
菊川西高等学校3年生。野球部のピッチャーでキャプテン。中学時代は望月とプロを目指しエースの座を争っていたほどの才能を持っているが、高校入学時にプロへの夢を諦めていた。早に触発され弱小野球部を率いて甲子園を目指すことを決意し、猛練習をはじめる。後に、高校生の早が交通事故で死んだ少女の早と同一人物であることを知り苦悩する。 実家は酒屋を営んでいる。
望月 (もちづき)
浜岡学園の3年生でピッチャー。中学時代は明と共にプロを目指しエースの座を争うライバルだった。プロを諦めた明とは逆に名門校で力をつけ、プロのスカウトも一目置くほどの実力者。早に一目惚れし、バッテリーを組んでいる明に強い対抗意識を持つ。サウスポーで140キロ台後半の球を投げる。
畠山 耕作 (はたやま こうさく)
菊川西高等学校野球部の3年生。サードで3番打者。特に野球に対して熱心ではないが、同部では一番うまいと言われている。父親が病に倒れ、高校卒業後の夢が絶たれて自暴自棄になっている時に早の優しさに触れ、さらに明から早の秘密を聞かされて奮起、打倒浜岡学園を目指し練習に打ち込む。
富岡 太一 (とみおか たいち)
菊川西高等学校野球部の3年生。ファーストで4番打者。チーム一の巨漢で力も強いが、心優しく臆病。島本商業との対戦の際、デッドボールを受け泣いてしまうほど球を怖がっているが、どうしても勝ち進みたい明のために、力尽きた早の代わりにキャッチャーとしてプレイする。
林 哲男 (はやし てつお)
菊川西高等学校野球部の3年生。レフトで6番打者。やる気のなかった野球部の中で、早と明に次いでやる気を見せた部員。島本商業との対戦前には明から最も上達したと評された。実家は中華料理店を営んでいる。
佐分利 健 (さぶり けん)
菊川西高等学校野球部の2年生。ライトで8番打者。女の子とは喋れないほど内気な性格。幼い早に自己紹介した際にも顔を赤らめている。野球の才能には恵まれておらず、簡単な外野フライなども取れずにいるが、早や明のプレイに奮起し、ピンチには思いがけない力を見せる。
黒豆田 (くろまめだ)
菊川西高等学校の教師で、野球部の監督。進路指導担当で生徒の就職のことしか頭に無く、野球部には興味を持っていないため練習には顔を出していない。容姿にはズボラで、ユニフォームを着た際にもボタンが閉まらず腹が出てもそのままでいた。
死神 (しにがみ)
『チェンジ』に登場するキャラクター。死者を天界へ運ぶ役目をしている。基本的には人間には見ることができないが、必要に応じて姿を現すことができる。姿を消しているときは人間界のものなどに触れることはできないが、実体化した時には人間同様にものに触れることができる。また実体化している間も空をとぶことができる。人間同様に成長があり、老いて死ぬことがある。 無限地獄の空洞に死者とともに飛び込むことで死者を甦らせることができるが、その代わりに自らの命をささげることなる。
集団・組織
高杉家 (たかすぎけ)
『チェンジ』の主人公・高杉早の家族。父母と長男の貴嗣、長女の麗、次女の佳、三女の早の6人家族。金持ちでエリート意識が強く、子どもたちは学業トップクラス。兄弟たちと違い出来が悪い上に事故で車椅子生活になった早を疎ましく思い、田舎の医療センターに入院させる。
菊川西高等学校 (きくかわにしこうとうがっこう)
『チェンジ』に登場する主人公の早たちが通う高校。野球部は弱小で部員も8人しかおらず練習試合などには他の部から助っ人に来てもらっていた。早の入部で不足していたキャッチャーが補充される。3年生の卒業後は部員不足で廃部になる予定。
浜岡学園 (はまおかがくえん)
『チェンジ』に登場する高校。菊川西高校と同じ県内にあり、高校野球の強豪として知られている。明の中学時代のライバル望月が在籍しており、夏の高校野球の県予選では優勝候補として注目されている。菊川西高校の2回戦の相手。
島本商業 (しまもとしょうぎょう)
『チェンジ』に登場する高校。菊川西高校と同じ県内にあり、夏の高校野球地区予選1回戦の対戦相手でもある。強豪ではないが菊川西高校の実力を舐めている。部員たちは早が偵察に出向いた際に面識を持ち、馴れ馴れしい様子が見られる。