プレイボール2

プレイボール2

ちばあきおの『プレイボール』の完結から38年を経て、コージィ城倉がちばあきおそっくりのタッチで描く続編。3年生キャプテンの谷口タカオと彼を中心とした、墨谷高校野球部の活躍を描く青春野球漫画。前作の最終話から引き続いての物語のため、舞台設定は前作が連載されていた昭和50年代前半となっている。「グランドジャンプ」2017年9号から連載の作品。

正式名称
プレイボール2
ふりがな
ぷれいぼーるつー
作者
ジャンル
野球
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あらすじ

第1巻

夏の甲子園出場を目指す墨谷高校野球部は、キャプテンの谷口タカオを中心として練習に日夜励んでいた。そんな中、谷口は投手の継投をどうするかで頭を悩ませていた。谷口は自分と2年生の松川、そして1年生の井口の三人でローテーションを回していく事を想定していたが、捕手の倉橋は井口の代わりに1年生のイガラシを起用すべきと反論する。倉橋と意見が分かれた谷口は、2年生の丸井をバッターボックスに立たせて井口をテストする事にし、その結果、井口は投手ではなく一塁手として起用する事を告げる。しかし丸井は井口の持つ才能を実感して、いずれ彼の力が墨谷高校野球部に必要になると考え、練習終了後に井口との秘密特訓を開始する。一方、谷口は打撃力を強化するために、練習ではバットの真芯で捉えなければボールが飛ばない竹製バットを導入。竹製バットを使って練習試合に臨んだ墨谷高校だったが、井口はボールが飛ばない竹製バットに不満を抱いていた。試合中に無断で木製バットに持ち替えた井口は長打を放つが、ベンチの指示を無視したとして、倉橋から今後の試合出場を禁じられてしまう。

第2巻

墨谷高校野球部に、甲子園常連校の師岡学園から練習試合の申し込みが入る。師岡学園は、大阪から浪国高校を招いて3校合同での練習試合を行うという。浪国高校もまた甲子園常連校である事を知っていた谷口タカオは、願ってもない相手だという事でこの申し込みを受ける。師岡学園のグラウンドを訪ねた墨谷高校野球部は、浪国高校との練習試合に臨むが、浪国高校の監督は墨谷高校の竹製バット使用に難色を示す。結果的に同じ条件でなら試合を行うという事になった浪国高校は、谷口の用意した竹製バットを使う事になる。しかし浪国高校の監督は、選手達に早い段階で竹製バットを折ってしまうように指示を出し、果たして試合の序盤で谷口の用意した竹製バットはすべて折られてしまう。こうして金属バットを使用せざるを得ない状況になった墨谷高校野球部だったが、これまでの竹製バットの練習の成果で浪国高校の投手を攻略、試合は9回表を終了して墨谷高校野球部のリードという展開となる。9回裏を抑えれば勝利という場面で、谷口は試合出場を禁止していた井口をマウンドへ送る。

第3巻

甲子園常連校である浪国高校との練習試合で、1点リードのまま9回を迎えた墨谷高校野球部は、1年生の井口がマウンドに上がる。投球練習が不足している井口は、先頭バッターにホームランを打たれるものの、その後は後続を断ち、墨谷高校野球部は浪国高校と引き分ける。続く師岡学園との試合でも見事勝利した事で、キャプテンの谷口タカオは夏の予選に向けての確かな手応えをつかむ。そして予選の抽選会で、墨谷高校野球部はBブロックに入るが、初戦の相手が甲子園常連校の東実高校となってしまう。さらに、このブロックは強豪が多くひしめく「死のブロック」となるが、谷口は逆に闘志を燃やすのだった。夏の予選が開幕、墨谷高校野球部は東実高校との試合に臨む。この試合の先発としてマウンドに上った井口は、見事な立ち上がりで東実高校打線を無得点に抑える。その裏、谷口の闘志が伝播した丸井は、見事な走塁を見せて東実のエース佐野から1点を奪う。先取点を取られた事で東実高校も本気になり、井口を攻略しようとさまざまな作戦で襲いかかる。

第4巻

夏の甲子園出場を目指しての予選大会、墨谷高校野球部は東実高校と対戦し、丸井の活躍で先取点を奪うが、東実高校はエース佐野の力投で、その後追加点を奪う事ができない。さらに東実高校打線は、墨谷高校先発の井口を攻略、毎回のようにランナーを出して試合を有利に進めていく。そんな東実高校の攻撃を、墨谷高校野球部はキャプテンの谷口タカオを中心とした堅い守備で切り抜けていく。攻めていながら、どうしても1点を取る事ができない東実高校の焦りを見抜いた谷口は、中盤の6回で井口から2番手の松川へと継投、さらに8回からは3番手のイガラシへとつないで東実高校を抑えていく。ついに迎えた9回、マウンドにはキャプテンの谷口が上がり、先取点を守り切った墨谷高校野球部は東実高校を下して初戦に勝利する。

登場人物・キャラクター

谷口 タカオ (たにぐち たかお)

墨谷高校野球部のキャプテンを務める男子高校生。ポジションは主にサードだが、ピッチャーとしてマウンドに上がる事もある。実直なまでの努力家で、その努力に裏打ちされた実力と温厚な性格から、野球部員達に絶大な信頼を寄せられている。また、試合中の戦術眼にも優れ、相手選手の表情などから相手の作戦を見抜いたり、相手チームとの戦力差を判断し、勝利するための作戦を立てたりといった能力に優れている。打撃力強化のために、正確にミートしなければ打球が飛ばない竹製バットを練習に導入するなど、独自の野球理論を持っている。その反面、やや頑固で融通の利かない部分もあり、それがもとで部員達からの反感を買う事も少なくない。1年生からレギュラーとして墨谷高校野球部で活躍しているが過去2年はいずれも夏の予選で敗退しており、最後の夏こそは甲子園出場を意気込んでいる。

倉橋 (くらはし)

墨谷高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはキャッチャー。谷口タカオとは違う中学の出身ながら、谷口タカオをもり立てる役割を担っている。温厚な性格の谷口と対照的に厳しい性格であり、部員達からも恐れられている。しかし、理不尽な事で怒る事は決してなく、松川をはじめ倉橋を慕う者も多い。谷口とは同じ学年という事もあり、気のおけない間柄として時折意見を戦わせる事もあるが、互いに信頼しあっている。

丸井 (まるい)

墨谷高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはセカンド。谷口タカオとは同じ中学の1年後輩で、高校でもいっしょに野球をやりたいという願いから墨谷高校に入学して来た。谷口と同様の努力家であり、セカンドの守備は鉄壁を誇る。また、頭に血が上りやすく、上下関係に厳しいため倉橋と同様に部員達からは恐れられている。特に1年生部員でありながら、生意気な態度を取る井口に対しては厳しく接する事が多い。しかし、それは井口の才能を高く評価しているためであり、井口のために練習終了後に神社で秘密特訓を行うなど、面倒見がいいところもある。

イガラシ

墨谷高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはショートとピッチャー。谷口タカオとは同じ中学の2年後輩であり、中学時代には全国大会優勝を成し遂げた。試合では主にショートを守るが、ピッチャーとしてマウンドに上がる事もある。野球の実力はあるものの体格が小さく、スタミナ不足という欠点がある。1年生ながら冷静に試合を分析する能力に優れ、チームの和を保つ事を重んじる。

井口 (いぐち)

墨谷高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはファーストとピッチャー。谷口タカオとは違う中学の出身であり、2年後輩にあたる。野球に対しての優れた才能を持っているが、その才能を鼻にかける事が多い。そのため丸井からは事あるごとに注意され、彼の指導により謙虚さを身につける。短気な性格で、野球部に入部した当初は、その性格が災いしてトラブルを招く事も多かったが、丸井との神社での秘密特訓を経て成長していく。谷口は井口の持つ才能を早くから認め、いずれは井口を中心としたチームづくりを構想していた。

松川 (まつかわ)

墨谷高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはピッチャー。谷口タカオとは違う中学の出身であり、1年後輩にあたる。練習試合を含めて登板機会が最も多いピッチャーで、先発から中継ぎ、抑えまでさまざまな役割をこなす。キャッチャーの倉橋とは同じ中学の出身であり、中学時代からバッテリーを組んでいた。

田所 (たどころ)

墨谷高校野球部OBの男性。谷口タカオが1年生当時のキャプテンを務め、谷口の2年先輩にあたる。高校を卒業後は実家の経営する電気店を継ぎ、墨谷高校野球部に設備の寄付や差し入れを行うなど、物心両面からサポートする。また、中学卒業後の進路に悩んでいた井口を墨谷高校にスカウトして来るなど、有望な選手の発掘にも余念がない。

佐野 (さの)

東実高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはピッチャー。谷口タカオより1学年下だが、中学時代には何度も対戦して激闘を繰り広げた。夏の予選前に行われたブロック大会で墨谷高校野球部に敗れてから、打倒墨谷高校を目指して猛特訓に励んでいた。2年生ながら甲子園出場の常連校である東実高校でエースピッチャーとして活躍しており、バッターの弱点を巧みに突いた投球術で墨谷高校を翻弄する。

集団・組織

墨谷高校野球部 (すみやこうこうやきゅうぶ)

東京の下町にある公立高校の野球部。谷口タカオが入部するまでは毎年予選1回戦敗退の弱小チームだった。谷口の入部以降1年目には3回戦進出、2年目にはベスト8進出と大躍進し、さらに秋のブロック大会では優勝するなど成長著しいチームとなる。谷口が3年生となった年は、公立高校でありながら、私立の強豪校と互角以上に渡り合える実力を備えており、東京都内外を問わず注目を集めている。

クレジット

前作

キャプテン

野球部のキャプテンに任命された谷口タカオの頑張りと、彼の跡を継いで新たにキャプテンとなる後輩の丸井、五十嵐、近藤、そして墨谷二中ナインの活躍を描く。第22回小学館漫画賞受賞(1976年)。 関連ページ:キャプテン

プレイボール

『キャプテン』の主人公・谷口タカオの高校での活躍を描いた姉妹篇。墨谷高校野球部に入部した谷口タカオが持ち前のやる気と努力で、弱小だった部を引っ張っていき、強豪校へと成長させていく姿を描いている。第22... 関連ページ:プレイボール

続編

キャプテン2 (きゃぷてんつー)

ちばあきおの青春野球漫画『キャプテン』の続編を、コージィ城倉がちばあきおの絵のタッチに近づけ、世界観を崩さないように描いた作品。『キャプテン2』では、墨谷二中の近藤茂一が野球部キャプテンとなり、夏の全... 関連ページ:キャプテン2

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