野良猫の世界とボス猫、ハチとの出会い
ペットショップからメイちゃんの家族として迎えられたマルルは、ひょんなことから家を飛び出して迷子になってしまう。野良猫としての生活を始めたマルルは、「3丁目」と呼ばれる地域を縄張りにするボス猫のハチと遭遇する。出会い頭にハチに殴られ、「自分の面倒を自分で見られない猫は必要ない」と冷たくあしらわれたマルルは、人間にも猫にも助けを求められないことを思い知り、途方に暮れる。そんな中、マルルは頭にじょうろがはまって抜けなくなったハチを見つける。かつてメイちゃんに洗ってもらったことを思い出したマルルは、洗剤が混ざった水を使ってハチを助け出す。この出来事をきっかけに、ハチはマルルが自分の縄張りで暮らすことを許可する。こうしてマルルは、ハチや縄張りの猫たちと協力しながら、日々を生き抜いていくことになる。
新しい仲間と安穏な日々
ハチの縄張りでの生活を認められたマルルは、ハチから野良猫としての生き方を学び、次第にその生活に慣れていく。そんな中、マルルはやんちゃな子猫のミケや、面倒見の良い年老いたサビ姐さん、全身が毛玉に覆われたけだまなど、さまざまな猫たちと出会う。また、猫に餌をあげることを日課にしている認知症の女性、森さんのおかげで、マルルたちは日々の食事に困ることがなかったが、森さんが施設に入居するために3丁目を去ることが決まり、マルルたちは一転して餌の調達に苦労することになる。
ハチとマルルの新たな生活
3丁目に時おり姿を現す康生たすくは、捕獲器で猫を捕まえることから、猫たちに「猫さらいのやすお」と恐れられていた。実際には、康生は保護猫施設の職員であり、猫たちを助けるために尽力していたが、マルルとハチはそのことを知る由もなかった。そんな中、ハチはかつて縄張りを争ったロクとの戦いに敗れ、重傷を負ってしまう。ハチは、どうせ死ぬのなら人間の行動に運命を委ねようと考え、マルルと共に康生の仕掛けた捕獲器に自ら飛び込む。こうして康生に保護されたハチは、獣医の冬実による治療を受け、一命を取り留め、保護猫施設での生活が始まる。一方、マルルは保護されたサビ姐さんやけだまと共に、施設で人馴れするための訓練を受けることになる。その結果、マルルは康生たちにいち早く心を開き、やがてほかの猫たちも保護猫施設の職員に対する信頼を深めていく。
登場人物・キャラクター
マルル
3丁目に迷い込んだ真っ白な猫。胸元には赤い蝶ネクタイのような飾りをつけている。性別はオスで、すでに去勢済み。身体能力があまり高くなく、高い木から降りることができない。一方で人懐っこく、人やほかの猫と打ち解けるコミュニケーション能力に優れている。物心がついた頃からペットショップで育ち、窮屈ながらも安全な日々を送っていた。同じショップにいたココと支え合いながら生活していたが、ある日、小学生のメイちゃんの家族に飼われて家猫となった。しかし、庭で見かけた雀を追いかけているうちに家を飛び出し、迷子になってしまう。そこでボス猫のハチと出会い、共に生活を始めることになる。のちにハチの協力でメイちゃんの家を見つけるが、家族が自分の捜索をあきらめ、代わりにココを引き取ったことを知る。これにより、マルルはココのために、あえて家に帰らないことを選んだ。
ハチ
3丁目の縄張りを支配するハチワレのオス猫。生まれつきの野良猫で、幼い頃に兄弟をカラスに殺され、以来1匹で生き延びてきた。やがて、3丁目を自らの支配下に置くことに成功するが、ほかの猫にはほとんど心を開かず、共に生活することになったマルルに対してもドライな態度を見せている。暴力で支配しようとするロクとは犬猿の仲で、3丁目で顔を合わせるとすぐに喧嘩に発展してしまう。しかし、受けた恩を決して忘れず、自分なりの形で返そうとする義理堅い一面も持ち合わせている。
書誌情報
ツレ猫 マルルとハチ 6巻 講談社〈アフタヌーンKC〉
第1巻
(2022-04-13発行、978-4065275535)
第2巻
(2022-10-12発行、978-4065295120)
第3巻
(2023-04-06発行、978-4065309018)
第4巻
(2023-10-05発行、978-4065332917)
第5巻
(2024-05-07発行、978-4065354995)
第6巻
(2024-12-06発行、978-4065377277)







