猫とヤモメ

定年を迎えた夫の半井圭一郎に、亡き妻の半井淑恵が遺したのは、心の内を綴ったブログと、小さな子猫のちょこすけの存在だった。ブログに、夫とやりたかったことの数々が記されていることを知った圭一郎は、妻の思いを叶えてあげようと心に決める。妻を亡くして一人になった男性と、妻の忘れ形見である自由気ままな子猫が、懸命にまっすぐ生きる日々を綴ったハートフルストーリー。「週刊漫画ゴラク」で2019年3月から10月にかけて掲載された作品。

正式名称
猫とヤモメ
ふりがな
ねことやもめ
作者
ジャンル
夫婦
 
レーベル
ニチブンコミックス(日本文芸社)
関連商品
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あらすじ

第1巻

半井圭一郎はその日、長年勤めてきた会社を定年退職し、花束を手に帰宅した。そんな夫を玄関で迎えた妻の半井淑恵は、夫の長きにわたる勤務を笑顔で労う。圭一郎は妻に花束を手渡し、いままで苦労をかけた代わりに、なんでもわがままを聞くからやりたいことは何かと尋ねる。淑恵は困惑しつつも、どうしても猫が飼いたいと一言。一瞬ためらい、反対しようとする圭一郎だったが、妻の希望に沿うと決めたことを思い出し、子猫を飼うことを承諾する。これから賑やかになるなと言った圭一郎に対し、淑恵は複雑な表情を浮かべていた。それから数か月後、淑恵はすい臓がんでこの世を去ってしまう。妻を失った悲しみに耐え兼ね、酒をあおる圭一郎は、妻の仏壇にいたずらしようとする子猫のちょこすけを叱りつける。しかし、淑恵の愛用していたエプロンでモミモミと足を踏む仕草をするちょこすけの姿を見た圭一郎は、ちょこすけも淑恵がいないことを悲しんでいるのだと気づき、同じ悲しみを分かち合うことができる同志であると、認識を改める。そして圭一郎は、淑恵がかわいがっていたちょこすけと二人の暮らしを楽しもうと努力を始める。そんなある日、淑恵の遺品整理をしていた圭一郎は、淑恵が内緒でブログを始めていたことを知る。恐る恐るブログを読んでみると、そこに記されていたのは、ありのままの思いと、圭一郎とやりたかったことの数々だった。妻の思いを知った圭一郎は、生前に淑恵が望んでいたことを叶えるべく、一つ一つを実行に移していく。そして、ちっともいうことを聞かないちょこすけに手を焼きながらも、ちょこすけへの愛情を日に日に深めていくのだった。

登場人物・キャラクター

半井 圭一郎

半井淑恵の夫。長年勤めてきた会社を定年退職したことを機に、今まで苦労をかけた淑恵のわがままをなんでも聞いてあげようと心に決めた。淑恵の願いは猫を飼いたいというもので、自分が動物に興味がなかったため反射的に拒絶しようとしたが、当初の決意を思い出し、淑恵がペットショップで出会った子猫のちょこすけを迎えることになった。しかしその数か月後、淑恵がすい臓がんで帰らぬ人となってしまう。勤めていた頃は、会社でのストレスを理由に、何かと淑恵にあたっていた。基本的に出不精で面倒くさがりな性格をしている。家事もちょこすけの世話も、自分の身の回りのこともすべて淑恵に任せっぱなしだった。淑恵亡きあと、ちょこすけと二人だけの暮らしが始まり、わからないことだらけで困惑しつつも、ちょこすけをかわいがりながら、日々を送っている。そんな中、淑恵が誰にも内緒で始めていたブログを発見。そこに綴られていた、夫である自分としたかったこと、自分にしてほしかったことを実行しようと思い立ち、ちょこすけとの生活がにわかに慌ただしくなっていく。お菓子が大好きで、食事のことを考えずについお菓子ばかり食べてしまう子供っぽいところがある。

半井 淑恵

半井圭一郎の妻。圭一郎が定年退職を迎えようとした頃、自らにすい臓がんが発見された。病状はかなり進行しており余命宣告も受けたが、一人遺される圭一郎を不憫に思い、圭一郎に打ち明けることはなく、それから数か月後に帰らぬ人となった。余命宣告を受け、これからどうしたらいいのか頭を悩ませていた時、近所のペットショップで子猫のちょこすけと運命の出会いを果たす。子供がいないために、自分亡きあと一人になってしまう圭一郎を支えてほしいと、子猫を迎えることを決めた。ちょうどその頃から、パソコンでブログを開設。内容は日記のように日々の半井淑恵自身の思いの丈を綴ったもので、圭一郎の手料理が食べてみたかった、圭一郎といっしょに朝風呂に入ってみたかったなど、圭一郎といっしょにしてみたかったこと、圭一郎にして欲しかったことなどの要望が記されている。住んでいた町から電車を乗り継ぎ、半日ほどかかる小さな村で子供時代を過ごし、中学に入ってすぐに両親が亡くなり、それ以降は祖父母や親戚の家を転々とした過去がある。

ちょこすけ

まんまるな目をしたオスの子猫。もともとペットショップで売られていたが、偶然通りかかった半井淑恵に見初められ、淑恵の夫、半井圭一郎の定年退職がきっかけで半井家に迎えられた。淑恵のことが大好きでよく甘えていたが、淑恵が帰らぬ人となり、圭一郎との二人暮らしが始まる。仏壇にある淑恵の写真や、淑恵がよく身につけていたエプロンでモミモミする仕草をするなど、淑恵のことが忘れられない様子を見せる。猫の世話に慣れていない圭一郎と二人だけの生活は、困惑することも多い。しかし、淑恵を失った者同士という共通点から、少しずつ距離も縮まっていく。圭一郎とは二人で外を散歩したり、時には釣りを楽しんだり、夜にはいっしょに布団に入って眠るなど相棒として共に時間を過ごすようになり、圭一郎を頼るようになっていく。淑恵が亡くなったあと、何かと顔を見せるようになったトシ子が、全力で遊んでくれたり、ブラッシングをしてくれたりと、世話を焼いてくれるために非常に懐いている。

トシ子

半井圭一郎の兄の娘。圭一郎にとって姪にあたる。保険会社に勤務しており、30歳にして未だ独身。伴侶の半井淑恵を失い、一人になった叔父の圭一郎と、子猫のちょこすけの様子を心配して半井家を訪れ、生後6か月を過ぎたちょこすけの去勢手術がまだ済んでいないことに気づいた。猫についての知識がまったくない圭一郎に、ちょこすけを外に出しているなら、絶対去勢手術をした方がいいと、その必要性を強く訴えた。その後も、仕事の途中で半井家に寄ったり、自社では扱っていないペット保険の案内をわざわざ持ってきたりと、圭一郎とちょこすけの今後の生活を考え、自分にできる範囲で世話を焼こうと奔走している。その気遣いが功を奏し、のちに圭一郎が自宅で倒れているところをいち早く発見。そのおかげで大事に至らずに済んだ。

山ねずみ猫

半井圭一郎がちょこすけと釣りをしていた時、偶然出会った外猫。ボス顔で体が大きく、迫力があるために初対面時はちょこすけから怖がられ、臨戦態勢をとられてしまう。基本的に気が優しく、猫にも人にも好意的に接するため、のちに公園でちょこすけと再会した際になかよくなり、よくいっしょに遊ぶようになった。すぐお腹を出して寝転がり、なでて欲しがる。

先生

「キャンキャン動物病院」で獣医師を務める男性。大きな体に太い眉、眼鏡をかけて口ひげとあごひげを蓄えており、見た目は非常にインパクトがある。愛想はよくないが、優しい性格の持ち主。ある日の深夜、ちょこすけが体調を悪くした時には、雨の中必死になって連れてきた半井圭一郎を受け入れ、診療時間外にもかかわらず診察した。その結果、ちょこすけはただの風邪だったものの、子猫にとっては命取りになりかねなかったと、思い切って行動に移した圭一郎を称えた。

トモ子の両親

半井淑恵が幼い頃を過ごした小さな村で、今も細々と暮らしている老夫婦。淑恵が中学生の頃、娘のトモ子が同じ学校に通っていたため、淑恵のことをよく覚えている。ある時、淑恵の生家を訪ねて村を訪れた半井圭一郎とちょこすけを、突然にもかかわらず温かく迎え入れ、これも何かの縁と一晩泊めてもてなした。

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