概要・あらすじ
聖暦1206年、グリフォード王国。そのはずれの町ダルメイヤからさらに離れた「戻らずの森」。そこに住む老女のジャンヌは、50年前に凶悪な魔王が出現した際、ドラゴンを召喚して世界を救った伝説の魔道士である。しかし魔王が倒れた後、用済みとなったジャンヌは、魔力を封印されて追放されてしまう。人々は、人里離れた森の孤独な老女がジャンヌだとは知らず、黒づくめの彼女を「戻らずの森の魔女」と呼んで忌み嫌っていた。そんなある日、町のゴロツキが二人、ジャンヌの家に押し入る。地下室まで探すが、金目のものがないことに怒ったゴロツキたちは、ジャンヌにひどい暴行を加えた。死を覚悟したジャンヌは、地下室に描かれた魔法陣に手をかけ、召喚魔法を唱える。魔力を封印されていたはずのジャンヌだったが、不思議なことに魔法陣はまばゆい光を放ちはじめる。驚いたゴロツキたちは慌てて逃走。そして魔法陣には、1匹の巨大な「猫(ナァ)」が現れた。この猫は、現代の日本で「トラタ」と呼ばれていた猫である。ある日、トラックに轢(ひ)かれて死んでしまい、この世界に転生したのだ。ナァが転生した世界の人は、サイズが小さい。おまけに「猫」という存在を知らないため、ジャンヌはナァのことを「守護獣」だと思いこんでいた。こうして、異世界からやってきた野良猫と、かつて世界を救いながらも人々から忘れ去られた孤独な老婆の暮らしが始まった。
登場人物・キャラクター
ジャンヌ
グリフォード王国にある人里離れた「戻らずの森」で暮らす痩せ型の老女。いつも不機嫌。白髪とカチューシャ、左目尻と口の左下にあるホクロが特徴。町にでかけるときは黒装束で無愛想なため「戻らずの森の魔女」と呼ばれ、人々から嫌われている。50年前は、神獣ドラゴンを召喚し、勇者とともに凶悪な魔王を倒して世界を救った伝説の魔道士だった。しかし、魔王打倒後、彼女の力を恐れた王の命令で魔力を封印されてしまう。強盗に家に押し入られた際、イチかバチかで唱えた魔法で、1匹の巨大な「猫(ナァ)」を召喚。特に働かず、ゴロゴロするだけの守護獣、ナァと暮らすことになる。
ナァ
現代の日本から異世界転生してきた茶色のオス猫。ヒョウ柄とシマ模様が特徴。ちょっと太目で、骨のイラストが描かれた小型犬用の首輪をしている。現代日本では野良猫だったが、一人暮らしの老婆に可愛(かわい)がられ「トラタ」と呼ばれる。老婆が亡くなった際、霊柩車(れいきゅうしゃ)を追いかけたためにトラックに轢(ひ)かれ、異世界に転生。気がつくと目の前にサイズの小さい人間の老婆、ジャンヌがいた。ジャンヌからは単に「守護獣」と呼ばれていたが、やがて「ナァ」と名付けられる。基本的には気ままにゴロゴロしているだけだが、「二度とご主人と離れたくない」という思いから、ジャンヌが危機に陥ると活躍する。
フラド
元王立騎士団第二師団隊長の男性。体格が良く、「竜殺し(ドラゴンスレイヤー)のフラド」の二つ名で知られる。現在は落ちぶれ、金さえ積めば何でもやる、冷酷無比の殺し屋。ボサボサ頭、無精髭(ひげ)、右目の眼帯が特徴。現太后(たいこう)の依頼でジャンヌを殺そうとするが、ナァに心を奪われて断念する。やわらかくてモフモフのナァの頭を撫(な)でたいが、フラドの悪臭のためナァには嫌われている。
ルウ
ハーフエルフの少女。王都に向かっていた奴隷馬車が魔獣に襲われ、ジャンヌの家に逃げ込んでくる。ジャンヌに匿(かくま)われ、ナァの世話とポーション作りの手伝いをすることになる。
書誌情報
異世界猫と不機嫌な魔女 5巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2022-03-11発行、 978-4098612802)
第2巻
(2022-06-10発行、 978-4098613717)
第3巻
(2022-11-10発行、 978-4098615353)
第4巻
(2023-04-12発行、 978-4098617463)
第5巻
(2023-10-12発行、 978-4098625857)