ティー♥タイム

ティー♥タイム

叶うはずのない弟への愛を苦に、自ら命を絶ったモデルの姉。自責の念から生涯女性を愛さないと誓った弟の、その後の姿を描く。「りぼん」1976年5月号から11月号にかけて連載された作品。

正式名称
ティー♥タイム
ふりがな
てぃー たいむ
作者
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あらすじ

ある土曜日の午後、人気モデルのシルヴィー・早乙女が自殺を遂げる。マスコミはその原因を探ったが浮いた話もなく、母親の紫苑の母ですらその原因がわからない。しかし弟の早乙女紫苑だけは、シルヴィーの遺した手紙から、自分を異性として愛した事を悩み、自ら命を絶った事実を知る。そして紫苑自身も姉のシルヴィーを一人の女性として愛しており、お互いの気持ちの行き違いがあった事を知る。シルヴィーへの愛が忘れられない紫苑は、生涯誰も愛さないと心に決め、シルヴィーが生前暮らしていた館で暮らす事に決める。そこにはシルヴィーとは正反対のガサツな性格の白川京子が家政婦として働いており、紫苑はその妹の白川舞とも交流を持つ。さらに紫苑は幼なじみの原惣二大文字薫とも再会して賑やかな日々を送りつつも、やはりシルヴィーの影ばかりを追いかけていた。そんな紫苑に対して苛立ちを覚えた京子は、いつまでも死んだ人間ばかりを思うなと喝を入れ、在りし日のシルヴィーを思わせる紫苑の長い金髪を切ってしまう。その件もあり、紫苑と京子は徐々に打ち解け、紫苑はいつしか京子に恋心を抱くようになる。紫苑は京子にアプローチを掛けるが、京子は受け入れられないと、この申し出を拒否する。そして京子は館を離れ、なぜか一人で山へと向かうのだった。

登場人物・キャラクター

早乙女 紫苑 (さおとめ しおん)

高校2年生の男子。著名作家である日本人の父親と、元モデルで現在はモデルクラブ社長を務めるフランス人の母親を持つハーフ。誰もが振り向くほどの美男子で、美しい金髪を腰まで伸ばしており、本人もこの髪を気に入っている。実の姉であるシルヴィー・早乙女から異性として愛されていることを知りつつ、気づかないふりをしていた。シルヴィーの自殺後、自責の念から生涯女性を愛さないことを心に誓っている。 同時にシルヴィーの生き方をなぞるように生前彼女が暮らしていた館に引っ越し、引き続き白川京子を家政婦として雇い、シルヴィーの通った高校に転校する。成績優秀にも関わらず何もしないでも目立つことから、「女生徒たちが騒ぐ」との理由だけで教師陣からは快く思われていない。

白川 京子 (しらかわ きょうこ)

シルヴィー・早乙女の暮らした館で、2年前から彼女の身の回りを世話していた20代前半の家政婦。通称「お京さん」。住み込みではなく朝出勤し、夜の22時には帰宅する。化粧っ気はなく、ヘアスタイルも黒髪を1つに縛っただけのひっつめ髪で、細身で長身のボーイッシュな外見をしている。まるで似ていない妹の白川舞と二人暮らし。 早乙女紫苑と初めて顔を合わせた際にも、タバコを吸いながら彼の荷物を雑に扱うなどガサツな性格。紫苑のことは「ご主人」と呼び、好みではないが美男子であることは認めている。シルヴィーの面影を追い続けながら生きる紫苑に付き合いつつも前向きになってほしいと望んでいる。

シルヴィー・早乙女 (しるゔぃー さおとめ)

早乙女紫苑の2歳年上の実姉。元モデルの紫苑の母が設立したモデルクラブに所属していた。母親譲りの美しい金髪の、はかなげな雰囲気の女性。人気モデルではあったものの、弟の紫苑を愛していたため、浮いた噂などは一切なかった。紫苑への思いを誰にも告げず、遺品であるバッグの中に紫苑宛ての手紙だけを遺して自殺した。ルシエンヌとはモデル仲間で親しかった。

原 惣二 (はら そうじ)

高校2年生の男子で、早乙女紫苑や大文字薫の幼なじみ。薫とはずっと行動をともにしていたが、紫苑も同じ高校に転校して来たことで再会した。親しい友人たちからは「惣」と呼ばれ、2年生ながらも生徒会長を務めている。成績は非常に良く頭の回転も速いことから、先生たちからも一目置かれている。シルヴィー・早乙女が自殺したことは週刊誌で知っているが、そのことについては紫苑本人が話してくれるまで待とうと考えている。 両親は離婚しており、惣二の父と二人暮らし。父親が経営する喫茶店の常連客である礼子に片想いをしている。

大文字 薫 (だいもんじ かおる)

高校2年生の男子で、早乙女紫苑や原惣二の幼なじみ。惣二とはずっと行動をともにしていたが、紫苑も同じ高校に転校して来たことで再会した。背が低くベビーフェイスなのがコンプレックスで、指摘されると怒る。かわいらしい容姿とは裏腹に校則違反の大型バイクを乗りこなしたり、すぐに喧嘩をしたりと素行はあまり良くなく、たびたび自宅謹慎などの処分も下されている。 実家はお寺だが、継ぐ気はない。シルヴィー・早乙女を亡くした紫苑のことを、不器用ながらも心配している。恋に関しては未経験で、白川舞に初めてのときめきを覚える。

白川 舞 (しらかわ まい)

白川京子の妹。長身でボーイッシュな姉とは対照的に小柄でかわいらしい容姿をしている。早乙女紫苑たちの1歳年下で高校1年生。京子と二人暮らしをしているため、家事全般は得意で、京子が怪我をした時には代わりに紫苑の身の回りの世話をしていた。他の女子生徒と同様に、紫苑に対してまるで王子様のようだと憧れを抱いている。大文字薫からの好意には気づいていない。

紫苑の母 (しおんのはは)

早乙女紫苑とシルヴィー・早乙女の母親でフランス人。元モデルの経験を活かし、引退後はモデルクラブを設立している。日本人で著名作家の夫とは別居中ではあるものの、仲が悪いわけではない。紫苑には型にはまったつまらない人間になってほしくないと願っており、特に彼の行動を制限などもしていない。シルヴィーと紫苑がお互いに惹かれ合っていたことには気づいていなかった。

ルシエンヌ

紫苑の母が設立したモデル事務所に所属している20代のモデルで、シルヴィー・早乙女の次に人気がある。シルヴィーとは違った妖しい魅力の持ち主で、初対面の大文字薫が独自の色気にゾクッとするほど。身寄りのない女性で、シルヴィーが来るまでは誰とも打ち解けずにいた。実はシルヴィーを愛しており、彼女の気持ちが早乙女紫苑に向いていたことも知っていた。 シルヴィーの死後、お互いに愛する者を失った悲しみを埋めようと紫苑に接近する。

惣二の父 (そうじのちち)

原惣二の父親で、喫茶店のマスターをしている。妻とは離婚している。整った顔立ちをしているため女性から好意を寄せられる機会が多く、店を閉めた後に礼子を含めさまざまな女性とデートをすることも珍しくない。その点においては、礼子に好意を寄せる惣二に疎んじられている。

礼子 (れいこ)

雑誌の編集者をしている30代の美人キャリアウーマン。惣二の父が経営する喫茶店に5年前から毎日通っており、原惣二とも親しくなった。惣二の父親に好意を抱いているが想いを伝えようとせず、他の男性からのプロポーズを何度も断っている。

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