バスカヴィル家の政略結婚

バスカヴィル家の政略結婚

柴崎ふじ子の小説『バスカヴィル家の政略結婚』のコミカライズ作品。一代で成り上がった資産家の末娘であるソフィア・オールドマンと、名門一族でありながらも不幸な身の上のグヴィン・バスカヴィルは、政略結婚をすることになる。死者と会話ができる特殊能力を持ったソフィアとグヴィンが手を組み、彼の家族が射殺された事件の真相を解明していく姿を描いたサスペンスミステリー。

正式名称
バスカヴィル家の政略結婚
ふりがな
ばすかゔぃるけのせいりゃくけっこん
原作者
柴崎 ふじ子
漫画
ジャンル
恋愛
 
サスペンス
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あらすじ

特殊能力を持つソフィアとグヴィンの婚約

シュタール国で資産家と知られるオールドマン家は、一代で成り上がったことから権力を持ちながらも貴族ではなかった。一方、国内の名門一族で伯爵の地位にあるバスカヴィル家は、当主のアドルファス・バスカヴィル、妻のエミリア・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルが何者かによって射殺される事件が起こり、長男で現当主のグヴィン・バスカヴィルの婚約相手が決まらない状況が続いていた。そこで両家の思惑から、オールドマン家の末娘のソフィア・オールドマンとグヴィンが、周囲の後押しによって、婚約することになる。政略結婚とはいえ、友好的でありたいと願うソフィアの考えをグヴィンも受け入れ、二人は徐々に距離を縮めていく。ソフィアは死者と会話ができる特殊能力を持っているが、過去のトラウマからグヴィンには言い出せずにいた。そんな中、故人のジョエルはソフィアが死者と会話できる能力を持つことに気づき、グヴィンに謝罪したいことがあるので協力してほしいと、ソフィアにつきまとうようになる。その申し出を受け入れ、ジョエルに協力することにしたソフィアだったが、グヴィンからは悪趣味だと突き放され、彼女はショックを受ける。

射殺事件の真相にせまっていく二人

グヴィン・バスカヴィルソフィア・オールドマンの死者と会話ができる特殊能力を受け入れ、両親のアドルファス・バスカヴィルエミリア・バスカヴィル、弟のジョエル・バスカヴィルの射殺事件の真相解明のために手を貸してほしいと頼む。こうして二人はバスカヴィル家の新人メイドで、事件前後に怪しい挙動を見せていたアルマ・フライにたどり着くが、接触を図る前に彼女は自殺してしまう。そして死者のアルマは、ソフィアに対して事件の当日夜、交際していた男にだまされて裏口の扉の鍵を開けしまったことを打ち明ける。それと同時にアルマは、男に復讐したいと怨念を抱くようになり、ソフィアにつきまとうようになる。しかし、グヴィンが介入したことでアルマはすぐにおとなしくなり、その豹変ぶりにソフィアは違和感を覚える。二人は事件の真相に確実に近づいていくが、グヴィンは父親のアドルファスが汚職事件にかかわっており、不正を告発しようと独自に動いていたことを知る。

ソフィアとグヴィンの初めての旅

父親のアドルファス・バスカヴィルが汚職事件にかかわっていたことを知ったグヴィン・バスカヴィルは、真犯人につながるヒントが残っているのではないかと考え、動き出していた。そこでグヴィンは、アドルファスがたびたび訪れていた田舎の領地に行くことにするが、ソフィア・オールドマンも同行したいと申し出る。行楽目的の旅行ではないとはいえ、ソフィアとグヴィンはいつもよりも長く時間を共にしたことで、さらに絆を深めていく。そんな中、ソフィアは近隣の湖で出会った女性の霊から、グヴィンの母親であるエミリア・バスカヴィルも、彼女と同じ死者と会話ができる特殊能力を持っていたことを聞かされる。

引き離されるソフィアとグヴィン

ソフィア・オールドマングヴィン・バスカヴィルが田舎の領地から戻ると、二人は刑事のロジャー・グレグソンから、オリバー・ボウマンが殺害されたことを知らされる。しかも、殺害方法はグヴィンの家族と同じ射殺で、警察は同一犯ではないかと疑っていると聞かされる。また、ロジャーが死亡したと推定される日、ソフィアとグヴィンが彼に会いに行っていたことが警察内で問題視されており、グヴィンはソフィアの父親から怒りを買ってしまう。事件が解決するまではソフィアに会わせないと告げられたグヴィンは、彼女を巻き込みたくない気持ちもあり、距離を取るようになる。ソフィアと引き離されても、どうしても事件の真相を明らかにしたいグヴィンは、独自に調査を開始する。すると、グヴィンの家族が殺害された事件には、多くの人たちがかかわっていたことが明らかになる。そして、事件の核心へと確実にせまっていたグヴィンは、何者かに命を狙われるようになる。

登場人物・キャラクター

ソフィア・オールドマン

シュタール国で、海運業と鉄道業で一代で財を成したオールドマン家の末娘。上には三人の兄と、三人の姉がいる。オールドマン家は国内随一の資産家であり、非常に裕福な家庭に育つ。ただし爵位はなく、家柄に箔をつけたいと考える父親の命令によって、貴族のグヴィン・バスカヴィルと政略結婚をさせられることとなる。政略結婚とはいえ、せっかく夫婦になるのだから友好的でありたいという考え方のもと、距離を縮めていく。落ち着いた性格の美少女だが、実は死者と会話ができる特殊能力を持つ。幼い頃にその力で困っている人たちを救おうとしたが、気味が悪いと一蹴されたことがトラウマとなり、誰にも打ち明けられずに過ごしていた。しかし、グヴィンの父親のアドルファス・バスカヴィル、母親のエミリア・バスカヴィル、そして弟のジョエル・バスカヴィルが何者かによって射殺された事件の真相解明のため、彼に力を貸すことを決意する。

グヴィン・バスカヴィル

シュタール国の名門一族に生まれた貴族の青年。13歳にして伯爵位を継いだため、バスカヴィル家の当主でもある。クールな雰囲気を漂わせたイケメンで頭脳明晰。同い年のソフィア・オールドマンの婚約者で、政略結婚する予定となっている。オールドマン家よりも身分の高い貴族の娘と婚約する予定だったが、父親のアドルファス・バスカヴィル、母親のエミリア・バスカヴィル、弟のジョエル・バスカヴィルが何者かによって射殺された事件により、名門貴族たちからは縁起が悪いと敬遠されている。しかし、家柄に箔をつけたいと考えたソフィアの父親により、彼女との結婚が決まる。あくまで政略結婚のため、出会った当初もソフィアに対してなんの感情も抱いていなかったが、せっかく夫婦になったのだから、友好的でありたいという考え方の彼女に感化され、次第に心を開いていく。最初は死者と会話ができるソフィアの特殊能力を信じていなかったものの、亡きジョエルとの交流を通して、その能力を認めるようになる。その後、ソフィアに対して事件の真相解明に協力してほしいと依頼する。家族が殺害されたトラウマから、心配性な一面がある。

ジョエル・バスカヴィル

シュタール国の名門一族に生まれた少年で、グヴィン・バスカヴィルの弟で故人。ある夜、父親のアドルファス・バスカヴィル、母親のエミリア・バスカヴィルと共に何者かによって射殺される。グヴィンの婚約者のソフィア・オールドマンが死者と会話ができることを知り、以降彼女がバスカヴィル家を訪れるたびにつきまとっている。事件については何も覚えていないが、ジョエル・バスカヴィル自身はもう死んでいることは受け入れている。グヴィンにどうしても謝罪したいことがあり、ソフィアに力を貸してほしいと頼み込む。

リリー・オールドマン

ソフィア・オールドマンの祖母で、故人。ソフィアにとって生まれて始めて会話をした死者であり、リリー・オールドマンとのかかわりを通して、ソフィア自らの特殊能力を知ることとなる。以降、ソフィアが死者と会話ができる特殊能力について迷いが生じると、気軽に相談を受ける間柄になっている。ソフィアの祖母ながら、姿を現す際には美しく若々しい成人女性の容姿になる。ソフィアとは親しくしており、さまざまな相談に応じているが、なぜまだ現世をさまよっているのかは語ろうとしない。

ロジャー・グレグソン

シュタール国で刑事をしている43歳の独身男性。グヴィン・バスカヴィルの両親であるアドルファス・バスカヴィル、エミリア・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルが射殺された事件を担当している。グヴィンが犯人を憎む気持ちを誰よりも理解し、暴走しないようになだめることも多い。定期的にグヴィンと情報交換をし、事件の真相解明のために尽力している。グヴィンが13歳にして婚約者がいることをうらやましがっている。

アドルファス・バスカヴィル

シュタール国の名門一族に生まれた男性で、グヴィン・バスカヴィルの父親で故人。生前はバスカヴィル家の当主を務めていた。ある日の夜、妻のエミリア・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルと共に射殺され、そのまま命を落とす。正義感が強く、曲がったことを嫌う真っすぐな性格の持ち主。生前、汚職事件に関与しており、不正を告発しようと独自に行動を起こそうとしていた。

エミリア・バスカヴィル

シュタール国の名門一族のバスカヴィル家に嫁いだ女性で、グヴィン・バスカヴィルの母親で故人。ある日の夜、夫のアドルファス・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルと共に射殺され、そのまま命を落とす。ソフィア・オールドマンと同じく、死者と会話ができる特殊能力を持っていたが、誰にも打ち明けたことはなかった。

オズワルド・バスカヴィル

シュタール国の名門一族に生まれた男性で、アドルファス・バスカヴィルの弟。グヴィン・バスカヴィルの叔父にあたる。伯爵位に執着しており、当主のアドルファスに対して嫉妬心を募らせていたため、アドルファスとエミリア・バスカヴィル、息子のジョエル・バスカヴィルの射殺事件の犯人ではないかと疑われている。ただし当日の行動にアリバイがあり、さらに決定的な証拠もなく、オズワルド・バスカヴィル自身は事件への関与を全面的に否定している。また、アドルファスの死後、当主を継いだグヴィンにも敵対心をあらわにしており、婚約者のソフィア・オールドマンにも悪態をつく。身なりがだらしなく、つねに飲酒している。

トビー・ヒッグス

シュタール国の名門一族であるバスカヴィル家の当主を務めるアドルファス・バスカヴィルと、いっしょに働いていた同僚の男性。アドルファスと妻のエミリア・バスカヴィル、そしてグヴィン・バスカヴィルの弟のジョエル・バスカヴィルが射殺された事件当日の夜、不自然な理由でバスカヴィル家の屋敷を訪れている。ただし、実際に犯行が行われたであろう時間帯にはアリバイがあり、トビー・ヒッグス自身も事件への関与を否定している。

オリバー・ボウマン

以前、シュタール国の名門一族のバスカヴィル家で働いていた下男。アドルファス・バスカヴィルの所持品を盗み、見つかった際に酷い暴言を吐いたために解雇される。解雇された時、一家の殺害を匂わせる発言をしており、アドルファスとエミリア・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルの射殺事件の犯人ではないかと疑われている。事件の当日にもアリバイはないが、決定的な証拠もないために警察も拘束できずにいる。

アルマ・フライ

シュタール国の名門一族のバスカヴィル家で、メイドとして働いている若い女性。グヴィン・バスカヴィルの両親であるアドルファス・バスカヴィル、エミリア・バスカヴィル、次男のジョエル・バスカヴィルが射殺された事件が起きる少し前から働き始めた新人メイド。事件が起こったあと、人前で挙動不審になるなど明らかに様子がおかしく、グヴィンから事件への関与が疑われている。同僚のメイドたちは、アルマ・フライと若い男性がたびたび逢引きしている姿を目撃している。

場所

シュタール国 (しゅたーるこく)

四大陸のうち、メベル大陸の北東岸に位置している王国。北部はなだらかな高地になっており、南部は五つの湖を有する湖水地方が広がっている。北部では酪農、南部では綿花が盛んで、二つの地域を結ぶ鉄道をオールドマン家が経営している。また、海路に関してもオールドマン家の独占状態にある。そのため、オールドマン家はシュタール国でも随一の資産家と知られているうえに権力もあるが、一代で成り上がったこともあり、貴族ではない。

クレジット

原作

柴崎 ふじ子

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