男女三人の恋と友情を描いた青春物語
超進学校に入学したことから、勉強についていけず、自分だけ浮いていると感じてしまう早乙女星。そんな星が出会ったのが、無口な美少年の大高深月と、チャラそうに見えて学年トップの秀才、宇田川泰陽だった。二人に誘われ、天文部に入部した星は、とっておきの居場所を見つけて明るさを取り戻す。早乙女星(乙女座のスピカ)、深月(月)、泰陽(太陽)という、天体にちなんだ名を持つ三人は運命的な出会いを果たし、それぞれの思いを交錯させていく。そして星の恋愛は、三角関係を経てやがて一人に絞られていくことになる。
星、深月、泰陽の運命的な出会い
星と泰陽の出会いは最悪だった。入学早々、たくさんの教科書を運ぶ星と自転車に乗った泰陽が激突。星は教科書をボロボロにされたことに怒り、泰陽は新しい自転車に傷がついたことに激怒する。その後、クラスメートだと判明した二人は、ケンカ友達のようになる。一方、深月との出会いは学校の屋上にある天文台。「早乙女星」という名は「乙女座の星(スピカ)」であり、春の星でスピカがが一番好きだという深月に、星は一瞬で恋をする。日に日に想いを膨らませていく星は、深月と二人きりでいることに耐えられず、なにかにつけて泰陽を呼び出す。無防備に自分を頼り、深月一筋の健気(けなげ)な星を見るうちに、泰陽は自分の気持が彼女に傾いていることに気づきはじめる。
深月と泰陽の間で、揺れる星の気持ち
深月と泰陽は、幼なじみの親友である。中学生のときに、同じ女性を好きになり、泰陽が先に告白したことで深月は身を引いた。後にその女性が原因でもめ事が起こり、それ以来深月は女性を避けるようになっていた。しかし泰陽は、深月が初対面から星に好意を抱いていることを見抜いていた。星への想いを募らせる泰陽だったが、「次は深月のジャマをしない」と決めていたことから、自身は身を引く。しかし、天文部の夏合宿で、星に迫るOBの美園昴が現れ、泰陽は態度を一変させる。「昴が相手なら引かない」「星を誰にも渡さない」と宣言したのだ。一方、泰陽に促され、ようやく自分の気持ちに気づいた深月も星に告白。二人から迫られて困り果てる星に、深月と泰陽は学園祭までにどっちかに決めるようにと伝えるのだった。
登場人物・キャラクター
早乙女 星 (さおとめ せい)
ショートカットの女の子。初登場時は15歳で、真面目な頑張り屋だが、勉強は苦手。高校受験に失敗するが、2次募集で都立中野東高校になんとかひっかかり進学したが、そこが超進学校だったため、勉強の面では苦労することになる。クラスメートの大高深月、宇田川泰陽と知り合い、二人と一緒に天文部に入部。深月は憧れの存在で、泰陽とはケンカ友達のような仲になる。
宇田川 泰陽 (うだがわ たいよう)
茶髪でちょっとチャラい雰囲気のオレ様男子。初登場時は15歳で、都立中野東高校に入学し、大高深月、早乙女星とクラスメートになる。深月とは幼なじみでもある。深月、星とともに天文部に入部。実家は医者で、自身も学年トップの成績を誇る。口が悪く、星とはケンカばかりしていたが、やがて彼女のことが好きになっていく。
大高 深月 (おおたか みづき)
飾り気のない黒髪の美少年。初登場時は15歳で、口数も少ない。都立中野東高校に入学し、宇田川泰陽、早乙女星とクラスメートになる。泰陽とは幼なじみでもある。泰陽、星とともに天文部に入部。中学生のときのトラブルが原因で女性を避けていたが、星に対しては初対面から優しく接する。
書誌情報
4月の君、スピカ。 全10巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2015-05-26発行、 978-4091372086)
第9巻
(2017-08-25発行、 978-4091395160)
第10巻
(2019-04-05発行、 978-4098704729)