あらすじ
第1巻
サイバック王立研究院の地下室に軟禁されるハーフエルフの少年リヒター・アーベントは、人間の少年アステル・レイカーと出会い、親友になる。リヒターはその後もアステルと共同研究を続けながら、青年に成長していった。世界再生という世界規模の変化の影響で、異常気象をはじめとする厳しい現実に人々が直面する中、リヒターとアステルはラタトスクに会うために、ウンディーネの神殿を調査していた。神殿の奥に進む中で、リヒターたちは傷を負った魔物たちと、目覚めたばかりのセンチュリオンの少女アクアと出会う。アクアと魔物たちを守ったことで恩人と慕われるようになったリヒターたちは、アクアの協力を受け、異常気象を止めるためにラタトスクと直接会うこととなる。アクアの案内で南の草原を抜け、異界の扉「ギンヌンガ・ガップ」に到着したリヒターたちはラタトスクに会い、生命の源であるマナのバランスを調整し、世界を救ってほしいと懇願する。しかし過去の出来事から、ハーフエルフや人間を信用していないラタトスクはその申し出を断り、さらには有害な人間たちを滅ぼすと言い出す。ラタトスクを説得しようとしたアステルは、彼の攻撃を直に受け、リヒターの目の前で倒れてしまう。リヒターは必死にアステルを救おうとしたが、彼はすでに命を失っていた。かけがえのない親友の死に激しい怒りを覚えたリヒターは、ラタトスクへの復讐を決意するのだった。
第2巻
ヴァンガードの参謀長となったリヒター・アーベントは、ブルート・ルアルディがテネブラエを捕えたという報せを受ける。しかし、テネブラエは闇の力でラタトスク・コアを隠しており、その行方はわからないままだった。その夜、テネブラエがマルタ・ルアルディと共に脱走し、彼女の手にはラタトスク・コアがあった。リヒターはマルタたちを追うが広場の方で爆発が起こり、マーテル教団がヴァンガードの集会を襲撃したことが判明する。だが、この事態はブルートが仕込んだことであり、彼はリヒターと契約した魔族の力とセンチュリオン・コアの影響で、残忍な性格に豹変していた。この日に起こった血の粛清をきっかけに、リヒターは魔族の恐ろしさを悟り、ラタトスクに代わって魔族を封じる方法を探すようになる。そして半年後、ラタトスクの力を削ぐためにヴァンガードを使ってセンチュリオン・コアを集めていたリヒターは、街中でエミル・キャスタニエと再会。エミルはマルタを守るためにラタトスクと契約し、「ラタトスクの騎士」になったと語る。エミルの前でマルタを殺すことにためらうリヒターは、しばらくのあいだラタトスク・コアの捜索から手を引くことになる。後日、ヘイムダールを訪れたリヒターはノートンと再会し、協力を求めようとするが、彼は借金の返済のために学術資料館の儀典を売り飛ばして困っていた。リヒターは儀典を取り戻すべく、ノートンから儀典を買い取った老婆を訪ねる。
登場人物・キャラクター
リヒター・アーベント
サイバック王立研究院の学術研究員を務めるハーフエルフの青年。ハーフエルフであることを理由に、幼少期より人間やエルフたちから差別を受けていたが、ハーフエルフ特有の知能の高さを買われ、研究員として軟禁されるようになる。これらの境遇から、差別や迫害を行う者を憎むと同時に、差別されても行動を起こさない者も憎んでいる。赤髪の長髪で、黒っぽい服装を身につけている。同じサイバック研究員であるアステル・レイカーとは親友で、愛用している眼鏡は彼にもらったもの。アステルと共同研究を続ける中で、世界の異常気象を解決するためにラタトスクに会うが、その際にアステルがラタトスクに殺害されたため、激しい復讐心を抱くようになる。この時にラタトスクに封じられていた魔族と契約を交わし、ラタトスクを滅ぼしてアステルを生き返らせるという目的のために行動するようになる。その後はアクアを従えながら、テネブラエが持ち去ったラタトスク・コアを探す旅に出る。旅中でエミル・キャスタニエと出会い、いじめられていた彼にかつての自分を重ねながら、アステルの口癖だった「勇気は夢を叶える魔法」という言葉を教えた。これ以来、エミルの臆病で受け身な性格に苛立ちながらも、アステルと瓜二つの彼を心配して気にかけるようになる。のちにヴァンガードの参謀長となり、ブルート・ルアルディを裏であやつることでヴァンガードを戦闘集団へと変貌させる。戦闘時は長剣と斧の二刀流で戦い、魔術も扱える。かなりの皮肉屋で、目的のためには手段を選ばない苛烈な一面もある。大半のことはそつなくこなすが料理は下手で、口にしたエミルが気絶するほど。
アステル・レイカー
サイバック王立研究院の学術研究員を務める人間の青年。ハーフエルフとまちがえられるほどに頭脳明晰であり、9歳の頃に両親と離れてサイバック王立研究院にやって来た。地下室に軟禁されていたリヒター・アーベントと出会って意気投合し、親友になる。口癖は母親から聞いていた「勇気は夢を叶える魔法」で、リヒターにも教えていたこの言葉はのちに彼を通して、エミル・キャスタニエに受け継がれる。明るく前向きな優しい性格で、傷ついた者は魔物であっても助けようとする。また、ハーフエルフのリヒターにも分け隔てなく接しており、差別を受けた体験から他人を信じられなくなっていた彼の心を開いていった。リヒターと精霊に関する共同研究を続ける中、世界的な異常気象の原因となっているマナの乱れを安定させるために、彼と共にラタトスクと対面する。しかし、ラタトスクが世界を壊し続けるヒトを信じずに滅ぼそうとしていたため、それを止めようとした際に彼の攻撃を受け、リヒターの目の前で命を落とした。享年18歳。ラタトスクへの復讐を決意したリヒターが誰にも真実を語らなかったため、サイバック王立研究院の研究員たちのあいだでは、アステルはリヒターが殺したことになっている。
アクア
ウンディーネの神殿で目覚めた水のセンチュリオン。長髪の先端が魚類の尾のようになっており、片耳に魚型のピアスを付けた少女の姿をしている。神殿の調査に訪れていたリヒター・アーベントとアステル・レイカーに出会い、危険から守ってくれた彼らを恩人と慕うようになる。リヒターたちの依頼で、主であるラタトスクのもとへ案内するが、ラタトスクがアステルを殺害したため、間接的に彼の死の原因をつくってしまったことには負い目を感じている。ラタトスクへの復讐を誓ったリヒターを愛するようになったため、ラタトスクに離反してリヒターに付き従うようになり、時には人間に化けて連絡役などを務めている。ラタトスクから離れると同時に水のセンチュリオンとしての役目も放棄したため、世界各地では水に関する災害が頻発している。「オタオタ」をはじめとする何体もの魔物を従えており、魔物たちを使役することで戦う。リヒターの野望や真意を承知のうえで、それを成就させるためにエミル・キャスタニエたちに立ちはだかるようになる。その一方で、目的のために手を汚すようになったり、自らの犠牲も厭わなかったりリヒターを心配し、複雑な感情を抱くことがある。活発で裏表が激しく、おしゃべりな性格をしている。同じセンチュリオンでも生まじめなテネブラエとは相性が悪く、罵倒したり悪口を言ったりしている。
テネブラエ
マルタ・ルアルディに付き従う闇のセンチュリオン。燕尾服をまとった長い尾を持つ黒豹のような姿をしている。リヒター・アーベントがラタトスクと交戦した時に、ラタトスクがラタトスク・コアの姿になった際に出現し、リヒターからラタトスク・コアを奪い去る。のちに、ヴァンガードに捕らわれるもののマルタと共に脱走し、その後もラタトスク・コアを闇の力で隠しながら、マルタやエミル・キャスタニエたちの旅に同行している。生まじめな性格で、一見礼儀正しそうに見えるが時折毒舌になる。アクアとは相性が悪く、犬猿の仲。嗅覚はあるが寒さなどを感じることはなく、暗さ以外の感覚は感じ取れない。闇のセンチュリオンとして闇のよさをエミルたちに広めようと努力しているが、あまり報われていない。
ラタトスク
魔物の王にして大樹カーラーンに宿る大精霊の男性。ギンヌンガ・ガップを封印することで魔族を監視し、世界のマナのバランスを保つ重要な存在。ほかの精霊と違い、マナが枯渇しても生きていける。また、マナの調節力を持つなど、ほかの精霊よりも強力な力を有している。その一方で記録や情報に乏しく、サイバック王立研究院でも資料がほとんど残されていない。世界の守護者ともいえる精霊であるが、かつてカーラーン大戦によって大樹カーラーンを滅ぼしたヒト(人間、エルフ、ハーフエルフ)を憎んでおり、世界にとって有害な存在として忌み嫌っている。自らが従えるセンチュリオンを通じて魔物のネットワークを持ち、その情報網は新たな大樹以外のすべての場所に及んでいる。ギンヌンガ・ガップを訪れたリヒター・アーベントとアステル・レイカーから、世界のマナのバランスを調整してほしいと頼まれるが、信頼できないヒトを滅ぼすと言い、止めようとしたアステルを攻撃した。この際にリヒターと戦闘になり、ラタトスク・コアの状態になって眠りについた。そのまま、テネブラエがラタトスク・コアを持ち去り、彼の闇の力によって隠されている。アステルを殺した邪悪な魔王として、リヒターからは激しい憎悪と復讐心を抱かれている。のちに過去の記憶を失ったことにより、ヒトへの憎しみは消えていった。
エミル・キャスタニエ
パルマコスタで起こった血の粛清で両親を失った少年。血の粛清で両親を殺された過去から、その首謀者とされるロイド・アーヴィングのことを憎んでいる。ルインの町でいじめられていたところをリヒター・アーベントに助けられると同時に、「勇気は夢を叶える魔法」という言葉を教えられて励まされた。このため、リヒターのことは恩人として慕っている。容姿はアステル・レイカーと瓜二つで声も似ているが、その理由は不明。なんでも信じてしまう純粋で素直な性格で、基本的に気弱な臆病者。受動的で防衛心が強く、自分の意思で何かを決定するのは苦手。また、誰かに責められるとすぐに下を向いて謝罪する。のちに、リヒターに追われていたマルタ・ルアルディの頼みでラタトスクと契約し、彼女を守るための「ラタトスクの騎士」になる。ラタトスクの騎士として旅立ってからは、自分の意見や感情を素直に表現できるほどに成長していった。リヒターと再会した時にラタトスクの騎士になったことを明かし、ラタトスク・コアのためにマルタを狙うリヒターとは対峙することも多くなるが、恩人である彼には非情になり切れずにいる。ふだんはおとなしく礼儀正しいが、戦闘時などにラタトスクの力が覚醒すると態度や口調が荒々しい「ラタトスクモード」に変貌する。この状態になると一人称も「僕」から「俺」になり、顔つきも変わって別人のように好戦的になる。
魔族 (まぞく)
魔界「ニブルヘイム」に住む種族で、強大な力を持つ。ラタトスクによって封印されているが、あらゆる手段を用いてヒトの世界に侵略しようと企んでおり、ラタトスクを憎むようになったリヒター・アーベントに取り引きを持ち掛け、契約を交わして力を与えた。リヒターにラタトスクを排除させることで、ギンヌンガ・ガップの封印を解こうとしている。魔族にとってはマナは毒に近い力であり、マナが広く存在するヒトの世界では長く滞在することはできない。
ロイド・アーヴィング
かつてエターナルソードを使って二つの世界の統合を果たした、双剣士の青年。茶髪のツンツン頭で、赤い服を着ている。世界再生の旅のあとはリーガル・ブライアンやユアン・カーフェイの力を借りながら、ラタトスクによる人類の消滅を阻止するために行動し、センチュリオン・コアを集めている。世界再生の英雄と称えられる一方で、世界再生後にテセアラ人がシルヴァラント人を虐げる差別が起こったことに不満を持つ人々からは憎まれており、行く先々でいわれのない迫害を受けることもある。また、パルマコスタで起こった血の粛清の首謀者とされているため、一部のシルヴァラント人からは憎まれている。このためロイド・アーヴィングに対する評価や世論は二分化されているが、ロイド自身は血の粛清に関して真相を語らず弁解もしないため、その真意は謎に包まれている。もとは熱血漢でお人よしな性格だったが、2年の旅を経てクールな青年に成長している。
マルタ・ルアルディ
ブルート・ルアルディの娘で、訳あってヴァンガードから追われている。オレンジ色の長髪で、頭の左右には母親の形見である白い花の髪飾りを付けている。ソルムのセンチュリオン・コアを手に取って以来、性格が豹変したブルートを元に戻すため、血の粛清で街が混乱しているスキにラタトスク・コアを持って、テネブラエと共にヴァンガードから逃走した。このため、ラタトスク・コアを探しているリヒター・アーベントからも追われている。血の粛清の時に、エミル・キャスタニエらしき人物に助けられたことで彼に惚れ込んでおり、再会後は度重なるアプローチをしている。また、エミルとは「ラタトスクの騎士」の契約を交わしており、彼に守られながら旅をしている。額にはラタトスク・コアが宿っており、これが奪われると死亡する。エミルを慕っているが、「ラタトスクモード」になった時の彼とは衝突しがち。回転刃スピナーを武器に戦い、額のラタトスク・コアの力を使えば、魔術や治癒術なども使える。自分の意見をはっきりさせたり、白黒つけたりしないと気が済まない性格で、かなり勝ち気だが年相応の少女らしさも持ち合わせている。勉強は苦手だが地理には詳しく、乗り物酔いすることから乗り物全般が苦手。
ブルート・ルアルディ
ヴァンガードの総帥で、マルタ・ルアルディの父親。スキンヘッドの辮髪(べんぱつ)で巨大な杖を持ち、センチュリオン・コアの力で強力な魔術も使えるようになった。まだヴァンガードが大きな組織ではなかった頃に、パルマコスタでリヒターと出会い、シルヴァラント王朝王家の末裔を名乗ったことで彼に利用されるようになる。この時に、リヒターから「王家の末裔であることをヴァンガードの活動の宣伝に使ってはどうか」と提案され、彼に渡されたセンチュリオン・コアの影響を受け、残忍な性格へと変貌していった。本来は心優しく、娘思いな男性だった。
アリス
ヴァンガード戦闘班のリーダーを務める戦士の少女。一見清純そうな優しい性格の美少女だが、内面はわがままで腹黒い。年齢の割に幼い口調で話す。無機生命体「エクスフィア」を使用したマシンで魔物を洗脳し、コントロールする魔物使いで、センチュリオンと異なって魔物に対する愛情はまったく持たない。アリス自身の愛らしい外見を利用するとともに、徹底した暴力と策略を駆使して相手を支配する。同僚のデクスのことは嫌っており、散々罵倒しているが、自分の下僕として利用している。
デクス
ヴァンガード工作班のリーダーを務める青年。一見すると、純朴で裏表のない性格の好青年だが、盲目的な思い込みで暴走する悪癖を持つ。過去の出来事をきっかけに慕うようになったアリスを溺愛して、ストーカー紛いの行為に走るなど、彼女を振り向かせるために、ひたすら外見を磨いている。アリスのためならばどんなこともできると言うほどに一途で、大した思想も持たずにヴァンガードに入ったのも、アリスを追っての行動だった。通信販売で買った香水を愛用しており、いつも香水臭いためにアリスからは「キモい・キショい・クサい」の「3K男」と罵倒されて嫌われているが、まるで懲りていない。センチュリオン・コアの力で変身能力を手に入れており、血の粛清をはじめとする事件では、ロイド・アーヴィングに化けて虐殺や工作に加担していた。
ユアン・カーフェイ
天の機関「クルシス」に対抗する地下組織「レネゲード」の首領を務める、魔法剣士の男性。ふだんは皮肉屋で自信家だが、部下思いで人望も厚い。世界再生のあとは世界樹を守る「世界樹の守人」を務めるようになる。また、ラタトスクを封じるためにセンチュリオン・コアを集めているロイド・アーヴィングに協力し、浮遊装置「レアバード」を貸し出している。
藤林 しいな (ふじばやし しいな)
イガグリ流の忍術を受け継ぐ「ミズホの村」の頭領を務める、符術士の女性。明るい性格の熱血漢。世界再生の旅のあとは、シルヴァラント側の町々とテセアラ王とのあいだを取り持つ橋渡し役となり、活動を続けていた。エルフの血を引いていることから、多くの精霊と契約している召喚士でもあり、昔からテセアラの精霊研究所に通っている。このため、サイバック王立研究院に勤めるリヒター・アーベントやアステル・レイカーとも面識がある。
ノートン
サイバック王立研究院の研究員を務める中年男性。眼鏡を掛けて、口ひげを生やしている。同じくサイバックで研究員をしていたリヒター・アーベントやアステル・レイカーとは昔なじみで、ヘイムダールを訪れていたリヒターと偶然再会を果たす。カジノで作った借金の返済のため、儀典など学術資料館の資料を売り飛ばしたことでリヒターに泣きつき、封魔の石の調達を条件に、彼に資料を取り戻すように依頼する。
リーガル・ブライアン
テセアラの大企業「レザレノカンパニー」の会長を務める男性。かつて恋人の女性をある事件で殺してしまい、囚人として自ら投獄していた。のちに世界再生の協力者として恩赦を受け、レザレノカンパニーに戻った。その後はロイド・アーヴィングに協力しながら会長職に専念し、世界の復興に尽力している。エミル・キャスタニエとマルタ・ルアルディの旅に同行しており、何かと衝突しがちな彼らを大人目線で諭している。
リリーナ
サイバック王立研究院に勤める女性で、アステル・レイカーの婚約者。アステルの死後に行方をくらましたリヒター・アーベントのことを心配している。ほかの研究員たちから「アステルはリヒターに殺された」という噂を聞いていたが、二人の友人関係も知っていたため、とても信じられずにいた。サイバック王立研究院で、リヒターと2年ぶりの再会を果たす。過去にエミル・キャスタニエに会ったことがあるが、彼がアステルとそっくりなことに驚くと同時に、精霊以外では不可能な次元境界をあやつる彼が、ふつうの人間ではないと確信している。
集団・組織
ヴァンガード
パルマコスタの住人たちが中心となって活動しているレジスタンス組織。世界再生によって統一された世界で、文明の進んだテセアラ人とマーテル教団の差別から、シルヴァラント人を守るために結成され、工作班や戦闘班を擁する戦闘集団として拡大していった。迫害されるシルヴァラント人の解放と、シルヴァラント王朝の復興を悲願としている。
マーテル教団 (まーてるきょうだん)
女神マーテルを崇める世界的宗教「マーテル教」を信仰する巨大な宗教団体。かつてマーテル教はシルヴァラントとテセアラの両方に存在していたが、世界再生のあとはシルヴァラントのマーテル教はテセアラのマーテル教に吸収されてしまった。現在では腐敗しており、シルヴァラント人を「文明レベルの低い蛮族」と見下して弾圧している。
場所
シルヴァラント王朝 (しるゔぁらんとおうちょう)
800年前に滅亡したといわれる王朝。地下組織「レネゲード」の暗躍により、シルヴァラントの神子の旅が妨害され続けたことで、国としての機能は消滅した。パルマコスタの近くなどには、シルヴァラント王朝の遺跡「王朝跡」が残されている。ヴァンガードの目的は、このシルヴァラント王朝の復興であった。
パルマコスタ
ハコネシア峠を越えた先にある港町。エミル・キャスタニエやマルタ・ルアルディの出身地で「パルマコスタワイン」が名物。血の粛清によって多くの人が殺された街でもあり、死者の墓は孤島に作られている。昔よりも地形が大幅に変わっており、入り口の広場の左右には街が広がっている。
サイバック王立研究院 (さいばっくおうりつけんきゅういん)
テセアラの学園都市「サイバック」にある王立研究院で、精霊などの研究をしている。かつて、リヒター・アーベントとアステル・レイカーが学術研究員として勤めていた。
その他キーワード
世界再生 (せかいさいせい)
かつて「シルヴァラント」と「テセアラ」の二つに分かれていた世界が、天の機関「クルシス」の号令によって一つに統合され、一つの世界として大きく生まれ変わった出来事。この世界規模の変化は世界に平和をもたらしたように見えたが、統合によってさまざまな影響をもたらし、数か月後には異常気象などで人々を苦しめるようになった。また、世界再生による環境の変化や文化レベルの違いなどから衝突や差別などが発生し、一部のシルヴァラント人は次第にマーテル教団や、テセアラ人を憎むようになっていった。これにより、シルヴァラント人を守るためのレジスタンス組織としてヴァンガードが結成される。
血の粛清 (ちのしゅくせい)
マーテル教団が「神子への反逆罪」の名目により、パルマコスタで集会を開いていたヴァンガードを反乱分子として武力制圧した事件。首謀者はロイド・アーヴィングとされているが、実際はブルート・ルアルディが仕込んだ事件であり、マーテル教団だけでなくヴァンガードの一部も被害に遭っている。ロイドが首謀者とされたのも、変身能力を持つデクスが、ロイドの姿で虐殺行為をしたためである。ブルートがこのような凶悪な作戦を立てた背景には、彼がソルムのセンチュリオン・コアの影響で豹変していただけでなく、リヒター・アーベントが契約していた魔族も加担していたことがある。この事件で魔族の恐ろしさを知ったリヒターは、ラタトスクに代わって魔族を封印する方法を探すようになった。
センチュリオン・コア
眠りについている孵化前のセンチュリオンが封じられた、花のつぼみのような形状のコア。ラタトスクのラタトスク・コアと同様に、それぞれの紋章が刻まれている。ラタトスクの加護を受けていない人間がセンチュリオン・コアを長時間持っていると性格が変わって自我を失ったり、暴走したりする。また実体化したセンチュリオンが強いダメージを受けたときも、センチュリオン・コアの状態に戻る。
ラタトスク・コア
眠りについたラタトスクが内部に封じられたコア。紋章が刻まれた宝玉のような形をしている。ギンヌンガ・ガップでリヒター・アーベントとラタトスクが交戦した際にこの状態になったが、そこに現れたテネブラエがラタトスク・コアを持ち去ってからは行方不明になっていた。血の粛清以降は、テネブラエと共にラタトスク・コアを持ち去ったマルタ・ルアルディの額にくっついた状態になっており、ヴァンガードをはじめとするさまざまな人物から狙われている。
ギンヌンガ・ガップ
ヒトの世界と魔族の住む魔界「ニブルヘイム」の境界にあたる巨大な扉。「魔物の墓場」とも呼ばれている。ラタトスクによって作られ、魔族の侵入を阻む場所として守られており、ラタトスクでなければ封印することはできない。扉の鍵となるのはラタトスクと、彼に従うセンチュリオン。
センチュリオン
世界の八つの属性を司る、精霊でも動物でもない孤高の存在。いずれもラタトスクに従っている。正式名称は「エイト・センチュリオン」。魔物と縁を結んで配下にする力を持ち、世界のマナを安定させる使命を持つ。本来の姿はセンチュリオン・コアだが、アクアやテネブラエのように人型や動物型などの実体を持って行動する者もいる。従えた魔物を使役して戦闘したり、人間を含むあらゆる姿に変身したりすることもできる。
大樹カーラーン (だいじゅかーらーん)
マナを生み出す聖なる大樹。5000年前に起こった古代大戦「カーラーン大戦」以前に存在したとされる。ラタトスクが宿り木とする大樹でもあったが、カーラーン大戦の影響で枯れて世界も焦土と化したため、ラタトスクはギンヌンガ・ガップに移ることになった。
エンジェルアトポス
ハーブに寄生する珍しい虫。ノートンから儀典を買い取った老婆が、儀典を取り戻そうとしたリヒター・アーベントに要求した。サナギの殻の形状がマーテル教の天使に似ていることから、マーテル教団からは護符として珍重されている。
エルフ
人間と似て非なる種族。顔や体格は人間と非常に似ているが、耳が長く尖っている。マナを感じ取る能力を持ち、魔術を扱うことができる。寿命は非常に長く、エルフの中には1000年以上生きる者も珍しくない。基本的に人間と関わることはなく、エルフしか知らない森の奥深くに隠れ住んでいる。人間との混血であるハーフエルフに対しては非常に差別的で、エルフの集落に足を踏み入れることさえ許さない。
ハーフエルフ
人間とエルフの混血として生まれた者。外見や能力はエルフの特徴を色濃く受け継いでおり、尖った耳とマナを知覚し魔術を行使する力を持つ。寿命はエルフほどではないが人間よりは遥かに長い。またハーフエルフは、代を重ねるほどにエルフとしての特徴は薄まっていく。ハーフエルフの存在はエルフからは嫌悪されているものの、人間とは比較的友好な関係にある。
マナ
世界のいたるところに存在している高次のエネルギー。大気のようにそこにあることが当たり前のものだが、人間は知覚することはできない。エルフの血を引く者のみがマナの存在を感じ取り、力を引き出すことで魔術を使うことができる。
魔術 (まじゅつ)
周囲のマナの力を引き出し、超自然的な現象を起こす技術。マナの存在を知覚することができるエルフの血を引く者だけが使用できる。また、魔術はマナを消費して発動するため、周囲のマナが枯渇している状況では行使することはできない。
クレジット
- シナリオ
-
実弥 島巧
- 原作
-
バンダイナムコゲームス