あらすじ
第1巻
3年前。ベルベット・クラウは辺境の村、アバルで、弟のライフィセット・クラウと義兄のアルトリウス・コールブランドと共に暮らしていた。三人は助け合い、支え合いながら仲睦まじく暮らしていたが、ある夜、ベルベットの目の前で弟がアルトリウスに殺されてしまう。アルトリウスへの憎しみで業魔化したベルベットは弟の仇を取ろうとしたが反撃に遭い、牢獄に囚われてしまった。ベルベットはアルトリウスを殺す事だけを目的に生き続け、3年後、アルトリウスの聖隷だったシアリーズの力を借り、ついに脱獄する事に成功。そしてベルベットは、共に脱獄したロクロウ・ランゲツ、マギルゥや、道中出会った海賊団の副長、アイゼン、聖隷の少年らと、アルトリウスがいる王都、ローグレスへ向かう。
第2巻
闇ギルドと裏取引をしてアルトリウス・コールブランドの居所を摑んだベルベット・クラウは、仲間と共にアルトリウスに戦いを挑むが、聖主カノヌシの力を得たアルトリウスの前に敗れてしまう。亡き弟と同じ名前の「ライフィセット」と名付けた聖隷の少年の力で、ベルベットは一命を取り留めたが、力を使いすぎたライフィセットは業魔化寸前の状態になってしまう。対魔士のエレノア・ヒュームにライフィセットと契約させて業魔化を阻止したベルベットは、その後の決闘で下したエレノアも従え、アルトリウスを倒すヒントを得るため古文書を解読する事に決める。
登場人物・キャラクター
ベルベット・クラウ (べるべっとくらう)
アバルで暮らす少女。弟のライフィセット・クラウと義兄のアルトリウス・コールブランドといっしょに暮らしている。7年前に姉のセリカを亡くしてからは、親代わりとなって病気がちな弟の面倒を見ている。対魔士であるアルトリウスに弟子入りして武術を習い、一人で魔物を狩れるほどの実力を持つ。武器は籠手に仕込んだ刀。 明るく快活な少女だったが、弟を殺された夜を境に笑う事はなくなってしまった。弟を殺したアルトリウスへの復讐心だけで生き続け、復讐を果たすためなら冷酷で非道な手段も厭わず選ぶ。「緋の夜」に左腕が業魔手と化し、業魔を喰らう業魔である「喰魔」となった。普段は左腕に包帯を巻いて業魔手を隠しているが、業魔手で喰らったものの力を得る事ができる。 料理が得意だったが、喰魔になってからは味覚を失っている。
ライフィセット・クラウ (らいふぃせっとくらう)
ベルベット・クラウの弟。周囲からは「ラフィ」という愛称で呼ばれている。対魔士の才能があり、聖隷を見る事ができる。アルトリウス・コールブランドの聖隷と会話をする事もあった。生まれつき身体が弱く病気がちで、ベッドに寝ている事が多い。本を読むのが好きで、大人になったら海に出て旅する事を夢見ている。本当は羅針盤がほしかったが、姉の櫛が割れていたからと、写本を売ったお金で姉に櫛を買って贈るなど心優しい性格の持ち主。 姉が幸せになれる世界を作るため、自らの命を犠牲にした。
アルトリウス・コールブランド (あるとりうすこーるぶらんど)
ベルベット・クラウとライフィセット・クラウの義兄。ベルベットの姉、セリカと結婚していたが死別した。対魔士で、赤い髪の聖隷、シアリーズを使役している。過去に右腕をケガして使えない。「感情」よりも「理」に重きを置いており、義弟の命を犠牲に聖主カノヌシを復活させる儀式を行った。そして業魔に対抗する力を持つ対魔士の組織、聖寮を創り上げ、世界に「理」という平穏をもたらした。 この功績と献身が讚えられ、災厄を祓って民を導く救世主の名である「導師」の称号を授けられた。聖主カノヌシの加護により、災厄がない世界に導く事を固く誓っている。家族からは「アーサー」「アーサー義兄さん」という愛称で呼ばれていたが、ベルベットは「緋の夜」以降、「アルトリウス」と名前を呼び捨てるようになった。
ライフィセット
対魔士のテレサ・リナレスに使役されていた聖隷の少年。戦闘中の混乱で誤ってベルベット・クラウに船に乗せられた事をきっかけに、行動を共にするようになる。使役聖隷として強制的に意思を封じられ、感情を表に出す事もなかったが、同じ聖隷のアイゼンの生き様や、生きているんだから素直に感情を表せばいいと話すベルベットに触れ、次第に自分の感情や意思を示すようになった。 アルトリウス・コールブランドとの戦いで力を使いすぎ、業魔化しそうになったが、エレノア・ヒュームと契約する事で免れた。本を読むのが好きで、羅針盤を見るとドキドキするなど好奇心旺盛な一面を持つ。戦闘では紙葉を使って術を発動させ、敵への攻撃と仲間の回復を行う。 テレサからは「二号」と呼ばれていたが、ベルベットに「ライフィセット」と名付けられ、自身でもその名を名乗るようになる。
ロクロウ・ランゲツ (ろくろうらんげつ)
戦いの鬼神である夜叉の業魔。性別は男性。業魔化で顔の右半分が黒く、化け物のようになっているため、前髪で隠している。ベルベット・クラウと同じ監獄に捕らえられていた。受けた恩を返すのが信条で、脱獄の際、命のように大事にしている大太刀の在処を教えてくれたベルベットに恩を返すため、行動を共にするようになる。戦闘では大太刀は使わず、双刀を使う。 流派は「ランゲツ流二刀小太刀」。兄である特等対魔士のシグレに勝つ事が本来の目的で、目標を前にすると理性を失う事がある。
マギルゥ
奇抜な格好をした女性。ベルベット・クラウと同じ監獄に捕らえられていた。裏切り者である聖隷、ビエンフーを捜すため、ベルベットと行動を共にするようになる。ビエンフーを見つけて再度契約を結び直してからも、ベルベットの行く末を見物したいからと同行を続けている。一人称は「儂」で、語尾に「じゃ」と付ける特徴的な話し方をする。 聖隷と契約できるのは対魔士の力を持つ者だけだが、自身を「魔女」と呼び、ビエンフーを使えるのは魔法のタネと仕掛けによるものだと語るなど、本心が見えない。ビエンフーからは「姐さん」と呼ばれている。戦闘では紙葉を使い、術を繰り出して敵を攻撃する。
アイゼン
対魔士に使役されていない、意思を持つ聖隷の男性。アイフリード海賊団の副長を務めていて、海賊団の仲間からは「副長」と呼ばれている。失踪した海賊団の船長バン・アイフリードの行方を捜すため、ベルベット・クラウと行動を共にするようになる。周囲に不幸をもたらす「死神の呪い」にかかっていて、コインを何回振っても裏しか出ず、行く先では必ず犠牲者が出る不幸体質の持ち主。 他人に生き方を曲げられる事が嫌で、「自分の舵は自分の意思でとる」事を信条としている。女神と死神が描かれた金貨を器にしている。戦闘では拳と地属性の術を使う。
エレノア・ヒューム (えれのあひゅーむ)
聖寮巡察官として各地の業魔を退治して回っている一等対魔士の少女。戦闘では槍を使う。性格はまじめで堅いが、最善の「理」に則った聖寮の非情な決断に涙を見せるなど涙もろい一面もある。ベルベット・クラウに使役聖隷を喰われて対魔士としての力を失ったが、ライフィセットと契約する事で力を取り戻し、ベルベットに決闘を挑んだ。 しかし戦いに負け、死ぬまで従う事を誓わされる。その裏で、アルトリウス・コールブランドからライフィセットを聖寮本部に連れ帰る密命を受けていたため、ベルベットに従う振りをして、行動を共にするようになる。
聖主 カノヌシ (せいしゅ かのぬし)
3年前の「緋の夜」にアルトリウス・コールブランドがライフィセット・クラウの命を犠牲にして復活させた神。五聖主の一柱で、民の信仰の対象となる。聖寮の新神殿である「聖主の御座」で遷座儀式が行われた。対峙したベルベット・クラウを一瞬で吹き飛ばすほどの力と、アルトリウスのケガを一瞬で治す回復力を持つ。
集団・組織
聖寮 (せいりょう)
3年前にアルトリウス・コールブランドが創り上げた対魔士の組織。本部はローグレスの王城の離宮にある。各地に対魔士を派遣し、業魔の討伐や街の管理・統括を行っている。「理」に則って行動する事を是としており、世界全域を守る力はないため、規則に従っている街の警備を優先し、規則に従わない辺境の村の警備は放棄している。
場所
アバル
ベルベット・クラウとライフィセット・クラウ、アルトリウス・コールブランドが暮らしていた辺境の村。のどかな村だったが、3年前の「緋の夜」に業魔病が広がり、業魔の群れに襲われて壊滅した。村の外の岬には朽ち果てた祠があり、この祠でアルトリウスが聖主カノヌシを復活させる儀式を行った。
ローグレス
ミッドガンド聖導王国の王都であり、政治の中心地。第一王子はパーシバル・アスガード。王城の離宮には聖寮本部がある。アルトリウス・コールブランドに「導師」の称号を授ける式典が行われた際には、大勢の人で門の前が埋め尽くされた。離宮の地下には巨大な業魔が結界で捕らえられているが、その理由は不明。闇ギルドの窓口になっている酒場がある。
イベント・出来事
緋の夜 (ひのよる)
緋色の月がのぼる夜の事。基本的には3年前、アルトリウス・コールブランドが聖主カノヌシを復活させる儀式を行った夜の事を指す。それまで対魔士しか聖隷を見る事ができなかったが、この夜を境に普通の人間でも聖隷が見えるようになった。10年前、ベルベット・クラウの姉・セリカが亡くなった日も、緋色の月がのぼっていた。
その他キーワード
業魔 (ごうま)
人を喰う凶暴な魔物で、理性や感情を持たない。化け物のような見た目の者がほとんどだが、ベルベット・クラウやロクロウ・ランゲツのように人間の姿をしている者もいる。その場合、身体の一部が化け物化していて、ベルベットは左腕が、ロクロウは顔の右半分が黒く覆われている。寒さや暑さ、空腹など、人間らしい感覚はない。
業魔病 (ごうまびょう)
人間が突然業魔になる原因不明の病気。業魔病にかかった者は理性や感情を失って凶暴になり、人間を襲い始める。治療法は見つかっておらず、業魔になってしまった人間を元に戻す事はできないため、対魔士の力で退治するしか対処方法はない。なぜかベルベット・クラウが喰らった業魔は死ぬ直前に人間の姿に戻るが、その理由は不明。 聖隷が業魔病にかかる事もある。
聖隷 (せいれい)
この世ならぬ種族で、業魔に対抗できる超常の力を持つ存在。対魔士の才能を持つ者しか見る事ができなかったが、「緋の夜」以降、普通の人間でも見る事ができるようになった。本来人間と同じ心を持つ存在だが、対魔士に使役されている聖隷は強制的に意思を封じられ、道具として使われている。力を使いすぎると業魔化してしまうが、清浄な物を器にして宿れば、業魔化を防ぐ事ができる。
対魔士 (たいまし)
聖隷と契約できる力を持ち、聖隷の力を使って業魔を退治する職業に就く者。自らの心身を器として聖隷を宿らせ、使役する。アルトリウス・コールブランドが聖寮を創り上げてからは組織に属するようになり、各地を統括・管理している。能力の高さによってランク付けされており、二等、一等、特等の順で使役する聖隷が強くなる。
クレジット
- 原作
-
バンダイナムコエンターテインメント