最強の魔王が日本で田舎暮らし
ミミドラは魔界でも最強の力を誇るが、自他共に認める「コミュ障」で、初対面の人が苦手でまともに話すことすらできない。そのため、魔界で敵味方大勢の者たちに囲まれて過ごす日々に嫌気が差したミミドラは、人がほとんどいない日本の田舎町に逃げ出し、静かな生活を送ることを決意する。ミミドラは人付き合いが苦手なため、日本人たちとほとんど交流せず、手探りで日本での生活を開始する。
異世界人から見た日本の生活
ミミドラは人とかかわるのが苦手なため、当初は右も左もわからない状態ながら誰にも相談することができず、手探りで田舎生活を送っていた。しかし、ミミドラは次第に行動範囲を広げ、電化製品の便利さに感動したり、日本のおいしい食べ物を堪能したりと、異世界人ならではの視点で日本の生活を楽しみ始める。特にミミドラにとって衝撃的だったのは、自動販売機やエンタメの存在で、人と会話せず買い物ができる自動販売機、一人で遊べるTVゲームや映画が大のお気に入りとなる。
日本人から見た魔王の存在
日本の田舎に住む女子高校生の日熊るこは、ある日、奇妙な風体のミミドラと出会う。しかし近づいた瞬間、ミミドラは魔法を使って逃亡する。この不思議な出来事に狐につままれたような思いを抱きつつも、るこはミミドラに興味を覚える。その後も、るこはミミドラを見つけては話しかけようとするが、彼女の魔法を心霊現象とカンちがいして逃げ出したり、ミミドラが居留守を使ってスルーしたりと、直接交流する機会には恵まれずにいた。ミミドラは、るこたちを勝手に「陽キャ」と認定してあからさまに苦手意識を抱いているが、日本の生活を満喫する中で間接的に交流することになり、コミュ障と陽キャの独特の距離感が描かれる。
登場人物・キャラクター
ミミドラ
魔界の魔王として君臨する女性。白髪のミディアムヘアで、側頭部から大きな角が二本生えている。四人いる魔王の中でも別格の力を持ち、これまで数多の魔物を倒してきたが、実は自他共に認める極度の「陰キャコミュ障」。城ではつねに部下たちに関心を向けられ、外では魔物と戦う日々にうんざりしている。特に魔物と戦う際になぜか相手が口上を述べるため、コミュ障であるミミドラは嫌気が差している。ある日、「骨」の魔物を倒したあと、遂に我慢の限界に達して魔界から日本の田舎に逃げ出してしまう。他人とコミュニケーションを取るのが苦手で、日本の田舎町でも人と話すのを極力避けている。無人販売所や自動販売機の存在を知り、コミュ障の自分にやさしいシステムだと感動している。また、映画やゲームも一人で楽しめるためハマっている。特にゲームは続編が気になり過ぎて、初めて自分からゲーム屋でアルバイトをしている少年に話しかけたほどで、それをきっかけになかよくなる。
ベルーニャ
ミミドラの執事を務める女性。小柄な体型で、猫の耳と尻尾が生えた少女のような姿をしているが、100年以上生きている。生真面目な性格で、いつまでも魔界に戻ってこないミミドラが逃げ出したと察し、魔界に連れ戻そうとあれこれ画策している。しかし乗せられやすい性格で、ミミドラを連れ戻すために日本に向かうが、彼女に言いくるめられて日本に居ついてしまう。コミュ障ではないが「人見知り」のため、ミミドラと同様に人と話すのを極力避けている。本人いわく、初対面の人と話せるようになるには60年ほどの年月が必要とのこと。ただし、人見知りとコミュ障の違いから、一度気を許した相手には対応できるため、魔界の同僚とはふつうに接している。
日熊 るこ (ひぐま るこ)
田舎育ちの女子高校生。年齢は16歳。明るく朗らかな性格だが、友達が田舎から都会に引っ越していくことを寂しく思っている。友人のビビアン、宝塚こりすと共に過ごすことが多い。田舎は顔見知りばかりのため、見知らぬミミドラを「新キャラ」と呼び、なかよくなりたいと思っている。しかし、コミュ障のミミドラが魔法を使って毎回逃げ出すため、この魔法を心霊現象だとカンちがいしては動揺している。そんな中、ミミドラと接するうちに彼女が人と接する行為を苦手としているのだと察し、友人たちと共に一歩引いて彼女を見守ることを決める。ミミドラが自動販売機のトラブルに巻き込まれて困っている時に、さり気なく手助けしたことがミミドラの琴線に触れたらしく、彼女からは陰キャにも優しい陽キャ「ネオ陽キャ」と認定されている。
書誌情報
ポンコツ魔王の田舎暮らし 3巻 新潮社〈バンチコミックス〉
第1巻
(2023-11-09発行、 978-4107726605)
第2巻
(2024-05-09発行、 978-4107727107)
第3巻
(2024-11-09発行、 978-4107727619)