あらすじ
秘密のベルト編(第1巻~第2巻)
「おきて」の多い城、デルの中で平和に暮らしていた王子のエンドンは、乳母のミンにより、かつて命と引き換えにオルトン国王を守った忠臣の息子、ジャードと兄弟のように育てられた。無二の親友だった二人は共に少年期を楽しく過ごしたが、デルトラ王妃が熱病により急死し、その数日後にはオルトン国王までもが急死してしまう。相次ぐ両親の死により、エンドンは少年の身で国王の座に就く事となった。その即位式で王家に伝わる秘宝、デルトラのベルトがエンドンの腰に巻かれた瞬間、眩(まぶし)く輝くのを見たジャードは、歴代の王がただ一度だけ身につけ、その後すぐに厳重にしまわれる、というベルトに関する「おきて」に違和感を覚える。ベルトについて調べ始めたジャードは、偶然城内の図書室で見慣れない書物「デルトラの書」を見つける。そして、かつて山のかなたより来た影の大王の侵略に立ち向かった、初代王のアディンが作ったデルトラのベルトは、王が身につける事で力を発揮するものであるという真実を知る。デルトラのベルトに関する「おきて」は、首席顧問官のプランディンが作った偽りであり、その目的は王としての力を削ぐためのものであった。真実を知ったジャードは、エンドンの身を案じてそのもとへ駆けつけるが、エンドンは狡猾なプランディンに言いくるめられ、ジャードを裏切者扱いして追い払ってしまう。それから7年が過ぎ、王の力が弱まったと判断したプランディンは、ついに国王夫妻を殺そうと影の大王の大軍を引き入れ、デルトラ国の侵略を開始。国王夫妻の危機に駆けつけたジャードの助力により、プランディンを倒す事はできたものの、戦乱の中、デルトラのベルトに嵌められていた7つの宝石は怪鳥のアクババに持ち去られ、国中に散らばってしまった。失われた宝石を取り戻し、ベルトを蘇らせるため、ジャードは16年間機会を待ち続け、自身の息子、リーフにその悲願を託す。
沈黙の森編(第2巻)
リーフは、浮浪者を装って町の情報収集を続けていた、かつて城の衛兵だったバルダと共に旅立つ。取り戻さねばならない宝石は7つあり、怪鳥のアクババに持ち去られた先の見当はついていた。地図を囲み、行く先の地名を眺めるジャードとバルダは、リーフに最初に向かう地を選ばせる。リーフは冒険が進むにつれて影の大王の警戒は厳重になっていくはずだからと、ためらいなく一番困難だと予測される沈黙の森を選ぶのだった。
沈黙の森にたどり着いたリーフとバルダは、その森に住む少女のジャスミンと出会う。ジャスミンは7歳の時に両親を目の前で影の憲兵団にさらわれ、それ以来両親が戻って来るのを信じて、危険な森で暮らし続けていたのである。ジャスミンは二人の危険な冒険を止めようとするが、リーフとバルダは彼女と別れ、「闇の中の闇」と呼ばれて恐れられる、魔物が棲むという森の最深部へ向かう。そこでは永遠の命を与えるという「命の百合」に固執する、巨大な騎士のゴールが待ち構えていた。ゴールの振るう剣の柄の飾りに、求める宝石、トパーズを見つけたリーフとバルダは、二人を心配してついて来たジャスミンの助けを借り、ゴールを倒してトパーズを入手。戦いの中でバルダは瀕死の重傷を負うものの、「命の百合」が開花し、その花蜜の力で傷を癒す事に成功する。そしてジャスミンは、霊界との扉を開くといわれるトパーズの力で母親と束の間の再会を果たし、リーフ達の旅を支えるよう告げられる。こうしてリーフとバルダは、ジャスミンという新たな旅の仲間を得るのだった。
ニジとドッジ編(第3巻~第4巻)
リーフ、バルダ、ジャスミンは、嘆きの湖へと向かう最短のルートを選択し、魔女のテーガンの領地を通過していた。底が見えないほど深い「V字谷」にかけられた吊り橋の番人、V字谷の巨人の謎かけに命がけで答えたりと困難な道を進んでいく中、三人はララド族のマナスを護送中の影の憲兵団に遭遇。スキを突いてマナスを助け出したリーフ達は、ララド族の暮らすララディンの街の近くにある嘆きの湖への道案内を、マナスに頼む事を決め、彼の回復を待つために近くの民家に世話を願い出る。民家に住む老夫婦のニジとドッジは一行を歓迎するが、実はその二人は魔女のテーガンの子供であり、人喰いの化け物ジニとジッドが化けた姿だった。トパーズの力でジニとジッドの変装を見破ったリーフ、バルダ、ジャスミンは、襲い掛かる二人をからくも撃破する。
嘆きの湖編(第4巻~第5巻)
意識を取り戻したマナスは、リーフ達を連れて、ララディンへの道を急ぐ。その最中、マナスは、5年前にデルの町のレジスタンスにララディンへの援軍を求めて旅立ったものの、途中でジニとジッドに囚われて奴隷のように過ごしていたと語る。そして、ようやく逃げ出したところを、影の憲兵団に囚われたのだという。マナスの話から、ララディンに暮らすララド族が魔女のテーガンの呪いで、100年前から声を奪われた状態にある事を知ったリーフは、非道な魔女、テーガンとの対決の決意を新たにするのだった。
たどり着いたララディンの街は荒らされていたが、人々は追手の目を逃れ、優れた建築技術でその真下に地下都市を再建していた。リーフ達はその逞しさに心打たれつつ、宝石を求めてマナスの案内のもと、嘆きの湖へと向かう。一行が嘆きの湖を訪れると、そこに怪魚、ソルディーンが姿を現す。ソルディーンは湖での暮らしを寂しがっており、その慰めに笛の上手なマナスを置いていけば、代わりにルビーを提供すると提案。一方のリーフは、仲間を置いていけないとソルディーンの要望を突っぱね、二人は戦闘に突入する。だが、そこでトパーズが光を放ち、ソルディーンに過去の記憶の断片を見せるのだった。こうして戦意を喪失したソルディーンはリーフにルビーを託すが、そこへテーガンが姿を現す。テーガンは、血を一滴でも流させれば倒す事ができるが、魔術で全身を守っており、今までそれを成し得たものはいないという強敵であった。だがリーフは、仲間の特技を活かした連携攻撃で、見事勝利を収める事に成功する。
ラット・シティ編(第5巻~第6巻)
アクババが向かった先のネズミの街へ向かう途中、リーフ達はトムの店に立ち寄り、必要な物資を買い求めていた。そこへ、只ならぬ殺気をまとった壮年の男性が現れ、レジスタンスが仲間のあいだで使っている文字を店主のトムに書き記して見せ、買い物を済ませて去っていく。その後、リーフ達はチュルナイの街を訪れる。そこは「清潔の法」で治められる、リーフ達の常識の通用しない不思議な場所だった。沢山のご馳走が並ぶ食堂へ案内されたリーフ達は、ご馳走に興奮して大騒ぎしながら食事するが、そこを町の少女、ティラに、チュルナイでは不作法が厳しく咎められると注意を受ける事となる。その際、ティラはうっかり食事を落とし、鞭100叩きの罰を宣告されてしまう。リーフはティラをかばって場をおさめるものの、同時にジャスミンの胸元に隠れていた魔物のフィリが顔を覗かせた事で、不潔な魔物を連れ込んだとついに投獄されてしまう。投獄されたリーフ達は食事も与えられずにいたが、心配したティラの手引きで脱出に成功。その途中で、リーフ達はトムが影の憲兵団とレジスタンスの双方を相手に商売をしている事実を知るのだった。
改めてネズミの街へ向かうリーフ達は、そこがかつてチュルナイの街の人々が暮していた場所で、魔物のリアがネズミをあやつって疫病を発生させ、「清潔の法」を守る事が唯一の生き残る道であると人々を騙し、影の憲兵団の食糧を作らせていたという真実を知る。リアはリーフを術であやつり、デルトラのベルトを差し出させようとするが、リーフは偶然デルトラのベルトを握った位置がトパーズだったため、真実を見る力に助けられて術から解き放たれる。リーフ達はあやつられたふりをして攻撃を繰り出すが、リアが額に嵌めている未来を知る事のできるオパールの力により、ことごとく先を読まれて交わされてしまう。苦戦を強いられるリーフ達だったが、敢えて正攻法で立ち向かう事でリアの意表を突き、討伐に成功。オパールを入手し、次の目的地へと向かう。
リスメア競技大会編(第6巻~第7巻)
リーフ達は旅の路銀を稼ぐために、リスメアで開催される競技大会に出場する事を決めた。一行は、競技に出る者は逗留費用が掛からないというマザー・ブライトリーの大会公認宿に泊まるが、そこの食堂で、以前トムの店で出会ったレジスタンスの男を見掛ける。ほかの出場者も見るからに猛者揃いである事に気づいたリーフ達は、ケガをしてしまっては元も子もないと出場を辞退しようとする。しかし宿の出口はすべて閉ざされており、いまさら棄権は認められない。しかも、やむなく戻った部屋には、何者かに「命が惜しければ勝ち上がるな」との警告文が差し入れられた。その差出人がレジスタンスの男ではないかと踏んだジャスミンは、脅しには屈しないと激しく対抗意識を燃やし、絶対に優勝すると宣言するのだった。
リーフ、バルダ、ジャスミンの三人は、バトルロワイヤル形式で行われた翌朝の予選をそれぞれ勝ち上がったものの、出場者が八人に絞られた大会本戦で、リーフとバルダが敗北。決勝戦は、ジャスミンと、レジスタンスの男、ジョーカーの一騎打ちとなった。ジャスミンの強い意志を感じたジョーカーは、余力を感じさせつつ場外に落ち、ジャスミンに優勝を譲って会場をあとにするのだった。その夜、マザー・ブライトリーは賞金を手にしたリーフ達を慰労し、ご馳走を振る舞うが、賞金を狙う不心得者に狙われるかもしれないと忠告する。それを聞いたリーフ達は、夜のうちに密かにマザー・ブライトリーに案内された秘密の通路から脱出しようとするが、そこで影の憲兵団に捕まってしまう。マザー・ブライトリーは影の大王の手先であり、優勝者を毎年このようにして影の王国へと引き渡していたのである。だがそこを、夜陰に紛れてジョーカーとその仲間の少年、デインが襲撃。リーフ達を救出したジョーカーは、自らをレジスタンスのリーダーだと名乗り、リーフ達を仲間に迎え入れるため追って来たのだと語る。だがリーフは、自分達がお尋ね者である事を理由に、レジスタンスとは行動を共にはできないと答え、さらに用心を重ねて、デルトラのベルトの宝石を取り戻すという旅の真の目的も隠すのだった。
うごめく砂編(第7巻~第8巻)
うごめく砂へやって来たリーフ、バルダ、ジャスミンは、遮るもののない灼熱の砂漠を進んでいく。リーフは、未来を知らせる力のあるオパールが見せる、不気味な砂嵐の音と幻影に苦しめられていた。そんな中、一行は影の憲兵団の追手と、巨大な昆虫の化け物の襲撃を受ける。影の憲兵団は昆虫の化け物の攻撃により全滅し、化け物は次の目的をリーフ達に定めるが、その時、巨大な砂嵐である「うごめく砂」がリーフを飲み込んでしまう。同時にバルダとジャスミンは「うごめく砂」に武器を飲み込まれ、劣勢に追い込まれる。そんな中、リーフは一人「うごめく砂」と対峙。「うごめく砂」の正体が亡霊の集合体である事を見破ったリーフは亡霊達を浄化し、見事ラピスラズリを手に入れる。
恐怖の山編(第8巻~第9巻)
リーフ、バルダ、ジャスミンは影の王国との国境に位置する恐怖の山へと向かっていた。砂漠を越え、喉がカラカラに乾いていた一行は、「心正しき者は飲むがいい、心悪しき者は報いを受けよ」と記された「夢の泉」を見つけて、喉を潤し、そのほとりで一晩を過ごす事となった。その夜、リーフは父親のジャードが影の憲兵団に捕まって激しい暴行を受けている悪夢を見てしまい、不安を抱く。リーフはその翌朝、泉のほとりで人の言葉を話す有翼の伝説の生き物、キンの子供であるプリンと出会い、誘いに応じていっしょに遊ぶが、その後プリンは影の憲兵団に食事代わりに捕まえられてしまう。リーフ達はプリンを助けようとするが、その時、目の前で泉の水を口にした影の憲兵団が木に姿を変える。無事にプリンを救出してもらったキンの大人達は、リーフに対し、泉の水を飲むと悪人は木になり、善人は魂だけが望む場所へ行き、願う相手に会える事を教えるのだった。これにより、昨夜の夢が現実であると悟ったリーフは、両親を助けに戻ろうとするが、バルダに諭され、旅を続けて宝石を揃える事が両親の一番の願いだと思い直す。その後、改めて恐怖の山へと向かった一行は、かつては誇り高い部族だったグノメ族が、影の憲兵団から守ってもらう事を条件に、毒液を出す化け物のゲリックに奴隷のように働かされている姿を目撃する。リーフ達はグノメ族に影の憲兵団に立ち向かう勇気を思い起こさせ、力を合わせてゲリックを撃破。こうしてリーフ達は、ゲリックの額に嵌っていたエメラルドを手に入れる事に成功する。
決戦編(第9巻~第10巻)
リーフ、バルダ、ジャスミンは、魔物の洞窟へ向かう途中で、影の大王の手先の化け物、オルの襲撃を受ける。人そっくりに化けるオルの不意打ちに苦戦を強いられる一行だったが、そこにデインが助けに現われる。デインは両親の手がかりにつながる街、トーラへ行きたいとの好奇心を抑え切れず、実の父親のように信頼し、共に過ごしていたジョーカーのもとを抜け出して来たのだと語る。デインの外見的特徴から、彼がデルトラの初代の王、アディン王の血族かもしれないと考えたリーフ達は、彼ならば、もとに戻ったデルトラのベルトを使い、影の大王に対抗できるかもしれないと、魔物の洞窟へ行ったあとで、トーラの街へ立ち寄る事を承諾するのだった。
魔物の洞窟でアメジストを手に入れたリーフ達は、トーラの街へ向かう。街は魔法で守られているものの人の姿はなかった。リーフ達はそこで、エンドン王が書いた、王と王妃の身柄を保護してほしいとの手紙が破り捨てられているのを見つける。デルトラ王家とトーラの街を治めるトーラ族は昔から親交があり、トーラ族は王家に永遠に忠誠を誓っていたが、それを破棄した事で街の人々はすべて追放されてしまったのだった。結局何の情報も得られず、がっかりするリーフとデインだったが、そこにデインを探していたジョーカーが姿を現す。そしてジョーカーは、自分がかつて影の王国の闘技場で怪物と戦わされていた身であり、怪物が脱走した混乱に乗じて、瀕死の重傷を負いながら逃げ出して来たのだと過去を語る。そして、闘技場で戦う以前の記憶がない事を打ち明けるのだった。トーラの街には何もないと知っていたジョーカーは、デインには自分と違って希望を持ち続けてほしかったために、あえてトーラの街から遠ざけていたのである。それを聞いたリーフは、ジョーカーを信じるに足る相手と認め、次の目的地がいましめの谷である事を打ち明ける。
いましめの谷を訪れたリーフは、いましめの谷の番人との謎解き対決に勝利して、最後の宝石、ダイアモンドを入手し、ついにすべての宝石を取り戻す事に成功する。旅の道中で、影の大王の支配に苦しんでいた七つの部族を助け、彼らの誇りと敵に立ち向かう勇気を取り戻してきたリーフ達は、七部族の協力を得て、決戦の地、デル城へと向かうのだった。
登場人物・キャラクター
リーフ
16歳の金髪の少年。荒廃したデルの街に暮らしている。ジャードとアンナの一人息子。弱い者を虐(いじ)めるものを許さない、強い心を持つ。幼い頃から、家の中にあったデルトラの書を読み込んでいる。いつか、その本に書かれている伝説のベルトを手にし、邪(よこしま)なものに支配されている自分の国・デルトラを救おうと、心に固く決意を秘めている。 バルダとジャスミンとともに、各地に散らばった宝石を集めに旅を続けている。仲間想いで、大義のために1人を犠牲にすることなく、すべての人に手を差し伸べるのが信条。窮地に立つことがあっても、決して諦めない前向きな性格だが、年相応の素直な子供っぽさを見せることもある。鍛冶屋の父親を手伝っていたため、鍛冶仕事も得意。
ジャード
豊かなひげを生やした、壮年のがっしりとした体格の男性。かつて命と引き換えにオルトン国王を守った忠臣の息子。王子のエンドンと兄弟のように育てられた。23年前、デル城に住んでいた頃には活発な少年で、城の皆が「おきて」を守って暮らしていることに疑問を抱いていた。そのため、「おきて」は影の大王の手先であるプランディンが作った、王に害をなすためのものだと、ただ1人気づく。 だが、即位したばかりの王・エンドンに忠告するものの聞き入れられず、逆に裏切者として城を追われることとなった。16年前、ようやく真実に気づいたエンドンの合図により城に戻り、国を襲った影の大王の手下を率いるプランディンと戦う。しかし、王家に伝わる秘宝・デルトラのベルトは破壊され、宝石は7つともばらばらに持ち去られてしまう。 それらを再び集め、また王に身に着けてもらうことを悲願としている。現在は、長年の貧しく苦しい生活により、実年齢よりも老けて見える。鍛冶屋として働いており、旅立つ息子・リーフのため、剣を鍛えて持たせた。
エンドン
かつてデルトラの国王だった男性。乳母のミンの手で、ジャードと兄弟のように育てられた。父親と母親を若くして亡くし、23年前、まだ少年の内に王として即位した。朗らかで、身分の分け隔てなく人に接する優しさの持ち主だった。即位した後、首席顧問官のプランディンに騙され、親友であったジャードを裏切者扱いして城から追い出してしまった。 16年前、ついに本性を現して影の大王の軍団を引き入れたプランディンに、当時身重だった妻・シャーンとともに命を狙われるが、エンドンを守るために戻って来たジャードに救われる。だがその際、強い力を秘めた秘宝・デルトラのベルトを失い、結果的に影の大王の侵略を許すこととなった。そのため、国民の中にはエンドンのことを快く思わない者もいる。 また、その後行方不明になっており、リーフの旅立ちの時にも姿を現さなかったことが、無責任との印象を持たれる一因になっている。
シャーン
16年前に、デルトラの若い王妃だった女性。長い黒髪に柔和な顔立ちで、夫の王・エンドンの乳母であったミンが亡くなると涙を流して悼む優しさと、城内に裏切者がいることをエンドンに気づかせた知性的な一面を持つ。また、追い詰められた際には、自ら敵に体当たりをし、相手を高所から突き落とすなど、芯が強く、勇気と行動力を併せ持つ。 その後、エンドンとともに行方不明となっており、リーフの旅立ちの時にも、その姿を現すことはなかった。
アンナ
長い髪の中年の女性。ジャードの妻。旅立つ息子のリーフを案じ、日々の食べ物にさえ事欠くような生活の中で、特別な糸を使って織ったマントを持たせた。物静かだが、家族想いの優しい人物。
ジャードの父 (じゃーどのちち)
オルトン国王に仕えていた騎士。ジャードの父親。口ひげを生やした、厳めしい顔立ちの壮年男性。ジャードが4歳の時、国王を守るために謎の男と戦い、退けることには成功したものの命を落とした。その時のショックで、ジャードは自身の父親のことをあまりよく覚えていない。オルトン国王は、ジャードの父の命がけの働きに感動し、彼の一人息子のジャードを自身の息子・エンドンの友人として認めた。
オルトン国王 (おるとんこくおう)
エンドンの父親。デル城に住むデルトラの国王。豊かなあごひげを三つ編みにしている。善政を敷いていたが、エンドンがまだ少年の時に病で急死してしまう。
デルトラ王妃 (でるとらおうひ)
エンドンの母親。デル城に住むデルトラ国の王妃。賑やかな宴の席でも、夫のオルトン国王とともに寛いで楽しんで過ごしていた、朗らかで社交的な性格の持ち主。家族仲も良く、平和な日々を送っていたが、熱病に侵され、エンドンがまだ少年の時に急死してしまった。
ミン
ジャードとエンドンの乳母を務めた中年の女性。ふくよかな外見をしており、デル城内の子供たちに親しまれる陽気で気さくな性格。自身の息子は、城の衛兵として勤めているバルダ。エンドンやジャードをはじめ、育てた子供たちを本当のわが子のように大事に想い、愛情を注いでいる。ジャードがエンドンの暗殺という冤罪をかけられて城を追われ、死んだものとして扱われる中でも、ジャードのことを信じ、生存を願っていた。 ジャードが去った7年後に、彼が城に残した手紙を偶然見つけ、エンドンに届けた。それが原因で、陰謀の首謀者であったプランディンに殺されてしまう。
プランディン
デルトラの国の首席顧問官を務める壮年男性。国内のさまざまな「おきて」を厳格に管理している。ウェービーな黒髪を伸ばし、ボリュームのある半円形の帽子を被り、両目の下に大きなくまのような模様がある。実は影の大王の手先であり、侵略の手助けになるように、長年にわたって国内の「おきて」を、国の弱体化に繋がるように変えていた。 それに気づいたジャードに、国王暗殺の濡れ衣を着せ、エンドンからの信用を失わせて城から追い出した。16年前に影の大王のデルトラの国への侵略を手引きし、さらにデルトラのベルトの破壊にも成功したが、その後、エンドンとシャーン、そしてジャードの前に倒れた。
バルダ
がっしりした体格の壮年の男性。かつてデルトラの城に衛兵として仕えていた。ジャードとエンドンの乳母だったミンの実の息子。16年前にデルトラのベルトが破壊されて宝石が持ち去られて以後、デルの街で、目立たないように汚い恰好をして、リーフの家のそばの路上で暮らし、情報を収集しつつ影の大王への反撃の機会をうかがっていた。 剣術の使い手で、真剣を持つのも初めてのリーフに厳しく指導しながら、ともに旅をする。
ジャスミン
森に棲む美少女。長いウェービーな髪に、動きやすい軽やかな服装をまとっている。7歳の時に両親が影の憲兵団に連れて行かれてしまい、以来沈黙の森で、死んだ影の憲兵団の荷物を奪い、森の果実などを採って一人暮らしをしている。肩に「フィリ」と呼ぶ、玉葱のような大きさのふさふさの生き物を乗せている。また、呼び寄せればすぐにやって来る「クリー」という名の鴉(からす)と、家族同然に仲良く過ごしている。 リーフとバルダを影の憲兵団と勘違いし、最初は見殺しにしようとしていた。その素性を知ってからは、ともに旅をする仲間となる。
フィリ
玉葱くらいの大きさで、ふさふさの毛に覆われた生き物。ジャスミンと家族のように仲が良く、常にジャスミンの肩に乗っている。ニジとドッジの家で、皆が彼らの正体に気づいていなかった時にも、怪しい気配を察知して怯えるなど、勘が鋭い。
クリー
ジャスミンと家族のように仲の良い鴉。親兄弟とともに、強い力を持つ魔女・テーガンにさらわれたが、ただ一羽だけ逃れて、沈黙の森にたどり着いた。賢い鴉で、ジャスミンの危機には身を盾にして彼女を守る。
ジャスミンの母 (じゃすみんのはは)
ジャスミンの母親。長い髪をした若い女性。森で夫と娘とともに暮らしていたが、ジャスミンが7歳の時に影の憲兵団に襲撃され、どこかへ連れ去られてしまった。帰りを信じて待っていたジャスミンの前に、霊界の扉を開くといわれるデルトラの7つの宝石のうちの1つ、トパーズの力を借りて現れたため、既に亡くなっていることが判明する。 この時、リーフとバルダが7つの宝石を取り戻すための旅の手助けをするのが、ジャスミンの運命だと説いた。
ゴール
黄金の鎧をまとった巨大な騎士。沈黙の森でリーフたちを襲った。永遠の命を得ることができる「命の百合」の花蜜を独り占めしたい欲にかられ、トパーズを捜しに来たリーフたちを攻撃した。
V字谷の巨人 (ぶいじだにのきょじん)
V字谷の吊り橋を守る番人。本当は鳥だが、魔女・テーガンの呪いにより、巨人の姿に変えられている。嘆きの湖に向かおうとしていたリーフたちの前に現われ、橋を渡るには謎かけを解くよう要求する。謎かけの歌を歌うが大変な音痴で、謎かけの底意地の悪い難解さと相まって、リーフらを苦しめた。リーフが謎かけに正解したので呪いが解け、人ひとりを背に乗せられるくらいの大きな鳥の姿に戻る。
ニジ
小柄でにこやかな笑みを浮かべる老女。底なし沼に囲まれた小屋に住み、危うく溺れてしまいそうになっていたリーフたちを助け、小屋へと案内してもてなした。だが、7つの宝石のうちの1つトパーズの力で、魔女・テーガンの子の「ジニ」が化けた姿であることを見破られ、倒された。「ドッジ」ことジッドの妹。
ドッジ
小柄でにこやかな笑みを浮かべる老人。底なし沼に囲まれた小屋に住み、沼で溺れかかったリーフたちを助けた。自分たちの小屋に案内してもてなしたが、実は目くらましの魔術をかけ、彼らを食べるために招待したのが真相であった。7つの宝石のうちの1つトパーズの力で、魔女・テーガンの子の「ジッド」が化けた姿であることを見破られ、倒された。 「ニジ」ことジニの兄。
マナス
小柄だが、力の強いララド族の男性。とさかのような髪型が特徴。ララド族の街・ララディンを影の大王が襲撃するとの情報を摑み、デルの街のレジスタンスに助けを求めるため、使者として5年前に旅立った。しかし、人喰いのニジとドッジに捕まって奴隷として扱われ、やっと逃げ出したところを、影の憲兵団に捕らえられてしまった。 そこをリーフら一行に救われ、命をかけてその恩に報いようと考えている。ララド族は魔女・テーガンの呪いによって声を奪われ、しゃべることはできないが、マナスは笛を演奏するのがとても上手い。
テーガン
妙齢の女性のような外見をした魔女。怒りで我を忘れると、悪鬼のような形相になる。100年前、美しい街だったドールを憎み、広大な嘆きの湖に変えてしまった。この時、ドールの長の夫婦・ナニオンとエセナにも呪いをかけ、夫のナニオンをソルディーンという大蛇のような化け物に、妻のエセナを「嘆きの岩」へと変えてしまった。 その非道な行為に抗議した近くの街・ララディンにも、新たに生まれてくる者にまで害を及ぼす、声を奪う呪いをかけた。鴉が大好物で、クリーの両親や兄弟を過去に攫(さら)ったこともある。たった一滴の血を流させるだけで倒すことができるが、全身を魔術で武装しているため、まったく歯が立たず、今まで数多くの者が挑戦しては殺されている。 リーフとクリーの連携攻撃により倒され、すべての呪いが解けることとなった。
ソルディーン
棘を生やした巨大怪魚。身体のいたるところを自在に動かせる。嘆きの湖に住み、近くに住まうララディンの人から恐れられている。魔女・テーガンによって、住んでいた街・ドールごと呪いをかけられ、街は嘆きの湖に、自身は怪魚の姿に変えられてしまった。その記憶も失っていたが、正体はドールの長の青年・ナニオンである。 16年前、デルトラのベルトに埋め込まれていた7つの宝石の内の1つ、ルビーが湖の真ん中にある「嘆きの岩」に落ちて来たのを、心の慰めとして眺めて過ごしていたため、宝石を捜しに来たリーフに襲い掛かった。だがリーフのベルトに埋まったトパーズの力により、失われた記憶を取り戻し、ルビーを差し出して彼らに協力する。 魔女・テーガンが倒されて、もとの青年の姿を取り戻す。
エセナ
魔女・テーガンの呪いによって、「嘆きの岩」に変えられてしまっていた妙齢の女性。嘆きの湖の真ん中に、跪(ひざまず)いて何かを嘆いて顔を覆うように、両掌を近づける姿に似た岩に変えられていた。その手のひらの中に、リーフが探し求めていた2つ目の宝石・ルビーがあった。その正体はソルディーンとなる前のナニオンの妻であり、魔女・テーガンが倒されて、もとの女性の姿を取り戻す。
トム
道具屋の店主を務める壮年の男性。店は魔女・テーガンの支配地を抜けたところにある。つば付きの帽子を被って眼鏡をかけ、ベストを着ている。バルダ、リーフらが気づかないうちに、いつの間にか店内に現れたりと、胡散臭いところがある。レジスタンスにも、影の憲兵団にも商品を売り、誰の味方もしていない商魂たくましい人物。 ただし、リーフらが隠れているのを影の憲兵団に密告せずに見逃したり、旅のヒントになるような言葉をかけたりと、どこか協力的なところがある。
ライ
チュルナイの街を支配する「ネズヌク」の9人の中で、主席を務める謎の人物。全身をくまなく覆う、赤いつるつるの素材でできた独特な装束に身を包んでおり、年齢は不明。言葉遣いと挙動、がっしりとした体つきからは男性と見られる。他所の街では食べ物が乏しい状態であるにも関わらず、豊かな食生活を送っており、よそ者をあまり歓迎していない。 「清潔の法」で街を治めている。その法は、食べ物を床に落とすだけで、有罪として鞭百叩きを課すほどで、食に対する特異な拘りがある。よそ者で作法を知らないリーフらが街の法に従わないことを、当初は容認していたが、動物であるフィリを連れ込んだジャスミンに対しては激怒した。その後は一行を投獄し、食事を一切与えずに餓死させようとする。
ティラ
チュルナイの街で暮らす少女。髪を1つに束ねて、ぴったりと髪を覆う帽子を被り、エプロンのようなものを身に着けている。リーフらが食事の際に大騒ぎをしていたのを注意しようとして、食べ物を落としてしまい、ライに有罪と言い渡された。ただし、リーフが自分たちが悪いと庇ったので、鞭百叩きの罪は取り消される。のちに、投獄されたリーフたちが食事も与えられていないことを知り、ライに不信感を抱く。 また、デルでは傷みかけた食事でも奪い合うほど飢えている、とリーフに聞かされ、街の常識がいかに世間の一般とかけ離れたものかを知ることとなる。
マザー・ブライトリー (まざーぶらいとりー)
リスメアの街にある、「リスメア競技大会」の大会公認宿の女将。ふくよかな体形の中年女性で、フリルのたくさん付いた服を着ている。陽気で朗らかな性格。大会公認宿は「リスメア競技大会」に出場する者のみが利用できる決まりで、出場者の面倒を、驚くほどの安価で引き受けている。
ジョーカー
レジスタンスのリーダーを務める壮年の男性。顔に目立つ傷がある。リーフ、バルダ、ジャスミンの行く先々に現れ、影の大王の支配に抗うための活動を、独自に行っている。無口だが威圧感があり、只ならぬ殺気をまとっている。
デイン
レジスタンスに所属している少年。短い黒髪に黒い瞳の、穏やかそうな顔立ちをしている。幼い頃に両親を影の憲兵団に連れ去られ、1人ぼっちになったところをジョーカーに拾われ、以来行動をともにしている。
影の大王 (かげのだいおう)
デルトラの国を支配しようと目論む恐るべき敵。強い力を持っており、デル城から見える大きな山の向こうからやって来る、とデルトラの書に記されている。
集団・組織
影の憲兵団 (かげのけんぺいだん)
影の大王の手下の軍団。各地で略奪し、暴力を振るい、奴隷にするために人をさらう、などの非道な行為を繰り返している。
レジスタンス
影の大王を倒すために団結した抵抗軍。各地に散らばっており、レジスタンス所属の者は、鳥を模したV字の両端を少し伸ばしたマークを使い、仲間を識別している。このマークにはもう1つ、「自由」と言う意味が込められている。
場所
デル
高い丘の上にそびえるデル城と、そのふもとに広がる街で構成されている街。デル城には、デルトラの地の7つの部族を統一した王が住んでいる。デル城から見たデルの街は美しく、富み栄えているように見える。それは、城を覆う霧によって見せられていた幻であり、実は餓死者も出るほどに貧しい街。城から外に出てはいけないという「おきて」のために、城と城下街の行き来は、影の大王の手下1人だけしか許可されていない。 国王ら城の住人は、デルの街は栄え、国は平和だと信じ込まされていた。16年前にデル城は影の大王の軍勢に攻め落とされたが、この時に初めて、王・エンドンたちは事実を知ることとなった。
ララディン
嘆きの湖の近くにある、ララド族の街。嘆きの湖はもともとドールという街だったが、魔女・テーガンの呪いで湖に変えられてしまった。それに抗議したララド族も声を奪われる呪いをかけられ、以来100年間、ララディンの街から声は失われている。だが建築の技術に優れた屈強な民族であるララド族は地下都市を作り、影の大王の侵攻から逃れている。
チュルナイ
ネズミの街に向かう途中、リーフら一行が運び込まれた都市。リーフらはトラブルに見舞われて、この都市の門の傍で行き倒れていた。住人たちは皆調理人のようにぴっちりした帽子を被り、エプロンのようなものが付いた同じ衣服を身に着けている。独特のしきたりである、「清潔の法」を固く守って暮らしており、ネズヌクと言われる9人の清浄委員が上に立ち、民を治めている。 ネズヌクの服は真っ赤で重く、肌の露出のないつるつるした生地で、顔も露わにしていないため、9人の年齢等は一見して判断できない。ここでは、デルの街のような飢えはなく、豊かな食事が提供されている。
沈黙の森 (ちんもくのもり)
リーフたちが最初に向かった目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。影の憲兵団さえ近づかない、最も恐ろしい魔境といわれている。旅の仲間となる美少女ジャスミンが1人で暮らしている他、旅人を喰らう怪物と、「命の百合」を独り占めし、永遠の命を得るという欲望に取りつかれ、魔物と化した騎士ゴールが、森の奥に住んでいる。
嘆きの湖 (なげきのみずうみ)
リーフたちの2番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。もともとは「黄金の街」を意味する「ドール」という名の街だった。その名の通りに花咲き乱れ木々が生い茂り、黄金の塔のある美しい街だった。美しいものすべてを憎む魔女・テーガンの呪いにより、現在は寂しく暗い雰囲気の嘆きの湖に変えられてしまった。
ネズミの街 (ねずみのまち)
リーフたちの3番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。呪われた地との噂もあり、遠くから眺めたものはいても、中に入った者の話は伝わっていない。城壁で囲まれた廃墟のような街であり、「はばひろ川」のほとりにあるとの情報くらいしか知られていない。リーフたちが近所で野営をした時、辺り一面を埋め尽くす程のネズミが大量発生し、一晩中襲われた。 今は廃墟となった「ラット・シティ」の地下に、かつて影の大王の手下が疫病を運ぶネズミを大量に放った。そのため、街の住人は清潔を狂信するようになり、それまで住んでいた街を捨て、近隣のチュルナイに街を移した。
リスメア
リーフたちの目的地・うごめく砂に向かう途中にあった街。リーフたちが路銀を稼ぎに訪れた。到着した時期には、ちょうど参加者が全力で力を競い戦う大会「リスメア競技大会」が始まる直前だった。安価だが、「リスメア競技大会」参加者しか泊まれないマザー・ブライトリーの大会公認宿に宿泊したため、リーフ、バルダ、ジャスミンは大会への参加を余儀なくされることとなる。
うごめく砂 (うごめくすな)
リーフたちの4番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。細い山のような塔が中央にそびえ立つ、広大な砂漠。人喰いの怪物や、さらに強力な力を持つ砂嵐のような怪物も住み着いている。
恐怖の山 (きょうふのやま)
リーフたちの5番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。影の大王が支配する「影の王国」との国境に位置しており、棘だらけの木に覆われた山。「グノメ族」という小柄な民族が住んでいる。
魔物の洞窟 (まもののどうくつ)
リーフたちの6番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。海のそばにあり、潮を吹き出す岩のそばに位置している。
いましめの谷 (いましめのたに)
リーフたちの7番目の目的地。7つの宝石を奪った怪鳥「アクババ」が飛び去って行った先の魔境の1つ。行き所のない魂が彷徨う、苦痛に満ちた場所といわれている。ガラスの宮殿に住んで、化け物をペットとして飼っている「いましめの谷の番人」が、宝石を守っていた。
その他キーワード
デルトラの書 (でるとらのしょ)
デルのデル城の図書室にあった本。まるで隠されているかのように、高い場所に離れて置かれていた。公には語られていない、影の大王とデルトラの初代の王の戦いの詳細が記され、その際に重要な役割を担ったデルトラのベルトについても記載されている。デルトラのベルトは、王の血族が身に着けるとその効力を発揮し、影の大王に対抗する重要な役割を担う、と明記されている。 しかし、国民はおろか王でさえもその事実を知らない。影の大王の送り込んだ手下によってデルトラの書が隠され、真実をゆがめて伝えられていたことがその理由である。現在、デルトラのベルトの真実を知る者はジャード、エンドン、シャーン、アンナ、それにリーフとバルダ、ジャスミンのみである。 デル城を追われた際にジャードが持ち出したため、今は彼の家に置かれている。
デルトラのベルト
デルトラの王家に伝わる秘宝。それぞれに宝石が埋め込まれた7つのメダルを、つなぎ合わせて作られた美しいベルト。まるでそれぞれの宝石が、意志を持っているかのように感じさせる。初代の王・アディンが夢のお告げに従って作ったもの。7つの鋼鉄のメダルを薄くなるまで叩きのばして鎖でつなげ、それぞれのメダルに宝石を埋め込んである。即位式の時だけ王の腰に巻かれ、その後はデル城にある高い塔の最上階にしまわれている。 これは、国を裏切って影の大王に内通しているデル城の首席顧問官・プランディンが決めた「おきて」であった。デルトラの王が身に着けると力を発揮するデルトラのベルトを、弱体化させるための企みだった。16年前にバラバラに壊され、7つの宝石は影の大王の眷属の巨大な怪鳥・アクババに持ち去られてしまった。
トパーズ
デルトラのベルトに嵌っていた7つの宝石の内の1つ。リーフたちが最初に取り戻した宝石。精神を強め、心の目を洗い清める他、あの世とこの世を繋ぐ力も秘めている。
ルビー
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが取り戻した2つ目の宝石。幸福の印といわれる赤い石。邪悪な怪物の存在を感知すると、色あせて知らせる力を持つ。
オパール
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが3つ目に取り戻した宝石。七色に光り輝く宝石。希望の宝石ともいわれ、未来を見せる力がある。
ラピスラズリ
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが4つ目に取り戻した群青色の宝石。強力な魔除けになる神力の石ともいわれている。
エメラルド
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが5つ目に取り戻した緑色の宝石。誓いが破られた時に、色あせて知らせてくれる。
アメジスト
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが6つ目に取り戻した、真実を司る宝石。菫のような紫色で、病を予知できる。
ダイアモンド
デルトラのベルトに嵌っていた、7つの宝石の内の1つ。リーフたちが最後に取り戻した宝石。透明で、純血と力の象徴。心正しき者に勇気と力を与える。
クレジット
- 原作
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エミリー・ロッダ