白龍の里から日本の高校へ
中国の青海省の奥地には、2本の角と鋭い牙を持ち、拳に龍神を宿す「白龍一族」が人知れず暮らしている。本作の主人公、嶺飛龍は、白龍一族の現族長の一人息子である。一族の者は皆、白銀色の宝玉を抱いて生まれてくるが、生まれながらにして長となるべく定められた代々の嫡子のみ、宝玉は黒銀色である。しかし、飛龍の宝玉は澄んだ透明色だったため異端とされた。加えて武術でも平凡に見えたことから、同胞の反感を買い続けることになる。そんなある日、飛龍は襲われている少女を助けるため、うっかり人間を殺してしまう。自分たちの存在を里人に知られることを恐れた白龍一族は、飛龍を日本に追放し光嵐高校に転入させた。
謎めいた美少女をめぐる戦い
日本の光嵐高校に転入した飛龍は、謎めいた美少女の冬香と出会う。彼女は、峰聖高校からの転校生であり、杉浦実次が率いる峰聖の生徒たちに追われていた。成り行きで冬香を助けた飛龍は、彼女から驚くべき話を聞く。冬香は峰聖の生物部部室で生まれた複製(クローン)で、オリジナルは実験ミスで死亡したという。冬香は実験の産物として扱われることや、オリジナルの代わりをさせられることを拒否し、光嵐高校にやってきたのだ。冬香に共感した飛龍は、彼女を取り戻そうとする杉浦たちと戦うことになる。
分身・小雷の出現と麒麟族との戦い
飛龍の戦いの基本は中国拳法を使用したものだが、力が解放されると、2本の角が出現し、通常とは段違いのスピードで動けるようになる。また、飛龍の体内に封印されていた従兄弟、小雷が冬香をめぐる戦いをきっかけに姿を現す。飛龍と同じ日に、同じ透明色の宝玉を抱いて生まれた小雷は、飛龍の分身である。そのままでは、寿命が本来の半分になるという理由で、小雷は飛龍の体内に封印されていたのだ。そんな二人と透明色の宝玉を狙うのが、「仁獣」と呼ばれる麒麟族である。彼らは小雷を人質にとり、透明色の宝玉を要求する。
登場人物・キャラクター
嶺 飛龍 (りん ふぇいろん)
赤い目をした白龍一族族長の一人息子。長の証といわれる黒銀色ではなく、澄んだ透明色の宝玉を抱いて生まれたことで、一族の不信を買う。女性を助けるために人間を殺してしまったため、白龍一族から一時追放され、日本の高校に入学する。中国拳法の使い手で、力が解放されると2本の角と牙が現れ、凄まじい力を発揮する。
向坂 吟子 (さきさか ぎんこ)
ロングヘアーが特徴の女子高生。麒麟族に襲われ、力尽き倒れていた飛龍を助ける。病院を経営する祖父と二人暮らしをしていたが、飛龍と接触したことをきっかけに祖父が殺されてしまう。そのせいで飛龍を拒絶していたが、やがて彼を許して二人で同居する。
書誌情報
ドラゴン・フィスト 全14巻 新書館〈ウィングス・コミックス〉
第1巻
(1988-06-06発行、 978-4403611605)
第14巻
(2005-05-24発行、 978-4403617942)