ナチュラル

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世界に君臨するトップモデルの母親は、まだ幼い少女・宮原直を捨てて家を出て行った。やがて成長し、背が高いだけが特徴の地味な少女となった直は、いつか自分を捨てた母親を見返すために、あえて母親と同じモデルの道を選ぶ。駆け出しのモデルだった少女が飛び込んだ、華やかなショービジネスの世界を赤裸々に描いたサクセスストーリー。「マーガレット」で1989年から1991年にかけて連載された作品。

正式名称
ナチュラル
ふりがな
なちゅらる
作者
ジャンル
モデル
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概要・あらすじ

自分を置いて出て行った母親を憎む宮原直は、華やかな母親とは似ても似つかぬ地味な女子で、周囲からも常に母親と比べられては溜め息をつかれていた。そんなある日、後輩の藤田愛美が読者モデルをすることになったと聞き、母親を思い出して複雑な思いに駆られてしまう。それまではいつも裏方に回っていた直だったが、文化祭での急な欠員により、愛美の強引な勧めもあって演劇の代役に引っ張り出されることとなった。

そこでスポットライトを浴びた直は、これが母親の見た世界なのかと思い知り、ついに母親と同じモデルという華やかな道を進むことを決意する。だが、直を待ち受けていたのは決して順風満帆なスタートではなく、所属事務所すらもなかなか決まらないという厳しい現実だった。

登場人物・キャラクター

宮原 直 (みやはら すなお)

中学生の女子で、世界一のトップモデル峰京子と、大学教授を務める宮原直喬の娘。幼い頃に両親が離婚しており、現在は父親と暮らしている。中学では演劇部に所属しているが、裏方ばかりを担当している。京子に似て人並み外れた高身長が自慢だが、一方で京子の娘とは思えないほど外見は地味。しかし文化祭でたまたまステージに立ったことをきっかけに、京子と同じ世界に入り、自分を捨てた彼女を見返してやろうと考え、モデルを目指すようになった。 かつて男性のトップモデルだった青山譲二に素質を見出され、彼と仕事をともにするうち少しずつ惹かれていく。そして、日本最高のモデルである渡辺一行やRIEたちとの共演を果たしながら、常に強い刺激を受け続け、次第にモデルとして大きく成長。 やがて、雑誌「ミスティ」の専属契約を懸けた「ミス・アナベル」の座を栗原絵美、吉川孝子、日野ゆり子、高林貴美子らと争うまでに人気を博すことになる。母親の京子を超えるモデルになることが最終的な目標である。

峰 京子 (みね きょうこ)

世界一のトップモデルとして知られる女性で、すべてのモデルが憧れる最高の存在として、長年モデル界に君臨している。世界中の名だたるデザイナーのコレクションをほしいままにし、モデルとして他の追随を許さない圧倒的な存在感の持ち主。まだモデルとして駆け出しの頃に宮原直喬と結婚して宮原直を授かったものの、モデルの道を極めるためにすべてを捨てて仕事に打ち込む道を選んだ。 渡辺一行と熱愛の噂があるが、真偽は不明。しかし、自身のイメージアップのためであれば、どんなスキャンダルも逆手にとるしたたかさを持つ。娘である直がモデルの世界に飛び込んできてからも、彼女が決して超えられない壁としてその前に容赦なく立ちはだかる。

青山 譲二 (あおやま じょーじ)

かつて国内No.1の売れっ子モデルだった男性。第一線を退いた現在はモデルプロダクションを経営しており、若手モデルのサポートを行っている。いつも穏やかで紳士的な振る舞いは、宮原直のみならず女性であれば誰でも骨抜きにしてしまうほどである。峰京子の娘ということで紹介された直を最高のモデルにするため、全身全霊をかけて育成しようとする。 やがて、全力で自分にぶつかってくる直にいつしか愛情を抱くようになるが、本当の胸の内は誰にも明かしていない。

渡辺 一行 (わたなべ かずゆき)

国内No.1の売れっ子男性モデル。メイクや髪形をセットする前は地味な雰囲気だが、一度モデルのスイッチが入ると別人のように変貌を遂げる。峰京子との熱愛が噂されているが、事実関係ははっきりとしていない。子供の頃、火事で母親と姉を失うという壮絶な経験をし、現在でもその心の傷は癒えていない。青山譲二に対して強い敵対心を持ち、彼が大切にしている宮原直を潰すべく、モデル生命を懸けて徹底的に対抗しようとする。

藤田 愛美 (ふじた まなみ)

宮原直と同じ中学校に通う後輩の女子。ぽっと出の読者モデルだったが、やがて日本を代表するアイドルとなり、直を脅かす存在となっていく。愛らしい外見からは想像もつかないほど激しい闘志の持ち主で、自分が有名になるためならどんな苦難もいとわない。直をライバル視しているが、表面上はかわいい後輩として振る舞っている。

RIE (りえ)

スタイルNo.1として名高い女性トップモデル。日本人離れした長い手足が何よりも自慢で、天性の勘を活かした自由奔放なポージングを得意とする。青山譲二の熱狂的な大ファンで、彼に目をかけられて大切にされている宮原直に強いライバル心を抱く。負けず嫌いであけすけな性格で、そんなRIEとの関わりが、モデルとして未熟だった直の殻を一気に打ち破るきっかけとなった。 ダンサーを目指していたが、足の故障によって道を閉ざされてしまった過去がある。

杉山 はるな (すぎやま はるな)

現在人気急上昇中の売れっ子女性モデル。宮原直の強力なライバルの1人として、雑誌の専属モデルの座を争うことになる。両親が飲食店を経営しており、モデルの仕事がない時は店を手伝うこともある。昔は肥満体型だったが壮絶なダイエットを経て現在の体型を手に入れた。過去の自分がコンプレックスになっており、過度な食事制限をすることで体型を維持している。 天使のような微笑みの裏側にはモデルの仕事に執念を燃やす熱い一面を秘めているが、決して人前でそれを表に出すことはない。

栗原 絵美 (くりはら えみ)

雑誌「ラ・モード」でモデルを務める女性。元不良だったが、マネージャーのスカウトによってモデルの世界へと飛び込んだ。もうすぐ結婚するマネージャーに想いを寄せているが、その気持ちを打ち明けられないまま心に秘めている。清涼飲料水のCMガールを務めるなど精力的に仕事をこなしており、宮原直、吉川孝子、日野ゆり子、高林貴美子らとともに雑誌「ミスティ」の専属契約を懸けた「ミス・アナベル」の座を争うライバルの1人として、人気を争うことになる。

吉川 孝子 (よしかわ たかこ)

雑誌「ルール」でモデルを務める女性。3歳の頃からモデルの経験があり、若くして相当なキャリアを持つ。かつて母親がモデルを目指していたが叶わず、その夢は孝子に託されている。ステージママとして常に自分に付き添っている母親への不満を抱えてはいるものの、プロ意識は高く仕事はそつなくこなしている。宮原直、栗原絵美、日野ゆり子、高林貴美子らとともに雑誌「ミスティ」の専属契約を懸けた「ミス・アナベル」の座を争うライバルの1人として、人気を争うことになる。

日野 ゆり子 (ひの ゆりこ)

雑誌「フォーリン」でモデルを務める女性。世界に名を馳せる大企業「HINOエレクトロニクス」の社長令嬢。ミス日本に輝いたことがもあるが、幼い頃から恵まれた環境で育ってきたためかハングリー精神に欠けており、それがモデルとしての魅力を欠く最大の要因となっている。宮原直、栗原絵美、吉川孝子、高林貴美子らとともに雑誌「ミスティ」の専属契約を懸けた「ミス・アナベル」の座を争うが、他のメンバーの強烈な個性の前では控えめな印象となってしまう。

高林 貴美子 (たかばやし きみこ)

雑誌「エム」でモデルを務める女性。ブラジルで生まれたこともあってラテンのリズムが体に刻まれており、それがモデルとしての魅力に拍車をかけている。普段は口数が少ないため、周囲から日本語が分からないのかと思われるほどだが、感情的になると溢れるほどの言葉が出てくるタイプ。宮原直、栗原絵美、吉川孝子、日野ゆり子らとともに雑誌「ミスティ」の専属契約を懸けた「ミス・アナベル」の座を争い、モデルとして最大限の魅力を発揮する。

ヒロ・川口 (ひろかわぐち)

世界各地のショーで大活躍するメイクアップアーティストの男性。どんな女性も華麗なメイクで大変身させてしまうことから「メイクアップの魔術師」の異名を持つ。誰の味方でもない得体の知れない男だが、密かに青山譲二を慕っている。譲二が大切にしている宮原直につい意地悪をしてしまい、ちょっとした一言で直を傷つけてしまうことがある。

夏川 真生 (なつかわ まお)

日本でただ1人、世界に通用するロックスターの男性。青山譲二と交友関係があり、宮原直が出演するプロモーションビデオに楽曲を提供することになる。かつて、自分の結婚式に譲二から真っ赤な花束を届けられ、今でもそれを根に持っているが、実はこれは花屋の手違いが原因である。

小林 里佳子 (こばやし りかこ)

CF撮影のADを務める女性。CF大賞に輝いたこともあるCMのアイデアコンテを数多く手がけてきたが、女性であるという理由だけで今まで正当な評価を得たことがなかった。宮原直のプロモーションビデオを手掛けたいと青山譲二に直談判し、直が最も美しく輝くコンテを提案して直を唸らせた。とことんまでこだわり抜く姿勢とプロ根性の持ち主であり、誰よりも作品作りへの強い信念を持っている。

宮原 直喬 (みやはら なおたか)

宮原直の父親で、大学教授を務める男性。かつて峰京子と結婚していたが、離婚して現在は直と2人で暮らしている。穏やかで優しい性格をしており、京子と同じ道を歩みたいと言い出した直の意見も快く受け止めた。長年、独身を貫いており、誰とも再婚せずに男手一つで直の面倒を見ている。直からは親しみを込めて「オヤジ殿」と呼ばれている。

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