ニジとクロ

ニジとクロ

武梨えりが代表作『かんなぎ』完結から1年後にスタートした作品。現代の東京を舞台に、何事も白黒はっきりさせないと気がすまない性格の女子大生、白星クロエと、不思議な生物「ニジイロテンゴクオウム」のニジが織りなす共同生活を描いた日常譚。一迅社「月刊ComicREX」2018年9月号から2020年12月号まで連載。

正式名称
ニジとクロ
ふりがな
にじとくろ
作者
ジャンル
動物・ペット
レーベル
REXコミックス(一迅社)
巻数
全3巻完結
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謎の動物「ニジイロテンゴクオウム」との出会い

クロエは、店で客のトラブルに巻き込まれ、理不尽にもアルバイトを解雇されてしまう。自分にはなんの非がない解雇にやりきれない思いを抱えながら帰路につく途中、クロエはゴミ捨て場でケージに入れられた「ニジイロテンゴクオウム」を見つけ、保護する。当初、飼い主が見つかるまでの一時的な保護と考えていたが、もし見つからなければ里親を探すつもりだった。しかし、いっしょに過ごすうちに彼はクロエを生涯のパートナーとして選んだことで、譲渡が難しい状況に陥ってしまう。クロエはそのニジイロテンゴクオウムを「ニジ」と名付け、新しい家族として迎え入れることを決意する。

南太平洋の美しい固有種とその繊細な性質

「ニジイロテンゴクオウム」は、極彩色の羽毛と丸みを帯びた体型が特徴の、南太平洋の「ホヘツヘッキョルリホホ島」原産の固有種。「ハッピーマウス」とも呼ばれ、日本国内では個体数が非常に少ないため、300万円もの高額で取引されることもある。知能が高く、人間の言葉を真似たり、美しい声で歌ったりすることができる。寿命は80年と非常に長いが、一度パートナーとして選んだ相手と引き離されると、自傷や拒食によって死に至ることもあるほど、繊細な性質を持っている。パートナーは同種に限らず、飼い主の人間を選ぶこともある。また、お湯を浴びると「ハッピー脂腺」と呼ばれる器官から、魅惑的な香りを放つ特殊な脂肪が分泌されるというユニークな習性も持っている。

クロエと仲間たちの交流

ニジを正式に家族として迎え入れたクロエは、ある日何気なくSNSを眺めていると、「ナナ」や「ラルク」という2羽のニジイロテンゴクオウムの日常を綴ったアカウントを見つける。早速そのアカウントをフォローし、愛らしい投稿を楽しんでいたクロエは、ナナの飼い主が飼育仲間を募集していることを知る。そこで、自分もニジを飼っていることを明かし、ダイレクトメッセージで交流を始めた。そんなある日、クロエは偶然にもナナの飼い主、田中藍と出会う。藍はクロエより10歳年上だったが、二人はすぐに意気投合し、ママ友ならぬ「鳥友」として親しくなる。さらに、藍の夫、惠や、ラルクの飼い主である高台大介とも知り合い、クロエとニジの共同生活は、飼い主仲間との交流によって一層彩り豊かなものになっていく。

登場人物・キャラクター

白星 クロエ (しらほし くろえ)

東京の大学に通う1年生の女子。母親のりえと二人暮らし。年齢は18歳。強気な性格ながらも、少し世間知らずな一面がある。何事にも白黒はっきりさせないと気が済まないため、その性格が災いしてアルバイト先でトラブルを起こし、母親からしばしば叱責を受けている。ある日、ゴミ捨て場でケージに入れられた「ニジイロテンゴクオウム」を発見し、飼い主が見つかるまで預かることになった。しかし、飼い主は一向に現れず、鳥がクロエをパートナーとして認識してしまったため、「ニジ」と名付けて正式に家族として迎え入れることにした。当初は、ふつうの鳥とはまったく異なるニジの習性に苦労したが、彼が心を開いてくれるのを実感するにつれて、共に過ごす日々に喜びを見出すようになっていく。

ニジ

「ハッピーマウス」の異名を持つ不思議な生物「ニジイロテンゴクオウム」のオス。4本の脚で歩き、ふわふわの虹色の羽毛を持つ。ゴミ捨て場でケージごと捨てられていたところをクロエに保護され、そのまま白星家の一員となった。種族名にちなんで、クロエから「ニジ」と名付けられる。好奇心旺盛な性格で、聞いた言葉をすぐに真似したり、珍しいものに飛びついたりする。パートナーとして選んだクロエに非常に懐いており、いっしょに風呂に入りたがったり、クロエが落ち込んでいると心配そうに見守ったりするなど、優しく甘えん坊な一面を見せる。

書誌情報

ニジとクロ 全3巻 一迅社〈REXコミックス〉

第1巻

(2019-06-27発行、978-4758068093)

第2巻

(2020-02-27発行、978-4758068499)

第3巻

(2021-01-27発行、978-4758068970)

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