ネコあね。

ネコあね。

人間に化けることができるようになった猫とその飼い主の家族との関係を描いたほのぼのハートフルコメディ。奈良一平のデビュー作で、「別冊少年マガジン」2010年4月号から2013年2月号にかけて連載された。明言はされていないが、作中では江ノ島電鉄を彷彿させる電車や沿線地域をもじった地域名が多数登場することから、舞台のモデルは鎌倉市と考えられる。

正式名称
ネコあね。
ふりがな
ねこあね
作者
ジャンル
日常
関連商品
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概要・あらすじ

御堂銀ノ介は幼い頃に両親を亡くし、祖母と1匹の飼い猫と暮らす高校生。ある日、彼はいつも通り猫と一緒に布団に入ったが、翌朝目覚めると布団の上には頭部に猫耳が生えた全裸の美少女が丸まっていた。身に覚えのない銀ノ介が慌ててその素性を聞き出すと、少女は自分のことを銀ノ介の飼い猫である「杏子」だと語る。

登場人物・キャラクター

御堂 銀ノ介 (みどう ぎんのすけ)

スクエア型のメガネをかけた男子高校生。幼い頃に両親を亡くし、海沿いの街で婆ちゃん、飼い猫の杏子と暮らしている。人の心を思いやる優しさを持ち、婆ちゃんに苦労を掛けまいと家事手伝いも自ら進んで行う、真面目で家庭的な性格。しかし、思春期の男の子らしい面もあり、杏子いわく押入れの奥には猫耳をつけた女性が載っている雑誌を隠している。 杏子が人間になった当初は困惑していたものの、一度受け入れてからは徐々に家族としてなくてはならない存在と思うようになっていく。

杏子 (あんず)

御堂銀ノ介が婆ちゃんに引き取られる前から御堂家で飼われている猫。手足や耳、尻尾の先が黒く、それ以外の体毛が白い、ポインテッドカラーの毛色を持つ。猫又となってからは尻尾の先が二又に分かれている。かつて銀ノ介が引き取られてくる前、婆ちゃんから「銀ノ介のお姉さんになってあげて」と頼まれたことをずっと覚えており、その想いが通じて猫又となった。 ちなみに服を着ている人型の状態から猫型になると何も着ていない状態になり、猫型から人型になる際には、以前人型を取っていた時の服装に戻る都合のいい現象が起こる。一方で人型に変身しても耳と尻尾は残ってしまう他、極度の混乱・興奮状態に陥ると思考や習性が猫に戻ってしまう。銀ノ介に対しては自分が姉であるという意識から努めて人格者らしく振舞おうとしているが、人間として経験不足のうえ、そもそも銀ノ介ができた人物であるため、叱られたり、逆に甘やかされることが多い。

婆ちゃん (ばあちゃん)

御堂銀ノ介の祖母で杏子の飼い主。銀ノ介の半分ほどの小さな背丈でフィンチ型のメガネをかけている。心優しい穏やかな性格で、杏子が猫又となって人間になれることを即座に受け入れるほど大らかにして柔軟な思考の持ち主。銀ノ介との生活を支えるため、老齢ながらカフェで働いて生計を立てている。文字を美しく書くことにこだわりがあり、そのことになると少々うるさい。

早瀬 沙希 (はやせ さき)

御堂銀ノ介のクラスメイトで親友の女の子。ショートカットにいつも半目で、ハイライトのない瞳が特徴。落ち着き払って何事にも動じない性格の持ち主で、銀ノ介に下着姿を見られた時も、特に表情を変えることはなかった。しかし、後になってからそれを思い出し赤面するなど乙女な一面もある。音楽に造詣が深く、銀ノ介の父親が所有していたモノラル版レコードを借りるため御堂家を訪れた際、杏子が人間に変身できる猫であることを知ってしまう。 しかし特に慌てることもなく、素直に受け止めた。このことにより、御堂家以外の人間では数少ない、杏子の秘密を知る人物となっている。なお銀ノ介には好意を寄せているが、達観した性格からかそれが恋だと自覚できていないでいる。 デジタル系の機械が苦手。

橋本 恵美 (はしもと めぐみ)

汐ノ森商店街の八百屋「はしもと」の一人娘で、御堂銀ノ介の知人。過去にオニヤンマを夢中で追いかけて両親とはぐれてしまい、迷子になったところを銀ノ介に発見されて以来、仲良くなった。家が近所で銀ノ介らが店の常連ということもあり、それ以降も年の離れた友人として何かと付き合いがある。非常に活発でやんちゃな少女で、運動神経も抜群。 鉄棒で連続逆上がりができるほか、ホッピングを駆って走るよりも速く動くことができ、1日でセミを100匹捕まえたと噂されるなど、数々の逸話を持つ。ちなみにオニヤンマを追いかけて迷子になった際、「二度とトンボは追いかけない」と誓っていたが、その誓いものちに破られることとなる。

雄介 (ゆうすけ)

御堂銀ノ介のクラスメイトで、センター分けの髪型をした男子。明るく朗らかだが、「トンジャラ」というゲームに異様なまでの執着を見せるというちょっと変わった性格をしている。将来の夢はトンジャラのプロ選手になることだったが、プロの世界が存在しないことを知ってからは石油を掘り当てることに変更した。

ダイアナ

ジョセフィーヌの姉で、杏子の友人のメス猫。フサフサの白い毛並みを持つ長毛種で、色気のある目つきをしている。口調や振る舞いは上品だが、ちょっと抜けたところのある杏子をからかっては窘めるという悪趣味な嗜好がある。しかし、決してバカにしているのではなく、仲は非常に良い。かつて原田源造に飼われていたが、源造が登山に行った後に行方不明になってからは、その帰りを待ちつつ野良として街に住み着いている。 御堂家の面々とは時々コタツを「ご馳走」になる仲。

ジョセフィーヌ

ダイアナの妹で、杏子の友人のメス猫。姉と同じくフサフサの毛並みだが、体毛色はグレー。ダイアナが杏子をからかった際、間の抜けた杏子の返答にツッコミを入れつつ笑うのが趣味。かつて原田源造に飼われていたが、源造が登山に行って行方不明になってからは、その帰りを待ちつつ野良として街に住み着いている。御堂家の面々とは時々コタツを「ご馳走」になる仲。

原田 源造 (はらだ げんぞう)

かつてダイアナとジョセフィーヌを飼っていた老年の男性。老いてなお壮健といった立ち居振る舞いで、猫たちが寒さに震えるなか、庭で乾布摩擦をするほど元気だった。しかし、数年前に友人らと登山に出掛け、帰らぬ人となった。

チュー太郎 (ちゅーたろう)

杏子の親友のネズミ。過去に杏子と一騎打ちをして引き分けに持ち込んだ剛の者。真面目で一本気、嘘のつけない素直な性格をしている。当時は名前がなかったが、親睦を深めるうちに杏子に「チュー太郎」と命名された。「太郎」と名が付いているがメス。杏子が猫又になってしばらく後に、そのもとを訪ねてくる。その際、自身の尻尾も二又に分かれていたため、それを指摘されて初めて人型になれることに気付く。 それ以来、御堂家の一員として暮らすようになる。人型時は、髪型はパッツン前髪に後ろで1つにまとめた長い三つ編み、頭頂部からアホ毛が1本生え、巫女服のような和装姿で御堂銀ノ介の腰ほどの身長の小さな女の子になる。杏子と同じく人型になってもネズミ耳と尻尾は隠せない。

花子 (はなこ)

御堂銀ノ介の街に住む吉沢宅で飼われている犬。よく吠えるが人懐っこい性格をしている。杏子が婆ちゃんから「犬の鬼がいる」という話を聞いた後、花子が銀ノ介に吠え掛かっている場面に遭遇し、これが話に聞いた犬の鬼ではないかと豆もやしを投げつけた。

お稲荷さん (おいなりさん)

御堂銀ノ介や杏子が暮らしている汐ノ森の隣町に住むとされる狐の神様。チュー太郎が聞いた噂によれば、千里を見通す目と時間を巻き戻す力を持つとされる。このことから、銀ノ介の誕生日を改めて祝うため、時間を巻き戻してもらおうと考えた杏子の訪問を受けることとなる。

灯台のウミネコ (とうだいのうみねこ)

犬鳴崎灯台周辺に住んでいるウミネコ。灯台を訪れた杏子とチュー太郎に大学のことについて聞かれ、知っている限りの情報を教える。

長老 (ちょうろう)

御堂銀ノ介の暮らす汐ノ森町に住む三毛の老メス猫。婆ちゃんの子供の頃を知っていると語り、また杏子に対して「たかだか十数年しか生きていない」と口にするなど、その長寿ぶりは猫の域を超えている。かつて杏子と同じく猫又になったニャ吉という猫の最期を知っており、杏子にも気を遣う。

ニャ吉 (にゃきち)

長老が知る猫で、かつて杏子と同じように猫又となった。長老いわく「人間のことを想うあまり中途半端に猫又になってしまった猫」であり、すでに命を落としている。

学校の虎猫 (がっこうのとらねこ)

御堂銀ノ介が通う学校周辺を縄張りにしている猫で、その名の通り、縞々の虎柄が特徴。非常に獰猛な性格をしており、学校でたまたま出会っただけの杏子に対しても攻撃的な態度を見せ、追い立てる。

セミの介 (せみのすけ)

なにか夏っぽいものを探していた杏子が捕まえたセミ。杏子に捕まえられてから、なぜか逃げることもなく、主に杏子の帽子にとどまったまま一緒に暮らした。

銀ノ介の両親 (ぎんのすけのりょうしん)

御堂銀ノ介の父親と母親で、銀ノ介がまだ10歳の頃に亡くなってしまった。父親は良ノ介、母親は美加子という名前。なお、婆ちゃんは美加子の母親である。

原田 源一郎 (はらだ げんいちろう)

ダイアナとジョセフィーヌを飼っていた原田源造の息子。頭髪や口ひげが黒いが、それ以外は源造と瓜二つの顔をしている。亡くなった源造の家を受け継いだが、売りに出してしまう。

ネズミの家族 (ねずみのかぞく)

父親と母親、息子からなるネズミの家族。たまたま御堂家に現れた際、杏子に襲われてしまうが、チュー太郎の仲裁により生き延びる。その後、チュー太郎とさまざまな話をするなかで「杏子は自分の友だ」という発言を「杏子は自分の供だ」と聞き間違え、チュー太郎を、猫をお供にできるほどの実力者と勘違いしている。息子は過去に猫からひどい仕打ちを受けたことがトラウマになっているため、チュー太郎が杏子を成敗するところを見ればトラウマが解消されるだろうと期待してチュー太郎に付きまとう。

はしもとの店主 (はしもとのてんしゅ)

汐ノ森商店街にある八百屋「はしもと」の店主であり、橋本恵美の父親。店の常連である婆ちゃんや御堂銀ノ介とは古くからの付き合いで、情に弱い性格。銀ノ介が両親を亡くしたいきさつも知っており、過去に恵美が迷子になったところを見つけてくれたことなどを理由に、買い物に行くと時折オマケなどをくれる。

場所

はしもと

汐ノ森商店街にある八百屋で、御堂銀ノ介や婆ちゃんが食材を買うのによく利用している。はしもとの店主とは近所付き合いもあるほか、一人娘の橋本恵美と銀ノ介が関わることも多く、懇意にしている。看板には「くだもの やさいのみせ はしもと」とある。

汐ノ森商店街 (しおのもりしょうてんがい)

御堂銀ノ介たちが住む汐ノ森町の商店街。八百屋「はしもと」のほか、ケーキ屋などさまざまな個人商店が並んでいる。クリスマスなどのイベント時には商店街のアーケードがきれいに飾り付けられて盛り上がり、地域活性化に一役買っている。平時から人影もちらほらあり、過疎になりがちな地域商店街にしては活気が見られる。

Kamakuraya (かまくらや)

御堂銀ノ介たちが住む汐ノ森町にある大型家電量販店。御堂家のクーラーを買いに出かけたり、杏子が圧力鍋を買いに行く際に利用する。

永楽寺

御堂銀ノ介たちが住む汐ノ森町の隣町。千里を見通し、時間を巻き戻す力を持つというお稲荷さんがいる。お稲荷さんを訪ねるため、杏子たちが電車に乗って訪れた。

江ノ鳥大学 (えのとりだいがく)

御堂銀ノ介たちが住む地域にある大学。高校卒業後は早くお金を稼ぎたい一心から就職を希望していた銀ノ介だったが、周囲の後押しもあり、進学先として希望することになった。このことを聞きつけた早瀬沙希も、同じ江ノ鳥大学に進学することを決めた。

犬鳴崎灯台

江ノ鳥大学から歩いていける距離にある大きな灯台。入場料が必要となるが、灯台の上からは岬が一望できる美しい風景が見られる。杏子とチュー太郎が「大学」という言葉を辞書で調べた際、「高等学校の上にある」という記述があったことで「大学は空にある」と勘違いしており、この灯台が大学への入り口ではないかと考えていた。

陽明社

御堂銀ノ介たちが住む汐ノ森町にある神社。銀ノ介が長老から猫又に関する話を聞いて以来、毎朝欠かさずにお参りに来ている。ダイアナやジョセフィーヌが雨宿りの定番として使用している場所でもあり、時折彼女たちと出会うこともある。

イベント・出来事

銀ノ介の誕生日 (ぎんのすけのたんじょうび)

3月にある御堂銀ノ介の誕生日。婆ちゃんがケーキを買ってきて御堂家でも祝われた。しかし、当時の杏子はまだ誕生日という概念を知らず、銀ノ介にお祝いができなかったどころか誕生日ケーキを半分奪って食べてしまっていた。のちに誕生日のことを知った杏子は自分の行いを後悔し、隣町に住むお稲荷さんに頼んで時間を巻き戻してもらい、改めて銀ノ介を祝おうと試みる。

定例ネズミ会議 (ていれいねずみかいぎ)

チュー太郎が出席した定期的に行われるネズミたちの集まりで、主に危険な猫たちの情報を交換するなどの会議を行う。出席者には夕食が提供される。

その他キーワード

(おに)

節分の前日、婆ちゃんが杏子とチュー太郎に話した物語に登場した怪物。詳しい内容は語られないが、杏子とチュー太郎の心に強烈なトラウマを植え付け、御堂銀ノ介に冗談で「鬼が出た」と驚かされた時には、衝撃のあまり杏子は野生に戻り、チュー太郎は気絶するほどだった。

オニヤンマ

非常に大きな体長に育つのが特徴のトンボの一種。なぜか橋本恵美はトンボに対して執着を持っており、その姿を追いかけて迷子になることがしばしばある。御堂銀ノ介がまだ汐ノ森町に引っ越してきて間もない頃にも、トンボを追いかけて迷子になった恵美を保護したことがある。恵美はその時に「金輪際トンボをおいかけたりはしない」と誓っていたが、残念ながらもう覚えていない様子。

お姉ちゃんトレーニング (おねえちゃんとれーにんぐ)

杏子が心ゆくまでお姉ちゃんらしい振る舞いを行うというイメージトレーニング。杏子いわく、このたゆまぬトレーニングの果てにお姉ちゃんは完成されるという。しかし他人、とりわけ御堂銀ノ介に見られると恥ずかしいものであり、基本的に隠れて行っている。

風ノ介 (かぜのすけ)

御堂家にある扇風機。杏子によって命名された。一度壊れてしまったため、代わりにクーラーを買おうとしたものの、結局クーラーを買わずに修理され、今も夏場には活躍している。

モノラル版レコード (ものらるばんれこーど)

御堂銀ノ介の父親がコレクションしていたアーティストのレコード盤。生産数自体が少なく、マニアの中では「モノラル盤こそが本物」と呼ばれるほどの希少品。音楽に造詣のある早瀬沙希が興味を示したため、貸すことになった。

コタツ

バク転ができることを御堂銀ノ介に褒められた杏子が、調子に乗って更なるアクロバットを見せようとして壊してしまったちゃぶ台に代わり、御堂家に導入されたもの。猫にとって天国のようなアイテムであり、ダイアナやジョセフィーヌが初めて御堂家に招待されたのは、杏子がコタツを自慢したいがためであった。なお、本物を見るまで杏子はコタツが何かを知らず、過去にダイアナに問われた際、知ったかぶりをして笑われた経験がある。

銀ちゃんと一緒にお風呂入れる券 (ぎんちゃんといっしょにおふろはいれるけん)

その名前の通り、御堂銀ノ介と一緒にお風呂に入る権利が得られる券。婆ちゃんの手作りで、お年玉と一緒に杏子に渡された。飼い猫であり姉であるとは言え、発育の良い杏子の肉体は銀ノ介にとって毒であり、銀ノ介は何が何でも一緒に入ることを拒否している。このことから、杏子は券をチラつかせて銀ノ介に言うことを聞かせる手段としている。

WE STATION360

Kamakurayaで購入した家庭用ゲーム機。本来、クーラーを買いに行こうとしていたところ杏子の目に留まり、これで遊んでいる御堂銀ノ介が楽しそうだったことから、杏子の機転を利かせたわがままで購入された。しかし御堂家にきてからはもっぱら婆ちゃんと杏子がハマッてしまい、銀ノ介が遊べる順番はあまり回ってこない。

トンジャラクエスト

雄介がハマっている「トンジャラ」を題材にした家庭用ゲームソフト。発売元は株式会社APCO(アプコ)。ドラマチックとんじゃらRPGと題されており、パッケージには手足の生えた麻雀牌らしきキャラクターが剣と盾を構えたイラストが描かれている。御堂銀ノ介は説明書を読んでもさっぱり内容が理解できなかったが、雄介いわく「超おもしろい」という。

姉弟日記

内乃秋也著作の小説。タイトルの読み方は「きょうだいにっき」なのか「していにっき」なのかは判然としない。前半部分はある姉弟の日常を描いた家族小説なのだが、後半になると攻めてきた宇宙人に姉弟が立ち向かうという急展開を迎える。また、姉が宇宙人の本拠地に攻め入った際、弟をかばうために爆弾を抱えて自爆するシーンがある。コミカライズされている上、映画化も決まっている超人気作。 続編に「姉弟日記 鉄血怒号編」もある。

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