ネットワーク戦士

ネットワーク戦士

藤井通と山葉美香が、ネットワーク社会に潜む巨悪と戦っていくSF漫画。パソコン黎明期のコンピュータネットワークを題材に描かれた作品で、日本でパソコン通信が始まった当時の環境や認知度を窺い知ることができる。プロローグにあたる「KEY ウォーゲーム'86」は「月刊少年チャンピオン」1986年4月号に、「ネットワーク戦士編」は「月刊少年ジャンプ 増刊ホビーズジャンプ」Vol8(1986年1月20日号)からVol.14(1988年1月20日号)にかけて不定期に掲載された。

正式名称
ネットワーク戦士
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
ノーラコミックス(学研パブリッシング)
関連商品
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あらすじ

KEY ウォーゲーム'86

パソコン好きの男子高校生・初川充は、暇さえあればパソコンで遊んでおり、親からも呆れられるほどにパソコンを使い倒していた。ある日、充はチャットを通じて「KEY」というハンドルネームの少女と出会う。KEYは、ネットワークを通じて本来画像処理機能を持っていないはずのオスキー・ネットワークから充の回線を切り離したうえで、自らの顔画像を直接送ることを可能とするなど、考えられないほどの高い通信技術を持っていた。その顔画像で見たKEYが思いがけないほどの美少女だったこともあり、充はKEYとのチャットを楽しみにする日々を送ることとなる。そんな中、KEYに顔が見たいと求められた充が、画像を送るだけの設備がないと答えると、KEYは銀行のデータシステムにハッキングし、充の口座に100万円もの大金を送金し、これで設備を整えるようにと伝えるのだった。だが、充はこの犯罪行為に怒り、もとに戻さないと絶交するとKEYに言い放つ。充に拒絶されたことを悲しんだKEYは、自分の相手をしてくれる者はいないのだと絶望。軍事システムをハッキングし、核戦争を起こさせるという「プログラムKEY(ケイ)」の発動を試みる。KEYによるネットワークの不法侵入を感知したオスキー・ネットワークのシステムオペレーター佐原孝は、充から話を聞き、協力してKEYを止めることを決意。KEYの自宅を突き止め、萩村宅へと向かう。

ネットワーク戦士(ウォリアー) 黒騎士~緑のために

中学生・藤井通は、パソコン通信を使ったマルチプレイのネットワークゲームを日頃から楽しんでいた。そんなある日、山葉美香がカプラを外してしまったことをきっかけに、美香がD・ネットワークのゲーム「THE WARRIOR」の世界へと体ごと転移してしまうこととなる。最初は事態が飲み込めなかった通だったが、美香を現実世界に連れ戻すため、D・ネットワークのゲーム「THE WARRIOR」の世界へと旅立つのだった。そして通は、戦乱の起きるルキスラ大陸で旅を続け、突如現れた「ゴルドラウ」と名乗る謎のプレイヤーと協力しながら、ついに魔王クルリエを打ち倒す。こうして、通も美香も無事に現実世界へと帰ることに成功するのだった。通や美香、ゴルドラウは、その後もD・ネットワークの別のゲーム世界を楽しんでいたが、ある時、次元侵略を目論むDに命を狙われることとなる。しかし、Dの次元侵略に拒否反応を示したKEYがエネルギーを取り戻して復活を果たし、通たちはなんとか命を救われる。そんな中、Dは通たちの現実世界を侵略しようと、日本に存在するすべてのコンピュータシステムへの一斉ハッキングを開始し、世界を混乱に陥れていく。初川充佐原孝らの協力も得た通たちは、Dの野望を阻止するため、戦いを挑むのだった。

登場人物・キャラクター

初川 充

三流私立高校に通う男子で、年齢は16歳。無類のパソコン好きで、学校ではコンピュータクラブに所属し、家でもパソコンばかりしているのでしょちゅう母親に叱られている。ただし、プログラムを組むことなどはできず、パソコンについても特別深い知識があるわけではない。オスキー・ネットワークを使ったチャットシステムをよく利用しており、そこでKEYと知り合う。 のちに人類に絶望したKEYが発動させた「プログラムKEY」を止めるため尽力し、結果的にKEYを消滅させることとなった。以後はパソコンにほとんど触れず、大学に進学してからも、パソコンを使うのは研究のためだけと、最低限のものとなる。のちに、D・ネットワークのゲーム「THE WARRIOR」の世界で精悍な青年「ゴルドラウ」として藤井通と出会い、その後は通や山葉美香とともに、いくつものゲーム世界を冒険することとなる。 なお、ゴルドラウは金色の鎧で身を固めていることから、D・ネットワークの各ゲーム世界では「黄金の戦士(ゴールデンファイター)」の異名を取っている。実は通の従兄でもある。

藤井 通

男子中学生で、山葉美香とは家が隣同士の仲。パソコンゲームが趣味で、ネットワーク通信にも詳しい。D・ネットワークでのハンドルネームは、自らの名前をかっこよくもじった「トール」。美香がパソコンのカプラを外してしまったことことをきっかけに、D・ネットワークをめぐる騒動に関わることになる。D・ネットワークの各ゲーム世界では、学生服で戦うことから「黒戦士(ブラックウォリアー)」の異名を取る。 ゲーム世界に囚われた美香を助け出すために「THE WARRIOR」の世界へと飛び込み、「ゴルドラウ」こと初川充とともに世界を救う英雄として戦った。その後は、危険な思いをしたくないと、D・ネットワークへ行くことに消極的になっていた。しかし美香がゲーム「イルシオン」の世界から帰って来て以降は以前のゲーム熱を取り戻し、美香やゴルドラウとともにいくつものゲーム世界で冒険する。

山葉 美香

女子中学生で、藤井通とは家が隣同士の仲。D・ネットワークでのハンドルネームは、本名の「ミカ」。D・ネットワークのゲーム「THE WARRIOR」の世界では、魔王クルリエから「ミーカ姫」と呼ばれていた。通と違ってパソコンやゲームには疎く、当初は通が遊んでいるパソコンゲームにもあまり興味を示していなかった。 しかし通がゲームを遊んでいる最中に、美香がカプラを外してしまったことから偶然D・ネットワークへの回線が開ける。その後、ゲーム「THE WARRIOR」の世界ではクルリエに1年近くも軟禁されるなど怖い思いをするが、同時に通ともに助けに来た「ゴルドラウ」こと初川充に惹かれて、彼に再び会うためD・ネットワークへアクセスするようになる。 D・ネットワークの各ゲーム世界では、紺のセーラー服を着ていることから「青い衣の勇士」「藍妖精(ブルーフェアリー)」の異名を取る。

KEY

16歳の少女だが、実は初川充がチャットを通じて会話をした時点ではすでに亡くなっており、電脳世界に存在する人工知能となっている。KEYはハンドルネームで、生前の本名は「萩村恵」。チャットを通じて送られた顔写真を見た充やその友人も認めるほどの美少女であり、IQ200を超える天才。幼い頃から病弱で、学校にもほとんど通うことができなかった。 そのため友人がほとんどおらず、友人を作るために文通をしたり、電話で連絡を取ったりしていたのだが、自分に合わずやめてしまう。しかし、レスポンスがすぐに返ってきて声を発することなくコミュニケーションが取れるコンピュータネットワークの存在を知ると傾倒し、最先端の知識を身につけていった。ネットを通じてNASAの技術者であるスティーブ・ジョブズニアクとも知り合って意気投合するが、忙しさ故にあまり連絡が取れなくなると、ハッキングを利用して事故に見せかけスティーブを殺してしまうといった、子供のような残酷さを持っている。 自分を見捨てた人類に絶望し、核戦争を起こさせる「プログラムKEY(ケイ)」を発動するが、充によって阻止されると世界から消滅していった。

佐原 孝

オスキー・ネットワークのシステムオペレーターを務める男性で、年齢は32歳。眼鏡を掛けた理知的な顔立ちだが、山葉美香からはオジサンっぽいと思われるなど、全体的には年相応の風貌をしている。NASAの技術者であるスティーブ・ジョブズニアクとも知り合いで、死亡事故を起こす直前のスティーブから送られた手紙で、KEYの存在を知っていた。 その後、初川充がKEYと連絡を取っていることを知ると、KEYがスティーブを殺した事実を伝えて一緒にKEYのもとへと踏み込む。核戦争を起こさせる「プログラムKEY(ケイ)」が発動する直前、充と力を合わせて停止させることに成功した。

スティーブ・ジョブズニアク

NASAの男性通信技術者で、佐原孝の友人でもある。KEYとはチャットを通じて知り合い、交流を深めていった。自身が携わるスペースシャトルで事故でも起きれば暇になると冗談でKEYにこぼしたところ、のちにスペースシャトルの固体燃料ロケットが暴走したことに起因する爆発事故が発生。これをKEYの仕業だと考え、佐原に航空便でこの情報を伝えた。 その後、KEYとの連絡を打ち切るが、直後に交通信号を統制するコンピュータの故障による交通事故に巻き込まれて亡くなった。

セレブ

D・ネットワークのゲーム「THE WARIIOR」の世界に住む壮年の男性。ルキスラ大陸のグルオで暮らす狩人で、「THE WARRIOR」の世界に迷い込み、右も左もわからない状態にあった藤井通を助けた。寡黙で実直な人物だが、亡くなった一人息子に通を重ね合わせ、通を助けた際に記憶を失わせる効能を持つ「忘れ草」のスープを飲ませた。 これにより通は山葉美香を追いかけて来たことを忘れさせられていた。のちにセレブは、グルオに攻め込んで来た魔王クリルエの手下に襲われて致命傷を負った際、忘れ草の解毒剤を通に飲ませてから息を引き取った。

クリルエ

D・ネットワークのゲーム「THE WARIIOR」の世界の魔王の女性。ルキスラ大陸の支配を目論んでおり、大陸の北の果てにある国マドーシャを支配したことを皮切りに、妖魔兵団を用いて次々と他国を制圧していった。魔力で他人を操ることができ、マドーシャ国王だったムラグもクルリエ軍の参謀として側に置いている。一方で、クリルエの魔力をもってしても操ることができなかった山葉美香に強く興味を抱き、美香が記憶を失くしていることを幸いに、「ミーカ姫」として1年以上軟禁していた。 その正体はドラゴンで、居城に攻め込んで来た藤井通と戦う際には、その真の姿を見せた。額にはめ込まれた赤い宝石が弱点である。普段はルキスラ大陸に住んでいるが、次元を超越する存在Dや次元侵略のことも認識している。

ムラグ

D・ネットワークのゲーム「THE WARIIOR」の世界で、マドーシャ国王を務めていた老人。突如として現れた魔王クリルエにマドーシャが滅ぼされた後にその魔力で操られ、以降はクルリエの忠実な参謀として働いている。

キャル

D・ネットワークのゲーム「イルシオン」の世界に住む、「フィム族」という妖精の少女。フィム族は自分の思い描いたイメージをテレパシーのように他人に対して伝えることができる「幻像(イルシオン)」という力を持っており、キャルもその力を身につけている。「ゴルドラウ」こと初川充を探して「イルシオン」の世界に飛び込んで来た山葉美香に、平和な頃のアクゥアスの風景を見せた。

D

多次元宇宙で発生した次元間大戦で生まれた、次元を破壊するシステム兵器。もともとは単なるシステムに過ぎなかったが、生み出された次元世界も含めて、次々と世界をエネルギーへと分解し取り込み続けた結果、意思を持つようになった。異次元に存在する地球を大量に取り込んできており、それらはすべてDに内包されていることから、次元世界を超えて束ねることのできる存在といえる。 D・ネットワークの各ゲームの正体は、Dがかつて取り込んだ平行世界の地球である。Dに取り込まれた世界は成長を止めるため、自身が支配する世界を永劫に続かせようと考えたクリルエは、利害の一致からDに協力していた。藤井通たちの住む地球に対しても、コンピュータネットワークを乗っ取ることによる次元侵略を試みており、その障害となりそうな通たちを、現実世界そっくりのゲーム世界に閉じ込めて亡きものとしようとした。

場所

ルキスラ大陸

D・ネットワークにおける剣と魔法のファンタジーゲーム「THE WARIIOR」の世界に存在する、3つの大陸のうちの1つ。北の果てにあるマドーシャをはじめとして、大陸の西南にはセレブの住むグルオが、その少し北にはムアがあるなど、12の国家がひしめき合っている。当初、マドーシャは小国に過ぎなかったが、魔王クリルエが現れるや否や、北方5国を併呑し強国となった。 その後、クリルエはさらにムアやグルオにも侵攻を進めており、大陸全土に混乱を広げている。

アクゥアス

D・ネットワークのゲーム「イルシオン」に存在する、水が豊かな大陸。女性の妖精しか存在しないフィム族が住んでいる。フィム族は「幻像(イルシオン)」という幻覚を他人に見せることができる。メルズ族の住むフレェムスのはるか北方に位置する。

フレェムス

D・ネットワークのゲーム「イルシオン」に存在する大陸名。この大陸の「鉄の都」と呼ばれる場所に、メルズ族という種族が住んでおり、彼らは数百年の間フレェムスの外に出ることはなかった。メルズ族が戦争に出る際は「強化外骨格(エクソスケルトン)」という鎧を身につける。フィム族の住むアクゥアスのはるか南方に位置する。

その他キーワード

オスキー・ネットワーク

ネットワーク回線の1つで、佐原孝がシステムオペレーターを務めている。このオスキー・ネットワークのチャットを通して、初川充はKEYと知り合うこととなった。日本がパソコン通信を開始してから間もなく設置された初期のネットワーク回線ということもあり、画像をやり取りするほどの処理機能は持っていない。

D・ネットワーク

ネットワーク回線の1つ。秘密裏に運営されている違法ネットワークとしてパソコンマニアの間で話題になっているが、その実態は誰も知らない謎の回線である。技術的に文字情報しか送れないはずの通信で、ゲームのようなグラフィックまでもを送信することができる。藤井通や山葉美香は、パソコンのカプラが偶然外れたことをきっかけにD・ネットワークに足を踏み入れることとなった。 剣と魔法のファンタジーゲーム「THE WARRIOR」や、種族間の争いを乗り越え異種族を繁栄させていく「イルシオン」などさまざまなゲームをプレイすることができる。ちなみにそれらのゲームの実態は、次元破壊システムであるDがこれまでに取り込んできた異次元に存在した地球そのものである。

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