概要・あらすじ
20世紀から21世紀初頭にかけての大戦争を経た2185年、人類は世界統一国家・地球連邦を作りあげた。そしてその管理をヒューマン・コンピュータのドウターに一任。ドウターは国民を扇動する要因となる芸術や宗教を徹底的に粛清していった。かろうじて生き残ったアーティストたちは、サクセサーと呼ばれ、辺境の地でかつての文化を伝えて行った。
地球連邦首都メトロポリスを中心に、北米やユーロ地区で大人気の音楽バンド、スーパーノヴァのメンバー、ラッセル・コール(ラス)は、最後のロックミュージック・サクセサー、アラニア・シャンカール・アンダーソンに出会う。地球連邦の最高権力者で、ドウターに唯一命令できる存在としてドウターに作られたファルク・ユーゲント・ログナー司令を殺そうとするアラニアを止めたラスは、彼女を自宅に保護することとなる。
登場人物・キャラクター
ラッセル・コール (らっせるこーる)
人気音楽バンドのスーパーノヴァのメインシンガー兼ビートリズマーの青年。21歳。家族なし。最近彼女に振られたばかり。明るい性格で、他人から「いい人」と呼ばれることが多い。スーパーノヴァの中では、特にエドワード・マコトと親しい。アラニア・シャンカール・アンダーソンを助け、彼女を匿ううちに恋仲となる。
アラニア・シャンカール・アンダーソン (あらにあしゃんかーるあんだーそん)
カシミール生まれの少女。17歳。最後のロックミュージック・サクセサー。ネパールの弾圧を逃れた芸術家たちのコミュニティで暮らしていたが、行方不明になった父を探すため、兄と共にレジスタンスの一員としてメトロポリスにやってきた。しかしメトロポールのレジスタンス狩りに遭い、兄は死亡。翌日現場に現れたファルク・ユーゲント・ログナー司令を刺そうとするが、偶然居合わせたラッセル・コールに止められ、彼に保護されることとなる。 ロックミュージックの知識や技術はあるが、そのために身を滅ぼしていったアーティストを多く見てきたため、自身はロックを好きになれずにいる。
エドワード・マコト (えどわーどまこと)
ラッセル・コールの親友で、人気音楽バンドスーパーノヴァのメロダー兼シンガー。21歳。明るいお調子者だが、心根の優しい青年。アニマル・ドーシーとも仲がよく、よく彼らのバイクに乗せてもらっている。昔アラニアの父のライブを見たことがあり、そのときの曲『フール・フォー・ザ・シティ』にずっと憧れていた。
イアン・マクドナルド (いあんまくどなるど)
人気音楽バンドのスーパーノヴァのメロダー。20歳。天才肌だがわがままな性格で、トラブルメーカー。女性ファンが多いが、本人は女性は「顔より足」だと思っている。
スティーブ・フリップス (すてぃーぶふりっぷす)
人気音楽バンドのスーパーノヴァのリズマー。24歳。ガタイのいい青年で、バンドを引っ張るリーダー格。20世紀ごろの「ドラム」を叩くことになった時は、その複雑さに驚くが、慣れて使いこなすようになった。
サイモン・オフロード (さいもんおふろーど)
人気音楽バンドのスーパーノヴァのプロデューサー。32歳。メトロポールに目をつけられてはいるものの、ギリギリ排斥されないきわどいラインの楽曲をリリースするため尽力している。レジスタンスの下部組織に出入りしており、スーパーノヴァのメンバーもレジスタンスに接触させている。
マクトミン
レジスタンス組織の大物。アラニア・シャンカール・アンダーソンとは旧知の仲。スーパーノヴァをバックアップする一員として協力を行う。
アニマル・ドーシー (あにまるどーしー)
バイク乗りの青年。暴走族「スケープゴウト」のリーダー。世界に唯一残った200年前のハーレー「Knucklehead」を乗り回している。エドワード・マコトとは友人で、よく彼を家に送っていったり、ツーリングをしたりしている。
ファルク・ユーゲント・ログナー (ふぁるくゆーげんとろぐなー)
派手な金髪の23歳。ドウターが作り育てた「マシンチャイルド」で、唯一ドウターに命令を下し、そのプログラムを書き換える権限を持つ。200年分の知識を持つ天才。そのため、事実上の地球連邦最高権力者となっている。軍事予算の五分の一を使い、私軍である「S.I.D」を設置。表向きは軍開発局だが、火星基地の建造など宇宙開発のための研究を行う。 スーパーノヴァにはずっと目をつけていた。ソーニャ・カーリンを腹心の部下としており、彼女だけには気を許している模様。『ファイブスター物語』に登場する同名のキャラクター、ファルク・ユーゲントリッヒ・ログナーとまったく同じ容姿。
ソーニャ・カーリン (そーにゃかーりん)
ファルク・ユーゲント・ログナーの腹心。階級は大尉。ログナーの腹心としては宇宙開発方面に携わっているが、一方で東部レジスタンスの協力者として、レジスタンスに情報を流す一方、彼らの動きをログナーに報告する二重スパイ的な仕事もしている。そのためマクトミンとは旧知の仲。『ファイブスター物語』に登場するファルク・ユーゲントリッヒ・ログナーのファティマ、イエッタとまったく同じ容姿。
ドウター
地球連邦政府の管理機構を統括するヒューマン・コンピューター。女性人格風の音声で、ファルク・ユーゲント・ログナーには「ママ」と呼ばれている。「機械は人間が作るもの」という原則に従い、自分に命令できる人間「マシンチャイルド」を必ず一人、自ら作り出す形で置いている。その一人であるログナーを、この150年の中で最も出来がよい「子供」であると評価している。 人間を扇動する要素を持つ芸術と宗教の弾圧を使命としている。
アラニアの父 (あらにあのちち)
アラニア・シャンカール・アンダーソンの父親。グレートブリテン出身。アラニア同様のロックミュージックサクセサー。金髪で鷲鼻の派手な容姿。アラニアが12歳の時、一緒に暮らしていたネパールを出て行き、そのまま行方不明になっている。最後のライブを観ていたエドワード・マコトに強い憧れを持たせ、音楽の道を選ばせるほどのカリスマ性を有している。
その他キーワード
サクセサー
150年前、地球連邦政府が成立し、ドウターと当時の高官が芸術と宗教の弾圧を行った際、それを逃れて辺境へ隠れ住むようになった芸術家たちの子孫を指す。その素養や知識などを受け継いでいるため、一部では神格化されているものの、メトロポールに狩り出され、粛清あるいは洗脳などの道を辿る者が多い。
メトロポール
地球連邦首都メトロポリスの警察。機動ポリスと呼ばれるロボットが多く配属されている。機動ポリスには5種類あり、パトロール用のロウ・グライド、事件用のスカウト・グライド、レジスタンスやテロリスト対策用のハンター・グライド、火炎放射を行うフレイム・グライド。そして新型のデストロイドコマンダー“べオ・グライド”がある。べオ・グライドは識別信号を出さない者はポリスであっても殺害対象とする殺人専門のロボットとなっている。