テラフォーマーズ

テラフォーマーズ

2599年、火星で驚異的な進化を遂げたゴキブリ達、テラフォーマーを駆除するための計画が発動する。しかしテラフォーマー達は火星の苛酷な環境の中で驚くべき戦闘能力と知性を身につけていた。人為変態手術によって虫や動物の能力を手に入れた人々とテラフォーマーの互いの存亡をかけた戦いを描いた、SFアクション漫画。2013年版「このマンガがすごい!」オトコ編1位。「全国書店員が選んだおすすめコミック2013」2位。

正式名称
テラフォーマーズ
ふりがな
てらふぉーまーず
原作者
貴家 悠
漫画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
バトル
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊23巻
関連商品
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世界観

20世紀に実行された火星のテラフォーミング計画。地表を覆う苔と大量に放ったゴキブリによって火星を暖め、人の住める星に改造するというこの計画は、増え続ける人口増加への対策として期待された。それから500年後、火星の探査に向かったバグズ1号が謎の生命体によって全滅する。生命体の正体、それは人型に進化を遂げたゴキブリテラフォーマーだった。テラフォーマーを掃討するため、生態強化を施した15人の宇宙飛行士が宇宙船バグズ2号で火星へと送り込まれるが、小町小吉蛭間一郎の二人を除き全滅してしまう。そして20年後、新たに選ばれた100名の宇宙飛行士たちがアネックス1号に乗り火星へと向かう。

バグズ2号の目的はテラフォーマーの駆除だったが、アネックス1号の目的は違う。小町小吉蛭間一郎が火星から帰還した後、地球では原因不明のウイルスが爆発的に蔓延した。この火星が発生源と言われるA・Eウイルスは致死率100%、さらに培養ができないためワクチンも作れない。そこでワクチン作成のため、火星にいるテラフォーマーをサンプルとして捕獲する必要が出てきた。このサンプル捕獲がアネックス1号の目的である。

アネックス1号の乗組員は、艦長の小町小吉、5人の幹部乗組員、そして94人の通常乗組員の計100名。日本、アメリカ、ドイツ、中国、ロシア、ローマ連邦の6か国から選抜され、M.O.手術の適合者であることがその条件となっている。

テラフォーマーに対抗するため、バグズ2号の乗組員たちにはバグズ手術と呼ばれる強化手術が施された。これは被験者の体細胞に昆虫のDNA配列を組み込み、細胞を昆虫のそれに変化させるというもので、昆虫が持つ特性を能力として使うことができる。能力を発現させるには特別な薬が必要だが、これを大量に投与しすぎると人間の姿に戻れなくなる危険が高くなる。

このバグズ手術に改良を加えたのが、膝丸燈たちアネックス1号の乗組員が受けたM.O.手術(モザイク・オーガン・オペレーション)。バグズ手術では組み込めるのは昆虫のDNAのみだったが、M.O.手術ではほ乳類や魚、甲殻類のDNAも可能になった。M.O.手術の場合も、能力の発現にはバグズ手術と同様に特別な薬が必要。ただし、膝丸燈とミッシェル・K・デイビスの二人は、生まれつき免疫寛容臓(モザイクオーガン)と呼ばれる臓器を持っており、薬なしでも常人以上の能力を発揮できる。

またM.O.手術の被験者には、マーズ・ランキングと呼ばれるランキングが設定されている。これは火星環境下におけるテラフォーマーズの制圧能力をランキング化したもので、戦闘力の高さ=ランキング高位者となっている。なおランキング1位は、ローマ連邦出身のジョセフ・G・ニュートン

テラフォーマーは、火星をテラフォーミングさせるために放ったゴギブリが500年の歳月を経て進化したもの。人型をしており、身体能力は人間以上。知能も高く、道具を扱うこともできる。当初はゴキブリの能力しか持ち合わせていなかったが、バグズ1号の乗組員の死体を手に入れたことにより、他の昆虫の特殊能力を身につけた。テラフォーマーの進化にはラハブと呼ばれる古代文明が関わっているという説もあるが、真偽は定かではない。

作品が描かれた背景

『ミラクルジャンプ』で連載が開始した2011年、日本では東日本大震災が発生。ニュージーランドの大地震やオートラリアの洪水被害、インドの大寒波など、世界的にも大規模な災害が目立った年だった。

作品構成

2011年に「週刊ヤングジャンプ」の増刊誌、「ミラクルジャンプ」で連載を開始。2012年、「週刊ヤングジャンプ」への移籍が決定した。「ミラクルジャンプ」で連載された「バグズ2号編」では、火星に送られた15人の男女とテラフォーマーとの遭遇が描かれている。「週刊ヤングジャンプ」でスタートした「アネックス1号編」では、物語の舞台が「バグズ2号編」の20年後である2619年に。地球に蔓延した謎のウイルスのワクチンを作るため、M.O.手術を受けた100名のメンバーが大型宇宙船アネックス1号に乗り、再び火星へ向かうというストーリー。「バグズ2号編」の登場人物である小町小吉蛭間一郎が、それぞれアネックス1号艦長、日本国首相として再登場している。

本作の最大の魅力は、様々な生物の特性を駆使したバトル。「バグズ2号編」では昆虫の特殊能力を使う主人公側VSテラフォーマーというパターンだったが、「アネックス1号編」ではテラフォーマー側にもバグズ手術の特殊能力を持つ固体が登場。さらに乗組員同士のバトルも描かれ、戦いのバリエーションが豊富になった。

当初は「ミラクルジャンプ」掲載の第6話で終了予定だったが、連載中に「ヤングジャンプ」への移籍が決定。原作の貴家悠は「編集部から突然、続くからと告げられ、知的キャラ(チョウ・ミンミン)の首を飛ばして火星の謎が残るようにした」とのちにインタビューで語っている。

あらすじ

バグズ2号編

西暦2599年、火星のテラフォーミング計画は大詰めを迎えていた。その最終段階として、火星に放たれた大量のゴキブリを駆除するため、主人公・小町小吉をはじめとする15人の男女が宇宙船バグズ2号で火星へと向かう。だがそこで彼らを待っていたのは、人型に進化した巨大ゴキブリテラフォーマーだった。襲い来るテラフォーマーに対し、バグズ2号の乗組員たちは人体改造手術-バグズ手術-によって自らを昆虫化し、対抗する。圧倒的な戦力差の前に仲間が次々と倒されていく中、残された小町小吉たちは地球への帰還を誓う。

アネックス1号編

バグズ2号の惨劇から20年が経過した西暦2619年。地球では火星より飛来したA・Eウイルスが猛威を振るっていた。ウイルスのワクチンを作るには、サンプルとなるテラフォーマーが必要。そしてそのためには、もう一度火星に人類を送り込む必要があった。タイの地下闘技場で戦っていた青年・膝丸燈は、小町小吉にスカウトされ、火星への派遣部隊、宇宙船アネックス1号の乗組員となる。小町小吉に率いられた100名の乗組員と共に、火星へと出発したアネックス1号。だが艦内に突如現れたテラフォーマーの襲撃を受け、何とか火星への不時着には成功するも、乗組員たちは6手に別れてしまう。彼らは新たな人体改造手術-M.O.手術-によって得た「力」を使い、更なる進化を遂げたテラフォーマーに戦いを挑む。その戦いの裏で交差する各国の思惑、陰謀、そして裏切り。火星を舞台にした究極のサバイバルが再び幕を開ける。

特殊設定

主人公たちは強化手術によって他の生物のDNAを埋め込まれており、その特性を特殊能力として使えるという設定になっている。第1部となる「バグズ2号編」では埋め込まれたDNAは昆虫に限定されていたため、登場する特殊能力もスズメバチやアリ、バッタなど昆虫に類するもののみだった。しかし、続く第2部「アネックス1号編」では、あらゆる生物のDNAが移植可能になったという設定に変更され、蛾やクモ、甲虫からアナグマやクジラなどのほ乳類、さらにはプラナリアなど登場し、特殊能力のバリエーションが大幅に増えた。

メディアミックス

スピンオフ

スピンオフ作品としては、とある星に不時着したアネックス1号の乗員たちのゆる~い休日生活を描いた『今日のテラフォーマーズはお休みです。』(原案:貴家悠&橘賢一、漫画:服部昇大)、『テラフォーマーズ』の登場人物たちが警察官に扮するポリスコメディ『テラフォポリス ばっかも~ん! 出る杭課24時』(原案:貴家悠&橘賢一、原作:銅☆萬福、作画:紫乃櫂人)、鬼教官ミッシェルが主人公のギャグ漫画『テラフォーマーズ妄想訓練記 教えて! ミッシェル教官』(原案:貴家悠&橘賢一、漫画:セレビィ量産型)、第五班班長アドルフ・ラインハルトの火星出発前の活躍を描く『テラフォーマーズ外伝 RAIN HARD』(原案:貴家悠&橘賢一、漫画:木村聡)がある(いずれも集英社刊)。

また、ヤングジャンプ公式HPに貴家悠&橘賢一コンビによる外伝『テラフォーマーズ1』が掲載された。こちらはバグズ2号計画の22年前が舞台で、最初の火星探索隊であるバグズ1号の戦いを描いている。

小説

直木賞作家・東山彰良が原作では触れられなかったアレックス1号計画へ至るミッシングリンクを描く『テラフォーマーズ LOST MISSIONⅠ 月の記憶』、M.O.手術の不完全適合者トーヘイ・タチバナとエリザベス・ルーニーの活躍を描く『テラフォーマーズ THE OUTER MISSIONⅠスカベンジャーズ』、『テラフォーマーズ THE OUTER MISSIONⅡ アウトサイダー』(いずれも原作:貴家悠&橘賢一、著者:藤原健市)の3タイトルが刊行。

TVアニメ

2014年にTVアニメ化され、TOKYO MX、ABC朝日放送、CBCテレビ、CSテレ朝チャンネル1、BS11で放送された。膝丸燈小町小吉との出会いを描いた原作第1話から、合流を果たした第1班と第2班がバグズ型テラフォーマーと激突する第52話までを全13話でアニメ化。2015年には続編の制作も決定した。またTVアニメの前日譚となる「バグズ2号編」が、『00-01 THE ENCOUNTER既知との遭遇』『00-02 UNDEFEATED 敗れざる者たち』として前後編でOVA化され、単行本10巻および11巻のOVA同梱版に同梱された。

映画

2016年、監督三池崇史で原作の第1部に当たる「バグズ2号編」を実写映画化。主人公小町小吉役に伊藤英明、その恋人秋田奈々緒役に武井咲。他にも山下智久や山田孝之、小栗旬など豪華なキャスト陣で話題に。映画ではバグズ2号のメンバーを全員日本人という設定に変更。ただし、それぞれ原作のキャクラクターがベースとなっている。映画『インターステラー』制作スタッフが参加し、日本映画初となるアイスランドロケを敢行した。

ゲーム

2015年、FuRyuからニンテンドー3DS用ソフト『テラフォーマーズ 紅き惑星の激闘』が発売。2014年に放映されたアニメ版の内容を追体験できるアクションゲームで、プレイヤーはアネックス1号のクルーとなり、特殊能力を駆使して襲い来るテラフォーマーたちとバトルを繰り広げる。ヌタウナギ型やフンコロガシ型など、原作者考案のゲームオリジナル・テラフォーマーも登場した。また、GREEからスマートフォン用アプリ『テラフォーマーズ G(ギガ)バトル』も配信された。

登場人物・キャラクター

小町 小吉 (こまち しょうきち)

日本出身の青年で、2599年時点では22歳。バグズ手術のベースはオオスズメバチ。オオスズメバチ特有の大きな毒針で素早く何度も敵を刺し死に至らしめる。秋田奈々緒とは幼馴染みであり仲も良好である。バグズ2号乗組員の数少ない生き残りのうちの一人であり、地球へ帰還後はU-NASAに残留し、20年後、アネックス1号の艦長となって再び火星へと赴く。 マーズ・ランキングは3位。対人大雀蜂毒解毒薬針便鬼毒酒という専用装備を持つ。正義感が強く、また友人や部下に対する面倒見もよい。少年刑務所へ入所していた過去があるが、これは奈々緒の義父が奈々緒を虐待してるのを目撃し、殺害してしまったからである。

膝丸 燈 (ひざまる あかり)

精悍な顔つきをした20歳の青年。日本出身のアネックス1号乗組員で、ミッシェル・K・デイヴス率いる第二班に所属。M.O.手術のベースはオオミノガ。他にもクモイトカイコガやハナカマキリといった複数の能力を持っており、アネックス1号の乗組員の中でもかなり重要視されている。 マーズ・ランキングは6位。対テラフォーマー振動式忍者刀膝丸という専用武器を持つ。ミッシェル・K・デイヴスと同じく先天的なバグズ能力の保持者であり、また人為的に産み出された例としては初である。能力を発動せずとも、驚異的な身体能力と屈強な肉体を併せ持っている。

テラフォーマー

『テラフォーマーズ』に登場する生命体。テラフォーミング計画の際、火星に放ったゴキブリが、驚異的な生存能力と適応力で進化した、人型の生命体。普通の人間では太刀打ちできないほどの身体能力と生命力を持っており、さらに個体数が多いため集団で襲ってくる。また、適応力・学習能力も高く、致死毒に対してもすぐさま免疫を獲得したり、地球人達が扱う未知の武器や機械を使いこなすことができる。 そのため火星に降り立った人間にとっては最大の脅威である。個体の中には優れた知性を備えた者もおり、バグズ2号の乗組員の死体を元にバグズ手術を研究し、数体の同族に手術を施して成功している。

蛭間 一郎 (ひるま いちろう)

荒れた肌、大きな唇、肥満体系の自他共に認める醜男で18歳の男性。バグズ手術のベースはネムリユスリカ。本多晃の画策で、ヴィクトリア・ウッドと共に裏切り役を任されており、テラフォーマーの卵を地球へ持ち帰ろうとした。バグズ2号乗組員の数少ない生き残りのうちの一人であり、地球へ帰還した20年後に、日本内閣総理大臣に就任した。 アネックス計画の利権を争う各国を牽制し、かつての仲間である小町小吉を影から支えている。

秋田 奈々緒 (あきた ななお)

22歳の女性。日本出身のバグズ2号乗組員。バグズ手術のベースはクモイトカイコガ。小町小吉とは幼馴染みで、仲も良い。父親の借金返済のため、バグズ手術を受け火星へと降り立つが、そこで遭遇したテラフォーマーに瞬時に首を折られ、能力を発動する間もなく絶命してしまう。

ドナテロ・K・デイヴス

威厳のある顔立ちをした、金髪の30歳の男性。アメリカ合衆国出身のバグズ2号乗組員、かつ艦長。バグズ手術のベースはパラポネラ。自重の何倍もの物体を持ち上げる蟻の筋力を利用して、何体ものテラフォーマー達を腕力でねじ伏せる。宇宙飛行士になる夢を持っていたが、父親が死刑囚だったため、正規の方法では宇宙にいくことができなかった。 そのためバグズ手術を受け、バグズ2号計画に参加した。

ティン

顔の傷跡が特徴の21歳の青年。タイ出身のバグズ2号乗組員。バグズ手術のベースはサバクトビバッタ。貧困層の出身で、食べ物に困りゴキブリを生で食べたこともある。ムエタイを体得しており、サバクトビバッタの脚力を生かして、強烈なキックを繰り出す。強力なテラフォーマーとの戦いの中で、過剰に薬を使い、人体の拒絶反応のため絶命する。

ヴィクトリア・ウッド

黒髪に金色のメッシュを入れた褐色肌の女性。南アフリカ出身のバグズ2号乗組員。バグズ手術のベースはエメラルドゴキブリバチ。男勝りな性格で、いつも余裕のある笑みを浮かべている。本多晃の画策で、蛭間一郎と共に裏切り役を任されており、テラフォーマーの卵を地球へ持ち帰ろうとする。 しかし、予想よりも早く孵化した進化型テラフォーマー達に敗れ、絶命する。

マルコス・エリングラッド・ガルシア

髪を逆立てている金髪の16歳の青年。グランメキシコ出身のアネックス1号乗組員で、小町小吉率いる第一班に所属。M.O.手術のベースはアシダカグモ。マーズ・ランキングは9位。アレックス・カンドリ・スチュワートやシーラ・レヴィットとは幼馴染み。アレックスと共にM.O.手術を志願し、そこで死んだと思われていたシーラと再会する。

鬼塚 慶次 (おにづか けいじ)

24歳の男性。日本出身のアネックス1号乗組員で、小町小吉率いる第一班に所属。M.O.手術のベースはモンハナシャコ。マーズ・ランキングは8位。ライト級世界王者、スーパーフェザー級世界1位まで勝ち上がった実力派の元ボクサー選手。母親想いの優しい心の持ち主で、母親が亡くなるまでボクシングで稼いだ金を治療費の返済に充てていた。

ミッシェル・K・デイヴス

金髪と眼鏡が特徴の、端整な顔立ちをした24歳の女性。バグズ2号の艦長、ドナテロ・K・デイヴスの実の娘である。アメリカ出身のアネックス1号幹部乗組員で、第二班の班長。M.O.手術のベースはバクダンオオアリ。さらに、パラポネラの能力も父から遺伝で受け継いでいる。 マーズ・ランキングは5位。膝丸燈と共に「奇跡の子」と呼ばれている。

アレックス・カンドリ・スチュワート

グランメキシコ出身のアネックス1号乗組員で、ミッシェル・K・デイヴス率いる第二班に所属。M.O.手術のベースはオウギワシ。マーズ・ランキングは12位。対テラフォーマー投擲用硬球ランディ・ジョンソンという専用武器を持つ。マルコス・エリングラッド・ガルシアやシーラ・レヴィットとは幼馴染。 マルコスと共にM.O.手術を志願し、そこで死んだと思われていたシーラと再会する。

シルヴェスター・アシモフ

51歳とは思えないほどの筋骨隆々の肉体を持つ巨漢の男性。ロシア出身のアネックス1号幹部乗組員で、小町小吉率いる第三班の班長。M.O.手術のベースはタスマニアン・キング・クラブ。愛煙家で葉巻を吸っている。元軍人であり、班のリーダーとして冷静な判断と適切な指示で部下を導く。 個人としての戦闘力も凄まじく高く、マーズ・ランキングは3位。

イワン・ペレペルキナ

額から鼻にかけての大きな傷が特徴の精悍な顔つきの青年。ロシア出身のアネックス1号乗組員で、シルヴェスター・アシモフ率いる第三班に所属。M.O.手術のベースは、アネックス1号の船員の中では珍しく植物をベースにしており、品種はチョウセンアサガオ。マーズ・ランキングは10位。 穏和で人当たりが良く、純粋な性格をしている。仲間同士の喧嘩を仲裁するなど、正義感も強い。

アレクサンドル・アシモフ

スキンヘッドにサングラスが特徴の28歳の男性。ロシア出身のアネックス1号乗組員で、義父であるシルヴェスター・アシモフ率いる第三班に所属。M.O.手術のベースはスマトラオオヒラタクワガタ。マーズ・ランキングは7位。義父に比べれば能力も戦闘力も地味で劣るが、妻のジーナをA・Eウィルスから救うために、驚くほどの執念を見せ、自分の危険も省みずに戦い抜く。

劉 翊武 (りゅう いーう)

髭を蓄え、眼鏡をかけた42歳の男性。中国出身のアネックス1号幹部乗組員で、第四班の班長。M.O.手術のベースはヒョウモンダコだが、ある目的から他国に対してはアナコンダと偽っている。マーズ・ランキングは44位。どこか気の抜けた冗談めいた喋り口調が特徴だが、その内面は非常にしたたかで冷徹。 マーズ・ランキングは高くないものの、本来の戦闘力は3位の小町小吉やシルヴェスター・アシモフとも張り合うほどである。

シーラ・レヴィット

グランメキシコ出身のアネックス1号乗組員で、小町小吉率いる第一班に所属。M.O.手術のベースはヤドクガエル。マーズ・ランキングは89位。小町小吉に恋心を抱いている。マルコス・エリングラッド・ガルシアやアレックス・カンドリ・スチュワートとは幼馴染で、二人には死んだと思われていたが、実はU-NASAによって救出されていた。 脱出機をテラフォーマーズに奪われそうになったところを網で捕獲し、危機から救うが、バグズ手術を受けたテラフォーマの能力で胸を貫かれてしまう。

アドルフ・ラインハルト

金髪の男性。長い襟付きのコートでいつも口元を隠している。ドイツ出身のアネックス1号幹部乗組員で、第五班の班長。M.O.手術のベースはデンキウナギ。マーズ・ランキングは2位。M.O.手術開発が始まって間もない頃に手術を受け、その際に受けた傷が、口元をはじめ身体中の至る所に深く刻まれている。 口元を襟で隠しているのは、その醜い傷を見られたくないからである。強力な雷撃でテラフォーマー達を一網打尽にする。

ジョセフ・G・ニュートン

眉目秀麗な24歳の男性。ローマ連邦出身のアネックス1号幹部乗組員で、第六班の班長。M.O.手術のベースは現時点では不明。マーズ・ランキングは1位。能力を発動せずとも、剣技のみで数千ものテラフォーマーをなぎ倒すことのできる実力者。人類の到達点とも評されている。対テラフォーマーコーティング式西洋刀ジョージ・スマイルズという専用武器を持つ。 文武両道のエリート中のエリートだが、ナルシストな言動も多い。

アレクサンドル・グスタフ・ニュートン

目の周りに付けられた大きな傷が特徴の老齢の男性。愛煙家であり、常に葉巻を咥えている。バグズ計画を指導する謎の男。ラハブという謎の言葉を口にしており、搭乗員が知りえないような情報を隠し持っていることが伺える。

本多 晃 (ほんだ こう)

バグズ2号計画に関わる科学技術者。テラフォーマー達の卵を地球に持ち帰るため、蛭間一郎とヴィクトリア・ウッドに秘密裏に指示を出し暗躍する。2620年ではその罪を問われ、U-NASAから手配されている他、膝丸燈を作り出した彼の技術を欲する国が後を絶たない。

集団・組織

U-NASA

『テラフォーマーズ』に登場する組織。テラフォーミング計画を主導する国連宇宙局。所在地はワシントンD.C。バグズ手術・M.O.手術やテラフォーマーの研究をしている。火星開発を行っていることは一般的に知られているものの、テラフォーマーの存在やバグズ2号に起こった事件の詳細は公表されていない。

その他キーワード

バグズ手術 (ばぐずしゅじゅつ)

『テラフォーマーズ』に登場する用語。人間の身体に虫の特性を持たせ、驚異的な戦闘能力を得るための人為変態手術。テラフォーマーが持っている免疫寛容能力を移植することで、虫のDNA配列を人間の骨肉細胞へ組み込むことが可能になる。この手術を行った者は、人間の身体はそのままに、筋力、甲皮、毒液などの虫の特性を取り入れることができる。 能力の発動には注射器による薬の注入が必要であり、また薬を過剰に摂取すると人間の身体に戻ることができなくなり、拒絶反応のため死に至る。

テラフォーミング計画 (てらふぉーみんぐ)

『テラフォーマーズ』に登場する用語。火星移住計画の一環で、火星を地球のような人の住める環境にすることを目的とする。火星に大量の苔とゴキブリを繁殖させ、二酸化炭素の温室効果によって温暖化を図る。

バグズ2号 (ばぐずにごう)

『テラフォーマーズ』に登場する宇宙船。火星に生息する大量のテラフォーマー達を駆除するために開発された有人探査船。搭乗員はバグズ手術を受けた15名の男女。乗組員は、金を持たない者達ばかりであり、皆何かしらの事情を抱えている。テラフォーマー達の圧倒的な力の前に乗組員は次々と倒れていき、最終的に生き残ったのは小町小吉と蛭間一郎の2名のみであった。

アネックス計画 (あねっくすけいかく)

『テラフォーマーズ』に登場する用語。20年前から急激に感染が拡大した謎のDNAウイルスA・Eウィルスのワクチン開発を目的とした、火星探査計画。前回のバグズ2号計画に比べても大規模であり、有人探査船であるアネックス1号の乗組員は100名。搭乗員がテラフォーマー達との戦いを繰り広げる一方で、地球では計画によってもたらされる利権を巡って各国の思惑が入り乱れている。

アネックス1号 (あねっくすいちごう)

『テラフォーマーズ』に登場する宇宙船。アネックス計画の根幹をなす、有人探査船。バグズ3号として開発され、後に改名された。M.O.手術を受けた100名の戦闘員が搭乗する。6名の幹部乗組員と94名の平乗組員からなる。6つの班に分かれており、幹部乗組員1人1人がリーダーを務める。

マーズ・ランキング

『テラフォーマーズ』に登場する用語。火星環境下におけるゴキブリ制圧能力のランキング。略してM.A.R.Sランキングと呼ばれる。アネックス1号に搭乗するマーズランキングが15位以内の者は、専用の個人武器を与えられている。あくまでゴキブリ制圧能力のランキングであるため、たとえ優秀な能力でも戦闘能力の高いものでなければ、ランキング上位になるとは限らない。

M.O.手術 (もざいく おーがん おぺれーしょん)

『テラフォーマーズ』に登場する用語。バグズ手術を発展させることで完成した、人為変態手術。アネックス1号の搭乗員には、ごく一部を除いた全員にこのM.O.手術が施されている。昆虫のみに限定したバグズ手術とは違って、地球の全生物をベースにすることができる。手術の成功率は36%と低いが、成功すればテラフォーマーに対抗できるような強力な能力を手に入れることができる。

A・Eウィルス (えいりあん えんじん うぃるす)

『テラフォーマーズ』に登場するウイルス。アネックス計画実行の42年前に突如出現し、20年前から急激に感染者が増加した、新種のDNAウイルス。致死率が100%と非常に高く、現時点では不治の病とされている。感染拡大の経緯から火星由来のものであると推測されるため、このウイルスのワクチン開発を目的としてアネックス計画が発案された。

クレジット

原作

貴家 悠

関連

テラフォーマーズ外伝 アシモフ (てらふぉーまーずがいでん あしもふ)

貴家悠、橘賢一の漫画『テラフォーマーズ』の外伝作品。27世紀のロシアを舞台に、『テラフォーマーズ』の登場人物でもあるシルヴェスター・アシモフが火星へ旅立つ前に挑んだ違法なM.O.手術と、テラフォーマー... 関連ページ:テラフォーマーズ外伝 アシモフ

書誌情報

テラフォーマーズ 23巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2012-04-19発行、 978-4088792705)

第2巻

(2012-08-17発行、 978-4088793962)

第3巻

(2012-11-19発行、 978-4088794594)

第4巻

(2013-02-19発行、 978-4088795232)

第5巻

(2013-05-17発行、 978-4088795614)

第6巻

(2013-08-19発行、 978-4088796307)

第7巻

(2013-11-19発行、 978-4088796840)

第8巻

(2014-02-19発行、 978-4088797540)

第9巻

(2014-05-19発行、 978-4088797960)

第10巻

(2014-08-20発行、 978-4088798882)

第11巻

(2014-11-19発行、 978-4088900421)

第12巻

(2015-02-19発行、 978-4088901183)

第13巻

(2015-05-19発行、 978-4088901541)

第14巻

(2015-08-19発行、 978-4088902456)

第15巻

(2015-11-19発行、 978-4088902852)

第16巻

(2016-03-18発行、 978-4088903750)

第17巻

(2016-04-19発行、 978-4088903989)

第18巻

(2016-08-19発行、 978-4088904832)

第19巻

(2016-11-18発行、 978-4088905211)

第20巻

(2017-02-17発行、 978-4088905877)

第21巻

(2018-08-17発行、 978-4088906379)

第22巻

(2018-11-19発行、 978-4088911656)

第23巻

(2024-07-18発行、 978-4088912035)

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