概要・あらすじ
2008年春。テレビでは甲子園での球児の活躍が放映されていた。東都日報の新米記者・滝本は沖縄県球児の軌跡の取材を命じられ、仲宗根弘の元を訪れる。彼の回想から物語は始まる。昭和33年(1958)春。当時の沖縄県は本土復帰前で、未だアメリカ軍統治下にあり、B円と呼ばれる軍票貨幣が流通し、物資は慢性的に不足していた。
日本高校野球連盟副会長・佐伯達夫によって、沖縄県の高校球児4名が春の甲子園に招待された。そのうちの1人だった沖縄県立首里高校野球部の主将 仲宗根弘は、 早稲田実業学校の王貞治ら全国レベルの高校野球を目の当りにする。その感動をチームメイト達に話すが、言葉だけではなかなか伝わらない。
しかし監督・福原朝悦の指導の元で気持ちを奮い立たせ、1県1校代表となった第40回夏の甲子園予選に出場する。強打者・栽弘義らの沖縄県立糸満高校、好投手石川善一を擁する沖縄県立石川高校を破って甲子園出場を果たした沖縄県立首里高校は、一路甲子園へと向かう。
登場人物・キャラクター
仲宗根 弘 (なかそね ひろし)
小柄な老人。実在の元高校球児・仲宗根弘がモデル。昭和33年(1958)当時、沖縄県立首里高校野球部の主将。1958年春の甲子園に招待され、早稲田実業学校の王貞治ら全国レベルの高校野球を目の当りにする。幾多の困難の中、1県1校代表となったその年の夏の予選を勝ち上がり、再び甲子園の土を踏み選手宣誓をする。 本作品は、彼の回想の形で物語が進む。
福原 朝悦 (ふくはら ちょうえつ)
実在の元高校教師・福原朝悦がモデル。昭和33年(1958)当時、沖縄県立首里高校野球部の監督。主将・仲宗根弘達を率いて、その年の夏の甲子園に沖縄県勢として初出場を果たした。
石川 善一 (いしかわ ぜんいち)
実在の元高校球児・石川善一がモデル。昭和33年(1958)当時、沖縄県立石川高校野球部のピッチャー。当時の沖縄県内では屈指の好投手。その年の夏の予選決勝で沖縄県立首里高校と対戦し敗れた。
滝本 (たきもと)
ショートボブの若い女性。東都日報の新米記者。2008年春の甲子園が開催されている中、沖縄県球児の軌跡の取材を命じられ、50年前に沖縄県勢として甲子園初出場を果たした沖縄県立首里高校野球部の当時の主将・仲宗根弘を訪ねる。