甲子園へ行こう!

甲子園へ行こう!

何の変哲もない普通の公立高校の野球部が、甲子園出場を目指して始動。甲子園出場の激戦区ともいわれる神奈川県を舞台に、強豪私立校に挑む部員達の奮闘を描く。「週刊ヤングマガジン」2000年3・4合併号から2004年43号にかけて連載された作品。

正式名称
甲子園へ行こう!
ふりがな
こうしえんへいこう
作者
ジャンル
野球
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あらすじ

第1巻

夏の甲子園を目指す神奈川県予選、マウンドに立った鎌倉西高校の1年生・四ノ宮純は、勝利まであと1アウトと迫りながら、押し出しでサヨナラ負けを喫してしまう。その後、3年生が引退し新チームとなった野球部は秋の地区大会に向けて練習を開始するが、四ノ宮は予選での敗北を引きずっていた。そんな彼に対し部長の貞兼利次は、ピッチャーとして大事な事は何かと改めて問い、共に甲子園を目指そうと語りかける。漠然とではあるが甲子園という目標を見つけた四ノ宮は、決意を新たに地区大会に臨む。総当たりのリーグ戦で行われる地区大会の鎌倉西高校の初戦の相手は藤沢南高校。しかし、いきなり四ノ宮は初回に3点を献上してしまう。

第2巻

藤沢南高校との地区大会初戦、初回に3点を失った鎌倉西高校の先発・四ノ宮純は、2回にも2点を奪われてしまう。5点のリードを許しながらも四ノ宮は立ち直り、その後は藤沢南打線に得点を許さない。そして9回の攻撃で粘りを見せた鎌倉西高校は、5点差をひっくり返して地区大会初戦を勝利で飾る。次の対戦相手は神奈川県の強豪・湘学舎高校だが、四ノ宮は藤沢南戦で200球以上を投げている事から、監督の布施克広はできれば四ノ宮の先発を回避しようと考えていた。そんな布施の願いが通じたのか翌日は雨が降り試合は順延となり、野球部は学校の体育館で調整をする事になる。そこで四ノ宮は山形県の高校から転校して来た星名赫子と出会う。自分と同じ1年生ながら剣道でインターハイ出場経験のある赫子に刺激を受けた四ノ宮は、甲子園への気持ちを新たにする。そして鎌倉西高校は湘学舎との地区大会第2戦に臨む。

第3巻

地区大会第2戦、鎌倉西高校四ノ宮純は、対戦相手の湘学舎を8回まで0点に抑えるが、終盤に湘学舎打線につかまり4-1で敗れる。監督の布施克広は敗北はやむなしと考えていたが、部長の貞兼利次は勝ちを目指す姿勢なくして甲子園はありえないと部員を叱咤し、勝つ気持ちのない者は次の試合に来なくていいと言い放つ。そんな険悪な雰囲気の中、キャプテンの長瀬勝秀と元エースの竹井直孝は、次の試合で勝つために四ノ宮らを鼓舞するのだった。そして迎えた地区大会第3戦、対戦相手は湘学舎と並ぶ強豪の邦大藤沢高校。四ノ宮はインコース攻めを徹底できず、邦大藤沢高校打線に連打を許し、4番の仙波敦志に満塁ホームランを打たれてしまう。この局面で貞兼は竹井に継投を命じる。四ノ宮は守備につきながら、腰の故障をおして投げ続ける竹井の姿を目の当たりにし、自身の甘さを痛感する。

第4巻

地区大会第3戦、邦大藤沢の仙波敦志に初回満塁ホームランを打たれながらも、その後を竹井直孝四ノ宮純の継投で0点に抑えた鎌倉西高校は、得失点差により県大会への出場権を勝ち取る。だが迎えた県大会の初戦で、6回コールドという惨敗を喫する。この敗戦にキャプテンの長瀬勝秀は部員への奮起を促し、四ノ宮もまた自分を変えようと決意する。そんな彼らを見て、部長の貞兼利次は、かつての自身の教え子であり現在はプロのスカウトをしている若村暁之に連絡をとり、四ノ宮のピッチングを極秘で視察してもらう。そして四ノ宮の投球を見た若村は、彼のボールの独特の回転に目をつけ、フォームを改善すれば劇的によくなるとメールでアドバイスを送る。このアドバイスを受け、四ノ宮のピッチングは見違えるように変化。そんな四ノ宮達の様子を見た貞兼は、神奈川の強豪の一角である杏蔭学園との練習試合を組む。

第5巻

杏蔭学園との練習試合で、四ノ宮純は新たなピッチングフォームで強豪校の打線を次々と打ちとっていく。しかし4回に突如として左足に激痛を覚え、その後は打ち込まれてしまう。原因が下半身の強化不足にある事を知った四ノ宮は、試合後も練習に励むが、鎌倉西高校野球部では高平佳弘をはじめとして、厳しくなる練習に嫌気がさす部員が増えていた。同時に監督の布施克広もまた、勝利至上主義の部長・貞兼利次と対立を強めていく。そんなある日、布施は四ノ宮が若村暁之からアドバイスを受けている事を知り、プロ関係者から指導を受けるのは規約違反だと貞兼に詰め寄る。そんな布施に対し、四ノ宮は、高平を30球連続でアウトにすれば楽しむ事よりも強くなる事を優先するチーム作りをしたいと提案し、見事その勝負に勝つのだった。そんな四ノ宮の姿に、鎌倉西高校野球部のほかの選手達も、少しずつ変化を見せ始める。そして年は明け、鎌倉西高校野球部に赤原譲也猪久保亘ら新1年生が入部して来る。

第6巻

春季大会が始まった。四ノ宮純は冬のあいだに下半身を鍛えあげ、若村暁之のアドバイスを忠実に守ったピッチングで地区大会を投げぬき、鎌倉西高校の県大会進出に貢献する。県大会1回戦の対戦相手は、超高校級スラッガー仙波敦志のいる邦大藤沢高校。昨年の秋とは見違えるような四ノ宮のピッチングに驚く仙波は、スタンドにプロのスカウトである若村が来ている事に気づく。自分を見に来たと思った仙波だったが、スカウトにいいところを見せようと力んでしまい四ノ宮に完全に抑えられる。試合には負けたものの仙波を抑えた四ノ宮は大きな自信をつける。そして、鎌倉西高校は夏に向けての合宿に入った。予選を前にしてもレギュラーが決まっていないのは、チームの中で定位置争いが激しいものとなっている事を意味していた。最後の夏に向けて練習に励む3年生と、その3年生からレギュラーを奪おうとする1、2年生の姿に、部長の貞兼利次は部員達の意識が変わってきた事を実感する。

第7巻

鎌倉西高校野球部の合宿は大詰めを迎え、四ノ宮純はブーメランの投げ方からヒントを得たカーブを会得する。カーブを身につけた事で投球の幅が広がり、四ノ宮は合宿終了前のレギュラー発表ではエースナンバー「1」を与えられる。こうして月日は流れ、夏の甲子園出場を目指す神奈川県予選の組み合わせが決定した。鎌倉西高校の1回戦の対戦相手は、四ノ宮と同じ中学の出身である堀泰浩が所属している湘英高校だった。偵察に行った雪野透は堀と再会し、湘英高校の情報を入手するものの、それは堀の策略によるニセの情報だった。県予選1回戦、湘英高校との試合が始まり、鎌倉西高校は堀から得たニセの情報に苦戦を強いられる。

第8巻

県予選1回戦、苦しみながらも湘英高校を逆転サヨナラ勝ちで下した鎌倉西高校は、波に乗り続く2回戦、3回戦も突破し4回戦へと駒を進めた。4回戦の対戦相手は鎌倉西高校と同じ公立の元町高校。打撃力は低いものの、ピッチャーの夏井健人が抑える事で、ここまで勝ち上がってきた守りのチーム。同じ公立校同士という事で互いに通じる部分がある両校ナインは、勝つ事よりもむしろ試合を長く楽しみたいという気持ちが先行していた。四ノ宮純もまた、自分と同じように努力して元町高校のエースとなった夏井に対してシンパシーのようなものを感じる。試合は0-0のまま9回まで進み、最後は宅見駿介のホームランで幕を閉じる。5回戦に進出した鎌倉西高校では、元エースの竹井直孝がバッティングピッチャーを買って出ていた。もう試合では竹井を投げさせられないという事を悟った鎌倉西高校ナインは、竹井の意思を無駄にしないために、ベスト8進出をかけて5回戦に臨む。

第9巻

5回戦を突破し、準々決勝に進出した鎌倉西高校の対戦相手は猪久保亘の兄・猪久保吾郎がいる湘学舎高校。優勝候補の一角に数えられる強豪だが、鎌倉西高校は正キャッチャーの川地達郎が5回戦の試合で足を骨折してしまい欠場となってしまう。川地に代わってキャッチャーを務める亘は、吾郎との兄弟対決に燃えるが、経験不足から湘学舎相手に失点を許してしまう。それでも後続を断つ四ノ宮純のピッチングに亘も奮起、湘学舎にそれ以上の得点を許さず、逆転勝ちをおさめる。ついに準決勝に進んだ鎌倉西高校では、予想外の快進撃に学校をあげての応援を行う事が決定する。その準決勝の対戦相手となる横浜第一高校は、宅見駿介の父親・滝島徹郎が率いるチームだった。

第10巻

横浜第一高校との準決勝が始まった。優勝候補の筆頭である横浜第一高校はここまで連投している四ノ宮純の疲労を見抜き、着実に点を取っていく。このままでは勝てないと判断した鎌倉西高校の部長・貞兼利次は、ピッチャーを四ノ宮から赤原譲也に交替するが、赤原も横浜第一打線を抑える事ができず、6点もの差をつけられてしまう。かつて赤原は横浜第一高校への進学を約束されていながら直前に反故にされてしまったという過去があり、そのせいからかピッチングにも余計な力が入っていた。しかしキャッチャーの猪久保亘や、ベンチから伝令に来た川地達郎の励ましもあって、少しずつ自分のリズムを取り戻していく。赤原の力投に気を取り直した鎌倉西高校の反撃が始まった。

第11巻

神奈川県予選準決勝、横浜第一高校に序盤で6点差をつけられた鎌倉西高校は、中盤に反撃に転じる。この回トップバッターの猿石貴史はノーアウトから出塁するとすかさず盗塁、さらに送りバントと犠牲フライで1点を返す事に成功する。この1点で波に乗った鎌倉西高校はさらに横浜第一高校を攻撃、赤原譲也の満塁ホームランで1点差にまで詰め寄る。この状況に横浜第一高校の監督・滝島徹郎はこれまで温存していたエースの藤島陽平を投入、一気に流れを変える作戦に出る。それまで力投していた赤原も横浜第一高校打線につかまって連打を浴び、ついには無死満塁のピンチを招いてしまう。この状況に鎌倉西高校の部長・貞兼利次は横浜第一高校打線を抑えるべく四ノ宮純を再びマウンドに戻す。かろうじて後続を断った四ノ宮だったが、それでも9回には再び連打を浴び、さらに6点を奪われてしまう。12-5という絶望的なスコアでも最後まであきらめない鎌倉西高校だったが、奇跡は起きる事なく試合終了となり、四ノ宮達の夏は終わりを告げた。

第12巻

夏の予選に敗れた鎌倉西高校は新チームへと移行し、新たなキャプテンには宅見駿介が指名された。今度こそ甲子園への出場を目指し合宿に入った鎌倉西高校野球部だったが、エースの四ノ宮純は一人合宿を離れ甲子園を訪れる。自分達が勝ち抜いていれば出場するはずだった大会を観客席から見る四ノ宮は、そこで自分と同じく甲子園を観戦に来ていた夏井健人堀泰浩らと再会する。さらに神奈川県代表となった横浜第一高校の宿舎を訪れた四ノ宮は、エースの藤島陽平と再会し、今度こそ倒す事を誓うのだった。その藤島も甲子園2回戦で敗れ、甲子園を去る事になる。折しも四ノ宮は大阪代表の豊臣学院の練習に特別に参加させてもらい、自身のピッチングの方向性を見い出す。若村暁之のアドバイスを受けて身につけたピッチングだが、コントロールだけでは勝てないと実感した四ノ宮の新たな挑戦が始まった。

第13巻

チームに無断で合宿を離れた四ノ宮純は、部長の貞兼利次にエースナンバーを奪われる。しかし、それは四ノ宮のピッチャーとしての実力を認めているからこそであり、チームとしても四ノ宮が必要な事はわかっていた。だが、その四ノ宮は新たなピッチングフォームを試した結果、コントロールを完全に失っていた。こんな状態のまま臨んだ秋季大会の地区大会第1戦では、格下の相手に思わぬ苦戦を強いられる。エースナンバーを与えられたものの、試合では相変わらずライトのままである赤原譲也をはじめ、チーム内の不満も少しずつ募っていく。チームの状況は決していいとはいえないまま、かろうじて県大会へと進んだ鎌倉西高校は、1回戦で杏蔭学園と対戦する。

第14巻

神奈川県秋季大会1回戦、杏蔭学園との試合に勝利した鎌倉西高校は順調に勝ち進み準々決勝へと進出した。この試合に勝てば関東大会への出場が決まり、その先には甲子園出場の道が開けている。そんな鎌倉西高校の対戦相手は夏井健人のいる元町高校。夏の予選の雪辱に燃える夏井は、キレのある変化球を武器に次々と鎌倉西高校打線を封じていく。一方、四ノ宮純は連投の疲れから本来のピッチングではないものの、なんとか元町高校打線を抑えていた。また、鎌倉西高校キャプテンの宅見駿介もチーム内にくすぶる不満を感じ取り本当の実力を発揮できない状態が続いていた。そんな鎌倉西高校の不調を見抜いた夏井は容赦ないピッチングを見せるが、四ノ宮もまた元町高校に点を許さない。四ノ宮と夏井の投手戦は、0-0のまま終盤へともつれ込んでいく。

第15巻

元町高校との試合で、幸運から勝利を手にした四ノ宮純鎌倉西高校は、次の準決勝で敗れるも関東大会への出場権を獲得する。関東大会で好成績をおさめる事ができれば、春の選抜甲子園への出場も見えてくるとあって気合の入る野球部だったが、相変わらず宅見駿介は自身のキャプテンとしての資質に悩む日を過ごしていた。こうして始まった関東大会1回戦、相手は甲子園常連校の茨城県代表・常陽学園。鎌倉西高校野球部部長の貞兼利次はこの試合3点までに抑えろと四ノ宮に告げ、四ノ宮もまた常陽学園を完封するつもりで試合に臨む。序盤、四ノ宮は常陽学園打線を完全に抑えるが、逆に鎌倉西高校打線も常陽学園から点を取る事ができない。さらに中盤に入ると疲れの見え始めた四ノ宮がつかまり、先取点を許してしまう。反撃に出る鎌倉西高校だったが実力の差からか点を取る事ができず、逆に少しずつ点差をつけられていく。

第16巻

関東大会1回戦、地力の差を見せつけられ常陽学園に敗れた鎌倉西高校では、それぞれの課題を胸に冬を迎える事になった。中でも四ノ宮純は、自身に足りないものはストレートのスピードにあると考え、正月返上でトレーニングに励む。折しも自分にピッチングを教えてくれた若村暁之がコーチの勉強のために渡米する事を知った四ノ宮は、これ以上若村に頼る事なく自分の力だけで理想とするピッチングを完成させる事を誓う。そんなある日、四ノ宮は剣道部の星名赫子の稽古を見て、剣道をピッチングに応用する事を思いつく。早速星名から剣道の基本的な姿勢と竹刀の振り方を教わった四ノ宮は、剣道を取り入れた練習をする事で下半身を飛躍的に強化することに成功し、ストレートの球速も130キロを出せるまでに上がっていた。こうして月日は流れ、四ノ宮達にとって最後の夏の予選が始まった。

第17巻

夏の甲子園出場を目指す神奈川県予選が始まった。鎌倉西高校四ノ宮純の活躍で順調に勝ち進んでいく。昨年までとは見違えるような四ノ宮のピッチングに、横浜第一高校の監督・滝島徹郎は決勝戦の相手は鎌倉西高校ではないかと考え始める。夏井健人の元町高校、猪久保吾郎の湘学舎高校が次々と姿を消していく中、鎌倉西高校は毎試合接戦ながらも勝ち進み、ついに決勝戦へと駒を進める。その決勝戦の対戦相手は因縁の横浜第一高校。これに勝てば神奈川県代表として甲子園出場が決まる一戦を前に、四ノ宮は剣道部の星名赫子に、自分がプロ野球関係者からピッチングの指導を受けていたという「不正」について告白する。少しでも自分の「罪」を誰かに知っておいてほしかったという四ノ宮の言葉に、星名は秘密を共有する事を約束し、横浜第一高校との決勝戦のマウンドに送り出す。

第18巻

神奈川県予選決勝戦、横浜第一高校との試合が始まった。横浜第一高校のマウンドに上るのは不動のエース・藤島陽平。昨年の夏から藤島と投げ合い、そして勝つ事を目標としてきた四ノ宮純は、気迫あふれる投球で横浜第一打線に得点を許さない。一方藤島もまた、鎌倉西高校打線を相手に三振の山を築いていく。四ノ宮と藤島の投手戦の末に試合は0-0のまま中盤へと進み、横浜第一高校がついに下位打線から先制点を奪う事に成功する。1点のリードを許した鎌倉西高校も、最後まで決してあきらめずに横浜第一高校に立ち向かっていく。

登場人物・キャラクター

四ノ宮 純 (しのみや じゅん)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生で、ポジションはピッチャー。これといって特徴のない普通の高校生。野球に対する情熱と、投げるボールの回転が鋭い事から野球部の部長を務める貞兼利次の目に止まる。メンタル面に難がある事から、追い込まれれるとすぐに弱気なピッチングになってしまうが、逆に自信をつけるととたんに強気なピッチングになる単純な性格の持ち主。 野球をこよなく愛しており、自分がうまくなるためであれば、どんな相手にも頭を下げて教えを請う姿勢がつねにあり、それだけに上達も早い。

貞兼 利次 (さだかね としつぐ)

鎌倉西高校野球部部長を務める男性。20年ほど前に監督として甲子園に出場経験がある事から、鎌倉西高校でも野球部部長を務めている。かつての自分の教え子であり、その後プロへと進んだ若村暁之と、どこか雰囲気の似ている四ノ宮純を見て、再び甲子園を目指す事を決意し、勝つための野球を指導するようになる。監督の布施克広とは意見が合わず対立し、選手に対しても辛辣な言葉をかける事も多いが、心の底では選手達を信頼している。

長瀬 勝秀 (ながせ かつひで)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純よりも1学年上でキャプテンを務めている。気合いばかりが空回りし、部員からの反発を招く事がしばしばある。甲子園を目指すという貞兼利次の言葉に触発され、強くなりたいという欲望を抱く。実家は床屋を営んでおり、家で髪の毛を刈ってもらう事も多い。

宅見 駿介 (たくみ しゅんすけ)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはセカンド。四ノ宮純と同じ学年で、鎌倉西高校野球部の中では最も野球センスがあり、神奈川県内でも注目を集める選手の一人。父親は神奈川県の名門・横浜第一高校野球部の監督を務める滝島徹郎。幼い頃に両親が離婚しており、宅見駿介は母親に引き取られた事から母親の姓を名乗っている。

竹井 直孝 (たけい なおたか)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはピッチャー。四ノ宮純の1学年先輩で、本来なら竹井直孝自身が鎌倉西高校のエースだったが、腰の故障のため今はリリーフピッチャーとなっている。後輩の面倒見もいい好人物だが、マウンドに立つと人が変わったようにバッターの嫌がるコースを突いたクレバーなピッチングを見せる。

川地 達郎 (かわじ たつろう)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはキャッチャー。元エースの竹井直孝とは中学からの親友であり、高校でもバッテリーを組む事を約束していたが、竹井の故障により主に四ノ宮純とバッテリーを組む事になる。自身の望んだ形ではなかったものの、新たな相棒となった四ノ宮とは息のあったところを見せる。

布施 克広 (ふせ かつひろ)

鎌倉西高校野球部監督を務める男性。自身も高校時代に甲子園を目指していた球児であり、その時の経験から勝利至上主義ではなくチームワークこそが野球には一番必要との信念を抱く。部長の貞兼利次からは教育者としての一定の評価を受けながらも「甘い」と諭されている。そのため意見が対立する事も多いが、それでも部員達のためにできる事を第一に考え行動する。

猿石 貴史 (さるいし たかし)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはセンター。四ノ宮純と同じ学年。チーム一の俊足で、トップバッターを務めている。複数のスパイクを所有しており、試合をする球場の芝や土の状態によってスパイクを選んでいる。

雪野 透 (ゆきの とおる)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純と同じ学年。レギュラー選手ではなかったが、練習中のケガを機に選手からマネージャーに転向する。四ノ宮とは少年野球の頃からの親友であり、四ノ宮の理想的なピッチングの完成に尽力する。

鳴沢 講平 (なるさわ こうへい)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純と同じ学年で、もともとキャッチャー志望だった。2年夏は高熱のため出場機会がなく、3年春には一時期レフトにコンバートされた。肩が強く守備がうまいため、外野の守備も無難にこなすが、本人は今もキャッチャーとしてプレイしたいと思っている。

高平 佳弘 (たかひら よしひろ)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはファースト。四ノ宮純の1学年先輩にあたる。チームの中では最も打撃センスがある事から4番を任されているが、練習嫌いなためキャプテンの長瀬勝秀とは衝突する事も多い。自信過剰なとことがあるが、四ノ宮の姿を見て少しずつその意識を変えていく。

赤原 譲也 (あかはら じょうや)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純の1学年下。野球センスが高く、中学時代はずっとピッチャーとしてプレイしていたが、今は主にライトを守っている。横浜第一高校からスカウトを受けていたが、進学寸前に反故にされたため鎌倉西高校に進学したという経緯がある。自分勝手でわがままな性格で、他人からのアドバイスにはいっさい耳を貸さない事から、部内でもトラブルメーカーとして知られている。

猪久保 亘 (いのくぼ わたる)

鎌倉西高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純の1学年下。中学時代はキャッチャーとしてプレイしていたが、肩の強さを買われ試合ではレフトを守る事が多い。兄は湘学舎高校で野球部に所属している猪久保吾郎。試合経験不足からミスも多く、周囲に気を遣いすぎるため自分を表に出す事が少なかったが、四ノ宮との出会いで成長していく。

星名 赫子 (ほしな かくこ)

鎌倉西高校剣道部に所属する女子高校生。山形県から転校して来た少女で、前の学校では剣道インターハイ個人戦で準優勝を成し遂げた実績を持つ。自分と同学年でありながらすでに全国を経験している彼女に、四ノ宮純は刺激を受ける事になる。

若村 暁之 (わかむら たかゆき)

プロのスカウトマンをしている男性。かつて貞兼利次が監督を務めていた高校が甲子園に出場した際のエースピッチャーだった。高校卒業後はプロ入りを果たしたほどの実績の持ち主。貞兼とは現在も交流があり、四ノ宮純のピッチングを見てもらおうと鎌倉西高校の野球部を視察に訪れる。四ノ宮の才能そのものは平凡と評しつつも、面白いボールを投げる事から興味を抱き、メールという形ではあるが四ノ宮達にアドバイスを送る。

仙波 敦志 (せんば あつし)

邦大藤沢高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純と同学年でありながら全国中学生野球大会で優秀選手に選ばれたほどの実績を持つ。1年生から強豪校の4番を任される実力の持ち主で、超高校級のスラッガーとして知られている。四ノ宮にとっては同じ学年という事もあり、最も強く意識する選手。

堀 泰浩 (ほり やすひろ)

湘英高校野球部に所属する男子高校生。四ノ宮純や雪野透と同じ中学の出身。進学校である湘英高校で最も野球センスがあり、長打力がある事から4番を任されている。表面上は四ノ宮や雪野に親しげに接するが、内心では彼らの事を見下しており試合でもナメた態度をとる。

夏井 健人 (なつい けんと)

元町高校野球部に所属する男子高校生。高校生ながら切れ味するどいフォークボールをあやつる。四ノ宮純と同じく努力型の人間である事から、四ノ宮とは互いに通じ合うものを感じている。違う高校ながら馬が合う事から、大会中にも連絡を取りあって情報交換をする事も多い。

猪久保 吾郎 (いのくぼ ごろう)

湘学舎高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはキャッチャー。大きな声を出してメンバーを鼓舞するなど、キャッチャーとしての資質が高い。違う高校ながら野球部に所属している弟・猪久保亘への面倒見もよく、バッティングやキャッチャーとしての技術についてアドバイスを送る事も多い。

藤島 陽平 (ふじしま ようへい)

横浜第一高校野球部に所属する男子高校生。ポジションはピッチャー。超高校級の怪物と呼ばれるほどの豪快なピッチングが信条で、プロのスカウトからも注目されている。自身の才能を過信するあまり自分勝手な言動が目立っていたが、甲子園での敗戦から自身の思い上がりを反省し、監督の滝島徹郎と共に強靭な肉体を作り上げる。

滝島 徹郎 (たきしま てつろう)

横浜第一高校野球部監督で、宅見駿介の父親。甲子園出場の常連として全国制覇の経験もある事から名将の呼び声も高い。つねに全国を意識した試合運びで、基本的に予選は全国大会のためのリハーサルとしてとらえ、点の取り方や勝ち方にもこだわる采配を見せる。選手に対しては卒業後の進路も見据えた指導を行う事から選手達からの信頼も厚い。

場所

鎌倉西高校 (かまくらにしこうこう)

神奈川県にある公立高校。通称は「鎌西」。取り立てて大きな特徴があるわけではないが、剣道部の星名赫子が個人戦でインターハイに出場する等、運動部の中には全国レベルの部活もある。野球部はこれまで地方大会1回戦負けが続いていたが、四ノ宮純らの活躍で快進撃を見せる。

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