概要・あらすじ
山田太郎が属す明訓高校野球部は、甲子園大会春夏連覇を目指していた。しかし、エース里中智が休学中であることから、明訓高校野球部は県大会準決勝で苦戦し、かろうじて勝利する。だが、里中智は、不知火守率いる白新高校との決勝戦を前にチームに復帰。明訓高校野球部は激闘の末、白新高校を下し、5度目の甲子園大会出場を勝ち取った。
高校3年生として最後の甲子園大会に臨む山田太郎、里中智、岩鬼正美、殿馬一人、微笑三太郎ら明訓五人衆。そんな彼らの春夏連覇を阻止すべく、巨人学園の真田一球、青田高校の中西球道らが全国から甲子園球場に集結する
登場人物・キャラクター
山田 太郎 (やまだ たろう)
明訓高校野球部の明訓五人衆の1人。キャッチャー。右投げ、左打ち。不動の四番打者。甲子園での通算打率が7割を超える怪物打者。キャッチャーとしてのリードも超一流。鉄砲肩の持ち主で盗塁阻止率も9割を超える。温厚な性格で他者への気配りを常に忘れない。しかし勝負どころで見せる気迫には鬼気迫るものがある。 あらゆるライバルを倒して高校野球の頂点に立った存在であり、彼と同年代の野球選手は「山田世代」と称される。両親は事故死しており、祖父と妹・サチ子との3人暮らし。
岩鬼 正美 (いわき まさみ)
明訓高校野球部主将。明訓五人衆の1人。右投げ右打ち。豪快で破天荒な性格の大男。一番という打順にこだわりをもっている。守備位置はサードが主だが、山田が先発からはずれた夏の甲子園大会4回戦では途中から捕手を務め、準決勝再試合では先発投手として登板した。いつも学生帽に葉っぱをくわえている。 ストライクゾーンの球はまったく打てないが、ボール球はたやすく豪打する「悪球打ち」として知られている。試合ではキャプテンとしてチームを積極的に鼓舞する姿勢を見せるが、基本的には自分以外の選手は小物だと思っている。三塁手としての守備力は抜群で、その闘志あふれる華麗な守備で沈みかけたチームの士気を何度も高めた。
殿馬 一人 (とのま かずと)
明訓高校野球部部員。明訓五人衆の1人で守備位置はセカンド。打順は2番。右投・右打。ピアノ演奏の腕前は超一流で世界レベル。音楽センスを生かした秘打や秘投がたくさんある。小柄で俊足な上に勘が鋭く、その華麗な守備で幾度も明訓高校野球部のピンチを救ってきた。語尾に「づら」をつけるのが特徴。
里中 智 (さとなか さとる)
明訓高校野球部のエース。明訓五人衆の1人。アンダースローのピッチャー。右投げ、右打ち。身長168センチと投手としては小柄なことから「小さな巨人」と称せられる。高校三年生の春の選抜大会優勝後、癌をわずらった母親を支えるため高校を休学し、ゴルフ場でキャディとして働いていた。 母親の手術が成功したこともあり、夏の甲子園大会の神奈川予選・決勝前に明訓高校野球部に復帰。不知火守率いる白新高校と対戦して勝利し、夏の夏の甲子園大会出場を勝ち取った。投手としては七色の変化球を操り、打たせてとるタイプ。山田太郎のリードに揺るぎない信頼を置いている。打者として3番を打つことが多い。
微笑 三太郎 (ほほえみ さんたろう)
明訓高校野球部野球部員。明訓五人衆の1人。右投げ、右打ち。レギュラー・ポジションはレフト。元キャッチャーであり、山田不在時にはキャッチャーの守備につくことがある。打順は主に5番。いつも微笑んでいるような表情を見せている。「にっこり笑って人を斬る」がキャッチフレーズ。
不知火 守 (しらぬい まもる)
ピッチャー。右投・右打。白新高校野球部の選手兼任監督。山田太郎とは1年の時からのライバル。類稀なる剛速球と鋭いフォーク、そして蠅がとまるほどの超遅球を武器とする。高校一年より明訓高校と甲子園大会出場をかけて対戦し続けたが、一度も勝つことができなかった。しかし、投手としての力量は全国の高校球児の中でも1・2を争う程の存在で、最後の夏の甲子園大会神奈川予選決勝では豪打明訓高校を9回裏まで無得点に抑えている。
中西 球道 (なかにし きゅうどう)
青田高校野球部エース。右投げ、左打ち。身長180センチ。体重75キロ。血液型B。クリーンハイスクールをうち破って千葉県代表となり、夏の甲子園大会に出場。明訓高校とは準決勝で対戦した。豪打で知られる明訓高校打線相手に11連続三振を奪い、甲子園新記録をうちたてた。中西球道の目標はあくまでもプロ野球であり、山田太郎と対決するためだけに甲子園大会に出場したと対戦前に豪語。 試合では、山田太郎に対してはストレートのみで勝負を挑んだ。山田に対して放った直球の最高速度は163キロ。中西球道に木製バットを折られた山田太郎はチームの勝利を優先し、以降の打席では金属バットを用いた。 水島新司の野球漫画『球道くん』の主人公でもある。
真田 一球 (さなだ いっきゅう)
右投右打。夏の甲子園大会に西東京都代表・巨人学園主将として出場。忍者の子孫であり、驚異的な身体能力を持つ。15歳まで富士山麓で修行の日々を過ごしたため野球の経験は乏しいが、常識を覆すような作戦と自身の驚異的な身体能力で巨人学園を甲子園出場へと導いた。三回戦で明訓高校と対戦。 出場選手全員が明訓高校ナインを摸倣してプレイする影武者作戦を展開し、山田太郎たちを苦しめた。真田一球自身は、里中智になりきってアンダースロー投手としてマウンドに上がった。天真爛漫でほのぼのした性格でありながら、奇策を繰り出し続ける策士的な一面も持つとらえどころのない人物。その上、いかなるピンチにも動じない精神力とすさまじい集中力を併せもつ。 人物も大きく、足を負傷した山田太郎に先祖伝来の薬を届けた。水島新司の野球漫画『一球さん』の主人公でもある。
犬飼 知三郎 (いぬかい ちさぶろう)
高知県代表・室戸学習塾野球部エース。1年生ながら主将を務める。左投げ、左打ちのサイドスロー投手。かつて明訓高校と対戦した犬養小次郎、犬飼武蔵の弟。兄二人と異なり体格に恵まれておらず、野球ではなく勉学に興味を示し、四国一の秀才高校・室戸学習塾に進学した。 しかし、打倒明訓高校に執念を燃やす元明訓高校監督・徳川家康に見出され野球部に入部。次兄・犬飼武蔵が主将を務める土佐丸高校を破って夏の甲子園大会出場を勝ち取った。普段は飄々としてつかみどころない雰囲気をかもし出しているが、ここ一番の勝負となると並々ならぬ闘志が表に出る。外角コーナーぎりぎりを出し入れする大きなカーブが最大の武器。 オーバースローから繰り出す超山なりのスローボール「マウンテンボール」で山田太郎を苦しめた。頭脳的なピッチングと様々なツキをものにする力で無失点記録を打ちたてる様はゼロの神話と称される。
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
高知県代表・室戸学習塾野球部監督。自身が率いた明訓高校野球部が夏の甲子園大会で初優勝した後、打倒明訓高校野球部を果たすため、全国各地の強豪高校の野球部監督をつとめた。山田太郎のライバル犬飼小次郎、犬飼武蔵の兄弟を高知県に訪ねた際、兄弟の末弟・犬飼知三郎に出会い、その精神力と気迫に驚嘆。 犬飼知三郎の入学した室戸学習塾の野球部監督となり、知三郎を野球部に勧誘した。大酒飲みであり、試合中も大どっくりで飲酒することもしばしば。明訓高校との試合中も豪打・明訓打線から受ける重圧から逃れるため、隠れて飲酒した。
三郎丸 三郎 (さぶろうまる さぶろう)
光高校野球部監督。光高校野球部を率いて地区予選を勝ち抜き、東東京都代表として夏の甲子園大会に出場した。本業はトラックでの鮮魚販売。創立以来一度も勝ったことがない光高校野球部監督に就任し、熱情と気合で野球部を改革した。明訓高校野球部とは夏の甲子園大会4回戦で対戦した。 水島新司の野球漫画『ダントツ』の主人公でもある。
荒木 新太郎 (あらき しんたろう)
光高校野球部の1年生エース。左打ちのスイッチ投手。明訓高校野球部エース・里中智とそっくりな容貌の上、身長168センチ、体重65キロと体のサイズまで同じ。生き別れの兄弟ではないかと週刊誌記者に疑われたこともあるが、血縁関係はない。性格も里中智と酷似していることから、彼の行動を直感的に読むことができ、明訓高校との対戦を有利に運んだ。
星王 光 (ほしおう ひかる)
青森県代表・りんご農園高校野球部三塁手。右投げ、右打ち。右目を失っている隻眼の選手。夏の甲子園大会2回戦で明訓高校野球部と対戦。1番打者として登場し、里中智が投じた初球をバックスリーンに本塁打した。投手の握りから球種を読みとることができ、リンゴの品種を唱える暗号で他の選手に球種を伝えた。 天候を読むこともでき、チームメートからは予知能力があると思われている。明訓高校戦では剛速球の投手としてリリーフ登板もした。
近藤 勇二 (こんどう ゆうじ)
京都府代表・紫義塾・局長。レギュラー・ポジションは三塁手。打順は四番であり、スイッチ打者にしてスイッチ投手。紫義塾野球部はもともと剣道部として全国大会10連覇を成し遂げている超強豪高校。いくら剣道で勝っても有名にならないため野球で日本一になろうと夏の甲子園大会に出場した。 明訓高校と対戦した決勝戦では4回から投手として登板。九回二死まで投げ抜いた。
壬生 凶四郎 (みぶ きょうしろう)
京都府代表・紫義塾野球部の投手。夏の甲子園大会前に目を痛め、治療のため山ごもりをして、明訓高校との決勝戦まで試合を欠場していた。明訓高校山田太郎と戦うため完治していない目のまま山を降りるが、途中事故にあい、試合開始には間に合わなかった。しかし明訓高校の攻撃・九回二死の場面に登場してリリーフ登板し、山田太郎と対戦した。 山田太郎へ放った速球は160キロをこえ、勝負球には「無念流」と呼ばれる必殺フォークを投じた。
岩田 鉄五郎 (いわたてつごろう)
東京メッツで活躍した伝説的名投手。ドラフト会議で山田太郎を指名することを考えており、明訓高校の多くの試合を観戦する。しかし、東京メッツの監督五利一平は投手を欲しがっており、対白新学園戦では不知火守、対青田高校戦では中西球道を絶賛し、彼らの指名を希望。 その都度、言い争いを繰り広げた。水島新司の野球漫画『野球狂の詩』の主人公のひとりでもある。
藤村 甲子園 (ふじむら こうしえん)
左投・左打。南波高校野球部出身。甲子園大会優勝投手。元阪神タイガース投手。阪神タイガースでは、入団1年目に32勝、2年目に33勝を上げた。3年目の開幕戦第一球を投げて肩を壊し引退。この時の球速は165キロであった。現在は甲子園球場の職員としてグランド整備にあたっている。 通天閣高校の坂田三吉を破って大阪府の代表となった南波高校の双子バッテリー藤村球二・藤村球三は藤村甲子園の弟である。水島新司の野球漫画『男どアホウ甲子園』の主人公でもある。