概要・あらすじ
翠川子爵邸の馬番の娘・もみじは、駿馬バシリスを唯一乗りこなせる人物だった。子爵家の翠川淡と再会したもみじはたちまち恋に落ちる。翠川竜介に愛人になることを強要されたもみじは、翠川淡と駆け落ちの約束をする。しかし翠川淡はバシリスから落馬し死亡。そしてときは下り、バシリスをめぐる人物、もみじのひ孫の和泉朱夏は、翠川淡のひ孫翠川流都に、ホテル・バシリスへ彫刻の売り込みに行く。
登場人物・キャラクター
和泉 朱夏 (いずみ しゅか)
22歳。もみじの曾孫。祖母の和泉日輪と2人暮らし。借金取りに追われて逃げている最中志方恒に出会った。彼の彫刻モデルを務めたことをきっかけに愛人になる。彫刻の才能があり、近年の志方恒の作品は彼女が作っている。翠川流都は彼女にバシリスの彫刻を依頼し、彫刻家として育てようと支援する。
翠川 流都
ホテル・バシリスのオーナー。翠川淡のひ孫。売り込みに来た和泉朱夏の支援を決意する。たびたび発作を起こしているが、里見宗光や和泉朱夏以外の人間には知らせていない。藍田瑠璃と婚約しているが、愛はなく、藍田家を陥れるために利用している。
もみじ
翠川子爵邸の馬番の娘。活発な性格で、影のある翠川淡に惹かれている。雇い主である翠川竜介に強引に愛人にさせられそうになり、翠川淡と駆け落ちしようとする。
翠川淡
叔父である翠川竜介に疎まれて育つ。既婚者で子どももいるが愛情はない。もみじを連れて駆け落ちしようとするが、バシリスから落馬し、死亡。
翠川 竜介 (みどりかわ りゅうすけ)
翠川子爵の主人。妹と外国人との子どもである翠川淡を翠川子爵家の面汚しだと疎ましく思っている。もみじを愛人にしようとしている。
志方 恒 (しかた こう)
世界的に有名な彫刻家だが、酒に溺れて近年は作品を作れない。和泉朱夏の彫刻の師匠でもあり、初めての相手。彼女に執着しており、自分の元に戻るよう迫っている。
和泉 日輪 (いずみ ひわ)
もみじと翠川淡の娘で和泉朱夏の祖母。もみじが世話になっていた彫刻家に手を出され、娘を産んだ。喫煙家で気の強い老婆。
藍田 瑠璃 (あいだ るり)
翠川流都の婚約者で、いとこ。傲慢でわがまま。和泉朱夏を快く思っておらず、何かと陰険な態度を取っている。
里見 宗光 (さとみ むねみつ)
翠川流都の秘書だが、実は藍田家のスパイ。翠川流都が発作を起こすことを知っている数少ない人物。クールで感情をあまり顔に出さない。
翠川 一馬 (みどりかわ かずま)
志方恒が教える大学の学生で彫刻家。翠川流都の甥。明るく素直な性格で、和泉朱夏のことを慕っている。
藍田夫人 (あいだふじん)
藍田政宗の姉で、藍田瑠璃の母。病弱な翠川流都から翠川グループの実権を奪おうとしている。
翠川子爵 (みどりかわししゃく)
『バシリスの娘』に登場する華族。北軽井沢にお城のような邸宅を持ち、地元民から一目置かれている。
藍田 政宗 (あいだ まさむね)
藍田瑠璃のおじ。ホテル・バシリスの取締役だったが、官僚に対する贈賄の疑いで取り調べを受け、自殺。
ネオ・バシリス
『バシリスの娘』に登場する馬。バシリスの子孫で、足は速いが気が荒く、調教師も手を焼いている。和泉朱夏だけがこの馬に乗ることができる。
バシリス
『バシリスの娘』に登場する馬。外国で3度も賞を取った名馬だが、気性が激しく、もみじしかその背に乗せない。
もみじの父
翠川子爵家で働く馬番。もみじの父。翠川竜介がもみじを愛人にしようとしていることを了承している。