バンオウ-盤王-

バンオウ-盤王-

春夏冬画楽の初連載作品。現代の日本を舞台に、300年ものあいだ将棋の研鑽を積んできた吸血鬼の月山元が、世話になっている将棋教室を救済するべく、その正体を隠して竜王戦の頂点を目指す姿を描いた将棋バトル。月山が吸血鬼であることのメリットとデメリットが緻密に描かれているほか、月山の将棋に対する熱意と努力の末に培われた棋力も見どころとなっている。集英社「少年ジャンプ+」で2022年12月16日から2024年6月7日まで配信の作品。「次にくるマンガ大賞2023」Webマンガ部門で第10位およびU-NEXT賞を受賞。

正式名称
バンオウ-盤王-
ふりがな
ばんおう
原作者
綿引 智也
作画
ジャンル
バトル
 
将棋
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊8巻
関連商品
Amazon 楽天

吸血鬼×将棋

永遠の時を生きる吸血鬼の月山元が、現代の将棋界で頂点を目指すことから物語が始まる。本作の吸血鬼は太陽の光を苦手としているが、さまざまな動物の血液を取り寄せて摂取しているため、人間の血を必要としていない。また、吸血鬼の存在は一部を除いた人間以外には知られておらず、見た目もまったく人間と変わらないため、月山も人間として認識されている。月山は江戸時代に将棋と出会ってから、およそ300年ものあいだ将棋の腕を磨き続けており、現在はアマチュアでは敵なしでプロにも匹敵する棋力を持つ。だが、吸血鬼のため昼間は身体能力が落ちるため、将棋大会ではこの体質が大きなハンデとなっている。このように吸血鬼の長所と短所がキャラクター設定に生かされており、本作ならではのオリジナリティを形成している。

月山を取り巻く、将棋界の人間たち

本作は月山元以外にも、輪島泰弘が経営する将棋教室の大人や子供たちから、日本有数のプロ棋士まで、プロフェッショナル、アマチュア問わず年齢も実力も異なる棋士たちが多数登場する。将棋をこよなく愛する月山は、対戦する棋士に対してもつねに敬意を払っており、そのうえで全力で対局を楽しもうとしている。この姿勢が将棋を愛する者の共感を呼び、月山が棋士たちから人気を集める理由ともなっている。だが、対戦相手や関係者を侮辱する棋士に対しては容赦をせず、時には相手の心を折るために圧倒的な強さを見せつける。

吸血鬼と、それを狩る者

将棋をこよなく愛する人間以外にも、フリーライターで吸血鬼の鈴木聡や、吸血鬼を狩る教団に所属するアンナ・クラウゼも登場する。吸血鬼と教団は互いを敵視しており、昔から密かに暗闘を繰り広げている。しかし鈴木は、月山の将棋界での活躍しか興味がなく、アンナもまた鈴木の放った何気ない一言をきっかけに将棋の魅力に取りつかれ、やがてハンター任務そっちのけで輪島泰弘の経営する将棋教室に通うようになる。さらに、そこで出会った月山を吸血鬼と知らないまま、彼とたびたび対局するようになる。このように、超常的な力を持つ吸血鬼やハンターたちが将棋に傾倒していく描写も見どころの一つとなっている。

登場人物・キャラクター

月山 元 (つきやま はじめ)

吸血鬼の青年。見た目年齢は30代に見えるが、実際は数百年以上の時を生きている。緑髪のロングヘアでサングラスをかけている。言動が軽いものの、気さくで誠実な性格から子供から大人にまで愛されている。だが、吸血鬼の友人、鈴木聡だけには彼の悪戯(いたずら)好きに辟易(へきえき)しているため辛らつに接している。江戸時代に偶然知った将棋に強い興味を抱き、それから現代にいたるまで300年ものあいだ、ひたすら研鑽を続けている。その棋力は日本最強の棋士、新堂誠二郎や、その弟子である天草翔といった天才には及ばないものの、プロのトップ棋士にも引けを取らない。陽の光が出ているあいだは人間以上に虚弱体質になるため、長く将棋を指しているだけでひどく体力を消耗してしまう。輪島泰弘が経営する将棋教室に10年通っているため愛着を感じているが、輪島からビルの老朽化で閉店することを知らされる。自分の居場所とも言える将棋教室を守るため竜王戦で優勝し、その賞金をビルの改築費用に充ててもらおうと、さらに研鑽を重ねている。江戸時代には「元四郎」と名乗っていた。

輪島 泰弘 (わじま やすひろ)

将棋教室を経営している人間の男性。将棋と棋士をこよなく愛しており、その温厚で実直な性格もあって将棋教室に通っている人々から慕われている。月山元からは「先生」と呼ばれている。月山が吸血鬼とは知らないが、彼の棋力にいち早く注目し、将棋大会に出場するよう勧めている。将棋教室が入っているビルの老朽化で、苦渋の末に教室を畳む決意を固める。だが、月山から「自分が竜王戦で優勝するからその資金をビルの改築費用に充ててほしい」と懇願され、これを受け入れた。月山とは10年来の付き合いになるが、下の名前は長らく認識していなかった。

クレジット

原作

綿引 智也

書誌情報

バンオウ―盤王― 8巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2023-04-04発行、 978-4088834894)

第2巻

(2023-07-04発行、 978-4088836201)

第3巻

(2023-09-04発行、 978-4088837079)

第4巻

(2023-11-02発行、 978-4088837741)

第5巻

(2024-02-02発行、 978-4088838687)

第6巻

(2024-04-04発行、 978-4088840628)

第7巻

(2024-06-04発行、 978-4088840574)

第8巻

(2024-07-04発行、 978-4088840963)

SHARE
EC
Amazon
logo