SERVAMP -サーヴァンプ-

SERVAMP -サーヴァンプ-

シンプルであることを美徳とする男子高校生の城田真昼は、下僕の吸血鬼の長兄であるクロと出会ったことで吸血鬼たちの争いに巻き込まれていく。真昼や仲間たちがそれぞれのコンプレックスに向き合いながら、互いに成長していく姿を描いたバトルファンタジー。「月刊コミックジーン」2011年7月号から掲載の作品。

正式名称
SERVAMP -サーヴァンプ-
ふりがな
さーゔぁんぷ
作者
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
MFコミックス ジーンシリーズ(KADOKAWA)
巻数
既刊21巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

椿編

思考回路がシンプルであること以外は平凡な男子高校生の城田真昼は、ある日ふつうの黒ネコとカンちがいし、下僕の吸血鬼の長兄で「怠惰」を象徴するクロを拾い、うっかり契約を交わしてしまう。その結果、クロたちも知らない八番目の下僕の吸血鬼の椿や、その下位吸血鬼から襲われる日々が始まる。そんな中、真昼は下僕の吸血鬼を集結させ、椿に対抗すべく動き出す。有栖院御園スノウリリイ有栖院御国ジェジェ千駄ヶ谷鉄ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世たちはうまく協力し合うことに成功するが、リヒト・ジキルランド・轟ハイドが息を合わせることを拒否した結果、椿たちに監禁される事件が起きる。

C3編

スノウリリイヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世ハイド灰塵を放出させられたものの、リヒト・ジキルランド・轟とハイドの救出に成功したクロは、椿との一対一の戦いに持ち込むことに成功する。対話を試みたクロに椿が応じかけた瞬間、椿を抹消しようとするC3狼谷吊戯車守盾一郎月満弓景の襲撃によって椿を逃がしてしまう。さらに、城田真昼たち下僕の吸血鬼とその主人(イヴ)たちも、露木修平の指示によってC3東京支部へと連行される。吸血鬼すべてを討伐対象としてしか見ていないC3職員に対し、真昼はクロ個人を知ってもらうため、吊戯たちと行動を共にすることにする。やがて真昼は、吊戯の不安定すぎる精神や傷だらけの体、吊戯を人形のように扱う塔間泰士との関係を目にし、吊戯をも救おうと決意を固める。しかし、弓景が塔間に向けて放った一つの疑惑を耳にし、クロが怒りをあらわにする。

決戦編

C3の東京支部が崩落し、塔間泰士は行方不明となる。しかし事件に関係した人間や、吸血鬼たちが全員無事だという事実に、城田真昼たちはつかの間の平和を満喫する。一方、千駄ヶ谷鉄たちのもとに、ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世によって灰塵を放出させられたニコロ・カルペディエムたちがやって来る。困惑が広がる中、フレイアを収容している病院を椿、さらには有栖院御国たちが同時襲撃する。月満伊檻城田徹狼谷吊戯までもがなすすべなく倒れる中、真昼とクロは伊檻たち兄弟によってロンドンへと転送される。「狼男を探せ」という言葉に従い、クロの旧友であるノイギア・ハティヴェルト、その友人の紡樹羊太朗に出会った二人は、かつてクロがノイギアに頼んで切り離した核「悪魔」を再び取り込むことを決意する。しかし東京では、人間たちが次々と倒れる異常事態が起きていた。

メディアミックス

TVアニメ

2016年7月から、本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』のTVアニメ版『SERVAMP -サーヴァンプ-』が、TOKYO MX、サンテレビほかで放送された。リヒト・ジキルランド・轟ハイドが仲間になる椿編までが描かれているが、狼谷吊戯が登場するなど、原作とは異なる展開も見られる。キャストは城田真昼を寺島拓篤、クロを梶裕貴、椿を鈴木達央が演じている。

劇場版アニメ

2018年4月から、本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』の劇場版アニメ『SERVAMP -Alice in the Garden-』が全国で公開された。TVアニメ版『SERVAMP -サーヴァンプ-』で描かれなかった、有栖院御園スノウリリイをキーパーソンとする有栖院家の過去が描かれている。キャストは城田真昼を寺島拓篤、クロを梶裕貴、椿を鈴木達央が演じている。

ドラマCD

2014年から2016年にかけて、本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』を原作としたドラマCD『吸血鬼だらけの夏休み』『吸血鬼だらけの冬休み』『吸血鬼だらけの春休み』の三作が、フロンティアワークスより発売された。それぞれ原作をドラマCD用にアレンジした作品と、完全書き下ろし作品二本が収録されており、ブックレットには田中ストライクによるショートコミックも掲載されている。キャストは城田真昼を寺島拓篤、クロを梶裕貴、椿を鈴木達央が演じている。

キャラクターCD

本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』を原作としたキャラクターCD『Vol.1 真昼&クロ』『Vol.2 御園&スノウリリイ』『Vol.3 リヒト&ロウレス』『Vol.4 鉄&ヒュー』『Vol.5 椿&ベルキア』の五作品が、フロンティアワークスより発売された。城田真昼クロなど、各主従コンビをピックアップした内容となっており、デュエット曲のほか、書き下ろしシナリオによるショートドラマも収録されている。キャストは真昼を寺島拓篤、クロを梶裕貴、椿を鈴木達央が演じている。

舞台

2020年11月から、本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』を原作とした舞台『SERVAMP -サーヴァンプ-』が東京のこくみん共済coopホールにて上演された。キャストは城田真昼を竹中凌平、クロを千田京平、椿を上遠野太洸が演じている。

WEBラジオ

2016年7月から隔週で、TVアニメ『SERVAMP -サーヴァンプ-』の連動番組として、アニメイトタイムズでWEBラジオ「サーヴァンプ通信」が配信された。パーソナリティは寺島拓篤と梶裕貴が務めており、毎回ゲストとしてTVアニメでキャラクターを演じる各キャストを迎えた。また、2016年12月にはランティスより、この「サーヴァンプ通信」をまとめたラジオCDが発売されている。

キャラクターブック

2016年7月、本作『SERVAMP -サーヴァンプ-』の公式キャラクターブック『SERVAMP -サーヴァンプ- #10.5』がKADOKAWAより刊行された。作中に登場するキャラクターの詳細や作中用語の解説、四コママンガのほか、田中ストライクによるイラストメイキングも収録されている。

登場人物・キャラクター

城田 真昼 (しろた まひる)

クロの主人(イヴ)となった高校1年生の少年。茶髪のベリーショートヘアを外ハネさせ、学校の制服を着崩している。シンプルであることが一番の美徳であると考えており、「シンプルに考えて、俺だろ」が口癖。揉めることが面倒だからという理由で、自分でできることならすべて引き受けてしまうところがある。母親を事故で亡くして、親戚から厄介者扱いされていた際に叔父の城田徹に引き取られたため、徹を非常に尊敬している。両親ともに魔術師の家系だが、城田真昼自身はある特殊な理由から魔術師としての能力がないといわれている。主人としての武器は黒い箒、または槍。

クロ

下僕の吸血鬼の少年で、城田真昼のパートナーを務める。水色の髪に赤い目、黒いファーの付いた青いフードジャケットを身につけており、見た目は18歳くらいに見える。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の一人で、長男。「怠惰」を象徴しており、真祖としての通り名は「沈黙する終焉」。契約の際に、有栖院御園から鈴を与えられた。「向き合えねー」が口癖で、熱血な振る舞いは実は好きではない。昼間は基本的に黒ネコの姿に化けているが、本来の獣化した姿は黒い獅子。血を飲んで発現する攻撃手段は黒く長い爪で、針のように飛ばすこともできる。全吸血鬼の中で、最も強力だとされているため、御園、有栖院御国は初対面時、真昼に対してクロとの契約解消を持ちかけた。かつて、ろくに話し合うこともせずにサンジェルマン伯爵を殺害したことを後悔しており、その苦しみと向き合うことから逃げ続けていた。ロンドンに住んでいた頃、ノイギア・ハティヴェルトと友人となり、制御できない悪魔を切り離してもらった過去がある。ノイギアからは「アッシュ」と呼ばれている。好物はカップ麵。

椿 (つばき)

下僕の吸血鬼の青年。黒髪で赤い目にサングラスを掛け、黒い着流しと血痕のような柄が入った白い羽織を身につけている。見た目は21歳くらいに見える。吸血鬼の真祖ながら、「七人兄弟」に数えられていない八番目の存在で「憂鬱」を象徴しており、真祖としての通り名は「招かれざる八番目」。また椿自身は、主人(イヴ)はいないと自称している。二本の尾がある黒いキツネの姿に化けることができるが、昼間でも人の姿を保つことができる。笑い上戸でよく笑っているものの、次の瞬間には「面白くない」と憂鬱な顔を見せる。兄弟ですら自分を認識していない理不尽さと、偽善行為に強い憤りを感じている。しかし、悲劇的な境遇を味わった者には優しい一面を見せ、特に椿自らが作った下位吸血鬼のことは家族と称して愛し、殺害されると涙を流して悼んでいる。サンジェルマン伯爵がクロに殺害された際、一番近くにいたと自称している。また、現在もサンジェルマン伯爵のために行動し、クロを完全な存在にすることが自らの存在意義だと語っており、クロとの敵対関係を維持しようとしている様子がある。ベルキアからは「つばきゅん」、シャムロックからは「若」と呼ばれている。

ベルキア

椿の下位吸血鬼の青年で、濃いピンク色の長い髪をポニーテールにしている。眼鏡を掛けて白いシルクハットとスーツを身につけ、マジシャンのような姿をしている。言動が幼く、他人から無視されることが大嫌いで、つねにテンションが高い。ぬいぐるみの姿に化けることができる。剣による串刺しが得意なことから「串刺公ベルキア」を自称している。

綿貫 桜哉 (わたぬき さくや)

椿の下位吸血鬼の少年。緑色の髪を外ハネにして、ボーダーのシャツを身につけている。両親が姉と自分を自殺と見せかけて殺害し、多額の保険金を得たという過去がある。ウソをつく行為を非常に憎んでいる。自らの死に際に椿と出逢い、下位吸血鬼となった。複数の人間に催眠をかけて学校にも潜入し、城田真昼と友人関係も築いて大切に思っている。そのため、吸血鬼の出没状況などを教えて、出歩かないように警告を出すなどしている。真昼がクロを、ただの黒ネコだとウソをついたことで正体を現したが、依然として真昼を友人と考え、守るような行動を見せている。

オトギリ

椿の下位吸血鬼の少女。薄ピンク色のショートカットで、白い医療用ワンピースを身につけている。「困ります」が口癖ながら、表情が乏しいために困っているようには見えない。糸を使用して他人を拘束したり、あやつったりすることができる。

シャムロック

椿の下位吸血鬼の初老の男性。金髪をオールバックにし、右目に眼帯をしている。椿に心酔しており、忠誠心が強く、そのアピールも欠かさない。より椿の役に立てるよう考えて、立ち振る舞うことを至上の喜びとしている。また、綿貫桜哉を裏切り者候補として危険視しているが、椿が許容している限り見逃している。生前はC3の職員で、露木修平の父親とは親友同士だった。生前の名前は「グレイ」。

ヒガン

椿の下位吸血鬼の中年男性。膝下まである長い赤毛を背中でまとめている。生前はとりわけ若い女性をキャンバスにした画家を自称する、殺人鬼だった。そのため、戦闘後はターゲットの血痕が絵画のようになっている。椿の下位吸血鬼の中で飛び抜けた実力の持ち主で、ライラックは「ヒガンが下位吸血鬼で一番強くて危険」と評している。「踊ろうカムパネルラ」を使用することができる。

ライラック

椿の下位吸血鬼の少年。肩までの金髪をアシンメトリーにしている。椿の下位吸血鬼たちがコンサートホールで、リヒト・ジキルランド・轟とハイドを襲撃した際、唯一生き残った。リヒトに殺害されそうになるが、城田真昼に命を救われたことを感謝し、わずかながらも椿たちの情報を提供している。

有栖院 御園 (ありすいん みその)

スノウリリイの主人(イヴ)となった、高校1年生の少年。紫がかった黒髪を真ん中分けにしており、つねにキッチリとした印象の服装を身につけている。有栖院グループの御曹司で、初対面の相手に対してもつねに高圧的な態度で接する。しかし、必ず夜9時に就寝したり、サンタクロースを信じていたりするなど、子供っぽい一面がある。自分のために周囲が犠牲になっていいとは考えておらず、スノウリリイとその下位吸血鬼たちを守るために城田真昼と協力している。体が弱く、5分以上歩くと息切れがする。主人としての武器は拘束台を兼ねた椅子で、この椅子はスノウリリイとの合同技である「赤の女王の処刑台」でも使用するほか、疲れたときの休憩用としても使用している。また、この際は「イエス以外の返答は却下だ」が口癖。スノウリリイの下位吸血鬼たちからは「アリス」と呼ばれている。

スノウリリイ

下僕の吸血鬼の青年で、有栖院御園のパートナーを務める。肩上までの金髪で、ホストのような姿をしている。見た目は27歳くらいに見える。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の末っ子で、六男。「色欲」を象徴しており、真祖としての通り名は「全ては愛に収束する」。契約の際、御園から懐中時計を与えられた。昼間は基本的に黒い蝶の姿に化けており、血を飲んで発現する攻撃手段は大鎌。人前でもすぐに服を脱ぎたがることから変態扱いされがちだが、スノウリリイ自身はその自覚がまったくないため、変態扱いされると不機嫌になる。かつて有栖院家の先祖の女性と契約して以降、有栖院家の人間と契約を続けている。オトギリに懐中時計を破壊されて暴走して以降、徐々に力が弱くなり、C3の東京支部から脱出してからは赤ん坊の姿になってしまう。御園からは「リリイ」と呼ばれている。

ユリー

スノウリリイの下位吸血鬼の少女。ロングヘアに、先端がハートになったリボンをヘアバンドのように巻いている。マリーとは双子の姉妹で、基本的にいつもいっしょに行動している。有栖院御園を慕っており、城田真昼がクロとの契約を破棄しないことを察すると、御園の願いを叶えるためにユリーと共に攻撃しようとした。マリーとはシンクロして話すことが多い。

マリー

スノウリリイの下位吸血鬼の少女。ミディアムボブヘアに、先端がハートになったリボンをヘアバンドのように巻いている。ユリーとは双子の姉妹で、基本的にいつもいっしょに行動している。有栖院御園を慕っており、城田真昼がクロとの契約を破棄しないことを察すると、御園の願いを叶えるためにマリーと共に攻撃しようとした。ユリーとはシンクロして話すことが多い。

有栖院 御国 (ありすいん みくに)

ジェジェの主人(イヴ)となった男性で、年齢は23歳。金髪の一部を三つ編みにしており、カウボーイのような服を身につけている。有栖院グループの御曹司で有栖院御園の兄だが、過去の事件が原因で御園からは恨まれている。性格も御園とは正反対で、初対面の相手にもなれなれしい態度で接する。しかし噓ばかりつき、ジェジェのこともよくだましている。実家を出てからはC3に所属しており、狼谷吊戯とは同室で犬猿の仲だった。現在もC3には出入りしており、城田真昼らがC3で騒動に巻き込まれているあいだも、一部始終を確認している。現在は椿、ヨハネス・ミーミル・ファウストゥスらと共に姿をくらませている。主人としての武器はアベルという人形で、つねに携帯している。また、アベルを用いてお気に召すままという技を使用することもできる。ヨハネスからは「みくみく」と呼ばれている。

ジェジェ

下僕の吸血鬼の青年で、有栖院御国のパートナーを務める。頭に穴のあいた紙袋を三枚縦並びにしてかぶっており、牧師服とゼンマイネジのペンダントを身につけている。素顔を見せるのは血を飲むときだけだが、その詳細は不明。長い黒髪をうなじでまとめている。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の三人目で、三男。「嫉妬」を象徴しており、真祖としての通り名は「疑わしきは罰せよ」。契約の際、御国から与えられたものは不明。昼間は基本的に、首に十字架柄のある黒いヘビの姿に化けている。血を飲んで発現する攻撃手段は銃火器で、狙撃から近接射撃までこなすことができる。かつて、スノウリリイに招かれて有栖院家に滞在していたが、御国の母親に影響を与え、嫉妬に狂わせた過去がある。

バッドB (ばっどびー)

ジェジェの下位吸血鬼の少女で、金髪ロングヘアに大きな三角帽をかぶっている。手元が隠れるほど袖の長いワンピースを身につけ、魔女のような姿をしている。袖に隠れた手元からレーザービームを放出して攻撃するが、帽子に付いた飾りの色が充電率を表している。また、充電はグッドBが攻撃したあとの、ターゲットの血液が付いた食パンで行われる。あいさつする際は時間に関係なく「Bad Evening」と言う。

グッドB (ぐっどびー)

ジェジェの下位吸血鬼の青年。赤い髪をオールバックにし、額の右側に「B」のタトゥーを入れている。ブラックタイに燕尾服を着用し、所持している銀盆のクローシュにおさめた食パンを刃物のように投擲して攻撃する。また、かかとが車輪になっており、スムーズに移動できる。あいさつする際は時間に関係なく「Good Morning」と言う。

千駄ヶ谷 鉄 (せんだがや てつ)

ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世の主人(イヴ)となった、中学2年生の少年。短い金髪の側頭部を2本のヘアピンで留め、首からは「ゆ」と書かれた手拭いを提げている。温泉宿の跡取り息子で、あまり深く物事を考えないシンプルな思考回路が城田真昼と共通していることから、真昼と仲がいい。主人としての武器は大きな鉄の棺桶だが、一度出したきり片づけられなくなったため、ペンキで「おいでませ白ノ湯温泉」と書いて宣伝に利用している。非常に背が高いことから、真昼と有栖院御園からは年上だと思われており、初対面のニコロ・カルペディエムを驚愕させた。月満弓景とは義兄である月満都湖とのつながりがあるため、非常に親しい様子を見せている。

ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世 (ひゅーざだーくあるじゃーのんさんせい)

下僕の吸血鬼の男児で、千駄ヶ谷鉄のパートナーを務める。タキシードとシルクハット、モノクルをつけており、5歳くらいに見える。「我が輩」「~じゃ」など、古びた口調で話す。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の二人目で、次男。「傲慢」を象徴しており、真祖としての通り名は「古き良き時代の忘れ者」。昼間は基本的にコウモリの姿に化けており、血を飲んで発現する攻撃手段は不明。椿によって大量の灰塵を放出させられたあとは、口調だけでなくしぐさも老人ぽくなっていた。しかし、鉄と正式に契約を結んでおらず、「ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世」の名前は自ら鉄に名乗ったもの。C3の東京支部から脱出して以降、行方をくらましているが、イルディオに大量の灰塵を放出させた犯人としてニコロ・カルペディエムをはじめとするカルペディエムファミリーから狙われている。

リヒト・ジキルランド・轟 (りひとじきるらんどとどろき)

ハイドの主人(イヴ)となった少年で、年齢は18歳。黒髪の一部が白髪で、天使の羽が付いたリュックサックを背負っている。天才ピアニストとして知られ、その音色は天使の音色と賞賛を受けている。そのため、自分を天使であると自称しており、妖精から事情を聞くなど奇行を繰り返すため、初対面で城田真昼に電波系だと認定された。ウィーンで生まれ育ち、日本にいるあいだは毎日カラオケに通っていた。主人としての武器はグランドピアノとブーツ。蹴りで鉄筋コンクリートの壁を打ち破ることもできる。ハイドからは「リヒたん」と呼ばれている。

ハイド

下僕の吸血鬼の少年で、リヒト・ジキルランド・轟のパートナーを務める。金髪に黒メッシュのある短髪で、眼鏡を掛け、ブレスレットや指輪を複数身につけている。見た目は18歳くらいに見える。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の五人目で、四男。「強欲」を象徴しており、真祖としての通り名は「唯一無二」。契約の際、リヒトからドッグタグを与えられた。昼間は基本的に黒いハリネズミの姿に化けており、血を飲んで発現する攻撃手段はフェンシングサーブル。ウィリアム・シェイクスピアの劇中セリフを引用して話すことが多く、芝居がかったしぐさをよく見せる。ある事件をきっかけに、人の命には価値がないと信じ込もうとしており、特別だと思える人間を主人(イヴ)に迎えて飽きたら殺害するという行動を繰り返していた。その凶暴性から、ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世から危険視されている。リヒトからはよく「クズネズミ」と呼ばれている。椿にドッグタグを破壊されて暴走してからは泣き虫となり、非常に力が弱くなった。

ギルデンスターン

ハイドの下位吸血鬼の中年男性。黒髪を肩の下まで伸ばして、顎髭を蓄えている。ふだんはリヒト・ジキルランド・轟の近くにいるマスコットキャラクター「ホエール」の着ぐるみに入っているため、リヒトはその素顔を知らなかった。ハイドがオフィーリアと契約している頃からの下位吸血鬼で、その際は銀の甲冑の中に入っていた。

イズナ・ノーベル

フレイアの主人(イヴ)となった女性で、C3の開発班に所属している研究員。金髪のロングヘアで、溶接マスクをつけていることが多い。露木修平とは親同士がC3職員だったことで知り合い、幼なじみとして育った。発明が大好きで、現在C3で開発されている武器のほとんどはイズナ・ノーベルによるもの。ただし、下位吸血鬼を殺害するために武器を開発したつもりはなく、あくまで威嚇や抑止力として発明したものだった。修平を復讐に走らせたのは自らが開発した武器が原因だと悟り、後悔に苛まれた。修平を止めるために力を求め、フレイアと契約を交わしている。

フレイア

下僕の吸血鬼の女性で、イズナ・ノーベルのパートナーを務める。尻の下まで伸びた濃い紫色の髪を、ハーフアップにして、黒いイブニングドレスを身につけている。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の四人目で、長女。「憤怒」を象徴しており、真祖としての通り名は「母なるもの」。前主人(イヴ)が寿命で死んだタイミングで、C3に捕えられていた。一度は狼谷吊戯を主人に迎えようとしたが拒否され、その後、イズナと契約している。契約の際、イズナから髪を与えられた。いつも不機嫌な表情でドスのきいた声で話すため、つねに怒っているのではないかと誤解されることも多いが、決して怒っているわけではない。昼間は基本的に黒いオオカミの姿に化けており、血を飲んで発現するのは攻撃手段ではなく盾。下位吸血鬼にはすべて、戦場で死んだ兵士ばかりを選んでいる。

ジルベルト=ウィーズル

フレイアの下位吸血鬼の青年。ウエーブがかった黒髪にハットをかぶり、黒いスーツを身につけている。C3の牢獄に捕えられていたが、C3研究員たちがフレイアに非道な実験をするという話を耳にして、となりの房に捕えられていたシャムロックと共謀して脱獄、フレイアの奪還に動いた。レイセント=クレイジーラビットからは「ジル」と呼ばれている。

レイセント=クレイジーラビット

フレイアの下位吸血鬼の青年。ウエーブがかった黒髪のロングヘアで、ウサギの顔に見える帽子を目深にかぶり、黒いスーツを身につけている。C3の牢獄に捕えられていたが、C3研究員たちがフレイアに非道な実験をするという話を耳にして、となりの房に捕えられていたシャムロックと共謀して脱獄、フレイアの奪還に動いた。ジルベルト=ウィーズルからは「レイ」と呼ばれている。

ニコロ・カルペディエム

イルディオの主人(イヴ)となった青年で、カルペディエムファミリーというイタリアンマフィアのボスを務める。黒髪のロングヘアで、黒いスーツを身につけている。非常に気弱な性格で、つねにオドオドと周囲を警戒している。そのため、部下たちからもマフィアには向いていないと思われているが、みんなからは信頼されている。イルディオや部下たちからは「ニコ」と呼ばれている。

イルディオ

下僕の吸血鬼の青年で、ニコロ・カルペディエムのパートナーを務める。左半身に大きくタトゥーを入れている。吸血鬼の真祖といわれる「七人兄弟」の六人目で、五男。「暴食」を象徴しており、真祖としての通り名は「世界を食い尽くせ」。食べ物の気配がするものはなんでも食べようとする。ハイドからは「ワーくん」と呼ばれている。

ノイギア・ハティヴェルト

狼男の少年で、部分的および全身を狼に変身させることができる。黒のワイシャツとベストスーツを身につけている。気怠そうな顔つきで、喧嘩っ早く短気な性格をしている。満月が近づくと暴走して狼の姿になりやすくなるが、親しい友人の呼びかけで人の心に戻れる。また、ノイギア・ハティヴェルトの体毛にはものをいい状態に保とうとする力があり、ものの劣化を防いだり、ケガの治癒を早める効果がある。紡樹羊太朗が幼い頃は日本にある廃教会の地下に隠れ住んでおり、よく絵本を読んでやっていた。現在は羊太朗と共にロンドンの一軒家で暮らしている。クロとは旧知の仲で、かつてクロから悪魔を切り離し、薔薇の形にして保管し続けている。一時期はロンドンでクロと共に暮らしていたが、クロがサンジェルマン伯爵を殺害するために日本に発ったまま帰宅しなかったことから、クロに対して邪険な態度を取っている。また、クロを捜して来日しているあいだに人間と混血児をもうけたため、狼谷吊戯の先祖でもある。クロや羊太朗からは「ギア」と呼ばれている。

紡樹 羊太朗 (つむぎ ようたろう)

ノイギア・ハティヴェルトと暮らしている日本人の青年。イギリスのロンドンに住んでいる。銀髪で、左側頭部だけ編み込みにしている。幼少期からギアに懐いており、非常に仲がいい。暴走するノイギアを唯一制止できる人物で、ノイギアの体毛の特性について熟知しており、抜けた毛を紡いだ糸で衣料品を作っている。

サンジェルマン伯爵 (さんじぇるまんはくしゃく)

下僕の吸血鬼を作り、下位吸血鬼や灰塵という吸血鬼の概念を生み出した人物。性別の詳細は不明。不老不死を求めて研究を重ねていた様子が、ノイギア・ハティヴェルトのもとに絵本となって残されている。C3から殺害命令が出た際には、下僕の吸血鬼を二分する話し合いが行われた。結果としてクロが殺害したが、その際には間近に椿がいたとされる。下僕の吸血鬼を作り出せるのは、サンジェルマン伯爵だけといわれている。下僕の吸血鬼たちからは「先生」と呼ばれている。

ヨハネス・ミーミル・ファウストゥス

C3の非常勤研究員の男性。薄紫色の短髪にカチューシャをつけ、眼鏡を掛けて白衣を身につけている。満足は停滞、停滞は死だと考えており、世界のすべてを理解したいと欲している中で、未だ解明できない吸血鬼を偏執的に研究している。有栖院御国の店に入り浸り、奥には自分の研究室まで持っている。クロが球体になってしまった際、城田真昼はヨハネス・ミーミル・ファウストゥスの力を借りてクロの精神世界に干渉した。また、吸血鬼に詳しい人物として車守盾一郎に依頼され、スノウリリイの体を実験に使用している。その後、椿や御国らと共に姿をくらました。

露木 修平 (つゆき しゅうへい)

C3の開発班に所属している研究員の男性で、年齢は22歳。茶髪で、逆三角形の眼鏡を掛けている。非常に童顔なため、城田真昼を観察するために高校に潜入していた。「ハヤブサ」と呼ばれる超人的空間認識能力を持っている。有栖院御国とは旧知の仲だが、非常に苦手にしており邪険に扱っている。また、イズナ・ノーベルとは親同士がC3職員だったことで知り合い、幼なじみとして育った。しかし、父親が吸血鬼に殺害されたため、吸血鬼を激しく憎んでいる。最強に不運の持ち主で、階段から落ちたり水をかぶったりすることは日常茶飯事だが、つねに心構えはしており、「備えあれば多少憂いあれど問題なし」が口癖となっている。ノーベルからは「ろきくん」と呼ばれている。

狼谷 吊戯 (かみや つるぎ)

C3の戦闘班に所属している男性で、年齢は26歳。ウルフカットの黒髪で、白いポンチョパーカーの上から両腕を拘束されている。また、首には黒い首輪をはめている。コードネームは特攻隊長を示す「バルドル」。下位吸血鬼のあいだでは恐れられている存在で、狼谷吊戯に出会ったらすぐさま逃げろ、と噂されている。かなりの守銭奴で、金にならない仕事は平気で拒否し、ターゲットであっても金を積めば見逃してもらえる。かつて、有栖院御国と共に仕事をしており、罵倒されたり土下座させられたりしていたが、桁違いの報酬がもらえたということで懐かしがっている。父親もC3の職員だったが、赤ん坊の頃から殴打を受けるなどの虐待を受けて職員寮で育ち、さらに父親のつくった多額の借金を背負わされている。父親が任務に出向いているあいだに救出してくれ、自らも虐待に耐えながら育ててくれた塔間泰士を心から慕っており、塔間が孤立しないよう立ち振る舞っている。ノイギア・ハティヴェルトと人間のあいだに産まれた混血児の子孫でもある。

車守 盾一郎 (くるまもり じゅんいちろう)

C3の戦闘班に所属している男性で、年齢は26歳。薄桃色のベリーショートヘアで、眼鏡を掛けている。コードネームは捕縛のスペシャリストを示す「トール」。3歳の息子がおり、溺愛している。妻もC3の職員だったが、下位吸血鬼が脱獄した際に殺害された。一時期はショック状態で衝動的に育児休暇を取り、C3にも姿を見せていなかったが、現在は精神状態も回復して明るく振る舞っている。狼谷吊戯と月満弓景のまとめ役ではあるものの、基本的にはいっしょにふざけ合っていることが多い。

月満 弓景 (つきみつ ゆみかげ)

C3の戦闘班に所属している男性で、年齢は26歳。ウエーブがかった金髪をポニーテールの髪型にしている。コードネームは射撃のスペシャリストを示す「ヘズ」。かなりの毒舌家で、顔つきも凶悪だが、狼谷吊戯に対しては罵倒しながらも母親のように世話を焼く優しい一面を見せる。実家が非常に裕福なうえに純血の魔術師の家系なため、幼い頃から吸血鬼に食料として狙われていた。かつては自分と正反対の生き方をしている吊戯を嫌っていたが、ある事件を境に自ら吊戯の友人となることを決め、現在は信頼関係を築いている。

塔間 泰士 (とうま たいし)

C3の東京支部で、副支部長を務める中年男性。左目の下にギザギザの傷痕がある。C3の職員だった両親から「ハイザラ」と呼ばれて虐待を受けて育つが、事故に見せかけて両親を殺害した。職員寮の隣室で同じく虐待を受けていた狼谷吊戯を救出し、育てた人物でもある。しかし、吊戯には便宜上家族として接しているが、その実、吸血鬼を殺せなくては価値がない道具だと吐き捨てており、吊戯の精神状態が危険な域に達していることも承知で無視している。また、吊戯にかかる治療費のことを修理代と称する冷酷さを見せ、城田真昼を激怒させた。城田徹とは小学校からの幼なじみだが、他人を気遣う余裕のある徹を憎んでいる様子を見せていた。塔間泰士本人には隠されているが、実は真昼の父親。吊戯からは「泰ちゃん」と呼ばれている。

城田 徹 (しろた とおる)

城田真昼の叔父。ウエーブがかった黒髪の中年男性で、真昼には隠していたがC3の東京支部で統括部長を務めている。また車守盾一郎に継承したが、先代の「トール」であり、「徹だけにトール」が持ちギャグだった。真昼の母親が事故で亡くなった際、親戚中から厄介者扱いされている真昼を引き取り、愛情をかけて育てた。出張が多くてほとんど自宅を不在にしていたが、真昼のことを大切に思っている。「シンプルに考えて、俺だろ」の口癖も本来は城田徹のものであり、真昼に多大な影響を与えている。塔間泰士とは小学校からの幼なじみで、孤立しがちな塔間を気遣っていた。また、真昼が塔間の実子である事実と、両親ともに魔術師の家系である真昼に魔術師としての能力がない理由を知る唯一の人物でもある。

月満 伊檻 (つきみつ いおり)

C3の東京支部で、支部長を務める中年男性。左側に分け目を作った金髪で、白スーツを身につけている。結界のスペシャリストであり、スーツの内側に鍵型の道具をいくつも保管している。塔間泰士、城田徹とは昔なじみで、全幅の信頼を寄せている。月満弓景と月満都湖の実兄。

月満 都湖 (つきみつ みやこ)

月満弓景の実兄で、千駄ヶ谷鉄の義兄。襟足の長い短髪をグラデーションカラーにして、つねに化粧をした女装家で、オネエ言葉でしゃべる。非常に肝の据わった人物で、マフィアであるカルペディエムファミリーが結集した場所にも物おじせずに姿を見せる。鉄の実家である温泉旅館で生活している様子が見られる。

有栖院 御門 (ありすいん みかど)

有栖院御園と有栖院御国の父親。緑がかった茶色の長髪をオールバックにし、うなじでまとめて丸眼鏡を掛けている。御園を溺愛するあまり、客人に御園の幼少期からのアルバムを見せながら熱弁する癖があり、秘書から注意を受けることが多い。御園を下僕の吸血鬼たちの戦いから遠ざけようとして、城田真昼と対峙した。御園に対して重大な秘密を抱えており、それが露見することを恐れている。

洞堂 (どうどう)

有栖院御園の専属運転手を務める青年。青色の髪で、下まつげの目立つたれ目をしている。つねにやる気のない態度で、スノウリリイの下位吸血鬼たちの小間使いのようなことをしている。しかし体術に秀でており、千駄ヶ谷鉄を投げ飛ばせるほどの実力を持つ。

クランツ=ローゼン

リヒト・ジキルランド・轟のマネージャーを務めるフランス人の男性。長い金髪をサイドで三つ編みにまとめている。リヒトのピアノ演奏を全人類の宝だと評価し、その演奏を世界に広めることが自分の使命だと考えている。

オフィーリア

かつてハイドの主人(イヴ)だった女性。とある国の王女で、ハネ癖のある長い金髪をポニーテールの髪型にしてる。平和を愛し、何に代えても国の平和を実現させようとする強い信念を持っていた。そのため、隣国との戦争回避のために隣国の王子と結婚する際にも喜んで嫁いだものの、母国が裏切ったために処刑された。その死をきっかけに両国に平和が訪れたが、さらにとなりの大国によって両国ともに滅びている。

集団・組織

C3 (しーすりー)

ロンドンが発祥で、人と人外の共存を掲げる地下組織。正式名称は「魔術師統制会議」で、「CCC」と呼ばれていた時代もある。サンジェルマン伯爵が使用した魔術式を扱う者たちの諮問会でもある。所属メンバーのほとんどが魔術師の家系に生まれており、C3で作られた道具は魔術師の家系に連なっている者でないと扱えない。灰塵を見ることができる道具や除去、貯蔵する道具を発明したりと、吸血鬼研究の先端を担っている。また、吸血鬼以外にも古い魔術や不老不死なども研究している。人間に危害を加えた人外を捕まえて裁くが、明確なラインや警告などはなく、一方的な制裁となっており、吸血鬼から見ると独裁にしか見えない。かつて下僕の吸血鬼たちに、ある人物の殺害を依頼したり、椿を捕えて研究したりしていた。

その他キーワード

赤の女王の処刑台 (ぐっどないとすぃーとどりーむ)

有栖院御園とスノウリリイが連携して使用する武器と技。赤と白にぬり分けられた猫足の椅子で、拘束具が付いている。御園とスノウリリイが、敵を挟んで対峙すると発動し、赤の女王の処刑台で敵を拘束しているあいだに、スノウリリイが大鎌で首を刈ることができる。

お気に召すまま (まいふぇあれでぃ)

有栖院御国がアベルを用いて使用する技。この技を発動すると、アベルとターゲットの首が縄でつながれる。中央には縄を天秤棒のように肩にかついだ女性像が出現し、ふだんは軽い人形でしかないアベルがターゲットの罪の分だけ重量を増すため、ターゲットの多くは首つり状態となる。

ジキルとハイド

リヒト・ジキルランド・轟とハイドが連携して使用する技。攻撃態勢のリヒトと防御態勢のハイドの位置を一瞬で入れ替えることができる。そのため、姿勢を変えるときのスキが生まれず、そつのない攻撃が可能となっている。

踊ろうカムパネルラ (しゃるうぃーだんす)

ヒガンの使用する技。両手から巨大な手の形をした炎を繰り出すほか、ターゲットの体をえぐり、その傷口からも発火させることができる。リヒト・ジキルランド・轟の捕縛や、リヒトとハイドとの戦闘においても使用された。

一人にしないで (ねばーらんど)

狼谷吊戯が使用する魔術。ターゲットに首輪を課し、吊戯から一定距離以上離れることができなくする。また、反抗した場合には強制的に拘束することもできる。「枕元で絵本を読んで欲しい」から始まる、絵本を読むような呪文を詠唱することで発動し、技の発動直前にはお遊戯会のような舞台が見える。

運命の車輪 (りんぐありんぐ)

車守盾一郎が使用する魔術。「ミョルニル」という棒状の道具から二つの車輪を生み出して攻撃できるほか、この二輪をミョルニルに装着し、トンカチのように使用することもできる。「昔の話をしよう」から始まる、日記を読むような呪文を詠唱することで発動する。

ケンジントンの黒い鳥 (べいびーいんざだーく)

塔間泰士が使用する魔術。狼谷吊戯の首にはめられた首輪から西洋剣が出現し、吊戯の意思に関係なく、全力でターゲットを殺害するように体が動く。「窓の無い部屋で生まれた」から始まる、呪詛のような呪文を詠唱することで発動する。

二十四羽の黒ツグミ (のーばでぃいんざらい)

露木修平が使用する魔術。修平の持つハヤブサの能力を使用しており、相手の挙動を把握することで行動予測を計算し、防御や反撃に備えることができる。24本の黒い矢印のようなものを出現させ、それを防御や攻撃に用いる。「私は法で汝は悪魔」から始まる、懺悔文のような呪文を詠唱することで発動する。

ハヤブサ

露木修平が持っている特殊能力。あらゆる遮蔽物にとらわれずに空間を鳥瞰し、数十キロメートル先まで物体の位置や、そこに存在する人物の挙動を正確に把握することができる。二十四羽の黒ツグミにも活用されている。

私は既に完成している (くらいふぉーざむーん)

月満弓景が使用する魔術。弓景が所持する二丁の拳銃型の道具が、激しく回転しながら満月を作り出す。また、それを持ったまま弓景自身も回転し、遠心力をつけることで、光線を外部に発射できる。ただし、着弾場所のコントロールは非常に困難。「誰が殺すかクック・ロビン」から始まる、マザーグースのような呪文を詠唱することで発動する。

ねむれよいこよ (ろっかばいべいびー)

塔間泰士が使用する魔術。狼谷吊戯の視界をふさぎ、人形のようにあやつることができる。吊戯の腕を拘束しているベルトが塔間の腕とつながれており、一見すると下僕の吸血鬼と主人(イヴ)をつなぐ鎖のように見える。「飛び立つ鳥で木は揺れて」から始まる、マザーグースのような呪文を詠唱することで発動する。

誰も知らない (だでぃろんぐれっぐす)

塔間泰士が使用する魔術。塔間自身の姿を隠してターゲットを攻撃することができる。しかし影だけは消せないため、一撃を加えれば見えるようにすることができる。「鍵を開けるな外へは出るな」から始まる、呪詛のような呪文を詠唱することで発動する。

希望証明 (えるぴす)

城田真昼とクロが連携して使用する技。クロがターゲットの胸から、心と精神の具現化である血色の箱を取り出し、真昼が武器の槍をその箱に突き立てて鍵に変形させ、相手の精神世界に入り込むことができる。「証明終了」の言葉によって脱出することができるが、体力や精神力をかなり消耗する。

鍵の秘密結社 (ぱーふぇくとこんしぇるじゅ)

月満伊檻が使用する魔術。ルームナンバーの付いた鍵型の道具を腕に差し込むと、頑強な結界を張ることができる。また、同時に複数の鍵を腕に差し込むと、複数の結界を同時展開することもできる。「王よ、あなたに言葉は要らない」から始まる、弔辞のような呪文を詠唱することで発動する。

雷音礼印 (らいおんれいん)

城田徹が使用する魔術。「ミョルニル」という棒状の道具から放電することで雷雲を呼び、ミョルニルに落ちた雷をトンカチ状にしてターゲットにぶつける。「俺を見ろ太陽の子供」から始まる、口上文のような呪文を詠唱することで発動する。

帰還せよ銀の靴 (びゔろすとのもんばん)

月満伊檻、月満都湖、月満弓景が連携して使用する魔術。伊檻の首に鍵型の道具を差し込むことで指定された座標への扉を開き、任意の人物を指定場所に転送することができる。「獅子に勇気を」から始まる、オズの魔法使いをモチーフとした呪文を詠唱することで発動する。

下僕の吸血鬼 (さーゔぁんとゔぁんぱいあ)

サンジェルマン伯爵が作り出した吸血鬼で、クロを長兄とする「七人兄弟」と椿を指す。「真祖」または「サーヴァンプ」とも呼ばれる。名前とアイテムを渡されて契約した主人(イヴ)からのみ血をもらって生きることができ、主人から血を吸うと、主人の右手と主従契約を結んでいる下僕の吸血鬼とのあいだが血の鎖で結ばれる。ただし、下僕の吸血鬼と主人が一定の距離以上離れて24時間経過すると、主人が死亡するという制約がある。また、主人が死亡して契約が切れると、かつての主人に付けられた名前を認識できなくなる。下僕の吸血鬼作りには器となる人間、大量の灰塵、核となる悪魔が必要だといわれている。下僕の吸血鬼作りの際には、必ず地域一帯の大規模な不審死を伴ううえ、悪魔の用意をできる者がおらず、後継者が現れなかった。

下位吸血鬼 (かいきゅうけつき)

下僕の吸血鬼の手によって作られた存在で、「サブクラス」とも呼ばれる。死にかけの人間に下僕の吸血鬼の血を飲ませることで作られる。不老不死の存在で誰の血でも吸うことができるが、自分を作った下僕の吸血鬼には逆らえない。死にかけているときの精神状態が、戦闘力の高さに影響するといわれている。通常、下位吸血鬼は日光を浴びると灰塵になってしまうが、椿の作った下位吸血鬼は日光の下でも人の姿を保てる。また、日光を原因にする以外に、下僕の吸血鬼によって血を吸われることでも灰と化してしまう。

灰塵 (じん)

下僕の吸血鬼と主人(イヴ)のつながりが切れたり、下位吸血鬼が死んだりした際に噴出する灰のようなもの。暗い気を出す人間に取り憑き、その人間を近くの吸血鬼のもとに運ぶ運搬役の下級生物でもある。ふつうの人間には見えておらず、下僕の吸血鬼や主人、下位吸血鬼にしか見ることができない。ただの灰のように見えるが、集まって大きくなると人間をあやつるようになる。下僕の吸血鬼と下位吸血鬼の区別がつかないため、ただ一番近くにいる吸血鬼に人を運んでいる。取り憑いた相手の口を借りて話すこともできる。また、濃度が高まると雲のように大気中に浮かんで太陽の光を遮る特性がある。灰塵を払うには主人の武器を使うしかない。

悪魔 (あくま)

下僕の吸血鬼の核となっている存在の俗称。死の概念がなく物理法則にも従わないため、人間の手に余った意思を持つ何か、という意味で「悪魔」と呼ばれている。下僕の吸血鬼が持つ超人的な能力や永久の命は悪魔によって後付けされた力だといわれているが、誰が生み出し、どこから呼び出されたものか判明していない。

武器 (りーど)

主人(イヴ)が下僕の吸血鬼と契約すると使うことができるようになるもの。人によって形態が異なるが、その多くが吸血鬼を拘束するのに適した形であることが多い。「武器」と書いて「リード」と呼ばれるが、その解釈も人によって異なり、有栖院御国は「主人が自分の吸血鬼を制御するためのもの」と語り、ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノンⅢ世は「吸血鬼の力を人間が扱えないための貸与の形」と語っている。

魔術 (まじゅつ)

C3が開発した道具を利用して使用するもの。呪文は使用者が深く自分の記憶に呼びかける言葉であり、抑圧された強い感情を呼び起こすことでエネルギーに変換している。そのため使用者に精神的負荷がかかり、魔術を使いすぎると精神的異常が現れる。発症者の症状は似ており、知っている人間の顔が認識できなくなり、顔のない人間が迎えに来るという幻覚を見たり、精神が子供に戻ったりするなどが挙げられる。

アベル

有栖院御国の武器。牛のような角のある麦わら帽子をかぶった、三つ編みの女の子の人形。御国がつねに携帯しており、片時も離さない。ふだんは非常に軽いが、御国がジェジェの主人(イヴ)として使う技「お気に召すまま」を発動すると、ターゲットが犯した罪の分だけ重量を増す。紡樹羊太朗の自宅に、アベルとそっくりな人形がある。

ミーミル

有栖院御国が経営している骨董品屋で販売している聖水。ヨハネス・ミーミル・ファウストゥスが開発したもので、下僕の吸血鬼と下位吸血鬼の動きを止めることができる。下僕の吸血鬼でも、ミーミルが掛かると意識を失い、呼吸も止まってしまう。下位吸血鬼の場合、有効時間は非常に長い。

書誌情報

SERVAMP-サーヴァンプ- 21巻 KADOKAWA〈MFコミックス ジーンシリーズ〉

第2巻

(2012-06-27発行、 978-4840144896)

第2巻

(2012-06-27発行、 978-4040662343)

第7巻

(2014-12-27発行、 978-4040672335)

第8巻

(2015-07-27発行、 978-4040675657)

第9巻

(2015-12-26発行、 978-4040678689)

第10巻

(2016-07-27発行、 978-4040682839)

第11巻

(2017-12-27発行、 978-4040688060)

第12巻

(2018-03-27発行、 978-4040697666)

第13巻

(2018-10-25発行、 978-4040699813)

第14巻

(2019-07-26発行、 978-4040655871)

第15巻

(2020-03-27発行、 978-4040644943)

第16巻

(2020-12-25発行、 978-4046800398)

第17巻

(2021-08-26発行、 978-4046806291)

第18巻

(2022-03-26発行、 978-4046812377)

第19巻

(2022-10-27発行、 978-4046817860)

第20巻

(2023-06-27発行、 978-4046825957)

第21巻

(2023-12-27発行、 978-4046831194)

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