ILLEGAL RARE

本作の舞台となるのは、吸血鬼や人魚、ドラゴンといった怪物・幻獣が存在する世界。なお、文化レベルは現実世界と同等である。中世時代にモンスターハントが大流行したことから、かつては人々に畏れられていた怪物や幻獣たちは、狩られる側になってしまった。個体数が激減した幻獣たちは、違法稀少種（イリーガル・レア）と呼ばれるようになり、狩猟が禁じられている。しかし、半獣への不法行為や密猟者は跡を絶たず、稀少種のオークションも開催されている。スカァシティは世界最大の稀少種市（レアマーケット）がある犯罪都市である。警察官フクメンは、そんな状況に憤り、警察内に稀少種犯罪対策課を設立した。本作は、超稀少種であり、稀少種犯罪対策課の新人職員でもある黒吸血鬼（ブラックヴァンパイア）・アクセルの活躍を描いた、ファンタジー・クライムストーリーである。 

稀少種犯罪対策課設立当初のメンバーは、課長のフクメンと黒吸血鬼のアクセルのみ。彼らが最初に解決したのは、レコード会社に監禁され、オークションにかけられそうになっていた人魚A・J・バックミラー（ミラ）の事件だった。アクセルに救われたミラは、稀少種犯罪対策課の広報係に就任した。その後、殺人課の刑事である人間のカワサキ、情報屋のガーゴイルの少女ナヴィも参加。様々な能力を持つ個性豊かなメンバーが、力を合わせて任務に挑むことになった。なお、アクセルの目的は二つ。一つは、幻獣の保護であり、カーバンクルの少女・ナズナとともに、稀少種が暮らせる施設を作った。もう一つは、世界中の蒐集家により狩られ、「ヴァンパイア・コレクション」として仮死状態になっている同胞の奪還。とりわけ、かつての恋人である白吸血鬼（ホワイトヴァンパイア）の姫・ベーゼを探している。 

ある稀少種蒐集家のコレクション展に潜入した、稀少種犯罪対策課のメンバーは、そこに、VIPとして招待されたスカァシティ市長・マーダックの姿を見る。マーダックは稀少種のコレクターで、黒吸血鬼アクセルをおびき出したのだ。マーダックは、市長直属狩人師団（ハンター・ディヴィジョンマーダック）を組織している。そのメンバーは、ハンターを斡旋する闇ブローカーのメディチ、完璧純銀（パーフェクトシルバー）の加工人で、ヴァンパイアハンターの末裔・ウィズシヴァーなどのほか、吸血鬼たちから「悪夢(ナイトメア)」と恐れられる、かつての黄金吸血鬼王デルメザといった強敵たちである。また、マーダックは、吸血鬼の王・アクセルと浅からぬ因縁があり、黒吸血鬼の蒐集に固執している。