パティシエさんとお嬢さん

パティシエさんとお嬢さん

毎週金曜日、波留芙美子は自分へのご褒美にケーキを買うため、そしてイケメンパティシエの奥野丈士に会うために、ケーキ店「パティスリー・シュバル」を訪れる。芙美子は、いつもとっておきのスマイルで接客してくれる丈士に思いを寄せており、丈士もまた芙美子にひそかな思いを寄せていたが、二人は互いの名前も聞けず、金曜日をただただ心待ちにしていた。恋に慎重なイケメンパティシエと、ふんわりぽっちゃりなお嬢さんの両片思いラブコメディ。銀泥がTwitterで公開した作品で、コミックス刊行にあたり、多数の描き下ろしが収録されている。2022年1月に実写ドラマ化、2022年5月に実写映画化。

正式名称
パティシエさんとお嬢さん
ふりがな
ぱてぃしえさんとおじょうさん
作者
ジャンル
ラブコメ
 
その他料理・グルメ
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

金曜日

ケーキ店「パティスリー・シュバル」でパティシエを務める奥野丈士は、毎週金曜日になると来店する客・波留芙美子に思いを寄せている。丈士はいつも芙美子を全力の笑顔で迎え、ホテル時代に培った鉄壁の接客術を駆使して接客に徹する。しかし、自分の作ったケーキに目を輝かせる彼女のかわいらしいさまに、いつも心が揺さぶられていた。それでも、店員と客という立場から一歩踏み込むことができず、丈士は芙美子に近づくことはおろか名前を聞くこともできないでいた。一方、芙美子は週に一度、自分へのご褒美にシュバルでケーキを買うことがお決まりの流れとなっていたが、その目的はケーキだけではなかった。芙美子も丈士にひそかな思いを寄せ、来店するたびに丈士と過ごす短い時間を楽しみにしていた。毎週金曜日になると、今日こそは勇気を振り絞って何か気の利いた言葉をかけようと意気込むものの、大好きなケーキと丈士を目の前にすると、冷静になれずにあいさつだけで精いっぱいの状態。互いに意識はしているものの、名前も知らない二人は、その思いを伝えることができないまま、心の叫びとなって自分の中を駆け巡る。そんなある日、町のハロウィンパレードに参加した芙美子は、丈士からシュバルもそのイベントに参加することを聞かされ、一気に気分が高揚する。店長で兄の帯刀稜に頼み込み、シュバルとしてハロウィンイベントに参加することになった丈士は、当日、イベント用のクッキーを芙美子に渡すことに成功するが、芙美子の頰に付いていたクリームをぬぐってあげたことで、芙美子は驚いて逃げ帰ってしまう。丈士は芙美子に嫌われてしまったかもしれないと思い悩んだまま、次の金曜日を迎えることになる。

恋のゆくえ

ハロウィンやクリスマス、バレンタインデーを経て、店員と客でしかなかった奥野丈士波留芙美子の関係も変化し始める。ようやくお互いの名前を知ることができた二人は、丈士が「芙美子さん」と呼んだことをきっかけに、お互いを名前で呼ぶようになり、メールでのやりとりを始める。それでも丈士は、芙美子に電話をしたいと言い出せず、口ごもってしまうこともあったが、芙美子から電話がかかってきたり、丈士が勇気を出してデートに誘ったりしたことで、二人の距離は少しずつ近づいていく。しかし、肝心なところはいつまで経ってもうやむやのままで、お互いに自分の気持ちを言葉にできないまま、恋人でもない状態でマイペースに時間を楽しんでいた。ある時芙美子は、丈士の優しさに甘え、どんどん欲張りになっていく自分に気づき、不安に襲われる。そして日々の疲れもあって体調を崩したことがきっかけとなり、芙美子はあらためて丈士への思いを認識することになるが、それは丈士も同様だった。丈士は、芙美子のことをもっと知りたいと思う一方で、自分のことを知られることに臆病になっていた。だが、寝込んでしまった芙美子のそばにいたいという気持ちから、芙美子への確固たる思いを再認識することになった丈士は、次のデートで芙美子に自分の思いを伝える決心をする。

メディア化

テレビドラマ

2022年1月から、本作『パティシエさんとお嬢さん』のテレビドラマ版『パティシエさんとお嬢さん』が、テレビ神奈川ほかで放送された。監督は古厩智之、脚本は金杉弘子が務めている。キャストは、波留芙美子を岡本夏美、奥野丈士を崎山つばさ、帯刀稜を村井良大が演じている。

実写映画版

2022年5月から、本作『パティシエさんとお嬢さん』の、実写映画版『パティシエさんとお嬢さん』が公開。監督は古厩智之、脚本は蒲田子桃、古厩智之が務めている。キャストは、波留芙美子を岡本夏美、奥野丈士を崎山つばさ、帯刀稜を村井良大が演じる。

登場人物・キャラクター

波留 芙美子 (はる ふみこ)

出版社「草双紙社」に勤める女性。ふんわりとしたショートボブヘアとカチューシャがトレードマーク。ふくよかなぽっちゃり体型で、食べることとオシャレが大好き。中でもケーキや和菓子など甘いものには目がなく、特にサツマイモが大好き。最近は、ケーキ店「パティスリー・シュバル」がお気に入りで、一週間に一度、毎週金曜日になると自分へのご褒美としてケーキを購入している。シュバルに通い詰める目的はケーキだけではなく、パティシエを務める奥野丈士に思いを寄せているため。接客時に見せる丈士の笑顔が素敵すぎて、何か気の利いた会話をしようとしても、なかなか思うようにいかないでいる。会話はいつもあいさつや質問されたことに対する答えと、そしてまた来ますという言葉だけ。名前も知らない丈士を「パティシエさん」と呼んで慕っている。恋愛には慎重なタイプで、関係は進展を見せない中、丈士からの意思表示を受け、バレンタインデーに手作りお菓子を渡して丈士に精一杯の思いを伝えた。それでも肝心なところはうやむやなままで、交際したい思いや好きという気持ちは言葉にしていないため、甘い関係に発展することはなかった。だが、そんな丈士と過ごす時間を大切にしながら、丈士への確固たる思いを再認識する。温和な性格で控えめすぎるところがある。実家は塗装店を営んでいる。

奥野 丈士 (おくの じょうじ)

ケーキ店「パティスリー・シュバル」で、パティシエを務める男性。帯刀稜の弟。イケメンで体格もいい美丈夫。パティシエの仕事をこよなく愛し、稜といっしょにシュバルをもっとお客さんに喜んでもらえる店にしたいと願っている。毎週金曜日になると来店する常連客・波留芙美子に思いを寄せている。ホテル時代に身につけた鉄壁の接客スマイルで彼女を迎え、彼女の一挙手一投足に心を乱しながらも、それを微塵も感じさせないように平静を装って全力で接客に徹している。ケーキを買いに来るだけで、軽いあいさつ程度しか言葉を交わしたことのない彼女に、なんとか名前を聞こうと立ち回るが、恋愛に慎重なためになかなかうまくいかない。ハロウィンイベントでは、芙美子に手作りクッキーをプレゼントし、クリスマスにはレープクーヘンを渡した。そして、プレゼントは芙美子だけにしか渡していないことを打ち明け、芙美子への意思表示をした。それが功を奏し、バレンタインデーには芙美子から手作りのお菓子をもらった。それでも甘い関係に発展することはなく、肝心なところは言葉にしないためにうやむやになっている。だが、芙美子との時間を大切にしながら、ゆっくりと関係を深めていく中で、芙美子への確固たる思いを再認識する。芙美子からは、自分の名前を知られていない時は「パティシエさん」と呼ばれている。パパの何かと自分たちを構いたがる性格や、イタリアでいっしょに暮らそうと誘われていることを少々面倒に感じている。

帯刀 稜 (たてわき りょう)

ケーキ店「パティスリー・シュバル」で、パティシエと店長を務める男性。奥野丈士の兄。弟思いの優しい性格で、ふつうならナンパでキザに見えるようなことも、自然にやってのける天性のイケメン。丈士がシュバルの常連客・波留芙美子に思いを寄せていることを知っており、恋に慎重な丈士をつい茶化してしまいがちながらも、なかなか進展しない二人の関係を温かく見守り、「弟の恋人=自分の妹」という考え方を持っている。仕事を離れてもなお食に強い関心を持っている。凝り性なところがあり、少し前までは自分の中で燻製ブームで、現在は和菓子にはまり中だが、すぐに飽きてしまうことがほとんど。20歳の頃にフランスへ渡り、パティシエの修業を10年続け、帰国してシュバルを開店した。当時、パリではアパルトマンを借りて一人暮らしをしており、苦労も少なくなかったが、魅力的なパティスリーやブーランジェリーの名店のある環境下で過ごせたことは、帯刀稜自身にとって人生の糧となっている。もともと大のチョコレートケーキ好きで、パティシエを目指すことになった。パリでは家の近くに最高のショコラトリーがあり、そこで三食を済ませていたため、体重の増加に悩んでいた。

三笠 亜紀 (みかさ あき)

出版社「草双紙社」で働く女性。波留芙美子の同僚で、芙美子の恋愛相談に乗りながら彼女のことを温かく見守っている。ある日、芙美子といっしょに「パティスリー・シュバル」を訪れ、そこで初めて芙美子の思い人・奥野丈士と顔を合わせることになった。予想していたよりも丈士がずっとイケメンだったことに驚くと同時に、店長の帯刀稜とも顔を合わせ、イケメンパティシエが二人もいることにも驚く。

波留 耕作 (はる こうさく)

波留芙美子の弟。芙美子とは仲がよく、いっしょに外食することもある。芙美子が寝込んだ時は、実家の両親から料理を預かって届けに行くほど、姉思いの優しい性格をしている。芙美子が買ってくる「パティスリー・シュバル」のケーキをよく食べており、中でもシュークリームがお気に入り。恋人はおらず、現在は実家で両親と共に暮らしている。芙美子がパティシエの奥野丈士と親しくしていることを知り、二人の動向を温かく見守っている。

パパ

奥野丈士と帯刀稜の父親。建築士を務めている。明るい性格でノリが軽く、丈士と稜を溺愛している。現在はイタリアのミラノ在住。ホテルの設計などを担当しており、現在は都市計画に携わっている。基本的に仕事人間だが、スランプになると煙たがられるのを承知で息子たちに構いたがり、二人からは面倒くさがられている。二人がケーキ店「パティスリー・シュバル」を開業するまで、何かとうるさく口を出していた。以前、二人と花見に行った際、酒を飲み過ぎて泥酔したことがあり、宿泊先の高級ホテルまで丈士に背負われて帰ったことがある。最近、自分が最初に設計したホテルのオーナーから丈士といっしょに仕事がしたいと依頼があり、丈士をイタリアに連れて行きたいと考えている。郵便配達員のシュバルが、33年もの歳月をかけて一人で作り上げたアウトサイダー・アート「シュバルの理想宮」に強い思い入れを抱いている。その実物を見るために、高校生の頃にアルバイトをしてフランスに旅行したことがある。

聡子 (さとこ)

波留芙美子の友人の女性。芙美子がケーキ店「パティスリー・シュバル」のパティシエ・奥野丈士に思いを寄せていることを知り、恋の動向を見守っている。ハロウィンイベントに参加する際には、仮装の衣装を芙美子といっしょに手作りし、本番に臨んだ。自信をなくしていた芙美子に、誰が見てもかわいいと褒めて自信を持たせた。

功至 (かつじ)

奥野丈士と帯刀稜の友人の男性。ケーキ店「パティスリー・シュバル」の繁忙期にヘルプに入ることがあり、お店にとってはなくてはならない存在。一人でモロッコに渡っていたが、長期間の滞在を経て先日帰国した。帰国後、稜にはモロッコランプ、丈士にはストールとニット帽を、さらに丈士の思い人である波留芙美子にはアルガンオイルを渡した。その際、丈士と芙美子が恋人関係ではないことを知り、明確な告白もしないまま相手の出方をうかがっている丈士を小悪魔だとなじった。

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