ブルーピリオド

ブルーピリオド

受験を控えた高校2年生が、突然絵を描くことの面白さに目覚め、美大受験を目指す姿を描く作品。作者の山口つばさは東京藝術大学出身で、美術の基礎知識や技法、芸大受験などについても詳しく描かれている。タイトルはパブロ・ピカソの「青の時代」に由来している。各話は【一筆目】【二筆目】…と章立てされている。講談社「月刊アフタヌーン」2017年8月号から掲載。「マンガ大賞2020」大賞、第44回「講談社漫画賞」一般部門、「このマンガがすごい!2019」オトコ編第4位など数々の賞を受賞。2021年10月テレビアニメ化。2022年3月には舞台化された。

正式名称
ブルーピリオド
ふりがな
ぶるーぴりおど
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
既刊15巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

高校2年生編

成績優秀でありながら素行の悪い不良高校生の矢口八虎は、美術部員のの絵を見たことで美術に興味を持つようになる。しかし、母親からふつうの大学に入って欲しいと願われていることも理解しており、美術の道に進みたい気持ちと両親への気遣いの板挟みになっていた。そんな中、八虎は美術部員の鮎川龍二や美術部顧問の佐伯昌子と接する機会が増え、美術への興味が熱意へと変わっていくのを自覚し、東京藝術大学へ進学することを目標に美術部に入部することを決める。入部してからは昌子や龍二、森から基礎技術を学び、さらに毎日のデッサンの甲斐(かい)もあって八虎はめきめきと上達の一途をたどる。やがて森の受験結果が伝えられる頃、昌子は八虎たちに東京美術学院で行なわれる冬期講習受講を勧める。

予備校編

矢口八虎は両親に東京藝術大学の受験を考えていることを伝え、受験の承諾も得て高校3年生の春を迎えた。冬季講習に参加した東京美術学院では、油絵科の夜間部に通うこととなり、大葉真由のもとでこれまで以上のスキルアップを目指していた。東京藝術大学に現役で主席合格した姉を持つ桑名マキや、冬期講習時点で周囲から頭一つ抜け出た実力を誇る高橋世田介から強い刺激を受けながら、八虎は徐々に予備校内のコンクールでも評価を得るようになる。しかしマキは、予備校内コンクールで1位を獲ると、その年は東京藝術大学に受からないというジンクスがあることを思い悩み、一方の世田介はそのコンクールで評価を得られなかったことを不服として、衝動的に東京美術学院を辞めてしまう。自分よりもレベルの高い人たちが次々と挫折していく現実を目にし、八虎は自分の目指すべきものはなんなのかと苦悩し始める。

一次試験編

センター試験を終え、東京美術学院の授業時間も1日4時間から12時間となり、作品と向き合う時間が否応なく増えていた。桑名マキが姉への対抗心で精神的に病む中、矢口八虎もまた知らない内に精神的に追い詰められ、右腕に蕁麻疹(じんましん)が出てしまう。また、講師の大葉真由からは「自分勝手に楽しむ力が足りていない」と言われ、それを克服しなければ今年度の合格は難しいと宣言されたのをきっかけに、八虎は絵を描くことが怖くなる。そんな中、恋ヶ窪から食事に誘われた八虎は、恋ヶ窪がパティシエ専門学校に通うことを決めたと聞き、意外な進路に驚く。恋ヶ窪に励まされた八虎は、覚悟を決めて東京藝術大学の一次試験に臨む。5時間で自画像を描き上げる課題に挑むべく鉛筆を握った八虎だったが、その直後、ほかの受験生の不注意によって配布された鏡が割れてしまうトラブルに見舞われる。

鮎川龍二編

東京藝術大学の一次試験を通過した矢口八虎は、今まで苦手としていた「色」について理解を深めるべく画材店へと足を運ぶ。そこで八虎は、久し振りに鮎川龍二と再会する。完全に女性口調となり、さらに美大全般への受験をあきらめたと話す龍二に違和感を覚えつつ、その場は別れた八虎だったが、龍二の友人だった女子から龍二が一次試験を途中退室したと聞き、再度連絡を取る。するとすぐに会いたいと龍二に言われるが、二次試験に向けた勉強を優先したいと語る八虎に対し、龍二は「正しい場所からしか話せないならお前に話すことはなにもない」と言い放つ。思い悩んだ末に八虎は再び龍二と会うことを決め、二人で海に行くことにする。

二次試験編

海から戻った矢口八虎は、二次試験前最後の指導を受けるために東京美術学院を訪れていた。講師の大葉真由から試験に対して太鼓判を押された八虎は、思いのほかリラックスした状態で二次試験を迎えることとなる。しかしその夜、ストレスから蕁麻疹が両腕に広がり、時おり脈打つような痛みを発するようになっていた。そして3日間で行なわれる二次試験初日、激しい頭痛を起こし思うように絵を描くことすらできなくなってしまう。2日目、ほかの受験者とは大幅に進行が遅れながらも、投薬によってなんとか健康状態を取り戻した八虎は、課題であるヌードモデルをどう自分の世界に落とし込むかに向き合っていた。

大学編

実質倍率およそ100倍という難関を乗り越え、矢口八虎は東京藝術大学にみごと現役で合格を果たす。同じく合格した高橋世田介と共に花陰真里亞に出会った八虎は、大学の意義を教えられる。油画専攻クラスの自己紹介が行なわれ、そして最初の課題評価では教授の槻木蛇目から許容できないほどの辛い言葉を投げかけられた八虎は、自分には藝大生の資質がないのではないかと思い悩み、絵を描くことから一時的に離れることを決意する。自分の心を動かすものと出会うことを目標に、自発的に触れることがなかったものにも興味を示すようになり、自分の原点である早朝の渋谷の光景を再び表現したいと考えていた。

文化祭編

夏休み直前、矢口八虎は東京藝術大学の1年生は夏休み期間中、文化祭に向けた神輿(みこし)と法被の製作が決められていることを知る。文化祭は学部対抗で行われ、大賞を獲った神輿は正門に飾られると知って八虎は俄然興味を示す。しかし学校行事にあまり思い入れがないため、神輿製作にはあまり情熱を注ぐことができず、ゆるく参加する予定でいた。だが、ほかの生徒たちも同じことを考えているいたようで、製作に参加する人数がどんどん減り、神輿製作班の班長を務める三木きねみが熱中症で倒れてしまう。それに加え、東京直撃は免れると予報されていた台風が進路を変えて直撃する。ようやく形が見えてきた神輿が風雨で一部破損してしまう。

進級製作編

文化祭が終わり、1年次の進級製作を始める時期を迎えていた。しかしそのタイミングで、猫屋敷あも高橋世田介の関係が険悪になってしまい、その流れで世田介と矢口八虎の関係も悪化し、二人とも進級製作の作品概要すらままならない状況になっていた。一方で世田介はウサギ好きという共通点から、クラスメイトの岡本熙史と懇意になっていたが、母親に友達ができたことをからかわれることを嫌い、熙史と距離を置くようになる。そして自分の気持ちから逃げるように、世田介は近くの小学校で飼われているウサギの姿を見ることに執着するようになる。そして、そこで出会った小学生女児の一言で、自分がいかにエゴにまみれた人間だったかを自覚するに至り、孤独感を深めていく。

絵画教室編

無事に東京藝術大学の2年生に進級できることが決定したものの、進級製作の材料費で貯金を使い果たした矢口八虎は、かつて母親から伝えられていた絵画教室のアルバイト募集に応募する。すると電話に出たのは高校時代の恩師、佐伯昌子だった。橋田悠と共に昌子の絵画教室でアルバイトを始めることになった八虎は、色覚異常の篠田美玖、家族や周囲と自分の気持ちの相違に戸惑いを覚えて絵画に興味のないフリをしている翔也、多すぎる習い事のプレッシャーに押し潰されそうになっている菊田小枝らとの交流を通じて、八虎自身も自分と真摯に向き合うようになっていた。そんな中、いつも傍観者然と振る舞っている悠が、珍しく動揺した姿を見せる。

メディア化

テレビアニメ

2021年10月1日よりMBS/TBS系列にて放送開始・9月25日よりNetflixにて先行配信

CAST:峯田大夢、花守ゆみり、山下大輝、平野文ほか 

コラボCM

ブルボンアルフォートミニチョコレートのCM

イメージキャラクターの杉野遥亮と共に、ブルーピリオドとYOASOBIの楽曲「群青」がコラボレーションした映像が公開された。

アーティストコラボ

12人の現代アーティストのコラボプロジェクト『ブルーピリオド × ArtSticker』。2021年10月22日から2022年1月14日までhotel koe tokyoにて展覧会 を開催。

舞台

『「ブルーピリオド」The Stage』のタイトルで、2022年3月25日から4月3日まで天王洲 銀河劇場で上演。主人公の矢口八虎を岡宮来夢が演じる。

登場人物・キャラクター

矢口 八虎 (やぐち やとら)

美術の道を志す少年。白色の短髪にパーマをかけている。高校の頃から明け方まで遊び回り、飲酒や喫煙もお構いなしの不良ながら、成績優秀で人付き合いもよく、周囲からも愛嬌があると好感を待たれて人気も高い。これを矢口八虎自身は「ノルマをクリアする楽しさに近い」と考えており、クリアするために他人より努力し、それが結果に結びついていると分析していた。他人の評価を気にして自分の立ち位置を決めるようなところがあったが、森の影響で早朝の青い渋谷の絵を描いた際、鮎川龍二や佐伯昌子から褒められたことをきっかけに、美術に傾倒するようになる。しかし、母親からふつうの大学に入って欲しいと言われていたため、当初は東京藝術大学への進学を希望していることを話せなかった。東京美術学院で出会った高橋世田介に対しては、尊敬とライバル心が入り交じった複雑な感情を抱いている。東京藝術大学の油画専攻に現役合格してからは、世田介と行動を共にすることが多い。1年次の進級製作の材料費で貯金が底を突いたため、さえき絵画教室でアルバイトを始めた。その際に、講師の目黒と生徒の翔也に勧められ、子供向けの特撮番組「武装伝記マゲンダー」にハマった。酒では酔わないが、コーヒーで酔う特殊体質の持ち主。7月5日生まれ。身長は175センチ。

鮎川 龍二 (あゆかわ りゅうじ)

美術の道を志す少年。矢口八虎のクラスメイトで、金髪ロングヘアを腰まで伸ばしている。見た目も女性的でつねに女装しているが、これは美しさを追求しているだけで、トランスジェンダーというわけではない。しかしバイセクシャルで、残酷な結末の失恋を多く経験している。両親からも人格否定されるなど精神的な虐待を受けているが、祖母だけは鮎川龍二に優しいため、祖母のために家を出ることができないでいる。東京藝術大学の日本画専攻を志して、八虎と共に東京美術学院に通っていたが、東京藝術大学の一次試験を棄権してから、しばらく姿を見せなくなった。また、これを機に自分をカテゴライズしやすくするために口調を完全に女性っぽくしている。しかし、八虎と胸の内を打ち明けたことをきっかけに吹っ切れた様子がある。周囲からは「ユカちゃん」と呼ばれている。10月18日生まれ。身長は175センチ。

(もり)

矢口八虎の通っていた高校で、美術部長を務めていた少女。黒髪のワンレンのおかっぱヘアで、巨乳の持ち主。大学の推薦受験用に描いた作品が八虎の目を引き、八虎が美術の世界に進むきっかけを作った。卒業の記念に八虎と絵を交換した際、勝利の女神であるニケの絵を贈っている。武蔵野美術大学へ進学してからも、八虎が絵に行き詰まった際には森の絵が刺激を与えているが、卒業後は八虎と顔を合わせる機会はなく、すれ違い続けている。12月31日生まれ。身長は147センチ。

佐伯 昌子 (さえき まさこ)

矢口八虎の通っていた高校で、嘱託の美術教諭を務めていた初老の女性。白髪をショートカットにしている。いつも笑顔を絶やさず、授業をサボったり不真面目な態度の生徒にも楽しい指導を心がけているが、優しく接しながらも押しが強い一面を持つ。また、美術を勉強したい相手に対しては真摯に向き合っており、適格なアドバイスを送りながらも時に厳しい指導も行っている。自宅で子供向けの絵画教室を開いている。6月7日生まれ。身長は165センチ。

歌島 (うたしま)

矢口八虎の友人の少年。外ハネのパーマをかけた黒髪に伊達眼鏡(だてめがね)をかけている。高校の頃から明け方まで遊び回り、飲酒や喫煙もお構いなしの不良ながら、周囲に対する気配りができるため、純田が酔い潰れた時には介抱していた。コピーバンド「マチエールズ」でギターを担当しており、メンバーの中でもっともモテる。しかし、関係性の薄い異性にモテるだけで、関係性が深くなると途端にモテなくなる。3月28日生まれ。身長は178センチ。

純田 (すみた)

矢口八虎の友人の少年。恋ヶ窪とは幼なじみ。金髪を短く刈り込み、まゆ毛を剃(そ)っている。高校の頃から明け方まで遊び回り、飲酒や喫煙もお構いなしの不良。将来は実家の豆腐屋を継ぐことを決めているため店番もこなし、お客さんとの関係も良好。メグミという名の彼女がおり、すでに純田の両親への挨拶も済ませている。4月14日生まれ。身長は166センチ。

恋ヶ窪 (こいがくぼ)

矢口八虎の友人の少年。純田とは幼なじみ。黒髪のオールバックで、まゆ毛がない。年齢不相応に老けており、三白眼のため非常に見た目は怖い。しかし、友人の誕生日の日にはケーキを持参して祝ったり、近所の野良(のら)猫を世話をするなど、優しい性格をしている。高校の頃から明け方まで遊び回り、飲酒や喫煙もお構いなしの不良ながら、小学校時代はお料理クラブに所属し、菓子作りを趣味にしている。八虎が絵に打ち込む姿に刺激され、パティシエ専門学校に進学した。6月28日生まれ。身長は192センチ。

白井 (しらい)

矢口八虎の通っていた高校で、美術部に所属していた女子。ポニーテールの黒髪を上向きに跳ね上がるように固め、眼鏡をかけている。海野、城田と仲がよく、共に美術室で同人誌を読んだりしている。美術部で一番声が大きくて口も悪いが、美術部で一番面倒見がいいと評されている。

城田 (しろた)

矢口八虎の通っていた高校で、美術部に所属していた女子。背中までの茶髪ロングヘアをゆるく巻いている。衣装や洋服を作るのが得意なため、文化祭では衣装係として重宝されている。海野、白井と仲がよく、共に美術室で同人誌を読んだりしている。しかしマンガの嗜好(しこう)は非常にマニアックで、筋肉質な男性たちがハードSMを行うマンガを校内に持ち込むこともある。

海野 (うみの)

矢口八虎の通っていた高校で、美術部に所属していた女子。黒髪を襟足だけが長いベリーショートヘアのウルフカットにしている。ふくよかな体型でまゆ毛が太く、吊(つ)り目が特徴。一人称は「俺」。白井、城田と仲がよく、共に美術室で同人誌を読んだりしている。美少女イラストや美少女フィギュアの作成をしており、部活動中に同人誌用の原稿制作にも取り組んでいる。のちに大阪芸術大学に進学した。

高橋 世田介 (たかはし よたすけ)

矢口八虎が東京美術学院で出会った少年。前髪だけを長くした短い黒髪で、両目の下に一つずつほくろがある。石膏像を初めて描いた際に完璧すぎる作品を仕上げ、周囲を啞然とさせた。母親からは「絵の才能しかない」と言われ続けていたが、国語の模試で全国7位を獲る秀才でもある。他人とコミュニケーションを取るのが苦手で、他人から話しかけられるのを嫌っている様子がある。幼少期から動物が好きで、特にウサギをモチーフにした絵を描き続けている。自分の作品に絶対の自信を持っていることから、東京美術学院の学内コンクールの結果を不服として、学院を中退した。しかし中退してからも八虎とは何度か顔を合わせており、連絡先も交換している。東京藝術大学の油画専攻に現役合格してからは八虎と共に行動することが多いが、八虎が高橋世田介以外の人間の言動で動揺したりする様子を不快に思っているところがある。岡本熙史とはウサギ好きに加え、価値観が似ていることから懇意にするようになる。名前を縦に書くと「世界」と読めることから、橋田悠からは「セカイ君」と呼ばれている。9月19日生まれ。身長は163センチ。

桑名 マキ (くわな まき)

矢口八虎が東京美術学院で出会った少女。肩までの黒髪を毛先だけ茶色く染めている。家族全員が東京藝術大学出身で、特に姉が現役で主席合格しているため、強いプレッシャーを感じている。八虎と同じく油画専攻を志しているが、東京藝術大学に不合格となり、次年度の合格を目指して表現の幅を広げるため、彫刻科の勉強を始めた。4月23日生まれ。身長は161センチ。

大葉 真由 (おおば まゆ)

東京美術学院の講師を務める女性。黒髪のおかっぱヘアで、身体と声が大きい。三人の子供を持つ母親で、厳しいことも口にするが褒め上手で、飴(あめ)と鞭(むち)を使い分けた指導法を得意としている。矢口八虎には「自分がなにを好きか知ること」「構図を意識した模写」など、八虎の実力と悩みに応じた指導を行っている。12月30日生まれ。身長は185センチ。

橋田 悠 (はしだ はるか)

矢口八虎が東京美術学院で出会った少年。パーマのかかった長い髪を2本の三つ編みにしている。関西弁をしゃべり、誰に対しても気さくに話かける。高橋世田介と同じ高校に通っているが、在籍するコースが違うため仲がいいわけではない。他人の作品を見るのが好きで、各地の美術館に足繁(しげ)く通うことで知識を蓄えている。のちに多摩美術大学に進学した。ピカソに興味を持った八虎を彫刻の森美術館に案内したお礼にと、さえき絵画教室のアルバイトを紹介してもらった。2月5日生まれ。身長は189センチ。

廬生 (ろせい)

東京藝術大学で壁画研究室の顧問と、油画専攻クラスの教授を務める男性。パーマのかかった長い黒髪の強面(こわもて)で、筋肉質な体型をしている。無口なために怖い人物と思われがちだが、よく転んで鼻血を出すなどドジな一面がある。

槻木 蛇目 (つきのき じゃのめ)

東京藝術大学で油画専攻クラスの教授を務める男性。長い金髪をワンレンにして、蛇のような目をしている。低血圧で体が弱く、接待された食事で胃もたれすることも多い。感じたことをそのまま言葉にしてしまうところがあり、矢口八虎にとっては鬼門のような人物。

猫屋敷 あも (ねこやしき あも)

東京藝術大学で油画専攻クラスの教授を務める女性。ラメをまぶしたピンク色の髪に、猫耳を象(かたど)ったカチューシャを付けている。SNSで若い世代に人気の作品を制作している。生徒の話によく耳を傾けてアドバイスを送るため、学生からの人気が高い。クライアントや業者にもその人たちに合った贈り物をするなど、つねに周囲に気遣いを忘れない。その理由は「自分のすべてをギブしないと誰も自分の作品を評価してくれない」と考えているため。鋭角に斬り込むような課題を出すことがあり、夢崎からは廬生や槻木蛇目と比較して、猫屋敷あもが一番えげつない教授だと評されている。高橋世田介の実力を評価しているものの、世田介自身が持っている能力すべてを使って戦おうとしていないことを不満に思っており、なにかと突っかかるような物言いをしてしまう。ファンからは「ネコアモ」と呼ばれている。

花陰 真里亞 (はなかげ まりあ)

東京藝術大学の博士課程1年生の女性。毛先だけを巻いた長い茶髪をしている。学内にもワインボトルを持ち込んでいるほどの酒好き。本来油画専攻クラスのサポートを行うのは「雛菊」という名の人物ながら、体が弱いらしく、酒を交換条件にサポートを代行している。入学式の日に矢口八虎と出会い、大学の意義を教えた。

夢崎 (ゆめさき)

東京藝術大学の油画専攻クラスで助手を務める男性。うねりのある黒髪を前髪だけが長くしている。技法材料研究室に所属し、花陰真里亞、櫻井と共に油画専攻クラスのサポートを行っている。だらしない生活を嫌っており、口も悪いが非常に面倒見がよく、学生たちには母親のようだと思われている。

櫻井 (さくらい)

東京藝術大学の油画専攻クラスで助手を務める女性。黒髪を襟足を刈り上げたおかっぱヘアにしている。壁画研究室に所属しており、壁画修復を専門にしている。花陰真里亞、夢崎と共に油画専攻クラスのサポートを行っているが、効率化と合理性に基づいた行動が多いため人間味を感じられない。

村井 八雲 (むらい やくも)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した男性。たれ目が特徴。タッセルのピアスを付け、鎖骨にツバメ、背中には大きく翼を広げたフクロウのタトゥーを入れている。自宅や気楽に過ごせる場所では全裸で過ごす裸族。自分に対して絶対の自信を持ち、「でっけえことは最強」を信条に作る作品はいつも大きく、つねに自分の中の最強の作品を作成し続けている。文化祭に向けた神輿(みこし)と法被の制作では、法被制作を担当した。八虎が入学時に自己紹介で使った作品を気に入っており、八虎になにかとちょっかいをかけるため、八虎からは苦手に思われている。

鉢呂 健二 (はちろ けんじ)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した男性。黒髪を短く刈り込んでいるが、前髪だけは長く伸ばしている。文化祭では出店での販売を担当した。入学前から村井八雲とは付き合いがある様子で、部屋に泊まりに行ったりもしている。ボードゲームが趣味で、作品にもボードゲームの要素を取り入れている。また単純に賭け事にも活用しており、柿ノ木坂桃代からはイカサマを疑われるほど勝負に強い。油画専攻クラスでは「はっちゃん」と呼ばれている。

柿ノ木坂 桃代 (かきのきざか ももよ)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した女性。ピンク色の髪を頭頂部に近い位置で2本の三つ編みにまとめている。広島県出身で一人称は「わし」。文化祭に向けた神輿と法被の制作では、法被制作班の班長を務めた。油画専攻クラスでは「モモちゃん」と呼ばれている。

三木 きねみ (みき きねみ)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した女性。外ハネ癖のある金髪をショートカットヘアにしている。巨乳でふくよかな体型に見えるが、実は筋肉質な体をしている。東京藝術大学の一次試験では八虎と同じ部屋で受験しており、不注意から八虎が自画像に使用する鏡を割ってしまう。文化祭に向けた神輿と法被の制作では、神輿制作班の班長を務めた。中高ではバレー部に所属していたため重い物も難なく運ぶなど、体育会系を地でいっている。そんな姿を、八虎は「通り魔の太陽みたいな人」と評している。

藍沢 彩乃 (あいざわ あやの)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した女性。ウェーブがかった金髪を高い位置で二つのお団子にして、毛先を垂らしている。三木きねみとは同じ予備校に通っていた友人同士で、仲がいい。絵を描くのは嫌いながら、成績優秀で手先も器用なため、なんでも自分で抱え込みやすいところがある。文化祭に向けた神輿と法被の制作では、神輿制作班の副班長を務めた。極度の方向音痴。

田無 (たなし)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した女性。ふくよかな体型で、ボサボサの黒髪を肩上まで伸ばしており、左目が隠れがち。文化祭に向けた神輿と法被の制作では、神輿のデザインを務めた。東京藝術大学から徒歩20分のアパートで一人暮らししており、自炊も得意。

岡本 熙史 (おかもと ひろし)

東京藝術大学の油画専攻クラスに、矢口八虎と共に入学した男性。ボサボサの黒髪短髪で、三白眼が特徴。現役合格したが、東京藝術大学に多浪生が多いことを知らずに入学したため、入学時は年上が多く戸惑っていた。1年時進級制作の展示委員としてクラス全体にかかわる中で、高橋世田介がウサギ好きだと知り、懇意にするようになった。シルクスクリーン印刷でTシャツを作っており、世田介の服が汚れた際にも手作りのTシャツをプレゼントした。

目黒 (めぐろ)

さえき絵画教室で講師を務める女性。黒髪のショートボブヘアで、黒ぶち眼鏡をかけている。矢口八虎や橋田悠のような藝大生に劣等感を持っている節があり、二人に対しても積極的にコミュニケーションを取ろうとはしていない。子供向けの特撮番組「武装伝記マゲンダー」のファンで、劇場試写会に参加するために葉書を1000枚出している。

篠田 美玖 (しのだ みく)

さえき絵画教室に通っている女子小学生。おかっぱの黒髪をヘアバンドで留めている。乱暴者の翔也を毅然(きぜん)とした態度で叱ることができるほど気が強く、翔也に対して弱腰だった矢口八虎に対しても厳しい口調で注意している。軽度の色覚異常で、黄色を認識することが難しい。

翔也 (しょうや)

さえき絵画教室に通っている男子小学生。天然パーマの黒髪をベリーショートヘアにしている。周囲には乱暴者と認識され、矢口八虎に対しても暴力的な態度で接している。教室では基本的につまらなさそうにしている。両親が共働きのため仕方なくさえき絵画教室に通っているように振る舞っているが、本当は絵を描くことや図工が大好き。子供向けの特撮番組「武装伝記マゲンダー」のファンで、同じくファンの目黒と非常に話が合う。

菊田 小枝 (きくた さえ)

さえき絵画教室に通っている女子小学生。長い金髪をツインテールにしている。習い事を八つも掛け持ちしており、両親の期待に応えてどの習い事もいい成績を取ろうと頑張っているが、そのことにプレッシャーを感じている。しかし、自分から習い事をやめると言い出すことができずに悩んでいる。橋田悠に淡い恋心を抱いている。

小野 冴夏 (おの こなつ)

画家を生業とする女性。肩下までの茶髪で、いつも和服を着ている。ライブペイントをメインに活動していることから、「美しすぎるライブペインター」という二つ名で通っている。テレビの前では饒舌(じょうぜつ)に話しているが、実際に口を開くと思考を言葉に乗せるのを苦手としている。マンガ好きで海外に渡航しているあいだも「週刊少年ジャンプ」を購読している。

場所

東京美術学院 (とうきょうびじゅつがくいん)

美術系大学を受験する学生が通う予備校。「東美」とも呼ばれている。大葉真由が講師の一人を務めており、矢口八虎、高橋世田介、桑名マキ、橋田悠は油絵科、鮎川龍二は日本画科に通っている。昼間部と夜間部に別れており、現役生は夜間部に通っているが、夏期講習では昼間部の生徒合同授業となる。授業時間は1日4時間だが、センター試験後は1日12時間となり、アトリエに籠もりっきりになることから精神的に追い詰められる生徒が多くなる。また、予備校内コンクールで1位を獲得すると、その年は東京藝術大学には受からないというジンクスがある。

さえき絵画教室 (さえきかいがきょうしつ)

佐伯昌子が開いている絵画教室。3歳から15歳までの子供とシニア層に絵を教えている。基本的には昌子や目黒を含む四人の講師と、アルバイト1名が生徒のサポートをするが、橋田悠は矢口八虎の紹介で特別にアルバイトとして雇い入れられた。授業は1時間で、最初の15分間は課題説明、最後の15分間は作品発表の時間という構成になっている。

その他キーワード

武装伝記マゲンダー (ぶそうでんきまげんだー)

日曜の朝に放送している子供向けの特撮番組。主人公の鹿島剣人は由緒ある剣道道場の次男坊で、敵は魔神復活のために人々の生命エネルギーを吸収し、次々と廃人にしていく。剣人は先祖が朝廷から賜わったという謎の剣を使ってマゲンダーに変身し、平和のための戦いを繰り広げていく。剣人がマゲンダーに変身する際の掛け声は「変身!抜刀!破邪顕正」。

書誌情報

ブルーピリオド 15巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2017-12-22発行、 978-4065105863)

第2巻

(2018-03-23発行、 978-4065111246)

第3巻

(2018-08-23発行、 978-4065123362)

第4巻

(2019-02-22発行、 978-4065144848)

第5巻

(2019-06-21発行、 978-4065159583)

第6巻

(2019-11-22発行、 978-4065175125)

第7巻

(2020-03-23発行、 978-4065188897)

第8巻

(2020-09-23発行、 978-4065207277)

第9巻

(2021-01-21発行、 978-4065219942)

第10巻

(2021-05-21発行、 978-4065231753)

第11巻

(2021-09-22発行、 978-4065246696)

第12巻

(2022-05-23発行、 978-4065274187)

第13巻

(2022-11-22発行、 978-4065297308)

第14巻

(2023-07-21発行、 978-4065319437)

第15巻

(2023-11-22発行、 978-4065335710)

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