羊と鋼の森

羊と鋼の森

宮下奈都の小説『羊と鋼の森』のコミカライズ作品。北海道育ちの外村直樹は、高校の時にピアノ調律師の板鳥宗一郎と偶然出会ってピアノ調律の世界に魅せられる。苦悩しながらも、理想のピアノの音を求めて奔走する新米ピアノ調律師・外村の姿を描いたヒューマンドラマ。「Cheese!」2018年2月号から6月号にかけて掲載された作品。2018年6月に実写映画化。

正式名称
羊と鋼の森
ふりがな
ひつじとはがねのもり
原作者
宮下 奈都
漫画
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
フラワーコミックス(小学館)
関連商品
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あらすじ

特徴の異なる双子の姉妹と出会う

将来の夢も目標もなく、時間をもてあましていた高校生の外村直樹は、教師からピアノ調律師の板鳥宗一郎をピアノのある体育館まで案内するように頼まれる。案内を終えた外村が体育館から出ようとすると、板鳥が調律する音を聞いて衝撃を受け、調律師を目指すことを決意する。調律師養成の専門学校に2年間通った外村は、卒業後は板鳥が勤める江藤楽器に就職し、新米ピアノ調律師として腕を磨いていた。楽器店での業務研修が終わったある日、外村は指導係のに連れられて顧客の家に向かう。柳が調律し終わると佐倉和音が現れ、さらに和音の双子の妹・佐倉由仁から指摘された音のズレを調整して外村と柳は佐倉家をあとにする。外村は直帰する柳を見送って一人で帰社していると、偶然由仁と再会し、彼女から調律したピアノの音が急に変になったことを知らされる。その後、外村が調律し直すとピアノはすぐに元に戻り、確認のために和音と由仁が奏でた音に外村は感銘を受ける。

双子の姉妹のためにできることを模索する

新米ピアノ調律師の外村直樹は地道に努力を重ねて少しずつ顧客も増えていき、が担当していた佐倉和音佐倉由仁のピアノの調律も任されるようになった。和音と由仁が奏でる音に魅せられていた外村は、二人との信頼関係を深めて調律にもやりがいを感じていた。しかしある日、外村は由仁がピアノが弾けなくなる原因不明の病に冒され、さらに和音がピアノを弾かなくなったことを知る。そんな中、なんとか立ち直った由仁から事情を聞いた外村は自分に何ができるのかを考え、板鳥宗一郎からもアドバイスを受け、ピアノを調律するために佐倉家に向かう。

関連作品

小説

本作『羊と鋼の森』は宮下奈都の小説『羊と鋼の森』を原作としている。原作小説版は文藝春秋から刊行されている。また、音楽や自然、登場人物の描写が非常に丁寧で美しいと評価され、「2016年本屋大賞」「王様のブランチブックアワード大賞2015」「キノベス!2016」第1位と史上初の三冠を獲得している。

メディアミックス

実写映画

2018年6月、本作『羊と鋼の森』の原作小説『羊と鋼の森』の実写映画版『羊と鋼の森』が公開された。監督は橋本光二郎が務めている。キャストは、外村直樹を山﨑賢人、板鳥宗一郎を三浦友和、を鈴木亮平、佐倉和音を上白石萌音、佐倉由仁を上白石萌歌が演じている。

登場人物・キャラクター

外村 直樹 (とむら なおき)

江藤楽器に勤める新米ピアノ調律師の男性。どんな音の違いも即座に感じ取る繊細な感覚を持つ。生真面目な性格だが不器用な一面があり、何かあるとすぐに落ち込んでしまい、それが表情にも現れてしまう。高校の時に出会った板鳥宗一郎が、ピアノを調律している時に出した音に衝撃を受け、調律師を目指すこととなる。自分が理想とする音を調律できないことに思い悩んでいる頃に、指導係の柳と共に訪れた家で佐倉和音と佐倉由仁の双子の姉妹と出会う。二人の奏でる音に魅せられ、さらに板鳥からアドバイスを受けて調律師の本質とやりがいを見いだし、地道に努力していくことを誓う。北海道出身。

板鳥 宗一郎 (いたどり そういちろう)

江藤楽器に勤めるベテランのピアノ調律師の男性。穏やかな性格で物腰も柔らかい。ドイツの巨匠からもコンサートの度に毎回指名されるほど信頼されており、調律の腕も非常に高い。物静かで多くは語らないが、外村直樹が迷ったときは助言を欠かさないなど、外村にとっては人生の道しるべのような人物。

(やなぎ)

江藤楽器に勤めるピアノ調律師の男性。外村直樹の7年先輩で、指導係を務めている。兄貴肌な性格で面倒見がよく、実務面だけでなく調律師としての立ち居振る舞いを外村に教えている。

佐倉 和音 (さくら かずね)

江藤楽器に自宅のピアノの調律を依頼している少女で、佐倉由仁の双子の姉。生真面目な性格で、物静かながら情熱的なピアノを弾く。毎日ピアノの練習をしているが、本番ではいつも由仁の方がいい成績を収めている。由仁のことを大切に思っており、由仁が原因不明の病に冒されてピアノが弾けなくなると、佐倉和音自身もピアノを弾かなくなる。その後、由仁と外村直樹の自らへの思いを聞いて、再びピアノに向き合ってピアニストを目指すようになる。

佐倉 由仁 (さくら ゆに)

江藤楽器に自宅のピアノの調律を依頼している少女で、佐倉和音の双子の妹。活発な性格で、華やかで奔放なピアノを弾く。和音の弾くピアノを毎日聴いているため、和音の音の好みをよく理解しており、和音の奏でる音に合わせた調律を調律師に依頼することが多い。ピアノを弾くときだけ指が動かなくなるピアニスト特有の原因不明の病に冒されてしまい、酷く落ち込むもののなんとか立ち直る。しかし、佐倉由仁自身がピアノが弾けなくなったことで、和音もピアノを弾かなくなったことを気に病み、外村直樹と協力してもう一度和音にピアノを弾いてもらおうと奔走する。和音が再びピアノを弾くようになったあとはピアノ調律師を目指すようになる。

クレジット

原作

宮下 奈都

書誌情報

羊と鋼の森 小学館〈フラワーコミックス〉

上巻

(2018-02-26発行、 978-4091398864)

下巻

(2018-05-25発行、 978-4098701315)

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