八百森のエリー

大学で農業を学び、農業試験場の研究室で働いていた卯月瑛利(エリー)。彼は研究室に残って欲しいと教授に頼まれたが、生産者と販売店を繋ぐ架け橋になりたいと、青果市場の仲卸という仕事を選ぶ。入社前の3月からバイトに来て欲しいと言われたエリーは少し早い時間に宇都宮市中央卸売市場に着いた。せりの様子をみてワクワクしながら、就職先の八百森青果に向かう。八百森青果の前には金髪リーゼントでヤンキー座りをして、タバコを吸う青年がいた。彼はエリーに因縁をつけてきたが、すぐに2人は苺の品種の話で盛り上がる。彼はエリーの同僚となる大虎倫球(のりたま)。そこへ八百森青果の鹿野タカシがやってきて、新入社員の2人を歓迎する。タカシは社内を案内し、仲卸の仕事について説明する。仲卸とは市場の荷受けが集めた果物・野菜をスーパー、飲食店に販売する仕事で、必要な商品を必要な数、必要な場所に時間通りに届けること。出勤は早朝2～3時で12時間労働、季節の暑さ寒さに耐え、休みも少ないため人付き合いもままならない。野菜に人生を捧げないとできない仕事だと叩き込まれる。

初日だが、野菜部を手伝うことになったエリーとのりたま。スナップエンドウ100ケースを積み込もうとしたその時、スナップエンドウの箱に荷受けのフォークリフトが突っ込んできた。ケガ人はいなかったものの箱はつぶれ、中のスナップエンドウはぐちゃぐちゃに。事故を起こした荷受けは慌てて代わりの品を集めるが、結局75ケースしか用意できなかった。八百森青果スナップエンドウ担当の猪井は大慌て。のりたまは「農協に代わり持ってきてもらう」「崩された箱の中から使えるものを選ぶ」などいくつか案を出すが、時間がないという理由で却下されてしまう。野菜がだめになったショックでしばらく動けなかったエリー。しかし廃棄処分になると聞いたとたん、エリーは有効なアイデアを思いつき、残りの25ケースを約束通り用意し、割れたスナップエンドウも廃棄しない方法を提案するのだった。