ブレイクダウン

ブレイクダウン

小惑星の衝突により起こった地球規模の大災害を生き抜く人々の、サバイバル生活を描いた作品。ストーリーの随所に災害時に実際に起こりうる現象や注意点などが挿入され、災害時のサバイバルマニュアルとしても活用できる内容となっている。「リイドコミック」で1995年から1997年にかけて連載された作品。

正式名称
ブレイクダウン
ふりがな
ぶれいくだうん
作者
ジャンル
サバイバル
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あらすじ

第1巻

ジャーナリストの大友海里は、友人で天体観測家の鳩村から、面白いものを見せるからと、山の中にある自身の天文台まで来るよう誘われる。鳩村は、地球に接近している小惑星ウィルビーの軌道を観測していたが、某国が地球からロケットを打ち上げ、地球上から宇宙空間のウィルビーを狙撃する実験を計画している事を察知したのだという。大友は上司の内海と共に鳩村のもとを訪れ、その実験の様子を観測する。実験は成功して、ロケットはウィルビーに命中するが、その影響でウィルビーの軌道が変わってしまいウィルビーは、地球に衝突するコースへと入ってしまう。地下室に入ってかろうじて難を逃れた大友と内海だったが、鳩村は小惑星衝突で発生した衝撃波によって命を落としてしまう。最低限の装備しかしていない状態で山を下りる事になった大友と内海は、協力しながら無事下山する。二人は助けを求めようとするも、ウィルビーの衝突がもたらした災害は、大友達の予想をはるかに超えた甚大なものだった。

第2巻

大友海里は、上司の内海と共に衝突の災害を生き延びた人達が集まっている避難所へたどりつく。そこで出会った医師の蘇我は、もっと多くの人達がいたがほとんど逃げ出してしまい、ここには病人やけが人しか残っていないという。大友は避難所となっている公園が川に近い事から、洪水が起こればひとたまりもない事を説明し、高台へと避難するように提案する。しかし、蘇我をはじめとする避難所の人々は聞く耳を持たない。それでも必死に説得を続ける大友の真摯な姿に蘇我達は避難を承諾する。高台への移動を始めようとした直後に鉄砲水が押し寄せ、避難所は濁流に飲み込まれてしまう。 小惑星ウィルビーの衝突による大災害から1か月、大友はかろうじて生き延びており、ある集落へと足を踏み入れる。そこには蜂谷小俣琢郎といった男達が中心となって自給自足の生活を送っていた。しかし、その集落では子供をはじめ死者が相次いでいた。そんな中、主婦・神田の息子が死亡した場に立ち会った大友は、その埋葬後に自身の野草の知識を集落の人達に伝えるが、「よそ者」である大友は次第に集落でも疎まれていく。

第3巻

大友海里がたどりついた集落では、蜂谷らが中心となり少しずつ秩序が芽生えつつあったが、そんな集落の中で伝染病が蔓延する。伝染病の対処法をパソコン通信で知った琢郎は、その事を集落の人々に伝えるが、伝染病の蔓延で生きる気力を失った集落の人々はまるで話を聞こうとしない。琢郎はやむなく大量の食料を持って集落を脱出し、パソコン通信でつながっていた人物のもとへと向かう。それを知った蜂谷は、仲間の小俣と共に琢郎を追いかけようとするが、蜂谷達もまた伝染病に感染してしまう。大友は子供を亡くした神田と共に伝染病に感染した蜂谷達を看病するが、集落では次々と人が死んでいき、ついには小俣も命を落としてしまう。蜂谷は仲間の小俣を弔うため集落に残り、大友は神田と共に琢郎のあとを追いかける。 琢郎は東京へとやって来ていたが、パソコン通信で連絡を取り合っていた相手に殺害され、食料を奪われてしまう。琢郎のあとを追いかけて、その場へ駆けつけた大友と神田は、そこで一人の少女・誉田季実子を発見し保護する。だが、彼女こそ琢郎を殺害した張本人だった。

第4巻

大友海里は、余震に巻き込まれ、神田誉田季実子と共に地下に閉じ込められてしまう。なんとか出口を探そうと地下をさまよう大友は、通風口からの脱出を試みるがそこを再び余震が襲い、神田は命を落とす。季実子ともはぐれてしまった大友は、地上へと続く排水口を発見し、かろうじて地上への脱出に成功する。廃墟と化した東京を一人さまよう大友は、その一角に多くの人の死体が吊るされている場所を発見する。その場所では、一龍をリーダーとする集団が、どこからか食料を集めて暮らしていた。一龍は一つのビルを指し示し、そこにまだ子供が取り残されている事を大友に告げる。一龍は余興と称して大友に子供達を救出する事ができないかと持ちかける。大友はその申し出に乗り、階段もエレベーターも崩壊したビルを自分の力だけで登っていく。

登場人物・キャラクター

大友 海里 (おおとも かいり)

ジャーナリストの男性。記者としての実力は乏しい事から会社ではお荷物扱いされる事が多い。正義感が強く、どんなに絶望的な状況であっても生き抜く事をあきらめない強い精神力を持っている。アウトドアを趣味としている事から、災害時にはその知識を遺憾なく発揮し、大災害を生き延びていく。

鳩村 (はとむら)

大友海里の友人の男性で、アマチュア天体観測家。地球に接近している小惑星ウィルビーの軌道について不審な点がある事から大友に連絡を取って、彼を自身の天文台に招く。ウィルビーが地球に衝突する瞬間までその軌道を観測し続け、衝突の衝撃による地震に巻き込まれて死亡する。

内海 (うつみ)

大友海里の上司の男性。部下の取材したスクープを横取りするなど、悪辣な性格の持ち主。しかし取材対象と定めた相手には、とことんまで取材を敢行するなど、ジャーナリストとして必要な執念とフットワークを持ち併せている。小惑星ウィルビーの衝突時には、大友の機転で助かったものの、その後の惨状を目にして精神に異常をきたしてしまう。

神田 (かんだ)

大友海里がたどりついた集落にいた主婦。家にいたところを小惑星ウィルビーの衝突に巻き込まれ、子供と共に避難していた。大友が集落についた頃に子供と死別した事もあり、精神的に不安定な状態が続いていた。しかし、大友と共に旅を続けるうちに少しずつ精神的にも安定し、大友に惹かれていく。

蘇我 (そが)

大友海里が最初にたどり着いた避難所で出会った男性。職業は医師で、避難所の中でけが人の治療を行っていた。多くの人達が逃げ出したあとも救命活動を行っており、避難所の中でも非常に人望が厚い。大友に対しても比較的親身に接するもののどこか冷めており、避難所での生活も先は長くない事を諦観している。

蜂谷 (はちや)

大友海里がたどりついた集落にいた青年。不良あがりの若者で、仲間の小俣と共に集落を取り仕切っていた。口よりも先に手が出るほどけんかっ早く、気に入らない相手にはすぐに殴りかかる過激な性格。大友とは集落での生活をめぐり対立する事も多かったが、小俣の死をきっかけに和解し、集落での中心人物として成長していく。

小俣 (おまた)

大友海里がたどりついた集落にいた青年。蜂谷の仲間で、蜂谷と共に集落を取り仕切っていた。やや気が小さいところがあり、自分よりも立場の弱い相手に対しては強気な姿勢を見せるが、蜂谷には従順な態度を取っていた。食料をめぐるトラブルで孤立したところを野犬の群れに襲われ死亡する。

江藤 (えとう)

大友海里がたどりついた集落にいた男性。蜂谷や小俣らを先導し、集落ではリーダーとして振る舞っていたが、実際には食料を独り占めしようと考えていた独善的な人物。神田を連れて食料を奪い、集落から逃走しようとしていたところを地震が襲い命を落とす。

琢郎 (たくろう)

大友海里がたどりついた集落にいた青年。集落ではパソコン通信を利用して外部との連絡を取っており、さまざまな情報を得ていた。パソコン通信で知り合った人物に誘われ、大量の食料と共に集落から姿を消すが、たどりついた先で待っていた少女・誉田季実子に殺害され食料を奪われる。

誉田 季実子 (ほんだ きみこ)

琢郎がパソコン通信で知り合った少女。まだ小学生にも見える年齢ながら、パソコンをはじめとする情報機器の取扱いに長けており、無線通信技術を駆使して琢郎をおびき寄せ、食料を奪い殺害する。その後は、しばらく大友海里や神田と行動を共にしていたが、余震の影響ではぐれてしまう。

一龍 (いちりゅう)

廃墟と化した東京で一家を構える男性。人々を掌握する貫禄と度胸を備えており、流れ着いた大友海里に対しても、ここまで生き抜いてきたそのサバイバル能力に一定の評価を下す。余興と称して進む事が困難なビルへ行くように大友に指示するが、これは大友の持つ高いサバイバル術を見越して、子供達の救出を期待してのものだった。

綾乃 (あやの)

廃墟のビルに隠れていた子供達をまとめていたリーダー格の少女。子供ながら行動力と統率力に優れ、幼い子供達と共に残り少ない食料を分け合って災害を生き延びている。食料が尽きかけていたところに大友海里が現れ、生きるために大友の助けを借りるようほかの子供達を説得する。

その他キーワード

ウィルビー

地球に接近していた小惑星。発見者の名前をとって「ウィルビー」と名付けられた。某国が地球上から小惑星を迎撃するための実験として打ち上げたロケットを衝突させた。しかし、内部に蓄積されていた圧縮ガスが吹き出した事で軌道が変わり、直径300メートルほどの破片が地球に衝突した。

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