ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』のコミカライズ作品。アオヤマ君の街に現れたペンギン達の謎や、それを研究するアオヤマ君とお姉さんの日常を描くファンタジー。KADOKAWA「月刊コミックアライブ」2018年5月号から2019年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
ペンギン・ハイウェイ
ふりがな
ぺんぎん はいうぇい
原作者
森見 登美彦
漫画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全3巻完結
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

小学4年生のアオヤマ君は、つねに周囲の事を研究し、勉強も怠らない日々を送っている。ある日、アオヤマ君が住む街の郊外に、不思議なペンギンが何体も出現した。本来なら南極や動物園に住んでいるはずのペンギン達がどこから来て、どこへ向かおうとしているのかは、誰にもわからなかった。興味を持ったアオヤマ君はペンギンの正体を解明すべく、これらの現象に「ペンギン・ハイウェイ」と名付けて研究を始める。アオヤマ君はいつも通っている歯科医に行き、顔なじみのお姉さんに話を聞く。現れたペンギン達は保健所のトラックで運ばれる途中に消えてしまったらしく、謎はさらに深まるばかりだった。後日アオヤマ君は、お姉さんが投げたコーラ缶が歪み、ペンギンに変化する瞬間を目撃する。呆然とするアオヤマ君に対し、お姉さんは「君にこの謎が解けるか」と、笑顔で問いかけるのだった。だが、お姉さんがつねにペンギンを出せるわけではなく、なぜペンギンが出現するようになったのかは、お姉さん自身にもわからない事だった。アオヤマ君はペンギンが出現する法則を解明しようと、お姉さんやウチダ君と共に、さまざまな実験を始める。こうして、アオヤマ君の不思議で忘れられない夏が始まるのだった。

第2巻

ハマモトさんに誘われ、アオヤマ君ウチダ君は「銀の月」のうわさが流れていた、森の奥にある草原を訪れる。そこにはハマモトさんがこっそり研究していた、水を含んだような巨大な球体が浮かんでいた。まるで海のように見えるその球体を、ハマモトさんは「」と呼んでいた。アオヤマ君達は彼女に誘われ、「海」について三人で共同研究する事となる。夏休みに入り、アオヤマ君はスズキ君達に邪魔されたり、新発見に遭遇しながらも「海」の研究を続けていた。しかし、その一方でお姉さんは体調を崩し、アオヤマ君は彼女に会えない日が続いていた。そしてお姉さんの周囲には、奇妙な事象が起こるようになっていた。夏祭りの日、アオヤマ君はウチダ君とハマモトさんに会い、お姉さんとも再会する。久しぶりにお姉さんと過ごし、祭りを楽しむアオヤマ君達の裏では、「海」に新たな変化が起こっていた。やがてアオヤマ君は、「海」とペンギン、そしてお姉さんの不思議な関連性に気づき、何らかのつながりがあると考えるようになる。だが、研究を続ける内に、街には謎の巨大生物が出現。さらには異常現象の騒ぎが起こるようになり、お姉さんの体調にも異変が訪れていた。

関連作品

本作『ペンギン・ハイウェイ』は、2018年8月17日に公開されたアニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』を原作としている。街に現れたペンギン達の謎を研究するアオヤマ君の日常と成長、お姉さんや仲間達との交流を描く。

登場人物・キャラクター

アオヤマ君 (あおやまくん)

海のない住宅街に住む小学4年生の男子。甘いお菓子をよく食べるが、歯磨きを忘れがちで、お姉さんが勤める歯科医院に通っている。勉強や研究に熱心になりやすい研究者気質で、熱が出ても研究を続けるほど。週に一度は歯科医の近くにある「海辺のカフェ」に通い、お姉さんからチェスを教わっている。「自分は将来、きっと偉い人になるだろう」と考えているが、頭のよさを過信・慢心する事はなく、他者への尊敬や日々の努力も怠っていない。周囲の出来事を毎日研究・勉強しており、研究の記録は「妹わがまま日記」や「スズキ君帝国」といったノートにまとめている。中でもミステリアスなお姉さんへのあこがれや関心が強く、彼女についてさまざまな疑問を持っては、最重要研究対象として熱心に研究している。お姉さんを自分の結婚相手と心に決めており、早く大人になろうとしている。街の郊外にある空き地に突如現れた、ペンギン達の正体と彼らの目指す先に興味を持つようになり、「ペンギン・ハイウェイ研究」と名付けてお姉さんやウチダ君と共に研究を始める。研究を続ける内に、ペンギンが出現する法則や「海」との関係性について、少しずつ謎を解明していく。博学で口達者だが、恋愛には鈍感。

お姉さん (おねえさん)

アオヤマ君が通っている歯科医院の歯科助手をしている女性。海辺の街の出身で、スレンダーな体型に豊満なバストを持つ。大らかで気さく、自由奔放で無邪気な性格をしている。謎が多くミステリアスな雰囲気を漂わせ、アオヤマ君にとっての最重要研究対象となっている。アオヤマ君を「少年」や「科学の子」と呼び、休日は歯科医院の近くにある「海辺のカフェ」に通っては、アオヤマ君にチェスを教えている。ペンギンを出現させる事ができ、街に現れたペンギン達とも関係がある。しかし、いつでもペンギンを出現させられるわけではなく、その法則はお姉さん自身もよくわかっていない。自身の周りに起こる不思議な現象を解明するべく、アオヤマ君と多くの時間を過ごすようになる。明るく振る舞っているが、ペンギンを出せるようになってからは不眠や怖い夢が続き、疲れ気味になっている。ペンギンの出現以外にも、街で起こったさまざまな異常現象と関係している。

スズキ君 (すずきくん)

アオヤマ君のクラスメイトの男子小学生。声が大きく力も強い。クラスの男子を服従させているわんぱくなガキ大将で、時おりアオヤマ君の邪魔をする事もある。また、男子達を服従させる様子は、アオヤマ君に「スズキ君帝国」と名付けられている。ハマモトさんに密かに片思いしており、彼女といっしょに過ごす事が多くなったアオヤマ君に嫉妬している。しかし、怒りっぽく意地っ張りな性格が災いし、ハマモトさんには素直になれずケンカばかりしている。

ウチダ君 (うちだくん)

アオヤマ君のクラスメイトの男子小学生。控えめで、やや怖がりな性格で、メガネをかけている。アオヤマ君とは仲がよく、放課後はよくいっしょに行動している研究仲間でもある。探検隊を組んで二人で秘密地図を作ったり、川の水源を見つける「プロジェクト・アマゾン」を計画・実施したりしている。アオヤマ君よりも内気だが、宇宙など一部の分野に関しては彼を超える知識を持っている。

ハマモトさん

アオヤマ君のクラスメイトの女子小学生。ガキ大将のスズキ君にも動じない気の強さを持つ少女で、その度胸と賢さはアオヤマ君からも一目置かれている。「相対性理論」を理解するなど頭もよく、明るい性格の自信家。チェスが得意で、クラスメイト達にチェスを普及させようとしている。アオヤマ君に劣らぬほどの熱心な研究者気質で、森の奥の草原で発見した謎の球体に「海」と名付け、一人で研究をしていた。のちにアオヤマ君とウチダ君を誘い、三人で共同研究を始める。当初はアオヤマ君とあまり話した事がなかったが、共同研究を始めてからは彼の事が気になっており、お姉さんの事をライバル視するようになる。

アオヤマ君のお父さん (あおやまくんのおとうさん)

アオヤマ君の父親。会社員をしている。息子のアオヤマ君にノートの書き方や数学、難しい問題の解き方を教えるなど、さまざまなヒントや助言を与えている。研究熱心な息子を少し心配しつつ、ほどよい距離感で温かく見守っている。月に一度は家族で出かけ、アオヤマ君にノートなどの文房具を買ってあげている。

ヤマグチさん

アオヤマ君が通う歯科医院の近くにある「海辺のカフェ」の店主をしている男性。時おりお姉さんの代わりに、アオヤマ君のチェスの相手をしている。気さくでおおらかな性格で、カフェに通っているアオヤマ君とお姉さんをやさしく見守る。

ペンタ

マンションの駐車場に出現したペンギン。ウチダ君に保護され、マンションの屋上に隠されている。見た目はふつうのペンギンで、元気で賢い。何故か食べ物に興味を示さず、数週間なにも食べていない事をウチダ君に心配されている。ウチダ君が水族館に連れて行こうと電車に乗った際に、コーラ缶に変化してしまう。

ハマモトさんのお父さん (はまもとさんのおとうさん)

ハマモトさんの父親。大学教授で、主に大気や気象の研究をしている。甘い物が大好きで、研究に熱中すると多く食べるため虫歯になりがち。アオヤマ君と同じ歯科医院に通っており、お姉さんとも知り合い。のちにハマモトさんの研究ノートを見て、街で起きているさまざまな現象とお姉さんの関連性について追い求めるようになる。

その他キーワード

プロジェクト・アマゾン

アオヤマ君とウチダ君が二人で続けている研究。街はずれにある地図に記されていない川について研究し、川の水源を見つけるのを目的としている。ペンギンの出現や梅雨が訪れた事によって一時中断されていたが、夏休みに入った頃に再開された。

(うみ)

ハマモトさんが発見した謎の巨大な球体。街はずれの森の奥にある、草原に浮かんでいる。ハマモトさんが密かに研究していたが、のちにアオヤマ君とウチダ君も研究に参加するようになった。拡大と縮小を繰り返しており、ハマモトさんからは「拡大期」「縮小期」と呼ばれている。街に現れたペンギンやお姉さんと何らかの関係がある。

クレジット

原作

森見 登美彦

書誌情報

ペンギン・ハイウェイ 全3巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2018-07-23発行、 978-4040650821)

第2巻

(2018-12-21発行、 978-4040653297)

第3巻

(2019-05-23発行、 978-4040657103)

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