ヤマタイカ

ヤマタイカ

古代日本の倭国の女王卑弥呼の意識が、ヒロイン伊耶輪神子の体を借りて現代に蘇り、日本中を混乱の渦に巻き込んでいく。第23回星雲賞を受賞。

正式名称
ヤマタイカ
ふりがな
やまたいか
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
時代劇
 
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

沖縄にある久高島で、60年に一度執り行われるという伝説の秘祭ヤマトゥ・祭、その神事の中で、千七百年前の卑弥呼の意識と交感した伊耶輪神子は、この現代に火の民族(縄文人)の狂乱の祭であるヤマタイカを復活させようと動き始める。一方で、日の民族(弥生人)の末裔たちは、日本の混乱、秩序を乱す動きを察知し、超常的な法力を持つ僧、四天王たちがこれを阻止しようと現れる。

神子たちがヤマタイカを復活させるためには、強大な思念エネルギーを増幅させるオモイカネ(巨大銅鐸)が必要だった。

登場人物・キャラクター

伊耶輪 神子 (いざわ みわこ)

沖縄県久高島に古くから続く伊耶輪神女(ノロ)の宗家、伊耶輪家の一人娘。歴代神女王]で初めて、琉球の創世神であるアマミク(卑弥呼)の大霊力を受け継ぎ、卑弥呼の声に従い、火の民族の大いなるマツリヤマタイカを現代に復活させようとする。

卑弥呼 (ふぃみか)

邪馬台国の倭国の女王。時空を越えて伊耶輪神子を導く。卑弥呼には寿命が迫っており、古代と現代を繋ぐ祭具「オモイマツカネ」や「オモイカネ」を通じて、巨大なエネルギーを送り込みヤマタイカを復活させようとする。

熱雷 岳彦 (あたらい たけひこ)

熱雷草作の息子で伊耶輪神子の腹違いの弟。卑弥呼にも居たという補佐役の立場、審神者となり、神子を様々な場面で助け活躍する。

熱雷 草作 (あたらい そうさく)

伊耶輪神子と岳彦の父で歴史研究家。北海道出身でアイヌの血をひく。沖縄にいたとき、弥生期に南北に分断された古代日本人の謎に触れ、「火の民族仮説」を研究をし続けている。研究一筋、強い信念で持って神子の行く末を見守っていく。

石上 明 (いしがみ あきら)

月刊『歴史とロマン』誌の記者。伊耶輪神子や熱雷草作と知り合い。熱い記者魂を持ち、最前線で取材をし日本全国に蘇った戦艦大和の中継映像を流すなど、神子たちの行動を側面から盛り上げていく。

島 伊都子 (しま いとこ)

西南大学の考古学助手。阿蘇で発見された巨大銅鐸の調査で熱雷草作と出会い、草作の「火の民族仮説」に魅せられる。同行するうちに草作を愛するようになっていく。理知的で行動力のあるショートヘアの美人。

広目 (こうもく)

東大寺四天王のひとり。サイコメトリー能力を持つ。「法力転譲来」により、他の四天王が死ぬとその能力を受継いで、物語後半には1人で4人分の能力をもって伊耶輪神子に挑む。またオモイカネに対抗する巨大鉄鐸「オモイクロガネ」を造り、オモイカネの力を封じようとする。

持国 (じこく)

東大寺四天王のひとり念動力を使う。卑弥呼が憑依し覚醒したばかりの伊耶輪神子に空中に飛ばされて死亡する。

増長 (ぞうちょう)

東大寺四天王のひとり。怪力の巨漢。銅鐸の振動で内臓をやられ、阿蘇での戦いで重傷を負うが不死身の体で復活。伊耶輪神子に対する憎悪は理性を失うほどだったが、東大寺での戦いで大仏殿の屋根から落とされ死亡する。

多聞 (たもん)

東大寺四天王のひとり。弘法大師が会得したという真言の速読記憶術「虚空蔵求問持法」により、コンピュータ並みのデータ処理能力を持つ。またその法力は強大で、東大寺の戦いでは呪法を発動し、大仏を動かして伊耶輪神子たちを襲う。大仏殿炎上と共に死亡する。

金剛阿、金剛吽 (こんごうあ、こんごううん)

大空阿闍梨の命を受け、真言の僧兵を率いて伊耶輪神子たちの前に立ちはだかる兄弟。普段は高野山を本拠としている。伊勢朝熊山での戦いで神子を追い詰めるが、綾門らの働きにより敗れる。

日光尼、月光尼 (にっこうに、げっこうに)

東大寺の中門を守る二人の尼僧。催眠効果のある香を焚き伊耶輪神子を苦しめる。

大空阿闍梨 (たいくうあじゃり)

四天王や金剛兄弟に命じて「ヤマタイカ」阻止しようとする。日の民族の守護者たる高位の仏僧。東大寺を本拠とする。

首里 姫古絵 (しゅり きこえ)

琉球王朝の末裔にして沖縄第一の財閥、首里家の当主。神女でもあり、伊耶輪神子たちを経済的に支援する。野心が強く、そこを広目につけ込まれてしまう。

綾門 (あやじょう)

首里が呼び寄せた沖縄神女団のリーダー。伊耶輪神子の能力を増強し手助けしていく。伊勢朝熊山(いせあさまやま)での戦いで、最後の念を神子に注ぎパワーアップさせて死亡する。

伊耶輪 波子 (いざわ なみこ)

伊耶輪神子の母。伊耶輪宗家の神女で指導的立場にいるが、熱雷草作との過去のいきさつから苦悩を抱えている。

勢理 (せり)

伊耶輪神子を守る神女。控えめで純情。熱雷岳彦に思いを寄せるが、東大寺での戦いで岳彦をかばって重傷を負い、死亡する。

伊江 (いえ)

伊耶輪神子を守る神女。活動的な性格。伊勢朝熊山での戦いで、金剛阿、金剛吽の率いる僧兵に襲われ死亡した。

美里 (みり)

伊耶輪神子を守る神女。物語後半、熱雷岳彦に同行して北海道に渡った。エピローグで岳彦と結ばれ沖縄で結婚し妊娠していることがわかる。

瀬名 (せな)

伊耶輪神子を守る神女。物語後半、熱雷岳彦に同行して北海道に渡った。

菊池 鉄吉 (きくち てつきち)

阿蘇中岳の立入禁止区域に、集落を作って生活していたホームレス集団のリーダー。伊耶輪神子の一行と出会い、ヤマタイカに共感し、群衆を巻き込みながら北上する。

(じん)

陸上自衛隊の二佐。ねぶたの群衆が「ヤマタイカ」と化して南下するのを阻止するよう総監部から命令され、戦車隊を率いて出動するが、伊耶輪神子のヤマタイカに同調し、反逆して熱雷岳彦たちを助ける。

藤原 (ふじわら)

日本の総理大臣。戦後50年かけて再建してきた「権威と権力の日本」を再び破壊しようとする「ヤマタイカ」を忌むべきものとして自衛隊を動員し阻止を図る。日の民族を象徴する人物。

集団・組織

火の民族 (ひのみんぞく)

『ヤマタイカ』に登場する、古代日本に東南アジアから渡ってきた民族を指す。火山を神の力の象徴として崇め続けてきた縄文人をそう呼んでいる。

日の民族 (ひのみんぞく)

『ヤマタイカ』に登場する、ほとんど火山のない中国大陸から日本列島に渡ってきた渡来人を指す。火山ではなく太陽を崇める弥生人をそう呼んでいる。

場所

久高島 (くだかじま)

沖縄本島の東南端に位置する、琉球の創世神アマミキヨが天からこの島に降りてきて国づくりを始めたという、琉球神話聖地の島。伊耶輪神子が生まれ育ったところである。この地でヤマトゥ・祭が執り行われ神子は覚醒する。

イベント・出来事

ヤマトゥ・祭 (やまとぅまてい)

『ヤマタイカ』の登場する、沖縄の久高島で、60年に一度執り行われるという秘祭。ヒロイン伊耶輪神子はこの秘祭によって大霊力の神女の王となり、卑弥呼の意志を受継ぐことになる。

ヤマタイカ

『ヤマタイカ』に登場する、原・日本人火の民族によって繰り返し行われてきた、本能に起因する火山と融合する永劫回帰へのマツリを言う。

その他キーワード

遮光器土偶 (しゃこうきどぐう)

『ヤマタイカ』に登場する巨大土偶。火山の脈動を増幅するために作られたオモイカネの元型とされる要石(かなめいし)。これによって火山を誘発させようとする。

オモイカネ

『ヤマタイカ』に登場する巨大銅鐸のこと。卑弥呼の意識と共振し、思念エネルギーを増幅させ超常的な力を発動させる力がある。この銅鐸の小さなものをオモイマツカネという。

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