概要・あらすじ
占いが大好きな男子高校生の綴エンジは、占いで人生最高の日と診断された朝にトラックに撥ねられてしまう。生死をさまよう重体となったエンジは、喫茶店を営み、裏で怪しい実験を繰り返す謎の少女、白雨に偶然発見され、店の地下にある実験室へと運び込まれる。唯一無事だった脳を人造の身体に移植されたことでエンジは一命をとりとめるが、その代償として人造体の制作費である1億円を要求されることに。
借金返済のために泣く泣く白雨の喫茶店で働くことになったエンジだが、そこで彼は白雨が表世界に出せない怪物や超能力者である裏生物専門のトラブルシューターであることを知る。かくしてエンジは、手に入れた人造の身体を瞬時に治癒する再生能力や超人的な怪力を駆使して、白雨のもとに舞い込んだ仕事を手伝うことになり、水田マリや尾山乱太朗といったユニークな裏生物と交流を深めていく。
その一方で、町には生物を凶暴化させる裏生物、「寄生蟲」を悪用した事件が多発するようになり、エンジたちは徐々にその真相へ迫っていく。
登場人物・キャラクター
綴 エンジ (つづり えんじ)
六鐘高校に通う高校1年生で、金髪に黒のメッシュが入った髪型が特徴。占いが大好きで、常に占いを信じて行動している。しかし、人生で1番幸福な日という結果が出た日にトラックに轢かれてしまい、白雨の手で人造の身体に脳を移植されたことで一命をとりとめる。そのため、驚異的な再生能力と怪力を手に入れ、裏生物の一員となった。 一方、白雨からは人造の身体となった代償として1億円を要求され、彼女の経営する喫茶店「紅緋珈琲」で下僕のような扱いを受けながら借金返済のために働くこととなる。また、白雨と行動をともにすることでさまざまな裏生物と遭遇し、トラブルに巻き込まれていく。ちなみに、頭が悪いのが弱点で、画力が絶望的に低いことから「画伯」というアダ名を持っている。
白雨 (はくう)
綴エンジの暮らす町、紅緋町の川沿いにある喫茶店「紅緋珈琲」の店長を務める年齢不詳の少女で、ピンク色のセミロングの髪に、丸い飾りのついたヘアバンドを身につけている。その正体は裏生物専門のトラブルシューターで、数々の危険な実験を繰り返すことから「紅緋の魔女」という異名を持っている。 その一環として裏生物用の人造体を作っていたが、事故にあったエンジを救うために彼の脳を移植した。横暴でわがままな性格で、事あるごとにエンジや芹沢カンクローを振り回している。また、利にならない仕事はすっぱり断るなど、拝金主義な一面を持っている。しかし、性根はまっすぐで真摯な人物で、裏生物に関わる事件では頼れる存在として活躍している。
水田 マリ (みずた まり)
綴エンジと同じ六鐘高校に通う女子高生で、前髪をゴムでまとめた黒のロングヘアとFカップの巨乳が特徴。真面目な性格で特進クラスに所属する秀才だが、異常な大食漢で、苦手なカエルをのぞけばどんなゲテモノでも食べてしまう。裏生物の1人で、物体を圧縮して球体にしたり、膨張によって爆発させたりといった「拡縮能力」を持つ。 かつてはストレスが溜まると、本人の意に介さず能力を発現させていたが、エンジや白雨に関わったことで制御できるようになった。母親の再婚により「水たまり」と同じ読みの名前になったことにコンプレックスを抱いており、義兄弟との仲も良くなかったが、ある事件をきっかけに和解している。
尾山 乱太朗 (おやま らんたろう)
狼のように鋭い嗅覚を持つ「狼人」の裏生物で、ボサボサの赤髪にゴーグルをかけた豪快な性格の青年。六鐘高校の2年生で、綴エンジの先輩にあたる。白雨に惚れており、猛烈なアプローチをかけているが、いつも体よくあしらわれている。自分がどこまで強くなれば満足できるのかを探求しており、日夜不良との喧嘩に明け暮れている。 また、裏世界で「鬼」と呼ばれる凄腕の便利屋、神寿(かみじゅ)をライバル視している。なお、幼少時は病弱でいじめられていたが、田舎に引っ越して新鮮な空気のもとで生活したことで強くなり、「金太郎」と呼ばれる凶暴な熊を打ち倒した経歴もある。それがきっかけで「キンタマ」というアダ名がついてしまったことを気にしている。
芹沢 カンクロー (せりざわ かんくろー)
裏生物に関する事件を扱う特殊警察組織、捜査0課に所属する刑事で、アゴヒゲがトレードマーク。白雨とは協力関係にあり、裏生物関係の事件を定期的に斡旋しているが、白雨からはぞんざいな扱いを受けている。また、携帯電話とリモコンを間違えて持ち歩くなど、マヌケな一面も多い。 なお、凶暴な裏生物と対峙することが多いことから、捜査0課は四肢が義手、義足になっている者が多く、カンクローも義足を使用している。
緑川 ヤエカ (みどりかわ やえか)
六鐘高校に通う女子高生で、水田マリや棚橋モモの友人。ヘアバンドをつけた緑髪と眼鏡が特徴。控えめな性格でシャイだが、打ち解けた相手には気さくに話す一面もある。裏生物の1人で、大きな1つ目を持つ「単眼族」で、一度見た物は完全に記憶できるほか、透視能力もある。なお、普段は人間に擬態して正体を隠しているが、極度に恥ずかしがると擬態が解けてしまう。
棚橋 モモ (たなばし もも)
六鐘高校に通う女子高生で、水田マリや緑川ヤエカの友人。ぽっちゃりした体格で、丸い頬紅がトレードマーク。裏生物の1人で、自身の体を切り離して分身として使役する能力を持っている。また、大量の分身を作るとスリムな体型になる反面、極度の空腹状態になるという弱点がある。
煤竹 ヒロミ (すすたけ ひろみ)
綴エンジの同級生で、パーマのかかった茶髪と太眉が特徴の男子高校生。エンジとは幼稚園時代からの幼馴染だが、気が弱いため仲間内ではいつもぞんざいな扱いを受けている。物語の後半では、学園の旧校舎で行われたテストに合格し、エンジたち裏生物に協力するサポーターの一員となった。 なお、父親が鍵屋を営んでおり、ヒロミもピッキングが得意。
内藤 (ないとう)
綴エンジの同級生で、小柄な童顔の男子高校生。性に貪欲な変態で、常に下ネタが行動の原動力となっている。また、守備範囲も広く、欲望を満たせるなら相手が男性でも気にしない。物語の後半では、学園の旧校舎で行われたテストに合格し、エンジたち裏生物に協力するサポーターの一員となった。 なお、長距離走の関東記録保持者という一面も持っている。
綴 シオン (つづり しおん)
綴エンジの妹にあたる9歳の少女で、セミロングの髪をツインテールにしている。活発な性格で、親指を立てて殴るのが得意な武闘派だが、病弱な一面もある。また、兄のエンジが大好きで、彼が事故で消息を断ったときは病を押して捜索に飛び出した。なお、水田マリに対しては胸の大きさに感服し「師父」として尊敬している。
右王/左王 (うおう/さおう)
エンジが通う六鐘高校の旧校舎に住む双子の裏生物で、物体を怪物化して動かす能力を持つ。手のひらサイズの子鬼で性別は不明。右王は黒髪と1本角に上まつげ、左王は明るい髪色と2本角に下まつげが特徴となっている。学長にしてサポーターの1人である武田源色(たけだげんしょく)の指示で働いており、旧校舎に立ち入った人間を驚かして、サポーターの素質があるか見定めるテストをしていた。
ハガ サソリ
生物に寄生して意のままに操ったり、身体能力を強化したりする「寄生蟲」の研究者ハガアリスケの娘。髪型は前髪を切り揃えた赤髪のツインテールで、両目の下にあるほくろがトレードマーク。また、ゴスロリ服をよく着用している。志半ばで他界した父がライバル視していた白雨を敵視しており、復讐のために弟のハガカゲロウと共に研究を引き継ぎ、寄生蟲や寄生蟲を小型化した寄生ドラッグ使った事件を引き起こした。
マヤ・L・コーデリア
綴エンジが在籍する六鐘高校1-D組の担任を務める女教師で、明るい髪をまとめたポニーテールと、狐目の下にある泣きぼくろが特徴。美人で男子生徒の憧れの存在となっている。留年を免れるためにエンジが強行したカンニングを見破ったことをきっかけに、裏生物であることが発覚したが、能力は明らかとなっていない。 なお、白雨の営む喫茶店「紅緋珈琲」の常連客でもある。
神寿 (かみじゅ)
受けた依頼は必ず達成する凄腕の便利屋で、冷徹さと高い実力から裏世界では「鬼」と呼ばれている青年。常に黒尽くめの格好をしており、左目の下には星の刺青が2つ入っている。人間でありながら身体能力は裏生物を軽々と圧倒するレベルで、尾山乱太朗からは一方的にライバル視されている。また、町の地下で開催された裏生物同士の格闘大会では、ピンチヒッターとして綴エンジの前に立ちふさがり、パンチだけでエンジの腕を軽々と吹き飛ばした。
その他キーワード
裏生物
『ボクと魔女の時間』に登場する用語。クリスは「Creatures Left In Secret」の略で、表世界に出せない特殊な力をもった生物を区別するための総称となる。超能力を発現させた人間も含まれており、綴エンジや水田マリも裏生物に属している。エンジが暮らす紅緋町はかつて見世物小屋が盛んで、多くの裏生物が見世物になっていた経緯から、今でもその子孫の大半が紅緋町で暮らしている。
サポーター
『ボクと魔女の時間』に登場する用語。裏生物の存在を知る人間のうち、彼らや彼らに関連する組織を監視、及び支援する役目を負った人物を指す。物語では、綴エンジの学友である煤竹ヒロミや内藤のほか、学園長の武田源色(たけだ げんしょく)や孤島で海坊主の世話をしている魚皆シズカ(うおみな しずか)などがサポーターとして登場している。