怪人エースと断罪天使のもどかしいラブコメディ
一見ごくふつうの高校生、十市は、実は人類征服を目論む怪人(ファントム)軍団の一員であり、エースとして期待されている怪人ヴォルケンだった。ある日、十市のクラスに正義感あふれる少女、心が転校してくる。当初は心に対して苦手意識を抱いていた十市だったが、彼女がファントムの宿敵「断罪天使マイティハート」であることを知り、二人は敵同士となる。しかし、日々の交流や戦いを重ねるうちに、十市は次第に心に惹かれていく。一方、心もまた、敵でありながら自分を気遣ってくれるヴォルケンに密かな恋心を抱いていた。ヴォルケンの正体を知らない心は、十市からの告白を何度も断り続ける。正体を知る十市と、知らない心のもどかしいすれ違いが織りなす、ドタバタラブコメディが展開される。
羞恥心が武器の最弱ヒロイン
心は、世界の平和を守るため正義のヒロイン「断罪天使マイティハート」に変身して戦うが、彼女の通常の戦闘能力はほとんど皆無に等しい。敵の怪人と対峙してもすぐに捕らえられ、辱めを受けては胸や下着を露わにしてしまうなど、不本意な姿を晒してしまう。だが、その「恥じらい」こそが彼女の力の源泉だった。羞恥心が極限に達した時、TNT火薬数トンに匹敵する必殺の「マイティビーム」が放たれ、敵を殲滅する。より強力な敵と戦うためには、より強い恥じらいが必要となるため、物語が進むにつれて胸部が露わになる「力天使形態(ヴァーチャーズ・フォーム)」や、下着を身につけない「主天使形態(ドミニオン・フォーム)」へとパワーアップしていく。本人も正統派の戦いを望んでおり、絆創膏や泡で体を隠すなど涙ぐましい努力を重ねるが、かえって卑猥な姿になってしまい、裏目に出ることも多い。正義の戦士としての強い責任感と、意に反してエロティックな展開になってしまう不本意さこそが、心の最大の魅力となっている。
怪人軍団の内部分裂と謎の過去
人類との戦いが激化する中、怪人軍団内部では不協和音が広がっていた。やがて、怪人騎士ベネトナシュエータ率いる一派が反乱を起こし、軍団は内部分裂に陥る。反乱軍の標的となったのは、軍団のエースである怪人・ヴォルケンこと十市だった。油断したスキを突かれ、窮地に追い込まれた十市を救ったのは、ヴォルケンと瓜二つの謎の人物だった。その接触をきっかけに、8年前に十市に何かが起きていたことが示唆されるが、彼自身にはその記憶がまったくない。せまりくる危機と深まる謎に直面し、十市は「断罪天使マイティハート」らが所属する対怪人撲滅機関(CPED)と手を組むことを決意する。こうして、共通の敵であるベネトナシュエータを討つため、かつてない正義と悪の共闘が始まる。
登場人物・キャラクター
天河 十市 (てんかわ といち)
ごくふつうの男子高校生でありながら、実は怪人(ファントム)軍団に所属する怪人・ヴォルケン。クラスメイトの心に片思いしており、本来は敵である、彼女が変身した「断罪天使マイティハート」も、つい助けてしまうことが多い。ふだんはやや頼りなさそうな言動が目立つが、その戦闘能力は非常に高く、単独で戦車小隊を壊滅させるほどの実力を誇る。また、怪人軍団では一隊の隊長を務めており、ぶっきらぼうながらも部下を大切にする、不器用で優しい性格の持ち主。その人柄から、幼なじみの蛙怪娘ワルケロルや、一途な思いを寄せる怪人騎士ミグレスなど、多くの仲間から好意を寄せられ、非常にモテる。
舞島 心 (まいしま こころ)
十市のクラスに転校してきた美少女。ふだんはごくふつうの女子を装っているが、その正体は怪人軍団から人類を守る正義のヒロイン「断罪天使マイティハート」。曲がったことを許さない強い正義感を持ちながらも、やや天然な一面もある。特に恋愛には鈍感で、周囲からの好意にまったく気づかない。本人は正体を隠しているつもりだが、変身後も素顔で戦っているため、周囲にはすでにバレバレである。誰もが見惚れる美貌と抜群のプロポーションは、敵である怪人たちから「けしからん肉体」と評されている。
書誌情報
マイティ・ハート 全7巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2008-01-08発行、978-4253213912)
第7巻
(2009-04-08発行、978-4253213974)







