あらすじ
第1巻
街の小さなパン屋「ミミィ」で店長として忙しい毎日を送る小岩美々子は、お客さんに美味しいパンを提供するために奮闘していた。しかし覚えることが多く、重労働なために従業員がすぐに辞めてしまい、お店はつねに人手不足だった。そんなある日、スタッフ募集の張り紙を見た北薫が応募してきたため、美々子は薫を即採用する。手先が器用な薫は、加工が必要なパンを仕上げる担当を任され、ほかのスタッフが感嘆するほどのパンを仕上げていく。そして3か月勤め続けて正式採用となった薫は、歓迎会で美々子にあることを伝えようとするのだった。(#01「魔法使いになりたい」。ほか、6エピソード収録)
第2巻
北薫は熱を出して早退した小岩美々子を心配して、小林ハルとお見舞いに行くが、ハルの策略で美々子と部屋で二人きりになり、結果的に二人の関係がギクシャクしてしまう。お見舞いに行った日のことが、ずっと頭から離れず仕事にも集中できない薫は、ハルに相談してある決意をする。一方、美々子もお見舞いに来てくれた薫のことがずっと気になっており、仕事に集中できずにいた。そんな中、妹の美々子を溺愛する小岩広が、パン屋「ミミィ」に来店する。(#08「気合入れて売ります」。ほか、6エピソード収録)
メディアミックス
TVドラマ
2020年7月から9月にかけて、本作『マイ ベイカー』のTVドラマ版『マイラブ・マイベイカー』が、テレビ神奈川、メ~テレ、カンテレほかで放送された。キャストは、小岩美々子を本仮屋ユイカ、北薫を飯島寛騎が演じている。TVドラマ版ではオリジナルの人物が登場したり、薫の設定が少し異なるなど、コミックスとは違ったストーリーが展開されている。
登場人物・キャラクター
小岩 美々子 (こいわ みみこ)
街の小さなパン屋「ミミィ」で店長を務めている女性。年齢は28歳。以前は大手のチェーン店で働いており、5年前に海外に移住した祖父から店を引き継いだ。パン製作の全工程をマスターしているが、ふだんはパンをオーブンで焼く作業を担当している。パンと真摯に向き合って仕事中は毅然としているが、仕事以外では弱気な一面を見せることも多い。兄の親友であった堀田からストーカーされた過去があるため、恋愛には臆病になっている。かつての常連客である北薫をスタッフとして採用し、薫のパンに対するひたむきな姿勢や小林ハルの応援もあって、少しずつ薫のことを意識するようになる。
北 薫 (きた かおる)
街の小さなパン屋「ミミィ」で働く男性。年齢は22歳。以前は別の街で洋食屋のコックをしていたが、祖父が亡くなって一人になった祖母を心配して、この街に引っ越して来た。この街には高校時代まで住んでいて、当時は毎日ミミィでクリームパンを買っていた。その時に小岩美々子とは顔見知りになっており、好意を寄せていたが気持ちを伝えないまま街を離れた。戻って来た際に、ミミィでスタッフを募集しているのを知って店員となる。加工が必要なパンの仕上げを任されると、コックをしていた経験を活かして素人とは思えないほどの繊細なデコレーションを作り上げる。恋愛は奥手なタイプで、美々子と気軽に話せる仲となっても気持ちを伝えられずにいる。
小林 ハル
街の小さなパン屋「ミミィ」で働く女性。小岩美々子の祖父が店を切り盛りしていた頃から働いており、勤続10年のベテラン。たまにパン製造も手伝っているが、接客と販売をメインに担当している。美々子とは公私共に付き合いがあり、休日前にいっしょにお酒を飲んでは酔いつぶれた美々子の世話をしている。北薫が美々子に思いを寄せていることにいち早く気づき、二人にさまざまなアドバイスを送り、付き合わせようとしている。小林ハル自身は10年もの長いあいだ、小岩広から会うたびにプロポーズされているが、そのたびに断り続けている。
平井 聡太 (ひらい そうた)
街の小さなパン屋「ミミィ」で働く男性。接客と販売を担当しており、仕事は小林ハルから厳しく教わっている。小岩美々子のことばかり見ているため、北薫からは美々子目当てで働いていると思われている。実際は小岩広に美々子の近況を報告する役目と、最近行方をくらませたかつてのストーカー犯である堀田から美々子を守る役目を担っている。美々子や広とはハトコの間柄。その正体が判明したあとも、パンに興味を抱いてミミィで働き続ける。
小岩 広 (こいわ ひろし)
小岩美々子の兄。海外で有名なチェーン店を展開する会社の社長で、パン職人としても優秀な腕を持つ。美々子を溺愛しており、周囲からは重度のシスコンと認識されている。親友の堀田が美々子にストーカー行為をしていることを深刻に受け止め、美々子に近づく男性をすべて排除しようと考えている。最近、パン屋「ミミィ」の店員となった北薫のことも警戒しており、美々子のことを守るため、ハトコの平井聡太を送り込んだ。また、のちに時期を見計らって小岩広自身もミミィを訪れる。美々子のこと以外にも、10年間プロポーズし続けている小林ハルに再びプロポーズする目的もあったが、これまでどおり取り付く島もなく断られてしまう。
堀田 (ほった)
小岩広と大学で同期だった男性。広とは親友で、広を通じて小岩美々子と知り合って恋人となる。しかし仕事に没頭する美々子に不満を持ち、それを口にしたことで美々子から別れを告げられる。美々子を力ずくで自分のものにしようとストーカー行為を繰り返すものの、小林ハルをはじめとしたパン屋「ミミィ」の店員に返り討ちに遭って逮捕された。釈放後は行方をくらませている。
場所
ミミィ
とある街の小さなパン屋。店長は小岩美々子が務めており、店員は女性が多い。もともとは美々子の祖父が経営していた店だったが、祖父が海外に移住した際に美々子が引き継いだ。近所には住宅街や高校、市役所などがあって終日お客が絶えない。パンの味も評判で常連客も多い。北薫がデコレーションしたパンも、口コミで人気が広がっている。2階部分は住居で、美々子が一人で暮らしている。
書誌情報
マイ ベイカー 全2巻 KADOKAWA〈ジーンLINEコミックス〉
第1巻
(2018-11-14発行、 978-4040652603)
第2巻
(2019-07-13発行、 978-4040655789)