いとしいキミ

いとしいキミ

「July」「August」「September」の副題がついた三部作からなる、オムニバス形式の学園ラブストーリー。舞台となる高校は、福岡県にある末次由紀の母校がモデルとなっている。「別冊DXジュリエット」1998年10月号と1999年9月号、「別冊フレンド」1998年10月号に掲載された作品。

正式名称
いとしいキミ
ふりがな
いとしいきみ
作者
ジャンル
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あらすじ

いとしいキミ-July-

住友まゆみは、毎朝同じ電車で通学するクラスメイトの奈良崎に、ずっと片思いをしていた。ある日、まゆみはついに2年間温め続けた思いを伝える事を決意する。しかし奈良崎が、一学期いっぱいで隣の県にある高校に転校する予定である事を知り、愕然とする。しかも、クラスメイトの奈美が奈良崎とデートの約束をしたらしいという話を聞き、まゆみは告白を断念。だがそれは実はデートではなく、奈良崎の送別会として、クラスメイト全員で遊園地「香椎花園」に遊びに行くというものだった。もちろんまゆみもこのイベントに参加するが、奈良崎と話す事のできる最後のチャンスにもかかわらず、まゆみは勇気を出せずにいた。そして、帰る時間を迎えて、ついにまゆみは泣き出してしまう。すると奈良崎はそんなまゆみの手を取ってみんなの前から逃走し、二人だけで観覧車に乗り込むのだった。

いとしいキミ-August-

理系クラスに所属している観月ちはやは、クラスに女子が極端に少なく、また怖がりでリアクションが面白い事から、クラスメイトの男子達にいつもからかわれていた。そんなちはやにいつも助け舟を出すのは、中学の時からの知り合いで、同じクラスの久遠寺だった。唯一、久遠寺にだけは心を開いていたちはやだったが、ある日二人きりになった時、いきなり久遠寺からおでこにキスをされてしまう。その翌日、動揺するちはやに対し、久遠寺は「昨日は暑くてどうかしていた」と、昨日の一件をなかった事にする発言をしてしまう。ちはやを傷つけたくないと思いながらも、彼女に対して恋心を抱いてしまう自分に矛盾を感じて苦しむ久遠寺に対し、ちはやは自分の気持ちを見つめ直し、久遠寺への思いを正直に伝える。

いとしいキミ-September-

藤生ちとせは、サッカー部に所属している1学年先輩の高須賀に片思いをし、3か月の猛アタックの末に、付き合いを承諾してもらった。しかし自分の思いばかりが先行し、空回りばかりしてしまうちとせは、高須賀とのあいだに温度差がある事に気づいてしまう。彼女になったにもかかわらず、片思いをしているような立場でいる事が苦しくなったちとせは、ついに自ら別れを切り出すのだった。一方で高須賀は突然の事に混乱しながらも、後日、ちとせの求める答えを導き出す。そして高須賀は、自分の中にもちとせを特別に思う気持ちが存在する事を伝え、彼女を安心させるのだった。

登場人物・キャラクター

住友 まゆみ (すみとも まゆみ)

「いとしいキミ-July-」に登場する。高校3年生の女子。同じクラスの奈良崎に2年間片思いをしている。彼と同じ電車に乗りたくて、毎日早起きしているが、自分の気持ちを告白する勇気を出せないでいる。まじめでおとなしい性格で、一途なタイプ。

観月 ちはや (みづき ちはや)

「いとしいキミ-August-」に登場する。高校2年生の女子。女子が四人しかいない理系クラスに在籍している。慎重な性格で、人並み以上に怖がりなところがある。クラスメイトの男子達から面白半分にからかわれる事が多く、その事をストレスに感じるあまり、男性恐怖症になりかけている。水泳部に所属している。

藤生 ちとせ (ふじお ちとせ)

「いとしいキミ-September-」に登場する。高校1年生の女子。1学年先輩の高須賀に対し、初めて見た時から片思いをしていた。以降、3か月に及ぶ猛アタックの末に交際する事となった。好きな人に対して真っ直ぐに思いを伝える度胸はあるものの、恋愛に関してはまだ初心者である事から、「男女の付き合い」というものが、まだよくわかっていないところがある。

奈良崎 (ならさき)

「いとしいキミ-July-」に登場する。高校3年生の男子。住友まゆみのクラスメイト。女生徒達から人気があるが、実は内心、いつも同じ電車で通学しているまゆみの事が気になっている。両親の仕事の都合で、3学年の一学期いっぱいで、隣の県の高校に転校する事が決まっている。

(さき)

「いとしいキミ-July-」に登場する。高校3年生の女子。住友まゆみのクラスメイト。まゆみにとってはなんでも相談できる親友。まゆみが2年間温めた奈良崎への想いを告げられないまま、二人が離れ離れになってしまいそうな事を残念に思い、思い切って告白するように後押しする。

奈美 (なみ)

「いとしいキミ-July-」に登場する。高校3年生の女子。住友まゆみのクラスメイト。奈良崎に対して好意を抱いているが、まゆみほどの切実さはない。派手でノリが軽く、まゆみとは正反対の性格をしている。

久遠寺 (くおんじ)

「いとしいキミ-August-」に登場する。高校2年生の男子。観月ちはやのクラスメイト。ちはやとは中学の時からの知り合い。ほかのクラスメイトの男子達と異なり、ちはやをからかったりしない事から、ちはやにとって唯一心を許せる存在。バスケットボール部に所属している。

(りょう)

「いとしいキミ-August-」に登場する。高校2年生の女子。観月ちはやとクラスは違うが、同じ高校に通っている。昔からの友達で、同じ水泳部に所属している。ちはやのよき相談相手だが、男子に囲まれている環境をうらやましくも思っており、彼女の悩みを深刻には受け止めていない。

松井 (まつい)

「いとしいキミ-August-」に登場する。高校2年生の男子。観月ちはやのクラスメイト。なにかにつけて、ちはやにちょっかいをかけては、セクハラまがいの発言を繰り返している。ただし松井本人にはまったく悪気はなく、ちはやに相手にしてほしいだけである。

高須賀 (たかすが)

「いとしいキミ-September-」に登場する。高校2年生の男子。後輩女子の藤生ちとせから猛アタックを受け続けたあげく、彼女の想いを受け入れた。冷静で落ち着きがあり、自分のペースを大切にするタイプ。サッカー部に所属しており、女生徒達にとても人気があり、後輩にも人望がある。

(あい)

「いとしいキミ-September-」に登場する。高校1年生の女子。藤生ちとせのクラスメイト。サッカー部のマネージャーを務めている。ちとせの恋を応援しており、ちとせを高須賀に紹介したり、橋渡し役を引き受けた。強気な性格で、言いたい事はハッキリ言うタイプ。

佐藤 (さとう)

「いとしいキミ-September-」に登場する。高校1年生の男子。藤生ちとせのクラスメイト。サッカー部に所属している。先輩である高須賀の事を尊敬しており、愛と共に、高須賀に一途に片思いするちとせを応援している。

場所

香椎花園 (かしいかえん)

「いとしいキミ-July-」に登場する。高校のとなりにある遊園地。通学の電車の窓から観覧車がよく見える。住友まゆみと奈良崎にとっては憧れの場所であり、それぞれが心の中で、いつかいっしょに行きたいと願っていた。のちに香椎花園でお互いの思いを告白した事により、二人の思い出の場所にもなった。

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