マザーグール

マザーグール

菅原キクの代表作の一つ。未完に終わった同作者の『HOLY HOLY』および、それに描き下ろしを加えた新装版『旧約マザーグール』の姉妹作品にあたる。舞台は、異形の怪物が跋扈(ばっこ)する絶海の孤島。修学旅行中にその怪物が棲む島へ流れ着いてしまった聖エルレシアン女学院の2年生たちが、極限状態の中で島にまつわる不気味な神話に触れながら、決死の脱出を目指すサバイバルサスペンス。徳間書店「コミックリュウWEB」で2016年8月から2024年8月にかけて配信の作品。

正式名称
マザーグール
ふりがな
まざーぐーる
ジャンル
モンスター・異生物
 
サバイバル
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異形の怪物と狂気の生態

本作に登場する怪物は、まぶたのない巨大な一つ目を持ち、人間のような大きな口や複数の腕を備えた異様な姿をしている。その体は、まるで人形の残骸を無造作に組み合わせた粘土細工のようにも見える。怪物たちは少女たちを襲い、殺害したあとに腹を割いて卵を植えつけるが、島の原住民と思われる四人の老人がその繁殖を手助けしている様子も目撃されている。本作は、少女たちと怪物とのサバイバルミステリーであると同時に、島に漂着した少女たち一人ひとりに焦点を当てた群像劇の側面も持つ。物語は主に、桐島朔也、草間トリノ、東伏見笙子の三人の少女を中心に展開される。それぞれの視点から島や怪物にまつわる情報が多角的に描かれ、読者が島の秘密を解き明かす手がかりとなっている。

物語の中で突然語られる異様な神話

また作中では、朔也たちが知る由もない島にまつわる神話のような話が突然語られる場面がある。かつて無人島にたどり着いた、目も耳も不自由な少女と14人の赤子にまつわる伝説。少女は世界の理に縛られず、14個の乳房を持ち、心の声で赤子たちと会話したと伝えられている。さらにその神話は、赤子の中に成長を拒む少年が現れたことや、赤子たちが心の声を聞く者と聞けない者に分かれ、超能力を駆使した戦争や虐殺が繰り広げられた様子まで描写している。この不気味な挿話が、島の姿を一層おぞましく、謎めいたものにしている。

ドラゴントライアングルの謎と怪物たち

トリノは、この島がかつて複数の飛行機や船が行方不明となった、日本近海の魔の海域「ドラゴントライアングル」内にあると推測している。その場合、島からの脱出は極めて困難であり、救助が来る可能性もほとんどない。トリノたちは怪物たちと戦う中で、かつてこの島に漂着した日本兵が残した手記を発見する。そこには、島にまつわる奇妙な儀式や成長しない少年の存在、そして80年前には怪物が存在していなかったという衝撃の事実が記されていた。少女たちは散りばめられた謎を解き明かし、必死に島からの生還方法を模索していく。

登場人物・キャラクター

桐島 朔也 (きりしま さくや)

聖エルレシアン女学院の2年C組に在籍する女子。黒髪のロングヘアにサイドリボンをつけている。トリノに強いあこがれを抱き、トリノの写真をロケットペンダントに入れて肌身離さず身につけている。校内の階級意識に敏感で、はみ出し者扱いされている東雲なつの、財前楓子、九重すずを軽蔑していたが、島での過酷なサバイバルを通じて仲間意識が芽生え、その態度は次第に変わっていく。学院内ではカリスマ的存在である笙子を信奉していたものの、島に漂着してからは辻中環たちの狂信的な様子を目の当たりにし、笙子に対して恐怖に近い感情を抱くようになる。

草間 トリノ (くさま とりの)

聖エルレシアン女学院の2年A組に在籍する女子。黒髪のショートヘアで眼鏡をかけている。裕福な家庭が多い学院の中で、彼女はそうではなく、ネグレクトを受けて育ったという複雑な背景を持つ。特待生として入学するほど優秀で、冷静沈着かつ頭脳明晰(めいせき)だが、「不信心者」であることを公言しているため、学院内では浮いた存在と見なされている。島に漂着するまでは笙子たちと行動を共にしていたが、不信心を理由に追放されてしまう。その後は、幼なじみの小井土ひなを探すため、皆川純や宮城野エリカと行動を共にしている。一度怪物に捕らえられた財前楓子が、なぜか殺されずに解放された件については、生理痛緩和のために日常的に経口避妊薬を服用していることが関係しているのではないかと推測している。

東伏見 笙子 (ひがしふしみ しょうこ)

聖エルレシアン女学院の2年A組に在籍する女子。黒髪のロングヘアを姫カットにしている。女学院の生徒たちから絶大な信頼を集めるカリスマ的存在で、「不幸は笙子様のドアを叩かない」とまで噂されている。しかし、幼なじみのなつのによると、「その時に一番必要な言葉をかけてくれる、まるで心の声が聞こえるかのような人で、少し怖い」という底知れぬ一面も持っている。環たちが急遽設立した「Sマリア教団」の信仰対象となったものの、笙子本人はそのグループを離脱。現在は島で出会った少年と共に島の山頂に留まり、彼との心の会話を通じて島の神話を聞き続けている。

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