ポジティブ人間×チョロカワ悪魔
大悪魔「暴食のベルゼブブ」の娘であるカナン・ゼブルは、「高潔カナン」という人間を装って奉納学園に通っていた。学内では品行方正、学業優秀の才媛で通っているカナンだったが、その真の目的は若き人間の魂を捕食することだった。そんな中、カナンは美味しそうな魂を持つ供犠羊司を呼び出すが、羊司はデリカシーに欠ける超ポジティブ男子で、「食べる」ことを性行為とカンちがいし、カナンを悪魔だと知らないままにグイグイせまっていく。恋愛経験が皆無でウブなカナンは、羊司の外見が好みであったこともあり、貞操こそ守り抜いたものの、強引なアプローチに負けてなし崩し的に交際することになる。当初カナンは、距離感のおかしい羊司に翻弄されっぱなしだったが、やがて彼の裏表のない態度に絆(ほだ)されて心を開いていく。
個性的なカナンの家族たち
「高潔カナン」ことカナン・ゼブルとその家族は、魔界でも名の知れた大悪魔として一目置かれている。カナンの父親である暴食のベルゼブブは、その名に違(たが)わぬ大食漢で関西弁をしゃべる気さくな男性で、娘たちを溺愛している。ほかの家族もベルゼブブに負けず劣らず個性的な人物ばかりで、カナンの妹のミルチ・ゼブルは、イタズラに全力を尽くす悪女で、カナンに対しての当たりも強い。しかし内心ではカナンを深く慕っており、彼女にキツく当たるのは好意の裏返しでもある。もう一人の妹であるミエル・ゼブルは、好きなものを取られることに興奮する異常体質で、ミルチ以上にカナンのことを敬愛しているが、彼女が供犠羊司と楽しげに交際する姿を目の当たりし、嫉妬と共に奇妙な快感を覚えている。
天界からやってきた御使い
供犠羊司の通うクラスに、突如シスターの衣装をまとった転校生が現れる。彼女は自らを「ジャンヌ」と名乗り、悪魔の手から羊司を守るために天界から遣わされてきたと語る。そしてジャンヌは、有無を言わさず羊司のそばに接近しようとするが、ど天然キャラに加えて人間界の常識が欠落しているため、空腹すぎて倒れたり、意図せずにあられもないセクシーな姿を披露するなど、周囲を翻弄している。さらに、高潔カナンが大悪魔の眷属(けんぞく)であることを知ると、彼女を羊司から引き離そうとするなど、カナンと共に羊司にとってもある意味では厄介な存在となる。だが交流を重ねるにつれて、カナンのことを認めるようになり、羊司に対しても叶(かな)わないと知りつつも、ほのかに思いを寄せるようになる。
登場人物・キャラクター
高潔 カナン (たかきよ かなん)
多摩市立奉納学園に通う女子。人間の魂を食べるため、人間界に潜入している悪魔。「暴食の大悪魔」と呼ばれる父親・ベルゼブブの娘で、数千年以上生きている。ピンクの髪に水色のメッシュが入っており、ふだんはツインテールにしているが、悪魔の姿に戻るとツインテールが角に変化する。人間は下等で食料に過ぎない存在と考えていたが、供犠羊司と出会って思いを寄せるようになり、恋人関係となる。供犠に対して何かとマウントを取ろうとするが、何げない一言でいつも丸め込まれている。巨乳でツンデレなキャラながら、高校では眉目秀麗で文武両道の生徒会長として、周囲から一目置かれる模範生を装っている。
供犠 羊司 (きょうぎ ようじ)
多摩市立奉納学園に通う男子。高潔カナンに呼び出され、魂を食べると宣言されたことを告白だとカンちがいする。その後、性交ができると期待するものの、恋愛経験のないカナンの反応を見てまずは恋人として付き合うことを提案した。優しい性格で異性にモテるが、カナンのことだけを恋愛対象にしている。カナンに対してはつねに積極的で、恋人らしい行動やスキンシップを頻繁に取ろうとしている。
書誌情報
カナン様はあくまでチョロい 8巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2022-10-17発行、 978-4065293607)
第2巻
(2023-01-17発行、 978-4065303481)
第3巻
(2023-04-17発行、 978-4065312551)
第4巻
(2023-08-17発行、 978-4065326114)
第5巻
(2023-12-15発行、 978-4065339015)
第6巻
(2024-03-15発行、 978-4065348673)
第7巻
(2024-07-17発行、 978-4065361337)
第8巻
(2024-11-15発行、 978-4065374368)